剣と念の悪鬼夜行 作:狂戦士
前回読み直して少し原作の文章使い回し過ぎでは?と感じたので今回少しオリジナル要素及びオリジナルの戦闘展開を入れています。
そして怒涛の原作改変にも注意です。
お気に入りが1700人!ありがとうございます!これから増えるのか減るのか!
【風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ】
【血鬼術 噴芳】
風を扱う剣士の刃から型が姑獲鳥目掛けて全力で放たれる。
実弥は壱ノ型で地面が抉れる程の凄まじい斬撃で真っ直ぐに姑獲鳥の頸を落とさんとしていた。
対する姑獲鳥は手元に幾つものお香を無から錬成し、その芳しい匂いを放つお香を実弥に向け、そこから放たれる空気弾で壱ノ型相手に迎え撃った。
風の刃と血鬼術が家屋内で激しく混じり合い、その場に物凄い衝撃波を生む。
「うゎ………」
「ぁぁ………」
そしてそれは布団の上で寝転がっていた子供たちにも影響を及ぼしていた。衝撃波に飲まれて、布団ごと部屋の奥まで吹き飛ばされてしまう。
姑獲鳥の子育て名目で衰弱させられてきた子供たちに衝撃波など耐えられるわけがない。彼らは危うく死の淵を歩むところであった。
「あらあら、随分と手荒な真似してくれるじゃない? 鬼狩りは無実の人間たちも巻き込む危険集団だったのね。そうね?」
「うるせェ…!」
とはいえ実弥も今の派手な攻撃が、周囲に及ぼす影響をその身で感じていた。
風の呼吸は周囲に鎌鼬状の斬撃を飛ばすことで鬼に対抗するという所謂暴れの呼吸。誰かを護りながら戦うというのは全くもって向いていない呼吸だった。
「実弥、冷静になれ!」
一方、先程まで空気だった匡近は何処に行ったのかというと、衝撃波で部屋の奥まで吹き飛ばされた瀕死の子どもたちを全員抱き抱えていた。
「匡近ァ……」
すると匡近は近くにあった襖の中に抱き抱えていた子どもたちを入れ、終わるまで出てきちゃダメだよと一言子どもたちに言って襖を閉めた。
「子供たちに被害が及ばないようにとはよく考えたものね?その状態で私の頸を斬ろうって事?」
これでも私って鬼の中では上から数えた方が早い程度の実力はあるのよと余裕の表情を見せる姑獲鳥。
「まァ、でもこれで容赦なく頸を刈り取れる訳だなァ……!」
「ふぅん、たかが子どもたちを隠して幻術を見破った程度でその顔?随分と単純思考ねぇ…」
すると、今度は姑獲鳥の脚から繰り出された音速に迫る速度での蹴りが匡近の腹に炸裂する。その衝撃で吹き飛ばされた匡近は壁に背中を打ち付けて肺の空気を全て吐き出し咽る。何とか受け身は間に合ったものの、彼の骨は幾許か折れていた。
「テメぇ…ッ!」
それを見た実弥がすかさず刃を振るうものの、まるで斬撃の行く先が読めていたかのように姑獲鳥はその攻撃を容易く躱した。
「…今まで食べてきた子たちの中には稀血の子もいたわ。数十年かけて人を喰らい続けてきた以上、私は血鬼術に縋るそこらの阿呆と違う。私、それなりに強いのよ?」
姑獲鳥は決して下弦ノ壱という地位と血鬼術に驕れるような思考はしていなかった。自らの幸せの為に要らないものは捨てて、欲しいものは常に我が身とし、逆に去る者は用意周到に消す。その経歴が、彼女の実力を形作っていた。
「クソがァ…!」
諦めずに呼吸を纏って刀を振るい続ける実弥に、姑獲鳥は2人の士気と戦意を削ぐかのような余裕の立ち回りで次々と攻撃を躱していく。
「ま、待て………お前…の……あ………いて……は………こっち………だ………」
一方、失血と骨折の激痛で意識が朦朧している匡近。重傷ながらも、実弥1人に向けられた姑獲鳥の集中を自らにも向けようとフラフラと立ち上がった。
「…そう、でもね残念だけど一足遅かったわ」
しかし既に、姑獲鳥は実弥の体に幾つもの傷を負わせていた。姑獲鳥より奥の壁には、腹と頭皮から血を幾つも流しながら刀を支えに虫の息で辛うじて立とうとする瀕死の実弥の姿。
「…あぁ、実弥………ッ!」
「馬鹿野郎…がァ……こっちより……自分の心配しやがれェ……」
「その体で互いの心配するだなんて面白い友情ね。まあ、それに免じて特別にすぐ死ねるよう楽にしてあげるわ」
そうして瀕死の両者を前に悠々と鬼狩り2人の後始末をどうするか思考を巡らせる姑獲鳥。実弥は急所こそ外したものの重傷で、骨折打撲に普通の人間では立ってることも困難な状況。一方の匡近も、立ち上がったまではいいものの、動きは鈍り、激痛の中目の前の鬼を斬ることだけを思考して前を見据える。両者共に、呼吸を駆使して止血をするなどの応急的な術の元で何とか意識を保っていた。
(……勝ったわ。さて、まさちかだったかまさしげだったか、黒髪の子は特に興味無いしお腹も減ってないから殺したら道端にでも捨てときましょう。白髪の実弥って子は新たな子どもに加えたかったけど、あの不躾さじゃ無理そうねぇ…。死体でもいいから私の子どもに加えようかしら?)
