剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

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腕鬼…どうして……

零余子チャンカワイイヤッター

零余子チャンツヨイ

極めて腕鬼に対する侮辱を感じます


今回から後書きにて新コーナーが始まります。

それと高評価下さるの本当にありがたき幸せです。この小説が面白かったという方は10や9の評価、面白くねーよクソと思ってる方は10とか9、あるいは8に入れてください。この小説に家族を殺された場合は1評価でも妥当かもしれません。
今日は11/28だから出席番号28の人も高評価お願いいたします。


という必死さ、作者として0である


41話 新たな時代と任務

 

「やっと来たか……鱗滝ィィ……」

「お前は……!?匂いから察するにあの時の…?」

 

とある山奥、そこに広がるは辺り一面複数の鬼殺隊士の亡骸。そこに転がる死体の大半は手足を欠損しているか、頭部と胴体がお別れしたものばかりで、人の形を留めていたものは何一つなかった。

そして、この場に駆けつけた鱗滝と名のつく鬼殺隊士が見据えたのは、その多くのバラバラ死体の中心に君臨する、全身に巨大な無数の腕を巻き付かせた巨大鬼。

 

「お前を殺すため…藤襲山を脱してからずっと師匠の元で力を蓄えてきた……」

「……そうか、満月ノ鬼の影響下に巨大な鬼が1匹いると聞いていたが、どうやらそういう事か……」

「そうだ。師匠の元で俺は何年も何年も鍛えてきた。全ては藤襲山に俺を閉じ込めたお前を殺すためだ…」

「…なるほどな、満月ノ鬼が最終選別を襲撃したついでに藤襲山から連れ出されたというわけか…」

「ヒヒヒ…その通りだ。そして遂に雪辱を晴らす日が来た……。水柱鱗滝、今日こそお前をあの世に送ってやる……」

「そうか……ならばこちらも今度はお前を藤襲山ではなく地獄に送らなくてはならないな………」

「……今の俺を…斬れるものなら斬って見ろォ鱗滝ィィィィィィィ!!!」

 

そして両者の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

「…1つ勘違いしているようだから言っておこう。今の私は(・・・・)水柱では無い……」

「何ィ?」

 

 

________________

 

 

徳川の世は終わりを迎え、元号も慶応から明治へと移り変わった。外国の度重なる脅威から日本を護る為に幕府ではなく天皇の元でこの国を強くしていこうという試みらしいが、そもそも人間では無い俺たちにとっては無縁の話。

 

「お父さんお父さん!稀血の奴いたから洗脳して捕まえて来たよ!」

「よしよくやった、いい子だ」

 

今は、旧名が『蕾』だった彼女を可愛がりながら日々過ごしている。そう、旧名『蕾』の彼女、ということは即ち、彼女は今別の新しい名前を名乗っている。

 

「早く食べよ!コイツ稀血の中でもかなり希少な奴っぽいし早く早く!」

「まあ待てって。まずは早いところ種を爆散させるなりして息の根を止めないとな。__なあ零余子」

 

___零余子、それが新たな彼女の名前だ。由来は彼女の好物料理である零余子ご飯から。反応としては父親代わりの自分が名付けたことや、元々蕾って名前を酷く嫌ってたことも相俟って可愛い名前だってぴょんぴょん家の中を跳ねながら喜んでくれた。

『今日から私は零余子ね!』

そう言って満面の笑顔を浮かべる零余子ちゃん。あざと可愛い自慢の娘です。

ちなみに何故好物が零余子ご飯なの花の呼吸を育手から習ってた頃に米との併せで食して以降すっかり虜になってしまったそうで、人でなくなった今でも稀血の次に彼女の胃袋を刺激するご馳走である。

 

「お父さん、もうコイツ壊しちゃっていい?」

「あぁ、いつでもいいぞ」

「わかった〜♪ あはは、死ね〜!」

 

そうして零余子が拳を強く握ると洗脳して連れてこられた稀血の頭部が砲弾が炸裂したかのように辺りに弾け飛ぶ。

 

「良かった♪綺麗に胴体以下は残った〜♪」

 

