剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

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1ヶ月に1回投稿ですんません。しかも短いというね。
Vになったり課題やったりやることが兎にも角にも多いのです。


65話 未来を担う者たち

 

人里離れた誰も寄り付かぬ山奥の和式豪邸の一角、産屋敷邸。そこでは今、鬼殺隊最高戦力たちが一同に集う貴重な一時、支柱合会議が開かれようとしていた。

 

「今宵も誰一人欠けることなく半年に1度の支柱合会議が開けたこと、誇りに思うよ」

「御館様におかれましても、ご創建で何よりです」

 

御館様の言葉に続けて天支こと蓮華が返事を返す。岩柱、音柱、花柱、水柱も、彼女と同様の意志であることを示すかのように静かに頷く。

皆、当然のように御館様を慕っており、その御館様と顔を合わせられる貴重なこの時間を憂いに思っていた。

 

_______ただ1人を除いて。

 

「いいご身分だなァ。おいテメェ、産屋敷様よォ…」

 

此度、新たに風柱を拝命した不死川実弥という男が突如、御館様に対して悪態を漏らす。その瞬間、各々支柱たちに衝撃が走る。

 

「不死川、口が過ぎる………」

「………風柱」

「いいよ。言わせてあげて」

 

涙を流したり無礼だと顔を顰めるなど動揺の隠せない支柱たちを他所に御館様は実弥の言葉を受け入れるかのような素振りを見せる。すると実弥は追い込み所と言わんばかりに罵詈雑言を続ける。

 

「白々しいぜ。1人安全な所で最高司令官のつもりだろうが鼻につくんだよォ。武術も何も齧って無さそうな貧相な体でよく鬼殺隊の長なんてしてるゥ?虫唾が走るぜェ」

「「「「………………………」」」」

 

そう最後まで言い切った実弥に対して各柱が呆れとも怒りともとれる複雑な感情で思わず沈黙してしまう状況の中、御館様と唯一の支(・・・・)だけは全く別の思考に行き着く。

 

 

 

 

 

「…ごめんね」

 

御館様の申し訳なさそうな一言、それが先程まで怒涛の罵詈雑言を吐いていた実弥を一瞬で沈黙させた。

 

「……君たちみたいに、この身1つで人を守れるようになりたかったけど、刀を数振り振っただけで脈が狂って動けなくなってしまった」

 

御館様の哀愁漂うその言葉が、実弥に重く伸し掛る。やりたくても出来ないという悔いの言葉が切欠か、あるいは純粋な謝罪が実弥を惑わせたか、図らずも火に油を注ぐ事態にはならなかった。

 

「…匡近の件もそうだね。天支から事情は聞いてるけど、随分と君たちに負荷を掛けてしまった……」

「!?」

「…風柱、知らないようだから教えてやる。御館様は全ての隊士を記憶しているし、殉職した隊士の墓参りを毎日している。お前は目の前の御方がどれだけ偉大か分かっていない」

「………」

 

黙り込んだ実弥に対し、天支が情報を補完するかの如く連ねる。

 

「まあ、コイツは助太刀に来た大先輩の私に対しても遅せぇよと愚痴を零していたがな。匡近が間に合わなければ一生憎まれ口を叩かれてただろうな」

 

淀んだ空気に終止符を打つかのごとく天支が半笑いで述べた。

 

「…実弥、天支はこの鬼殺隊において1番の古株かつ最高戦力者。あまり目上の人に失礼してはいけないよ」

「……………御意」

 

遂に実弥が折れる。

 

「フフフ、この際だ。匡近がお前に宛てた遺書でも朗読してやろうか?」

「はァ?」

「実弥の方が悔しいけど柱に相応しいとも書かれてるぞ?その他実弥は好物をあげると眩しい笑顔浮かべる。その好物とは、おは……」

「オイそれ以上喋んじゃねェ!」

「蓮華、下の子にあまり意地悪しないように」

「…はい」

 

少し後輩に悪ふざけをする蓮華。そうした和ませが功を奏したのか、支柱合会議は最初の険悪な空気が嘘だったかのように進んでいく。

 

 

________________

 

 

「…無惨様、彼ら(・・)が戻ってきたようです。こちら(無限城)に連れて参りますか?」

 

遂にこの時がやって来た。1000年もの間待ち侘びた、私が完璧な存在となる手筈の第1段階。

 

「…そうか、すぐにここに呼べ」

 

無限城の一角で、私は奴らを待ち侘びる。必ずや吉報を持ち帰れと念を押して大陸まで向かわせた以上、手土産無しでの帰還では無いだろう。

 

 

ベベン

 

 

琵琶の音、そして眼前に現れる襖。一瞬の静寂の後、私が完璧な存在となる鍵を握りし奴らが襖を開く。

 

「…来たか、朱雨」

「はい、ただいま帰還しました。無惨様」

 