もう両方とも殺して、後はその後の処理をどうしようかと勝利を確信して楽観思考の彼女の足が、突如泥酔者の如く縺れる。
「……なに……これ……?」
遂には立ちくらみのあまりその場に膝を着いてしまう。
(…この漂ってくる不思議な匂いは………?まさか、彼?)
基本鬼は病も酔いも知らぬ体質。一瞬何事かと困惑するがそこは姑獲鳥の鬼としての数十年の経験が、1つの答えを導き出す。
「…貴方、稀血だったのね。それも特段に珍しい、鬼を酔わせる特性を持った」
「ご名答、相手が強けりゃ強いほど威力の増すこの稀血、テメェにとっちゃいつも炊いてる香より刺激的な激臭かもなァ…」
その時姑獲鳥は、千鳥足の中で
(___慢心するな。)
彼が青い彼岸花を求めて旅立つ前、少ない時間の合間を縫って下弦就任祝いがてら再び顔を合わせた日のこと。戦術は複数あれば尚良しとの助言と共に彼が口にした言葉。
(奥の手には奥の手……体術さえ身につけていればいいと思ってた私は、きっと心の中で何処か慢心してたのでしょうね……)
だが今更もう遅い。形成逆転だなァと鬼に対する嫌悪感丸出しで嫌味ったらしく口にする実弥と、酩酊状態で足をふらつかせてる間に呼吸で止血を済ませて体制を整えた匡近が、この隙を逃さんとばかりに姑獲鳥の頸に刃を向けていた。
【風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹】
そして匡近が一気に姑獲鳥の頸目掛けて刃を振り下ろそうとする。が、ここで両者にとって思いがけぬ事態が発生する。
「やめて!お母さんを虐めないで!」
「「!!?」」
突如襖から飛び出した1人の幼い少女が姑獲鳥の前に立ち塞がったのだ。匡近は少女を巻き込む訳にはいかないと慌てて斬撃を真上に逸らし、刃は姑獲鳥の髪をギリギリ掠めるだけに留まった。
(………好機!予想外な所で子供たちが出てきてくれたわね!)
姑獲鳥はこの気を逃さまいと、確実に致命傷となりえる全力の拳を放った。もちろん、自らを庇った幼女の安否など頭の一端にもなく、むしろ鬼狩りを殺害する上で必要かつ有意義な犠牲だと踏みながら。
「匡近ァ!」
実弥がその名を叫ぶ。しかし時既に遅し。鬼から人を護るという鬼殺隊の性は匡近に例外を齎さない。自らの命より少女の命を優先した彼は、姑獲鳥の攻撃から少女を庇って正面から急所に拳を喰らった。
「テメェぇぇぇ!!!!」
そしてそれが実弥の堪忍袋の緒を引きちぎったのだろう。
次の瞬間、姑獲鳥の頸は激昂した実弥の刀で斬り落とされた。
(…あら、負けちゃった?……………まだ、幸せになりたかったのに………。朱雨さん、私負けちゃったわ………。まあ、仕方ないわね…………。慢心しちゃったし、来世に期待しましょう……)
頸を斬られ敗北を悟った姑獲鳥は、朱雨のことを頭に浮かべつつも、作り笑いのような表情のまま灰と化し消えていった。
________________
「おい匡近!匡近ァ!」
一方、戦闘を終えた実弥と匡近。鬼の頸を獲った実弥に対し、急所を鬼の拳に貫かれた匡近は死を迎えるすぐ手前のところにいた。
「さ、実弥………」
「……おいィ、傷開くから……」
「こども……たち……は……無事………か……………?」
「あぁ……。でも、今は自分の心配しろォ」
実弥がそう涙を堪えようと上を向いて匡近に淡々と返事していく中、彼の命の灯火は刻々と弱くなっていく。それを示すように、実弥の腕を掴んでいた匡近の指が、次々と力なく地面に落ちていった。
「…さ、ねみ…………」
「…オイ、匡近ァ!死ぬんじゃねェ!呼吸で止血しろォ!まだ!まだやれるだろォ!!?」
しかし匡近は力なくゆっくりと首を左右に振って無理だと意志を示す。自らの体を理解しているのは自分自身とはよく言ったもので、匡近も例に漏れず自らの死が迫っている事を理解していた。
「…さね……み……口煩く……お前の………事ばっかり………ごめんな……………」
「遺言みてえな縁起悪ぃこと言うなァ…」
