吾輩は呂布である   作:リバーシブル

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原作最新刊でひよりちゃんの不穏なモノローグがあったので応援の更新が突如始まる。



「忘却」

 

 

 一学期の期末試験が終わり、いよいよ目前に夏休みを控えた七月半ば。

 高度育成高等学校における基本ルールのひとつ赤点を取れば即退学、という重圧から解放されたこともあり、教室全体にはどこか浮き足立った空気が漂っていた。

 結果から言えば、今回の期末試験で我がCクラス、そして学年全体として誰一人として脱落者が出ずに済んだ。

 

 龍園が裏でどのような策を弄したのか、あるいは単にクラスの底辺どもを脅しつけて無理やり勉強させたのかは俺の知るところではない。だが、勉学というものにどうにも自信がない俺としては、ひとまず胸を撫で下ろすばかりだ。狭い机に向かってカリカリと記号を埋めるような作業は、昔からどうにも性に合わない。切り札である視力によるカンニングも使わずに済んでいる。ちなみにカンニングも即退学である。ペナルティデカくね? と思わなくもない。

 

 そんな安堵と解放感に包まれていたホームルームの時間。

 教室の前方のドアが開き、担任の坂上がずっしりとしたパンフレットの束を抱えてやってきた。

 学校支給の端末ひとつで生活のすべてが完結する、キャッシュレスの極みのような環境に押し込まれているというのに、どうやらペーパーレスの実現には程遠いらしい。

 

「静かにしろ。お前たちに夏休みの予定について通達がある」

 

 坂上がいつも通りの淡々とした声で告げ、最前列の生徒から順にその束を後ろへ回させる。

 やがて俺の机にも回ってきたそれを一枚手に取ると、表紙には抜けるような夏の青空と海、そして無駄にデカい船の写真が色鮮やかに印刷されていた。

 

『真夏の豪華客船クルーズ』

 

 ご丁寧にそんな見出しまで躍っている。

 ……なるほど? 

「先生、今年の夏休みはこれに乗ってバカンスを楽しんでくるんだ。お前たちには幸せのお裾分けだ」──もし、そんな愉快なジョークのためにわざわざ人数分の紙のパンフレットを用意したのだとしたら、俺はこの面白みもないメガネ担任のことを少し見直そう。

 

 だが、当然ながらこの底意地の悪い学校の教師が、そんな気の利いた冗談を口にするはずもなかった。

 

「一学期、お前たちは退学者を出すことなく無事に乗り切った。そのご褒美として、学校側が用意した二週間の豪華客船の旅だ。お前たちに参加費用の負担はない」

 

 坂上のその言葉が落ちた瞬間、静まり返っていた教室が爆発したような歓声に包まれた。

「マジかよ!」「豪華客船って、あのプールとかついてるやつだろ!?」と、あちこちで馬鹿騒ぎが始まる。先ほどまでの試験明けの安堵は、完全に夏休みへの熱狂へと塗り替えられていた。

 

 タダで豪華客船の旅、か。

 俺は手元のパンフレットをパラパラと適当にめくる。レストランにプール、映画館まで備え付けられた船内の設備は、たしかに退屈しなさそうだ。

 ふと視線を横に向けると、少し離れた席に座るひよりと目が合った。彼女もパンフレットのカフェの案内ページを開きながら、嬉しそうにこちらへ小さく手を振ってくる。

 俺も軽く手を振り返しながら、まあ、悪くない夏休みになりそうだと内心で一人ごちた。

 

 豪華客船での優雅なバカンス。ひよりとの甘い夏休み。

 教室で配られたパンフレットを眺めながら、俺の頭の中はすでにそれ一色に染まりきっていた。

 

 だから、その時の俺は全く気づいていなかった。というか、完全に忘却の彼方に捨て去っていたのだ。

 先々週に行われた、弓道のインハイ予選である二次大会。そこで俺は、ただ的に向かって適当に四、五本の矢を放っただけだ。すると、周囲の大人たちが勝手に騒ぎ立て、顔を真っ赤にして文句なしの優勝だ! などと喚き散らした。