零余子は所有してる刀で対象生物を斬ることでその傷口から『種子』を相手の体内に植え付けることが出来、更にそこから脳内まで達した種によって、相手を意のままに洗脳したり種を爆散させることで全身から頭部に限って、更には胴体及び頭部といった広い範囲を跡形もなく消し飛ばすことができる血鬼術、花の呼吸の我流派生である『種の呼吸』を習得している。

 

「あはは、上手くいった♪」

 

ここまで器用かつ鬼らしい残虐な芸当が零余子に出来るのは、一重に彼女の人に良いように扱われてきた過去の怨恨が深く関わっているのだろう。血鬼術や鬼の実力は人間時代の未練に大きく依存するというかつての黒死牟さんの説は凡そ正しいみたいだ。

 

「流石だな、前よりも圧倒的に血鬼術を扱えている。腕を上げたな」

「えへへ〜、そんなナデナデしながら褒めても何も出ないよ〜♪」

 

そんな俺はと言うと、零余子を撫で回していることから分かる通り、絶賛娘を溺愛中。零余子を鬼にしたのも娘として迎え入れたのも、元は彼女の過去に深い同情心を抱いたのと、彼女自身強力な鬼となる可能性を強く帯びていたからに過ぎなかったというのに、不思議と俺は零余子という養娘の存在にかつてないほど満たされていた。

俺の中で失われていた何かが戻ってきたような、今まで一切感じることなかった感情が芽生えてしまった。

堕姫や妓夫太郎のような弟子や猗窩座のような親友とはまた異なる、特別な感情が。

 

「ぷはー、ごちそうさま」

 

今は娘と食べる人間の味が何よりも旨いと思えた。

 

 

 

________________

 

 

 

【種の呼吸 弐ノ型 庭漆】

【星の呼吸 伍ノ型 流星斬り】

 

場所は変わって相模国足柄県某山奥。俺と零余子は刀を片手に鍛錬に勤しんでいた。

 

「その調子だ!もっと打ち込んでこい!」

 

庭漆の根が建物を幾度もつたって成長していく様を模した無駄のない小刻みな楕円形の連続した斬りこみに対して、俺は焔を纏う連続した斬撃で応戦する。

 

「…まだまだ」

「いい心意気だ!来い!」

 

娘とはいえど零余子は俺が強力な鬼となることを見越した上で勧誘した鬼であることは事実。故に日々の鍛錬は欠かせず、今こうして刀の相手をしている。

 

「…大丈夫か?まだやれるか?」

「やれる!せっかく鬼になれたし、もっと強くなってお父さんみたいになるんだから!」

 

俺は彼女の仮の父親であって実際の父親ではない。それでも零余子が俺みたいに強くなりたいと望む姿が一抹の不安を全て吹き飛ばした。

当初、自由を求めて鬼になったという経緯事情から彼女は甚だ強さなんて求めておらずただ奔放で怠慢な自由人気質もとい自由鬼気質にならないかと不安を抱いた。そうなれば無惨様は黙っておられない。青い彼岸花や鬼狩りの殲滅こそが無惨様が我々鬼に下した使命であるのだから。あるいは、鬼となってようやく手にした自由の使い道が分からずに虚無となるのか。

 

【種の呼吸 壱ノ型 発芽突き】

 

いずれの不安も、全て杞憂だった。零余子は確かに自由を手にした。その自由を噛み締めつつも鬼としてやるべきことはしている。現に種の呼吸も以前よりかなり洗練されており、壱ノ型も初めて見た時より素早く正確に急所を狙えるようになっている。

 

「いいぞ!この精度なら鬼狩りの柱相手でも問題無さそうだ!なんなら今すぐにでも行くか!?」

「ごめんお父さん!それだけは勘弁して!」

 

ただ鬼狩りの柱と遭遇した時にすぐ逃亡しようとする癖さえ無ければ文句無しの満点なのだが、そこだけは人間時代の逃げ癖が残ってしまったらしい。間違いなく今の零余子であれば柱相手に善戦する才能は持ち合わせているのだけど。現に鬼になっての初戦で姉弟子の柱を殺害している。呼吸を扱う剣士が鬼になるにはだいぶ時間が掛かると言われてる中であの瞬発的な鬼への順応力と既に完成されていた血鬼術。正直今すぐ十二鬼月に入れる実力もある。

