剣と念の悪鬼夜行 作:狂戦士
モチベ上げたいので高評価下さい。
と、この男、モチベをダシに読者に高評価をおねだりする投稿者のクズである。
「でさー、零余子ったらポンコツなところあって可愛いんよ〜」
「あぁ」
「でさ、累はめちゃくちゃ無口だけどかっこよさもあって絶対女の子にモテそうな顔してるよねー」
「あぁ」
「もうほんとどうしてなんだろうねぇ」
「あぁ」
「なんか対応冷たくない? 猗窩座」
「朱雨が何の連絡もなしに来て1ヶ月も居候してるからだろうが!!!」
そう、川越の拠点が消し飛んでからおよそ1ヶ月、俺は横浜にある猗窩座の拠点で日々を過ごしていた。早い話が猗窩座の言う通り、居候というやつである。
「仕方ないじゃん…だって拠点は無くなったし2人とも行方わからないし無限城出禁になってる以上身を寄せられる場所がここしかないんだから…」
「だとしても1ヶ月間毎日のように家族自慢聞かされるこっちの身にもなれ!あと行く宛は他にもあるよな? 上弦ノ陸のところとか!」
「えぇ…行こうにも
「だとしてもだよ!妓夫太郎はどうした!」
「いや、妓夫太郎もこればかりは妹の暴走止められないから自己防衛してくれだって」
「マジか………」
鍛錬しつつも俺の話を聞いてくれるあたり猗窩座は腐っても親友なのである。
あと堕姫との接近は何としても阻止しないといけない。俺たち家族の母親枠になろうと画策してるって妓夫太郎からきいたし、零余子と累を堕姫と会わせたら何が起こるか予想がつかない。
「ただいま戻りました。猗窩座さん、朱雨さん」
「おう戻ったか、__病葉」
「おかえり病葉〜」
彼の名は病葉。無惨様が仰られていた上弦の勧誘流行りの一端で、上弦ノ参にあたる猗窩座が手を差し伸べた額に古傷が滲んだ累と同じくらいの体格をした鬼。今は猗窩座の元で鍛錬を積んでいる。まだ血鬼術にこそ目覚めてないが、猗窩座曰く食欲は旺盛とのことで将来的に強力な鬼となって十二鬼月に名を連ねる可能性を強く帯びているとのこと。
ちなみに邂逅の経緯は、猗窩座が森の中で素流の鍛錬をしていたところ、突如異常な腐乱臭がすることに気づいて臭い元を辿ったら、肉食動物に全身を食い荒らされて微かに息をしながら倒れている病葉を発見したそうで、無惨様に許可をとった後に本人の有無を言わさず血を与えて鬼にしたそう。
「そうだ、病葉。猗窩座が家がない間はしばらくずっとここに住んでていいってめっちゃ天使みたいなこと言ってt………いてていでで」
「いつ誰がお前の永住を許可したんだ?」
猗窩座にめっちゃ頬を抓られた。顔がちぎれてない辺り本気ではやってないんだろうけど地味に痛い。
「はぁ……一応朱雨さんは猗窩座さんの大親友とは聞いてますけど、流石にそろそろ御家族と合流して次の拠点を探された方が良いのではないでしょうか…」
「だそうだ。朱雨」
「ナンデェ!?」
病葉は俺の味方だと思っていたのに、お前も猗窩座と同じで早く出てけと言うか。
「というか家族の生存確認はとれてんのか?」
「とれてるっちゃとれてる。ただ
場所さえ分かっていればすぐに偵察からの瞬間移動で即座に現地に向かえるのだけど、そもそも何処にあるのかいるのか分からないものや目に見えないものは探索のしようがない。故に200年という長い時間をかけても巧妙に隠された産屋敷家の場所特定は出来ず、青い彼岸花が未だ発見できなかったりする。
「もう自分の足で探した方が早いんじゃないのか?」
「俺もそう思います。実際にやってみないと分からない事も多いですし」
「そうか?」
何とも腑に落ちないが確かに実際に足を運んでみないと分からない事も多い。それは事実。けど主に動けるのは夜間だけだしそんな危険を冒すくらいなら猗窩座という強力な護衛の元でずっと遠隔透視していた方が良い。
「まあ本音を言うと家族自慢聞かされるのうんざりだから早く出て行って欲しいのだけど」
「ちょっ!猗窩座ァ!」
「俺もそう思います」
「病葉ァ!?」
猗窩座のやつ本音で答えてきた。病葉も猗窩座に同意の意を示した。
「___大丈夫です。きっと、見つかりますから」
「…………」
病葉にもそう言われちゃ弱い。新参の者の言葉とはいえ、ハッと我に返らされる。
(そうだな、元はと言えば零余子も累も俺の家族だ。自分の足で見つけてやれなくてどうする)
俺は2人の進言通り自分の足で家族を探そうと思い、その腰を上げた。
「世話になったな。俺は行く」
「…そうか、やっと分かってくれたか」
「あぁ、ちゃんと見つけて今度は家族と共にこの家まで戻ってくる」
「分かってねえじゃねえか!!」
________________
「さて、どうしたものか……」
猗窩座には「拠点見つけるまで出禁」と付け加えられて外に出された。病葉もそれに頷いたことで多数決的に暫しの居候生活は終焉を迎えた訳だが、これからどうすれば良いか。
「う〜ん、2人とも生きてはいるっぽいけど…」
少なからず生存と関東圏内にいることは把握済。でも川越にいるのか、それともまた別の場所にいるのか、そこまでは全く分からなかった。
「…仕方ない…か」
俺は曇り空の横浜の街を歩いて彼らを探すことにした。
「しかし……」
横浜も随分と発展したものだ。狛治が猗窩座となって初めて彼の拠点を訪れた時、周囲はただの漁村でしかなかった筈。それが今では西洋相手の貿易港がある東京府近郊の都市として鉄道まで敷かれている。
「さて、2人の探索がてら陽光凌げる場所探すか」
陽光の回避は何を差し置いても優先事項。2人を探す以前に日の元で逝くような醜態などあってはならない。彼らを置いてそんな痴呆な死など、到底満月ノ鬼としても2人の親としてもするべきことでは無い。
(うん?なんだこれ?)