 つまるところ、俺は東京代表という肩書きを得て、インターハイ──すなわち全国大会への出場資格を手に入れてしまっていたのである。

 だが、俺にとってそんなお遊戯の延長など、どうでもいい瑣末な出来事だった。終わった作業のことなど記憶の引き出しに留めておく価値もない。俺の脳内ストレージは、すでにひよりの水着姿を想像するためのスペースで満杯だった。

 

 放課後。ひよりは今学期最後となる茶道部の部活へ顔を出すとのことで、今日は一時的に別行動となっていた。

 彼女がいないとなれば、途端に暇を持て余すのが俺の日常だ。時間潰しのためにいつものカラオケ屋へ足を向けると、そこにはCクラスの幹部(俺がそれに含まれるのかは未だによく分からないが)たちが顔を揃えていた。

 

 防音扉をくぐると、奥のソファーにふんぞり返る龍園と、壁際に寄りかかって携帯を弄る伊吹、そして手持ち無沙汰にしている石崎の姿があった。

 どうやら今日は他クラスを潰すための陰湿な謀議があるわけではないらしく、部屋の空気はただの高校生の放課後そのものだった。

 

「よう。お前らもパンフレット見たか? 豪華客船だぜ、豪華客船」

 

 俺が適当なドリンクを手に席へ腰を下ろすなりそう切り出すと、石崎がパッと顔を輝かせて身を乗り出してきた。

 

「見ましたよ! すげえよな、あんなデカい船にタダで乗れるなんてよ! プールとか映画館もついてるらしいっすよ!」

「ああ、全くだ。学校側もたまには気の利いた真似をしやがる」

 

 俺と石崎は、そのまま豪華客船でのバカ話で大いに花を咲かせた。試験明けの解放感も手伝って、話題は自然と男子高校生らしい低俗なものへとスライドしていく。

 

「いいか石崎。プールがあるってことは当然、水着の出番があるってことだ。他クラスの連中も入り乱れるわけだからな」

「ま、マジすか! ってことは、Bクラスの可愛い女子とかも……!」

「その通りだ。だから石崎くん、今からきっちり鍛えまくって腹筋割っておかないと、ひと夏のアヴァンチュールが逃げちゃうZE!」

「うおぉぉっ! やべえ、俺今日から腕立て千回やりますわ!!」

「おう、やれやれ。プロテインも忘れんなよ」

 

 俺が適当に囃し立てると、単純な石崎は鼻息を荒くしてガッツポーズを作った。

 そんな知能指数の低い俺たちのやり取りを、壁際の伊吹が絶対零度の冷たい目で睨みつけている。

 

「……アンタら、頭湧いてんじゃないの。バカバカしい」

 

 伊吹が心底軽蔑したようなため息を吐き捨てた。だが、浮かれた俺と石崎にその冷気は届かない。俺には愛しのひよりちゃんとの甘いバカンスが確定しているのだから、伊吹の嫌味などそよ風にも劣る。

 

 しかし、そんな平和な放課後の空気を、氷水をぶっかけるような低い声が切り裂いた。

 

「くだらねえ妄想はそこら辺にしとけ」

 

 テーブルの上でグラスの氷をカラカラと揺らしながら、龍園が呆れたように片目を細めてこちらを見た。

 

「そんなことより佐伯。てめえ、試合はどうすんだ」

「……ん?」

 

 俺はドリンクをストローで吸い上げる手を止め、思わず素っ頓狂な声を漏らした。

 横でシャドーボクシングを始めていた石崎もピタッと動きを止め、伊吹も怪訝そうに顔を上げる。

 

「試合? 試合ってなんだ。俺は誰かと喧嘩の約束なんてした覚えはねえぞ」

「喧嘩じゃねえよ。頭まで筋肉で出来てんのかテメェは」

 

 龍園は深くソファーに背中を預け、面白がるような、それでいてひどく呆れたような笑みを浮かべた。

 

「インハイだよ。てめえ、弓道で東京代表になったんだろうが。日程、丸被りじゃねえか」

 

 …………?? 

