剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

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尚、朱雨自身は無惨によって殺される運命にあると思ってる模様。

ってかバーに色付いてるやん!(ありがとうございます)
メンタリオさん、わっしょい山崎さん、評価9
niohさん、露場さん、評価8ありがとうございます。
高評価は大変励みになりモチベにも繋がるので大変有難いです!


スマァァァァァァッシュ!!!!(今話一の迷言)


4話 スマァァァァァァッシュ!!(迫真)

「ん…?ここは…?」

 

俺はまた長らく気を失っていたようだ。大の字になって木々の生い茂る森の中でぐっすりしていたらしい。

夜空には満月の光が広がり、結構高いところにあることから、時刻はおよそ12時頃と予想できる。

 

「…えっと、俺は何してたんだっけか」

 

とりあえず、これまで経緯を記憶を探り探り入れて振り返ってみる。

 

__まず、黒死牟と遭遇。そして接戦の末敗北。

 

__次に無限城に連れてこられて無惨……いや、無惨様とも邂逅。

 

「……ん?」

 

いや待て…、何かおかしい。

 

(俺、あの御方(・・・・)に様付けするなんて……?)

 

自然と、忠誠心なるものが湧き上がってくる。

 

「…はっ?」

 

待て待て待て!なんで…俺はなんで様付けしたりあの御方と心の中までも忠誠心を刷り込まれたような感じに…?

 

「…まさか!」

 

俺は慌てて近くにあった水溜まりを恐る恐る覗いた。

 

「…………!」

 

月光に照らされて浮かび上がったその顔は、紅い目に、人の頃より僅かばかし白くなった顔色、見た目こそ少々長めの髪も手足の数も目や鼻や口の数も変わらないが、何よりもの特徴を挙げるとするなら…。

 

「…この手」

 

まるで猛禽類や猛獣の如く鋭く尖った人離れした爪。これらから導き出される結論。そんなの1つしかない。

 

(…俺、人喰い鬼になったんだ)

 

あの御方(・・・・)から血を貰い、尊敬と崇拝、そして()()という刷り込みを受けた上で、野に解き放たれたんだ。

 

__今思い出せば、無限城に連れてこられた後に、無惨様より血をふんだんに貰った。

 

__恐らく、無惨様は大量の血で私に生きるか死ぬかのデスゲームを行った。それで大量の血を私に与えた後、そのまま鳴女の能力でベベンされて森の中に落とされたんだ。

 

「…ははっ」

 

生命の賭けにこそ勝ったが、私は人を超越してしまった。

もう、脳内が既にあの御方への忠誠心で満たされて来ている。家に帰ろうという気力も起きず、ただただ強靭な力と、人間は食糧であるという認識、更には日の光への多大なる恐れが俺の心を支配し始めていた。

 

(…生きたい)

 

そして何よりも、人だった頃より生命欲に忠実になった。

 

「…クソっ!」

 

俺は、前世の鬼滅の知識と記憶、そして無惨様への忠誠心という入り交じった心に、精神を抉られそうになった。

 

 

 

________________

 

 

あれから1週間、ここで結論から言わせてもらおう。

 

 

 

____慣れたわ。

 

 

いやー、住めば都という諺があるように鬼も慣れれば天職だね。あの後、とりあえず拠点を探した。そして3時間程で天然の洞窟を発見。俺は急いで駆け込んだ。入ってみると、意外に中は結構快適で、誰かが暮らしてた形跡も動物が潜んでる感じもなかったのでそのまま自分の住居とした。鬼になってから、暑いとか寒いとかいう概念が失せたため、恐らく人の身だったら超暑いと感じたであろうこの洞窟も、今や日の下に出られない俺にとっては生命バリヤーの役割も果たしている。

 

そうそう、鬼になってから睡眠が要らなくなった。これは時間を有効活用する意味ではデカい。

ただ昼間は外に出られないから拠点の清掃やら整地する以外にやることなくて退屈なんだよね…。あと、初めの3日くらいは日の出の時間が来る度に太陽怖い太陽ヤバいと震えが止まらなくなったわ。これもいい思い出(?)。

 

___そういえば、今何をしてるんだって?

 

「…うまうま」

 

__人を食べてます。

 

いや最初は抵抗したさ。でもやっぱり食事は生きてく上で必要でね、感覚としては人が魚を殺して食べるのと同じよ。しかも鬼になりたてで全然食事が足りないんだよ。なので早くも1週間で20人近くは食べました。

 

えっ?そんな沢山の人間何処で調達したんだって?