__でもあれは零余子に言わせれば『たまたま姉弟子が相手で実力も知れてて不意打ちだったから』らしい。つくづく勿体なさを感じる。

 

【種の呼吸 伍ノ型 稲熱(いもち)

 

だが俺との鍛錬の際はただ柱相手の戦闘から逃げたがるだけの零余子ではない。

現に伍ノ型稲熱(いもち)は、現段階で零余子の持つ型の中でも1,2を争う殺傷力に長けた技。これを放ってくるあたり鍛錬時の零余子は本気(マジ)だ。

稲熱はその名の通り稲が掛かる病である稲熱病が由来。熱を帯びた斬撃を敵に浴びせて傷を負わせることでその傷口から謎の腐食成分がジワジワと体を蝕んでいくという恐ろしい技。まるで即効性の毒に侵されたようだ。

 

【星の呼吸 玖ノ型 光合成・種】

 

だからこそこちらも全力で応える。そう思って型を繰り出そうとした瞬間の出来事であった。

 

 

 

ベベン

 

『朱雨、招集だ。ついでに新顔のお前も来い』

 

 

聞き覚えのある琵琶の音と無惨様の一声が、俺を零余子ごと障子の中へと誘った。

 

 

 

 

 

「久しいな朱雨」

「お久しぶりでございます無惨様。此度もこうしてご尊顔に謁見したことを光栄に思います」

 

出禁になったが故に数年近く訪れることのなかった無限城の床に着地後、素早く無惨様を前に頭を垂れる。チラッと体の隙間から隣を覗いたところ、他の十二鬼月連中は来てないらしい。

 

「痛ァい!」

 

と頭を垂れるのも束の間。俺の正面、即ち俺と無惨様との間に、無限城落下初体験の零余子が背中から落下してきた。

 

「いてて……」

「…………」

 

そんな着地失敗という醜態を晒した零余子を目の前にした無惨様から冷たい空気が漂ってくる。特に『なんだその有様。お前の弟子だろう?』とおっしゃらんばかりに俺への圧が凄い。やはり弟子の失態は師であり父である俺の責任でもある訳か。

 

(それはさておき。零余子、頼むから頭下げて頭)

 

まずはいい加減無惨様の殺気が限界に達してるようなので俺は無言で零余子の頭を掴んで強引に伏せさせた。

「ぶべらッ!」って女子らしさゼロの声と共に気絶(・・)させてしまった。少々手荒に見えるけどそれは後でどうにでもなるから目の前の無惨様に無礼のないようにするのが最優先。

 

「…随分と時間が掛かったな。そこの者はお前の勧誘した鬼とはきいていたが、手を焼いているようじゃないか。呑気に親子ごっこするだけで私に対する礼儀作法の1つも教えてないのか?」

「た、大変申し訳ございません!確かしこの者は私共が鬼に勧誘し手解きをしておりますが故、責任は私にあります。無礼を働き申し訳ございません!」

 

全力で地面に頭を擦る。無惨様ご相手に無礼は許されない。それが例え自分ではなく身内の犯したものであっても同様、連帯責任として上司となる俺にも責任は及ぶのだ。

 

「…つくづくお前の先見性も落ちたものだな。満月ノ鬼が聞いて呆れる。お前が最終選別とやらで拾ってきた腕ばかりの木偶の坊も、つい先日鬼狩りにやられた(・・・・)ばかりだというのに」

「!?」

 

今、俺の耳が狂ってなければ聞き捨てならないようなことを無惨様が仰られたような気がする。

 

「まったく、情報1つ手に入れた(・・・・・)は良いものの、鬼狩りに対しては大した損傷も与えられず下弦伍陸程度の働きも出来ぬ愚か者め。自暴自棄になるのも程々にすべきだな」

 