 ………………あっ。

 

「──あ」

 

 その瞬間、俺の脳裏に「優勝おめでとう!」と鬱陶しいほど騒いでいた大人たちの顔がフラッシュバックした。

 同時に、あの時渡されたプリントに書かれていた全国大会本選・八月一日という文字が、最悪のタイミングで記憶の底から浮かび上がってくる。

 豪華客船の出発日は、八月二日。

 

「……なん、のことだ……?」

 

 現実逃避するように絞り出した俺の問いに、龍園は鼻で笑い、伊吹は呆れ果てて天を仰いだ。

 そして石崎だけが、今にも爆発しそうな俺の顔を見て「ヒィッ!?」と短い悲鳴を上げ、ソファーの端へと後ずさったのだった。

 

 ──────────

 

 

 七月三十一日。うだるような猛暑が、高度育成高等学校の敷地をじりじりと焼き焦がしていた。

 雲一つない空から照りつける暴力的なまでの直射日光は、アスファルトの上に揺らめく陽炎を作り出し、ただ立っているだけでもじっとりと汗が滲んでくる。セミの鳴き声すら暑苦しさを助長する不快なノイズにしか聞こえない、最悪の夏の日だった。

 

 正門近くの駐車場。そこには、一台の送迎車を待つ数名の生徒の姿があった。

 その中心に立っているのは、Cクラスの佐伯了である。

 

「……クソ暑え」

 

 佐伯は忌々しげに舌打ちをして、首筋の汗を乱暴に拭った。その足元には、着替えなどが詰め込まれたスポーツバッグと、長い布製の弓袋に包まれた弓が無造作に──それこそ、その辺の道端に転がっている木の枝か何かのように──放り出されている。武を尊ぶ者や、弓道に青春を懸ける者が見れば卒倒しかねない扱いだが、佐伯にとってはただの道具に過ぎない。

 

 佐伯の機嫌は、このうだるような気温と同じか、それ以上に最悪だった。

 理由は明白である。彼に課せられたスケジュールのせいだ。

 明日、八月一日は弓道のインターハイ本選。そして翌日の八月二日からは、学校が主催する──豪華客船での旅が控えている。

 佐伯にとって、弓の大会などどうでもいい。ただの退屈なお遊戯だ。問題は、明後日までにこの退屈な出稼ぎを終わらせて学校に帰還しなければ、椎名ひよりと一緒に豪華客船の旅を満喫できないという一点に尽きる。

 東京都内で行われた予選は日帰りで済んだ。しかしインターハイ、つまるところ全国大会は会場が異なるため、今日から前乗りして宿泊しなければならないのだ。ひよりと過ごす貴重な休日が一日潰れたという事実と、この弾丸旅に遅れが生じれば、乗船失敗となるのだ。佐伯の苛立ちを限界まで高めていた。

 

「っ……」

 

 そんな佐伯から漏れ出す、チリチリとした肌を刺すようなプレッシャーを至近距離で浴びせられ、生きた心地がしていない男が一人いた。同じCクラスの石崎である。

 石崎は流れ落ちる冷や汗を拭うこともできず、引きつった愛想笑いを浮かべて佐伯の斜め後ろに直立不動で控えていた。

(なんで、俺がこんな貧乏くじを……!)

 石崎の心の中は、理不尽に対する悲鳴で満ちていた。

 彼がこんな地獄の釜の底のような場所に立たされているのは、クラスの支配者である龍園翔からの至上命令があったからだ。

「あのバカが途中で面倒くさがってサボらねえように、車に乗るまでしっかり監視してこい。もし逃がしたら、どうなるか分かってるな?」

 そう言って、龍園本人は「俺は暑いのは嫌いだ」と早々に涼しい自室へと引っ込んでしまった。あの男は、佐伯という怪物の機嫌を損ねるリスクを完全に計算した上で、自分は安全圏に引きこもり、石崎を爆弾処理班として派遣したのだ。

 

 少し離れた木陰には、同じく監視役として派遣された伊吹澪の姿があった。しかし彼女は直射日光を避けるように木の幹に寄りかかり、携帯電話の画面を見つめたまま我関せずといった態度を貫いている。下手に言葉を発して佐伯の意識をこちらに向けさせないための、彼女なりの最適解なのだろう。

(龍園さんも……伊吹のやつも……自分だけ安全圏にいやがって……!)