 

実は江戸時代って、まだ土葬が主流だったんだよね。なので、意地汚いけど複数箇所の墓荒らしてまだ死にたてホヤホヤの腐敗してない綺麗な死体を拠点に持ち帰って食ってました。

ここで分かったことだけど、まず老人は不味い。見た目50歳超えてる人間は本当に食べるところも少なくて匂いもキツいし味も薄い。一方、10歳から30歳前後の人肉は多少体格によって味の差こそあれど本当に美味い。特に、若い女の肉は鬼にとって栄養価も高いようで、稀血に継ぐ最高のご馳走。

原作で童磨が言ってた、女は子供育てる栄養持ってるから強くなるには良いというのも分かる。

ただ、交通事故もない江戸時代、若い女の死体ってのは本当に数が少ない。元禄という平和の時代、戦乱もなく武士同士の斬り合いも少ない現状、そもそも若い人間の死体というのがかなり少ない。

 

___故に、1週間で20人も食事を確保出来たのではなく、20人しか食事を確保出来なかったというのが正しい。

死体探しに巡った墓地は回れるだけでゆうに2桁に達している。それも数百人規模の大規模な墓地。加えて鬼の鋭い嗅覚でその辺で土葬された死体も掘り起こしたりした。それでもこの数しか確保出来なかった。

 

現在は1690年代前半、俺の知ってる限りだと、この時期には関東近辺で大勢の人が死ぬような災害は起こらない。元禄大地震は1703年、元禄の大火は1698年と、いずれも大量の食糧を確保するには至れない。

 

やっぱり、他の鬼と同じように人間を狩って食べた方がよろしい。

けど、万が一誤って鬼殺隊の隊士を襲ったり、人が消える事件起こして産屋敷に目を付けられたりしたらお先真っ暗なので、力を付けるまでの間はこれがベストかもしれない。

 

____いつか、血鬼術を身につけるその日まで。

 

 

________________

 

 

___あれから1年ほどが経った。

 

「ぷはぁ、食った食った」

 

拠点の中で人間を食べて腹を満たした俺は、夜はまだまだこれからというのにも関わらず、暇をぶっこいていた。

 

「…もう1年か」

 

既にこの1年で食した人間は老若男女問わなければ100人に上る。

とまあ、いずれも墓荒らして血も魂も枯れ果てて幾日過ぎた死体だが。その為か、鬼としての力が身についた感覚は僅かしかない。こんなんじゃ、血鬼術なんて夢のまた夢だ。

 

…やはり力をより蓄えるには肉だけではなく血も必要なんだろうなぁと感じる。

 

「しかしなぁ…」

 

現状、まず江戸時代という電球すらも発明されてない、夜の灯りは蝋燭を使っている時代、夜に出歩く物好きな人間は基本いない。

初めての町内観光で浮かれて夜になるまで迷いに迷って鬼と遭遇するお馬鹿な人間なんて俺ぐらいだろ………。

 

「…暇だし出るか」

 

俺は退屈に耐えかねて、暇つぶしにと拠点の洞窟の外に出た。

 

____が、これがまさかの邂逅となる。

 

 

「お前、鬼だな?」

「は?」

 

洞窟を出た途端、真横に和服の侍風の姿をした男性が姿を現した。腰には刀を差しており、男の口からは独特な呼吸音がする。

 

…これは……もしかするともしかしてですけど……。

 

「近頃、ここ近辺で墓がしょっちゅう荒らされているときいてな。探ってみればやはりか…」

「…鬼狩りか」

 

そう奴相手に冷静に言うものの、俺は内心ではこう思ってる。

 

(やっべぇ、墓荒らししただけなのに鬼殺隊にマークされてんのかよ俺!)

