剣と念の悪鬼夜行   作:狂戦士

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佩狼視点からですどうぞ!


69話 下弦ノ弐は復讐を誓う

 

「なんだ!?爆発か?」

「逃げろ爆発だ!」

「おい巻き込まれたやつはいないか!?」

 

招集された際に受けた指令、帝都で暴れろとの指令を受けてから数日、手筈を整えた俺は帝都にて作戦執行に出た。

早速初手で使用した時限爆弾が各地で爆発し、それに伴う響き渡る爆発音が人間共を恐怖の底に貶めてやる。

 

「やはり銃火器は良いものだ」

 

あの御方からのご指示とはいえ、やはり帝都という人の屯する場所でバチバチやれるのは気持ちいいを通り越してむしろ清々しく、もはや理想の休暇を過ごしているのだと思ってしまう。

 

「…そして幸運は続く、か………」

 

建物の屋上から双眼鏡で人間共の様子を確認したところ、丁度そこには、俺の魂が心の奥底から恐怖を訴えかけてくる、例のヤツの姿があった。

 

「これは好機だ!時限爆弾が各地で作動して混乱状態にある今こそ、煉獄、お前の脳天…」

 

そうして双眼鏡から照準付き長銃に持ち替え、スコープから奴の姿を捉えようと試みるが、その瞬間奴はまるで幽霊かのように一瞬で何処かへ姿を消してしまっていた。

 

「何処に行ったんだあいつは!?」

 

すると突如目の前から炎を纏った斬撃が飛来してくる。

 

【炎の呼吸 伍ノ型 炎虎】

 

「チィッ!」

 

ヤツは俺の強い殺意に勘づいて、一撃で頸を落とさんと真っ直線に狙ってきた。ただこの状況は想定内。相手は柱。何があってもおかしくない。

俺は元いた場所から数歩引いて奴の攻撃をあっさり躱す。

 

「…おっと、危ない危ない」

 

やがて斬撃で舞い上がった土煙が晴れると、月光に照らされた奴の顔が目に入る。

 

「…待っていた。煉獄!貴様に復讐する為に……」

 

忘れもしない、この出で立ち。髪型から背丈までの全てが、俺の骨の髄まで刻まれた恐怖を呼び起こす。

そしてそれが、俺をこの下弦ノ弐まで至らせる原動力ともなった。

 

 

「誰だお前は!!」

 

 

「……………は?」

 

がしかし、奴から帰ってきたのはまるで俺とは初対面であるかのような言葉。

 

「お前と俺は面識がない。常識的に鬼と関わる隊士などいるわけないだろう!」

 

こんな燃え柄髪の奴、世界中探しても誰1人としている筈ない。どう見てもあの日俺が相対した男と同一人物で間違いない筈だと言うのに。

 

「キッ」

「?」

「キエエエエエェェェェェェェ!!」

 

冷静さを取り戻すため、またしても自らの脳天を銃で撃ち抜く。こうすることで一旦複雑怪奇に絡まった思考回路を元通りに出来る。

いや違う。こうでもしないと恐怖のあまり憤死してしまう。

 

 

(やめておけ。幾ら再生するとは言っても後々支障が出てもおかしくないからな)

 

朱雨様が確か、以前お会いした時にそんなことを言っていた気がする。

けれど、朱雨様がかつて日本を離れていた時の事。戦意の欠片も感じられない虚無感だらけの酔っ払った鬼狩り相手に一方的な私怨で甚振られ続ける屈辱を味わったことがあるのでしょうか!

 

「……覚えてないなら、思い出すまでやるだけだ」

 

そして煉獄の背後から建物1棟を丸ごと吹き飛ばす威力の爆発が起きる。

 

「時限爆弾だ。帝都の各所に仕掛けさせてもらった」

 

新月ノ鬼様に落とされたのが丁度帝都であったこと、そして如何にも陽動として暴れろという無惨様からの指示、それに結構な下準備期間を頂いて、更にこの事態に応じた鬼狩りがまさか因縁の煉獄であったと、奇跡的に続いたこの好機。

あまりに続く幸運に別の意味で憤死してしまいそうになる。

 

「…背後が気になるか?大量の部下でも連れてきたんだろうなあ?」

 

仲間の安否確認をしたいがあまりに背後を気にする煉獄に対して、俺はこっそりと血鬼術を発動させる。

 

【血鬼術 鹵獲控 影狼】

 

俺の血鬼術から生まれた影狼が次々と帝都に放たれ、更に鹵獲控で編み出した影靄からは一斉に銃火器が煉獄に向けられる。

 

「死に晒せェ!!」

 

そうして集中を掻き乱した煉獄に対して山ほどの銃弾を浴びせかける。

 

【炎の呼吸 陸ノ型 炎渦】

 

しかし煉獄はその無数の銃弾を、回転を伴う炎の斬撃で去なしてしまった。

 

「なんだと……?」

「お前の実力はこんなものか?」

 

銃火器による一斉射撃は煉獄を全く苦しめていなかった。いや、多少は命中弾があったようだが急所へは1つも当たっていない。

 