 石崎は内心で悪態をついたが、口に出すことはできない。

 

 それにしても、と石崎は佐伯の背中を見つめて思わず息を呑む。

 一年生にして、インターハイ予選を個人戦一位で通過。

 言葉にすれば簡単だが、この高度育成高等学校において、それは想定外の事案でった。学業や特殊な試験での実力主義を掲げるこの学校は、決して部活動の強豪校ではない。地方の片田舎ならばいざ知らず、ここは全国屈指の学校数を誇る東京という激戦区だ。

 事実、他のスポーツや球技を含めても、今年この学校からインターハイに出場する人間は、一年生どころか、全学年を通して佐伯了ただ一人である。

 しかし、当の本人には競い合って勝ったという自覚すらない。何百回引こうが、何千回引こうが、佐伯の放つ矢は必ず的の真ん中を貫く。彼にとって弓道とは、ただ動かない的に向かって棒切れを飛ばすだけの、ひたすらに退屈な単純作業でしかなかった。

 

「……あー、クソ熱いし。もうサボっちまうか」

 

 ふと、佐伯が独り言のように呟いた。

 その瞬間、石崎の心臓がヒュッと縮み上がった。

(マズい! マズいマズいマズいマズいッ!!)

 ここで佐伯が帰ってしまえば、学校側が用意した準備もポイントも全てパーになる。何より、龍園からの恐ろしい制裁が石崎を待っている。

 石崎はパニックになりかけた頭を必死に回転させ、這いつくばるような声で佐伯をなだめにかかった。まさに、起爆寸前の爆弾のコードを切るような必死さだった。

 

「ま、まあまあ! そう言わずに! せっかくここまで来たんですから!」

 ちらりと鋭い眼光が飛んでくる。

「と、とにかく、やるからには勝ってくださいよ! 佐伯さん、頑張ってください!」

 

 言った瞬間、空気が凍りついた。

 三十度を優に超える猛暑の中だというのに、石崎の背筋に氷のような冷たい汗が伝う。

 佐伯が、ゆっくりと振り返った。

 その眼光は、現代の高校生が絶対に持ってはいけない種類のものだった。圧倒的な暴力の気配が石崎の全身を絡め取る。

 

「……てめえ」

 

 地を這うような低い声が、石崎の鼓膜を震わせた。

 

「俺に向かって『頑張ってくれ』だぁ? 随分、上から目線じゃねえか」

「ひっ……! い、いや、そういう意味じゃ……!」

 

 殺される。

 石崎の直感がそう警鐘を鳴らした。佐伯の右手が僅かに動く。殴られる。いや、最悪の場合、首をへし折られる。石崎がギュッと目を瞑り、訪れるであろう衝撃と激痛に備えた、その時だった。

 

「おはようございます。リョウくん」

 

 涼やかな、それでいて凛とした鈴の転がるような声が、殺伐とした空気を切り裂いた。

 石崎が恐る恐る目を開けると、そこには白い日傘を差した少女の姿があった。

 椎名ひよりである。

 

 高度育成高校のルール上、部外者である一般生徒は学校の敷地外に出ることができない。当然、ひよりがインターハイの応援に行くことは不可能だった。

 それに加えて、佐伯自身が「暑い中、外に出るのは体に悪いから見送りは不要だ」と、彼女の体調を気遣って寮で待っているようにと伝えている。

 

「ひよりちゃんどうしたの。こんな暑い中、出歩くのは熱中症の危険が……」

 