それは突然のことだった。突如、遠くから鼻を劈くような臭いが漂ってきたのだ。まるで、何かを
「…奥さん、聞きました?町外れの屋敷に住む弥栄さんのこと」
「えぇ、本当可哀想に…」
「病床に伏せた娘さん、回復の見込み無しだそうよ」
「亡くなったとはいえ元旦那さんはとんでもない暴力男であったそうですし、とことん不幸が連鎖してるわね」
「漂ってるこの臭いも娘さんの嘔吐物を誤魔化すためだそうよ」
「そんなご近所想いの優しい彼女が…本当、神様はなんと無慈悲なんでしょうねぇ」
街ゆく女性たちの噂話がふと耳に入る。どうやら、この強烈な匂いの正体は町外れの弥栄という女性による不幸の弊害として生み出されたものらしい。
(なるほどね…)
自分で言うのもなんだが、俺は不幸な人間に対しては慈悲深いと思っている。ただの人間は大嫌いだが、人間によって不幸な目に遭わされたものや、向上心を持った武闘家気質のものは是非とも鬼という同志にしたい。
あとついでに陽光凌げそうなところ提供してもらいたい。
(行くか)
俺は噂の弥栄という女性の元を訪ねることにした。
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「あぁ、紗江」
言葉も発することすら困難な状態で床に伏せる私の一人娘。
「…大丈夫、お母さんがいるわ」
私は1人この屋敷で日々娘の看病をしていた。娘の吐いた血反吐を掃除し、娘に重湯を飲ませ、薬を与えたりやれることはやった。けど、娘の病状が良くなる傾向はなく、日を追う事に衰弱していく。
家の周囲にはお香を焚いて娘の嘔吐物や薬品の匂いを誤魔化している。あまり嗅いで気のいいものでは無いし、何よりもそうすることでご近所さんが私を不幸の中でも周囲に気を配れる哀れな母親として、より気の毒がってくれる。
(…あぁ、私はなんて可哀想なのでしょう)
これだけでも私は充分に不幸に喘ぐ者として周囲から思われる要素に溢れているけど、私の不幸は何も今に始まったことじゃない。
(…夫、思えば貴方が私をこうして狂わせたのよね……)
外見上は役者顔の美男ではあったものの、その本性は恐ろしいほど腐っていた夫。私の資産を次々と酒や賭け事に投じ、それを咎めれば気を失うまで娘共々私たちに手をあげた夫。生まれこそ裕福で屋敷には使用人も複数いたのだけれどそれらを皆恐怖によって追い出した夫。
___そして、いつしか行方を眩ませた挙句に、それに至った経緯も公には不明のまま川岸で見つかった、今は亡き夫。
(でも、貴方が無残に死んだ
元々ご近所にも夫の素行の悪さは知れ渡っていたし、彼の死を悔やむ者なんていなかった。他の女と駆け落ちしようとしてた男の死を誰が悔やむのって話。
それに、暴力から解放こそされたけど、結果的に私は暴力と散財に悩む哀れな母親から、娘残して父に先立たれた哀れな母親に変わっただけのこと。
そう、私がご近所に同情される哀れな母親であるという点では何一つ変わってない。
「あはは……」
なんて素敵で可哀想な、家族愛。私が生涯で求めていたものはこれだった。
「紗江、貴女は死ぬ時まで私を満たしてね」
耳も
「あぁ、私のための可愛い紗江…紗江…」
私の元を去ろうと心にも思わない貴女が、私を私たらしめてくれる最後の砦なのだから。
「…ふぅん、あの臭いほど並んでるお香の訳はそういうことか……」
突如背後から聞き覚えのない男の声が響いた。
「………!? あっ、貴方は……?」
気配を一切感じ取れぬまま、いつの間にか私の背後に佇んでいた男。その和服系の風貌から察するに、今は絶滅した筈の武士のような齢17ほどであろう男。
「俺は朱雨。たまたま興味を持って訪ねてきただけの鬼さ」
その朱雨と名乗る男が、後々私の中で眠る新たな可能性を見出すことになるとは、この時は微塵にも思わなかった。
ー明治コソコソ噂話ー
病葉くんは猗窩座に拾われて以降、猗窩座の家に住んでます。格闘術を色々教えて貰っているそうで、それが後々のストーリーで判明するとかしないとか。