「ごめん…………な……。でも……………お………れ……は………ど…お前……には………死んで…………欲しく…………無かった…………………から…………」
「…あァ」
だがみるみるうちにか細くなっていく声を前に、実弥も匡近の死が目前まで迫っていることを悟り、遂には彼の最後の言葉に耳を傾けんと、静かに返事をするだけであった。
「……つよく………からだ………労れ………よ………。しあわ…せ…に…………生き……………………」
「おい匡近、おい!匡近ァ!!!」
実弥の腕を掴んでいた匡近の手が、力なく地に落ちた。
「生存者はいるか!鬼は倒したか!」
その時、天支こと蓮華が複数人の隠を引き連れて実弥の背後よりぞろぞろと現れた。実弥は彼らのいる方に振り向くようなこともせず、ただボソリと匡近の前で愚痴を漏らす。
「おせェんだよボケがァ………」
すると、実弥の傍らで血を流しながら横たわる匡近の姿に気付いた蓮華が実弥の隣まで来る。
「…済まない。また、間に合わなかった…………」
「…………あァ。
蓮華の申し訳無さそうな細い声と表情に、実弥は何処へもぶつけられず、かといって1人抱え込むのも耐え難いむず痒い感覚に襲われていた。
「………何故、いつも………間に合わない…………」
また助けられたかもしれない筈の同胞を前に、蓮華は拳をただ強く握りしめていた。やがて彼女の拳からは蓮華の無念さを体現するかのように血が吹き出す。強い握力で流れ出た蓮華の血は、飛沫を飛ばすわけでもなく、ただ哀しみの涙かのように雫となって地に垂れる。
そのうちの一滴が、匡近の腕の傷を撫ぜるように落ちた。
「…あれ、実弥………?」
「………ま、匡近ァ!」
死亡したと思われていた筈の匡近が、突如息を吹き返し、何事もなく意識を取り戻した。
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「…1度は死の淵をさ迷った。けれど、川の向こうで弟がこっちに来るなって叫んでるのが聞こえた瞬間、背中を引っ張られて、こっちに戻ってこれた……」
だいぶ落ち着いた後に匡近から詳細を聞けば、何か不思議な力で生き返ることが出来たという。しかし急所を突かれ、匡近の体は本来生きることすらままならなかった筈。
「……なんで致命傷までもが消えてんだァ」
「…それは、分からないんだ」
「おい、確かてめェ傷口に血垂らしたよなァ?どういう事だ天支さんよォ」
隣で黙々とその話を聞いていた蓮華もただ話の内容に理解が追いついてない様子だった。
蓮華にも理解出来たのは、何故か致命傷を負った人間が息を吹き返したという1つの大きな事実。
___そして、その直前に、匡近の傷口に自らの血が垂れたということだけであった。
「……私にも分からない。奇跡が起きたのだと、そうとしか思えないんだ………」
蓮華も確信が持てない以上、そう曖昧な答えを出すしかなかった。自らの血に人の生死を分ける秘めた力があるなんて、数百年生きてきた中で当の本人も全く知らなかったのだ。
(でも……もし、有効に使えるのであれば………)
後にこの彼女の秘められた力が、周囲の運命を大きく変えることとなる。
___しかし、それと同時に、彼女の運命の歯車もまた、狂っていく。
ー明治コソコソ噂話ー
姑獲鳥は原作とは異なり、無惨様崇拝者というよりかは朱雨崇拝者になってます。ただ、もちろん無惨様には逆らえないし一応朱雨の上司にあたるのでちゃんと礼儀諸々弁えています。
次回、遂に主人公帰還___
今後の展開で悩んでます。DDルート、GDルートの2択です。あまり深くは言えませんが少々展開が異なります。どちらが良いですか? 尚、最終的なエンディングに変化はない予定です。どちらに展開が転んでも大丈夫なように伏線は既に散りばめてます。
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DDルート
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GDルート