【炎の呼吸 壱ノ型 不知火】

 

すると今の生じた隙を狙った煉獄の、燃え盛る不知火のような刀が俺の頸に突き刺さる。

 

「怒りで視野が狭くなってるぞ煉獄。闘いは常に冷静であらねば」

 

俺の頸には血鬼術の影が纏わり付くようになっており、それが自然と敵方の攻撃を吸収してしまうように出来ていた。

 

「ほらよ」

 

そして煉獄の動きを封じてるうちに、時限式ではないいくつもの爆弾が奴の足元へと転がってゆき、その瞬間辺り一面を巻き込む巨大な爆発が起こる。

鬼は爆発で体が吹き飛ぼうと幾らでも体が再生するからこんな事も出来てしまう。俺も実際今の爆発で下半身以外吹き飛んだが、もう首から下は元通り。

 

「煉獄さん!!」

 

すると、街中の一角から鬼狩りと思わしき女の声。鴨が葱を背負って来たとは正にこの事か。纏めて始末してくれる。

 

「貴様、煉獄の部下か?」

 

気色の悪い緑と桃色の混ざった髪色の女。奴への復讐は部下諸共の死を持って完遂するも良し、纏めてあの世に送るせめてもの情だけ持っておこう。

 

「…心配せずとも奴は無事だ。虫の息だがな……」

 

俺は奴を地面に叩きつけて即座に銃口を向ける。

 

「復讐は最も苦痛を伴う形でやらねばならん。自慢じゃないが人間時代の俺はそういうのが得意だったようで、どれだけ生きたまま人格を破壊出来るか感覚で分かるんだ」

 

人間時代、記憶はあやふやだが1つ確かに残ってる事がある。

自らの意に反する者共を斬り捨て、中には拷問の末に敵側の策を吐かせるといった組織の人間だったこと。

 

そして組織の人間として務めを果たそうとした矢先、自分は1度死んだということ。

 

「……お前は1度三途の川を渡り掛けた事があるか?無いよなあ? 幾つもの戦乱を乗り越えた経験があるか? その程度の実力で、俺を討とうなど腑抜けた連中だ鬼殺隊も、惨めに死ぬだけの寄せ集め集団でしかない」

 

そう話し終えた俺が銃の引金を引こうとした瞬間、真横から見覚えのある炎が過るのを見た。

 

 

【炎の呼吸 伍ノ型 炎虎】

 

 

奴の鋭い炎の虎のような突撃が、女に向けていた銃と抑えていた足諸共全て吹き飛ばした。

 

「…例え惨めでも、人を喰う鬼がこの世にいる限り、それを命懸けで滅殺するのが俺たち鬼殺隊の務め。どれだけ惨めでも!俺は俺の責務を全うする!!」

 

立ち上がった矢先で煉獄の強い言葉を見た俺は、突如立ち止まってしまう。

 

(この熱血漢……あの日の俺が見たのは…)

 

____________________

 

 

「何故瑠火があの世に行ってお前みたいな畜生がのうのうと生きてる。」

 

 

 

「ひっ、お願いです…もう斬らないで…」

 

かつてはほんの何処にでもいる弱小鬼でしか無かったこの俺がとある鬼狩りと対峙した時のこと。

 

「きっ、斬られたああああああ!ぎゃあああああああああああああぁぁぁ

 

奴は俺を怒りの捌け口かのように嬲り続け、俺に恐怖を残したのだ。

 

「疲れた…こんなことしたところで全てが無意味だ。蓮華も煩いし

 

日々の愚痴を零すだけのこんな男と、先程の熱血漢溢れた発言をした男。俺には到底同じ人間とは思えなかった。

 

____________________

 

 




ー明治コソコソ噂話ー


没案の下弦捏造

山彦 下弦ノ陸
宇髄天元と戦う予定だった。
相手の出した声なり物音なりを数倍にして跳ね返す。鼓膜を破って相手の耳を使い物に出来なくする…だけの技。

雪見 下弦ノ参
冷気を操る鬼で真菰と戦う予定だったが童磨イベントに真菰覚醒を入れ込んだ為に没。モデルは雪女。

餞 下弦ノ陸
植物を操り、触手や蔓を用いて戦う鬼であった。
胡蝶カナエとの戦闘も考えてた。モデルは花咲か爺。
過去は、自然を愛する好々爺で街の至る所に花を植えたりして市民からも親しまれていたが、政府がその街に鉄道を通そうとした為に都合の悪い存在として街ごと葬られてしまう。
絶望の最中、身勝手な人間に復讐を抱いて死にかけていた時に朱雨に鬼にしてもらう。
戦闘中も木々を倒さないように、花を守ったり、子供や女性を巻き込まないように戦うなどしてた。これに激しい同情を覚えたカナエの言葉に満足し、自ら頸を捧げて死亡。カナエが鬼と仲良くする思いを抱く要因になった。
無惨からは青い彼岸花について作り出せるなんかしらの可能性を持たれていた模様。

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