剣と念の悪鬼夜行 作:狂戦士
尚、タイトルは某ドラゲナイとは関係ない。
daisannさん、高評価9ありがとうございます!
また、間違えて4月5日に投稿する筈だった9話を3/31の夜に誤って投稿してしまいました。内容見ても分からないと思います。本当に申し訳ありません。無惨様だったら私の頸飛ばしてます。
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__いつか、この時が来るとは思っていた。
でも、心に言い聞かせたかったんだ。それはまだ10年か、100年か、あるいはもっと先のことなんだと。
(なんでこんなに早くも生命の危機なんだ!)
関東を離れ、遥か北の雪国に隠居すること早1ヶ月。
同族の鬼とも鬼狩りとも一切顔を合わせることなく少しばかしの平和を謳歌していたら、目の前にとんでもない存在が現れた。
(…凄まじい殺気だ)
目の前にいる刀を持った鬼狩り。しかもその覇気から見るに、ただの鬼狩りではない。恐らく、燃え盛る炎のような紋様の羽織りを纏っていることから、鬼殺隊最高位の柱の1人、柱。そのうちの炎柱だ。
俺はまだ殆ど人殺してないし、鬼狩りからしてみれば討伐優先度低いしそんな大した戦力寄越したりしないでしょ。だなんて思い込んでいたら、まさかの柱という鬼殺隊最強戦力をこちらに派遣してきた。
「…お前、例の墓荒らしの鬼だな」
しかも殺意はなかなかに高いと見た。しかも墓荒らし鬼だと認知されている。加えてその声からは、ただただ憎しみが溢れだしていた。
…そんな怒りを買うことをした覚えはないので僕。
「…だから何だよ」
なので、俺はじっくりとソイツを見据え、すぐにでも対峙するかのような返事を返した。
私、鬼狩りに殺される筋合いないし。
(ど う し よ う)
当然、内心ではめちゃくちゃに焦っていた。
完全に鬼狩り共を過小評価しすぎた。冬の間は鬼も鬼狩りも見ずに済む平和な生活送れるだろうと踏んでいたものだから、とりあえず人は絶対に襲わずに凍死した奴食っとけば雪が溶ける春までは何とかなると思っていたんだ。
「炎の呼吸」
深く考える時間すらなかった。もう相手は完全に俺を殺す算段に入ってた。
「…あぁもう!」
俺も対抗すべく刀を抜いた。とりあえず12年やってきた剣技でどうにか奴に対抗していくしかない。
【弐ノ型 昇り炎天】
焔を刀に纏った素早い斬り上げが俺を襲う。
「うおっ!?」
俺は紙一重の所で奴の刀を回避。燃え盛る炎の斬撃は俺の服を掠め、左裾を裂いた。あともう1歩踏み込まれていたら、俺の頸は胴体とおサラバしていたかもしれない。
(…親父と
ふと、もう2度と帰ることは叶わない、あの家1番の強者のことを思い出す。改めてあの親父が柱レベルのバケモンだったことを今ここで思い知る。
___とはいえ、逆に言えばそれが対抗策。
【壱ノ型 不知火】
続け様に奴は呼吸を放ってくる。力強い踏み込みの後に炎の斬撃が俺の頸目掛けて襲ってくる。
(全集中!)
俺は呼吸を意識し、全身全霊で奴の攻撃を刀で受け止め、そのまま奴の斬撃を斜めに受け流した。
__対抗策、それは奴の剣技が親父と同じくらいなら、処理できる範囲内だということ。
全集中の呼吸、今までは無意識に使ってたけど、意識して使えばより効率的に戦闘へ応用出来るはずだ。
「…その剣技、素人の技ではないな」
「…まあな」
炎柱はまさか受け止められるどころか受け流されるとは思っていなかったようで、一瞬目を見開いていた。
その隙に俺は奴から距離を取り、その間に奴も呼吸を纏い直した。
「鎹によれば武術経験者だとは踏んでいたが…ここまで熟練のものとは思っていなかった……」
「…そいつはどうも」
どうやらこの前返り討ちにした隊士との戦闘の情報は鬼狩りの間で共有されてるらしい。
だとすると、あの時所持していなかった刀という武器を持ったのは正解だろう。まあ、すぐにこちらの武器持ちという情報も共有されてしまうだろうが。
「…次は殺す」
「…やれるものなら」
不思議と、俺の中で柄にもなく心が昂っていくのを感じる。普段なら、こんな挑発的な言葉など吐くわけがない。
(…何故だ、極上の匂いと共に心が昂ってくる!!)
