『自然エネルギー』を貯めることのできるお薬の開発は難しかった。
『自然エネルギー』は保存性が悪い。その上、研究が天候及び時間帯に左右されるので、再現性に乏しいものがあった。
『個性』を使って、再現性を完璧にしたいところだが、光を出す派手な『個性』などは軒並みプロヒーロー志望となるため、研究所内にその『個性』を持つ人はいなかった。
また、俺が『個性』を発動できた場所に土の上があったため、土にとって栄養素の高い丸薬を作ろうという話になったが、どう考えてもそれは農薬であり、経口摂取するには危険だった。
結果、『個性』を飛躍的に伸ばす以外の方法で『自然エネルギー』を大量に備蓄することは無理であった。
そうやって、開発が滞っていた頃、具現は矛盾のために裏山を買った。
裏山であれば、俺の発動条件たる土の上や太陽光がきちんとあり、訓練に幅をもたせられた。
「矛盾。この裏山なら『個性』を使い放題だぞ。栄養に富んだ土の上、心地よく降り注ぐこぼれ日が気持ちいいだろ?」
「うん。山の『自然エネルギー』が伝わってくる。」
「そうかそうか。矛盾。一回、本気で体内に『自然エネルギー』を取り込んでみないかい?」
「えっ?この山の『自然エネルギー』を吸っちゃっていいの?」
「いいとも。そのために買ったんだから。」
「じゃあ、いくよ?」
そうすると、真昼とは思えない程にあたりはだんだん暗くなり、周囲の草木が枯れ始めた。
「パパ、こんな感じ?」
具現は矛盾の『個性』の末恐ろしさに恐怖を感じた。
「パパ?」
「あぁ。すまない。ちなみに、その『自然エネルギー』は戻すことは可能か?」
「えっ?わかんない。やってみるね。」
先程とは一変して草木は生命を、真昼らしい明るさを取り戻した。
「えっ。矛盾。すごいじゃないか。『自然エネルギー』を扱える『個性』くらいまで成長したんじゃないか?」
「そうかなぁ。でも最近、人の心のエネルギー的なものが見えるようになってきたよ。」
「心のエネルギーか。」
「うん。ママの場合は緑。パパの場合は、紫かな?そんな感じで人によって色が違うの。たま~に見えない人もいる。」
「う~ん。なんだろうな。それ。もう一回先生にみてもらうか?」
後日、病院にて。
「う~む。これは珍しい。『個性』も身体機能とはいえ、ここまで飛躍的に『個性』が伸びるなんて珍しい。プロヒーローGUGENの指導力の賜物でしょうか。昔診断したときは、『自然エネルギー』の吸収量がそんなに大きくなく、保存もあまりできないため、夜間の活動は難しいと判断していました。また、『自然エネルギー』を与えることなんて考えもしませんでした。光を奪って暗闇を作るレベルの吸収と自然を復興させるレベルの放出ができるなら、その当時と比べて話は変わります。また、人の心のエネルギーをみられるというのも気になる。矛盾くん。僕は何色に見える?」
「おじさんは黄緑。優しそうな色。」
「じゃあ、このお姉さんは?」
「このお姉さんは、白かな。」
「どんな感じで見えるんだい?体の中心あたりに光の塊のようなものがあるのか、それともその人の周りにオーラのように見えるのか。」
「オーラみたいにその人の周りにもやもやと。」
「うむ。この子が心のエネルギーと呼んでいたものは、もしかしたら『個性』の光というやつかもしれませんな。たま~におるんです。『個性』の光とかいう我々が認知できない光を見ることのできる人間が。偶に見えない人がいるというのは「無個性」の人なんでしょう。常時発動系の能力ならその精度をあげてしまえばいろんなことに応用できる。「サーチ」の『個性』一本でヒーローをやっているプロもいるくらいです。「サーチ」程じゃないにしろ、索敵や位置関係の把握などは簡単にできるようになるでしょう。いい『個性』ですな。」
「つまり、矛盾はヒーローになれますかね?」
「うむ。なれるとも。それも強いヒーローに。そのためにはGUGENさん。あなたが導いてあげないといけませんよ。」
「はい。肝に銘じます。」
その後、俺のエネルギー問題の解決とともに、『自然エネルギー』を丸薬にする研究は一時的に停止され、研究ノートだけが高く積み上がっていたが、研究室の先輩に当たる大学教授が視察しに来たときに目に止まったらしく、大学の方に『自然エネルギー』の丸薬を作る研究室が新設され、そこで研究が行われている。
曰く、「薬学、自然科学の両方に精通した人間など多くない。それ故そのような『個性』の持ち主は研究があまり進まないことを嘆くんだ。でも、僕らも研究者として人を助け、役に立てるならその人にとってのヒーローになれる。僕はそんな研究者になりたい人を育てる場が欲しかった。ただそれだけさ。」だそうだ。
俺は俺の夢のために色んな人に助けられていることを改めて実感する。カッコいいからだけでなく、人の夢のために全力を尽くせるかっこいい存在に、そんなヒーローになって見せるとその時誓った。
青山不在タグがこの小説についているのですが、原作の状況によりこのタグを消去してよいか質問します。
-
取っていい
-
展開上仕方なければ取っていい
-
展開的に難しくなければ取らないでほしい
-
絶対に取っちゃだめ