 

俺の生きたいという望みが早くも絶たれようとしている。何としてでもこの場は誤魔化さないと…。

と言って失敗したの、1年前にもあったよなぁと、ふと思い出した。

 

「悪いがここで死ね」

 

纏っている雰囲気的に水の呼吸っぽい。水の呼吸ってバランス型の習得が容易な呼吸で、速度に特化してる雷の呼吸みたいな感じではなく、可もなく不可もない呼吸だった筈。

…ならば、冷静にいけば対処出来る。

 

(…それに、今回は失敗できない)

 

1年前とは違う。俺は人を捨てた。というか殺される筈だったから捨てさせられたも同然だけど。

 

 

___とにかく、ここは奴と戦うしか道は残されてないようだ。

 

「なら、俺もかつては刀を毎日………」

 

と思って腰の左の方に手をやる。

 

(あっ、あれ…?)

 

刀の感覚がない。

…というか俺は今、刀を所持していない。

 

(やべえ、完全に忘れてた)

 

俺、そもそも1年前に無限城連れてかれた時から刀持ってねえ。

12年も毎日刀振ってたからか1年程度じゃ、腰付近にいつも刀があると思ってる病は完治しないみたいだ…。

 

「なんだ?何もしてこないのか?」

 

そして目の前の鬼殺隊の奴が呼吸を纏ってこちらを見据えた。

 

(やば、俺終わった)

 

1度あることは2度あるって事かな。今度は刀不所持の不戦敗ってところだ…。

 

【水の呼吸壱ノ型 水面切り】

 

相手が俺の頸目掛けて技を繰り出す。刀も血鬼術も持たない俺は為す術もなく、そのまま死を覚悟する他なかった。

 

 

__が、俺はここでまさかの機転に出る。

 

(死んでたまるか!)

 

死の淵に立たされた瞬間、俺は火事場の馬鹿力とも呼べる力を発揮した。

 

 

「スマァァァァァァァァッッシュ!!!!」

 

鬼の力による、魂を込めた全力グーパンチ。完全に前世の世界で、鬼滅との同週刊誌で連載されてるアレのまんまである。

 

もはや鬼滅関係ない。

 

 

ところが、このスマッシュこと全力グーパンチが誰しも予想出来ないまさかの結果を生み出す。

 

「ぐあ゙っ…………」

 

目の前の隊士の顔面を叩き割ったのだ。

 

「死ねえあ゙あ゙あ゙!!」

 

全力の叫び声。ただひたすら生き残ってやるという、俺の執念の声だった。

そしてその拳は、俺の頸を狙ってきた日輪刀より先に、隊士の顔を木端微塵に消し飛ばした。

 

 

「…………」

 

勿論隊士は人間であるため、頭を吹っ飛ばされるとそのまま何か言葉を残すことなく絶命した。

尚、俺の腕は反動で粉々になったりはしてない。まあ、例え粉々になる程の骨折してもすぐに治るんだけども。

 

「…ハァ…ハァ……」

 

死の瀬戸際で振りかぶった拳は、俺の窮地を結果的に救ったのであった。

 

(やっ、やべえ……)

 

鬼の力って、強いし凄い。

100人程度しか(・・・・・・・・)人間を食ってなくても、グーパンで呼吸ごとぶっ飛ばせるパワーを出せるのだから。

 

「…さて」

 

我に返った俺が感じたのは1つ。

 

(隊士殺したし、これで俺もお尋ね者だなぁ…)

 

鬼狩りを殉職に追い込んだ以上、俺は間違いなく今後狙われる事になる。となれば、この拠点に長居するのも危険となる。

 

(また、一夜明けたら考えるか)

 

俺はその場で殺した隊士の肉に手をつけ、ムシャムシャと貪りながら軽くそう考えていた。

 

 

 

 

(まあ、()()()()()()の隊士だと思うし、大丈夫やろ)

 

その場で鬼狩りの死骸を食べ終わり、俺はさっさと拠点へと戻っていった。

 

…ちなみにその場で食した鬼狩りの肉は墓荒らしして食う肉より美味かった。俺を殺そうとしてきたのだから、殺されて食われても文句言わないよね。

 

 

___それに、鬼という不老の力を得たし、折角だから原作が始まる大正時代までは生きてみようと思う。

それまで無惨様に嫌われて殺されないように頑張ります。

 




純粋に適応能力の高いタイプっているよね。
人を食うことも生きる為なら躊躇しないタイプとか。

でも、鬼狩りは怖いから最初は人襲うのやめとこというチキン野郎。


お前の事だよ朱雨。


次回投稿は3/29 18:00です。コロナで自宅待機される方が多いそうなので基本土日は早めペースでお送りします。短いけど…。
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