やはり、そうか。

零余子に血鬼術を先越されたことで、腕鬼は己が強い鬼になる見込みなしの弱鬼であると自覚。自棄になって鬼狩りに挑んで返り討ちになったか。ようやく消息は判明したけどまさかそれが無惨様の口からとは思いも寄らなかった。

しかし無惨様の言葉から察するに最終的に腕鬼は鱗滝に殺されたみたいだな。弟子の死は残念だが、元より腕鬼の性格からある程度予想はついてたこと。切り替えて次の奴(・・・)探すとしよう。

 

 

(ん?今無惨様が大事なことを仰られたような気がするけど……)

 

腕鬼は弱かったなあということで頭がいっぱい(・・・・)になっており、無惨様が仰られたことは完全に耳から抜け落ちていた。

 

 

________________

 

 

朱雨を久々に無限城に招集した。ついでに朱雨が贔屓してる鬼も思い付きで同時に呼び寄せた。が、その軽率な判断が誤りであったとすぐ気づくこととなる。

 

「痛ァい!」

 

今回は招集していないが、十二鬼月の連中は誰しも私と目を合わせ次第即無言で頭を垂れるのだが、コイツだけはもはやその斜め上をいった。

 

「いてて…」

 

なんだその有様。お前の弟子だろう?と叱責する気すら失せるほどの背中着地に思わず悪い意味で関心を覚えた。随分と私の前で舐めた醜態を晒してくれるなと。

 

「…随分と時間が掛かったな。そこの者はお前の勧誘した鬼とはきいていたが、手を焼いているようじゃないか。呑気に親子ごっこするだけで私に対する礼儀作法の1つも教えてないのか?」

「た、大変申し訳ございません!確かしこの者は私共が鬼に勧誘し手解きをしておりますが故、責任は私にあります。無礼を働き申し訳ございません!」

 

朱雨は慌てて奴の頭を地面に叩きつけていたが、まあ朱雨の今までの活躍とその潔さに免じて許してやっても構わない。それに奴の実力も確かなようであるしな。

 

その後は奴が別途贔屓していた例の鬼の消滅を伝えた。

この反応次第では先程の件も含めて朱雨には横の女諸共過酷な罰を下そうと考えていた。が、朱雨は責任の有無について自らにあると自覚、加えて奴の死に対して1つも哀れみなど抱いておらず寧ろ役立たずであったことから割と早い段階で見切りを付けてたという予想だにしないことを頭に思い浮かべていた。

 

(…さて、どうしたものか)

 

家族ごっこなどに興じていることから人間には容赦なく弟子には甘い奴であると勝手に思い込んでいた。実際奴の影響下にある者は多いし慕われているのも事実。しかしそれは単なる杞憂だったようだ。

 

(腕鬼は弱かったなあ…か)

 

死体蹴りもいい所だがそれでこそ残忍な鬼というもの。例え同族であっても容赦なしの心構えや良い。

ならば朱雨の望み通り、後釜探しにもってこいの新たな任務(・・)でも与えよう。

 

「…今回のことは不問にしてやる。その代わり、鳴女」

「え?」

 

ベベンと心地の良い琵琶の音が朱雨の真下に襖を開いた。重力に従って連れの鬼諸共襖の奥に落下する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前を蝦夷(・・)に派遣する。私の納得いく大物(・・)を鬼に勧誘すればそこの女にも血を分けてやろう」

 

私は2人を戦乱中(・・・)の箱館へと左遷の意味合いも兼ねて送り込んだ。

 




新コーナー


ー明治コソコソ噂話ー

零余子ちゃんが即鬼化したのは逃げてばかりでマトモに呼吸を使用してなかったから。ようは呼吸を扱うための体力だけが整ってる状態であったために鬼の血を受け入れるのが常人より圧倒的に早かった。体力があったりして代謝が良いと細胞分裂早くて怪我の治りも早いでしょ?あれと同じ理論(独自設定)です。


ここからボソッと次回の話に繋がることを話します。少々ネタバレ注意。










次回、恐らくハーメルン最速登場になるアイツ出します。当初の予定では挟む予定のなかった思い付きストーリーになります。

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