刀を握る手も熱を帯びてくる。今、物凄く奴をグチャグチャにして食ってやりたい。
【肆ノ型 盛炎のうねり】
続けて巨大な炎が俺の正面を薙ぎ払うように覆う。
「ふんっ!」
「なっ…」
俺は全力でその技を正面から刀で受け止めた。いくら俺が鬼とはいえ、見た目が13歳程の奴相手に力で互角な訳だから、炎柱もプライドが許さないだろうな。
「……こんな童の鬼如きに…っ!」
段々と奴から焦りの匂いが強くなってくる。口使いも荒々しくなってるし、イライラも募ってきてる事だろう。
___折角だ。その怒りにトドメを刺して、奴の剣技を乱してやろう。
「戦利品に
俺は空いた左手で、右手に持ってる刀をつんつんと指差す。
「……まさか貴様!その刀は!」
鍔迫り合いになったことで、間近で俺の刀を見てやっと気付いたようだな。
けど、気づくのおせぇよバーカ。
「…この前殺した隊士のモノだよ」
奴は言葉を失い、呼吸を乱しながら俺から距離を置いた。
どうやら、挑発は効果覿面だったようだ。まあ、当然だろう。隊士の仇討ち目的でこんな辺境地まで俺を追ってきて、仇がソイツの形見持ってるのだからな。
「きっ、貴様ァァーーっ!!!」
奴は怒りに身を任せ、周囲のことなど考える余裕もなく、その手に持つ太刀を、まるで軽快な玩具剣の如くぶん回し始めた。
(…俺はもうとっくに親父より強い。こんな始まりの呼吸から廃れて痣も出せん奴らにゃ負ける気がしないね)
俺は人だった頃、かつて親父から1本取っている。その後もいい勝負を続けて、道場内では俺が1番の実力者であると確立した。
そして今、親父より剣の速度で劣るヘボ柱相手に苦戦することはない。
【伍ノ型 炎虎】
最後の技かと言わんばかりに、燃え盛る虎のような炎が俺の正面を覆い尽くす。周囲の雪が一瞬にして溶けて水となる程の高熱の炎だ。そんな炎が虎の如く俺目掛けて走ってくる。
「死に晒せぇ!!!!」
「他人の日輪刀使ってるやつに負けてんじゃねえぞ柱さんよぉ」
「うるせえ!くたばりやがれ!!」
炎柱はもはや最初の頃の理性を失っていた。
(残念だなぁ、大したことない柱だったみたいだね)
【血鬼術
「なっ!」
「…どうだ、体が浮く気分は」
俺の中で開花した血鬼術。気分はまるでエスパー。
これで、地面から数メートル宙に浮かして体の自由を奪う。
「だ、だからなんだ…浮かせられるだけか?」
炎柱がそう言う。
実際、
いずれ将来的にはこの血鬼術も成長があるかもしれないが、それはそれ。何せ、今俺の武器はこの血鬼術に限ったことじゃない。
__あとは
俺は元々武士であり剣士。念力がいくら殺傷力の低い血鬼術だろうと、この刀でその弱点を幾らでも補うことが出来る。
「じゃあな」
そうして無念の表情を浮かべる炎柱の頸を斬ってトドメを刺そうとした瞬間、突然俺の脳内を何かがよぎった。
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『なんで…………………なんかに…返せ………』
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(俺の記憶…?)
よく分からない。前世の俺は大した事などしていない。
(…でも…叫んでたのは恐らく……)
フラッシュバックなるものだろうか、それが俺の前世の姿かなんて今は思い出す余地もない。
____それに、それが俺の刀を止める原動力には一切ならない。
(一瞬で楽にする)
そうして俺は、身動きの取れない炎柱の首元まで迫ると、一瞬のうちに首を刈り取った。
「…く………そ…………」
かつて炎柱の身体の一部だった頭は、悔しそうな表情をその顔に浮かべながら最後の言葉を残して雪の上にボトンと落ちた。何も言うことなく周囲に飛び散る大量の血と共に、その生涯に呆気なく幕を下ろした。
「…解除」
血鬼術を解除すると、念力で浮遊していた奴の体と血が一気に周囲に広がった。
簡単な挑発に乗せられた挙句、炎柱とあろう鬼殺隊の最高戦力が鬼になって日の浅い者に敗れるだなんて、なんて哀れな最期なんだろうね。
「…さてさて、夜明けも近いから帰るか」
俺は殺した柱の死体を、習得した念動力の血鬼術を用いて1つの部位も残さず回収して持ち帰った。
(…しかし、便利な血鬼術を習得できたもんだ)
この血鬼術が、後の俺の運命を狂わすとは思いもよらずに…。
シリアス「ギャグバトルっぽいのは嫌いだ。早く俺を出せ」
ワイ「待って。まだ出てこないで」
あと、勘違い要素はもうじき終了のお知らせ。
ー江戸コソコソ噂話ー
湯沢村を出した理由は、元々雪国に主人公が潜伏するというのはプロットにあり、じゃあ関東圏外で遠すぎず近すぎず雪降るところで江戸時代には程よくマイナーだった地域は何処?ってなった際、私がこの前越後湯沢に温泉旅行に行ったために資料があったことから即決定。ちなみに他の候補で挙がってたのは草津、白馬、信濃、軽井沢辺り。