赤子の背丈程ある風呂敷を片手に、朱雨は堂々と自信に満ちた表情でその姿を見せた。

朱雨と行動を共にしていた下弦ノ肆と伍の姿は無いが、日本に帰還したことで私の血による居場所把握の範疇内には戻ってきている。どうやら先に帝都付近に戻っている模様で、現地で仲間にしたらしき輩と共に行動しているようだ。

 

「…例の物(・・・)は、手に入れたか?」

「はい、この風呂敷の中に」

 

そうして朱雨が包を解いた風呂敷から姿を見せたのは、紛れもなき私が長年追い求めてきた物。

 

___青い彼岸花。

 

「…遂にこの時が」

 

想像より青くは無いが、形としては間違いなく彼岸花系。その数も100本近くあり、陽光克服の薬の原料として見ても充分な量。

 

「……こちら、大陸の南西部、雲南省で発見、栽培して数も充分に揃えて参りました。名を紫狐の剃刀。正真正銘、無惨様が貿易商から耳にしたと思われる青い彼岸花にございます」

「…よくやった朱雨」

「お褒めに預かり光栄です。それでは私の方はこれにて失礼致します……」

 

そうして、私への報告を終えた朱雨は鳴女の転送で即座に無限城を後にした。

 

「……褒美でも与えてやろうと思ったが、まあ良い」

 

今更呼び戻すのも面倒な上、こちらとしてはすぐにでも青い彼岸花の研究に取り掛かりたい。

 

 

「…後は、目障りな鬼狩り共を潰せば、私の目標は達成される」

 

 

 

________________

 

 

 

「…さて、居残りのようになって済まないね」

「いえとんでもありません。古参として、皆を束ねる者として当然の務め。私共にしか話せぬ事情や言伝もあることでしょう」

 

半年に1度の支柱合会議が終わって皆解散となった後、私蓮華は1人御館様邸宅の庭に残った。現時点で唯一の支である故、これも果たすべき責務だ。

 

「……まず、君が血眼になって追い求めている満月ノ鬼についてだが……」

「…えぇ、近年(・・)奴が姿を見せないことについては以前お話した通りですが……」

 

___満月ノ鬼、十二鬼月や鬼舞辻無惨といった強力な悪鬼が未だその素性を謎に包んだ中で、唯一無二といって良いほど多くの情報が割れているにも関わらず未だ討伐に至らない鬼。

十二鬼月、あるいはそれ以上の地位を持つこと。家族という世帯を持つ鬼は群れないという定義が通用しないこと。この数百年で幾度も鬼殺隊を壊滅寸前に追い込んできたこと。刀と呼吸に加えて念動力の血鬼術を扱うこと。

既にこれだけの情報が鬼殺隊間で共有されている。

 

「…私の勘が告げている。また近く、奴は私たちの前に姿を現すとね」

「左様ですか……。10年もの間、行方を眩ませていたようですがまたしても……」

 

御館様の鋭い先見の明がそう言うのなら間違いない。産屋敷家特有の能力で、未来を予測するその力があるからこそ鬼殺隊は今もここにあるのだ。

 

「…きっと、その時は上弦と共に現れるだろうね」

「……上弦」

 

上弦の鬼、私の脳裏に上弦ノ参と陸といった、奴と関係が深いであろう鬼の事が過る。あれから随分と時が経った事もあり、奴らに関する情報も満月ノ鬼とは違い今となっては役に立たない。それでもってまた私たちの前に姿を現すというのか。

もし奴の再来が事実となるなら、今の柱たちで対応出来るのか、何とも不安が残る。

 

「……次世代の教育はお任せください。近々、きっと久しく私と同等の支となる者を………」

「…心強いね。流石は蓮華だ。鬼殺隊最古参として、朗報を待っているよ」

 

必ずや御館様の御期待に応え、鬼殺隊戦力を磐石なものとする。そう私は固く決意した。

その為には将来性のある者を中心に、私が面倒を見てやらないとな。

 

 

「…そういえば話は変わるが」

 

続いての話題に移る。

___きっとあの(・・)話。おおよそ察しはつく(・・・・・)

 

 

 

 

 

「___彼女たちの様子はどうだい?

 

___彼女たち(・・・・)、私と御館様のみが知る、鬼殺隊外部協力者の方々の話。





ー明治コソコソ噂話ー

実弥くんが悪くした空気を無理くり解していく蓮華さん。実は隊士たちからは唯一の支として怖がられている事が多いのですが、意外と気さくでユーモアなので幾度と顔を合わせたことのある人からの評判は良いみたいです。
そして此度登場した青い彼岸花こと紫狐の剃刀ですが、中国雲南省発祥の植物で実在します。この話は初期からずっと書きたかった話なのでようやく形にできて満足です。

今後の展開で悩んでます。DDルート、GDルートの2択です。あまり深くは言えませんが少々展開が異なります。どちらが良いですか? 尚、最終的なエンディングに変化はない予定です。どちらに展開が転んでも大丈夫なように伏線は既に散りばめてます。

  • DDルート
  • GDルート
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