 つい数秒前まで石崎を殺しかけていた冷酷な殺気はどこへやら。佐伯の声は、呆れるほど甘く、過保護な響きを帯びていた。その劇的な変化に、石崎は脳の処理が追いつかず呆然と立ち尽くすしかない。

 

 ひよりは佐伯の言葉にふわりと微笑むと、日傘を傾けて彼との距離を詰めた。

 

「ふふっ、心配性ですね。でも、どうしてもこれをお渡ししたくて」

 

 そう言ってひよりが差し出したのは、可愛らしい布で作られた小さな手作りのお守りだった。

 佐伯は目を丸くして、その小さな袋を見つめる。

 

「昨日、お部屋で渡そうかとも考えたのですが……こういうのは、出発の直前のサプライズのほうが、より嬉しいと思いましたので」

「……これを、俺のために?」

「はい。不器用なので、あまり綺麗には作れませんでしたが」

 

 ひよりは少しだけ照れたように頬を染めると、日傘を持っていない方の腕で、佐伯の大きな体にそっと抱きついた。

 

「一生懸命、頑張ってくださいね。応援しています」

 

 その言葉は、つい先ほど石崎が口にしたものと、意味合いとしては全く同じだった。

 石崎が言った時は即座に殺されかけたその言葉を、しかし佐伯は──。

 

「──うん! 頑張ってくるよ!」

 

 満面の、それこそ花が咲いたような笑顔で即答し、ひよりの華奢な体を優しく抱きしめ返した。

 周囲の暑さなど気にも留めない様子で、二人の間だけ完全に甘いピンク色の空気が漂っている。

 先ほどまでのサボっちまうかという苛立ちと殺意は跡形もなく消え去り、今の佐伯の目にはひよりの期待に応えるためにやる気を滾らせ、やる気しか満ちていなかった。

 

 やがて、手配されていた送迎の車が駐車場に滑り込んでくる。

 佐伯はスポーツバッグと弓袋を片手で軽々と持ち上げると、車の後部座席に乗り込んだ。

 

「じゃあね、ひより! 明後日には必ず帰ってくるから、船の準備して待っててくれよ!」

「はい、いってらっしゃいませ、リョウくん。お土産、楽しみにしていますね」

 

 窓を開けて手を振る佐伯に、ひよりは日傘を回しながら優雅に手を振り返す。

 車がゆっくりと発進し、正門へ向かって走り出す。ひよりは少しでも長く彼を見送ろうとするように、車を追って学生が許されている校門まで歩き出した。

 

 残されたのは、嵐が過ぎ去った後のような虚脱感に包まれた二人の監視役である。

 木陰から歩み出てきた伊吹と、まだ心臓のバクバクが治まらない石崎は、仕方なしにひよりの後ろを一定の距離を開けて歩き始めた。

 

「……なぁ」

 

 石崎は、前を歩くひよりの背中と、すでに小さくなった車の影を交互に見比べながら、引きつった顔でぽつりと呟いた。

 

「さっき俺……同じことを、同じ相手に言ったよな……?」

 

 頑張ってくださいと声をかけた。

 たったその一言の威力が、発する人間によってこうも違うのか。片や殺意の引き金となり、片や無限のやる気を引き出す魔法の言葉となる。

 

 隣を歩く伊吹は、携帯をポケットにしまいながら、一度も立ち止まることなく、冷たく吐き捨てるように答えた。

 

「ええ。全く同じことを、全く同じ相手に言ったわ。アンタがヒロインじゃなくて残念だったわね」

「誰がヒロインだ! 殺されるかと思ったぞ! こっちは!」

 

 夏の強烈な日差しの中、石崎の悲痛な叫びだけが虚しく響き渡っていた。

 





今回の更新で今まで投稿してたところを書き直してる?文章を追加したりしてるます。
久しぶりの更新で内容忘れている方はよかったら読み直してはいかがでしょうか。
まぁ、最初の方はあんまり書き加えてない気がしますが。

またテキストエディターからコピペしているので、コピペミスあるかも…見つけたらバンバン指摘と感想を送ってくれよな!待ってるZE!
止まるんじゃねえぞ…
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