流されてもいいじゃない 作:高額転売されるマスク
俺、凪 千夏は浦の星女学院に通う男だ。
もう一度言う、男だ。
なんで男が女子高にいるのかと言うと、話すと長くなるので簡潔に言うと、本当は沼津の学校に通うはずだったが、幼馴染である千歌、曜によってテスト生というものに申し込まれ合格してしまった訳だ。
女子高のテスト生なんてアニメだけの話かと思っていたが実際にあるとは思わなかった。
俺は昔から人に流されて生きることにしている。
自分の力で何かをするには大変な労力がかかるし、めんどくさい。
だから、幼馴染’sが持ってきたテスト生の話を流されて受けたという訳だ。
なんて授業中に過去に思いを馳せた。
いつもは寝てるんだけどさ、何か今日は過去を振り返りたくなって。
今は大変めんどくさい事に千歌が始めたスクールアイドルAqoursのマネージャーという大層な立場に付いている。
断ったけど理事長ってやつがさ、脅してくるんだよ。
「私には生徒一人を退学に出来るくらいの権限はあるのデース!」
ってさ、職権乱用だよな。
今から違う学校に入ろうとしても転入試験とかあるんでしょ?面倒臭いよ。
授業という名のお経を聞いても意味が無いので、何となく教室を見渡す。
千歌は……寝てる。
曜は…ちゃんと受けてるな。偉い。
すると、ふと隣の席の梨子が目に入った。
東京という都会から来た俺たち田舎者の憧れの的。
誰にでも優しくて、このクラスの中でも一際目立つ美人の彼女。
きっと共学だったら大変モテて天使とか女神とか言われる事だろう。
しかも料理も出来るし何とも女子力が高い。
千歌も見習って欲しい所。曜はもう完璧だから
なんてことを考えていると、梨子と目が合った。
ぷくりと頬を膨らませて
「もぅ、ちゃんと授業聞かないとダメだよ?」
「だって何言ってるか分からないし……」
「なら後で教えて上げるからちゃんと聞いてね」
「教えてくれるなら聞く必要無いから寝る」
「寝るのはもっとダメ!」
なんとも授業中なのに何とも周りを見ている子である。
目立たないような俺の事を見てるなんて……いや、男だから目立つのか。
怒っている梨子からスっと目を逸らすと、曜と千歌もこちらを見ていた。
え?何お前如きが梨子と話すなよって?
っていうか千歌いつの間に起きてたの。
じっと見つめられる視線から逃れる為に、寝ようかとした時に紙が一枚床に落ちた。
気になってそれを拾い、見ると紙には
『いつも見てるよ』
と書かれていた。
「何とも変なラブレターな事で」
そのまま気にすることなく寝た
───────
時は変わって放課後、先生によって課題を職員室に持って行き、教室へ荷物を取りに戻り教室の扉を開けようとした時扉のガラスから梨子がいるのが見えた。
あれ?今日Aqoursの練習あったんじゃ…
なら課題運びでサボれたんだ。やったね!
そして、梨子もサボったのかな?
ありがとう……先生…
いや、今日無いって言ってたな。
やっぱ許さん。先生
そんな事を考えながら扉を開けると
「う~ん、千夏君のいい匂いがするぅ~♡」
ピシャ
俺、疲れてるのかな。
何か梨子が俺の机に置いてあった上着の匂い嗅いでいる夢見たんだけど。
気のせいだよね!もう一度見てみようか……
そして恐る恐る扉を開ける。
「見つかっちゃった……」
「うぉ!?」
俺の席にいたと思ったら、いつの間にか目の前に立っていた。
そのお陰で間抜けな声を出してしまったじゃないか!
「えっと……嗅ぐ人間違ってるよ?」
「ううん、合ってるよ。」
どうやら、間違いではないみたいです。
「見らてしまったのなら……」
ポケットからスタンガンを取り出し、バチバチと音を鳴らしてこちらに向ける。
「私ね、千夏君の事が好きなの。誰よりも深く貴方の事を愛してる。」
愛の告白するんなら、まずそのスタンガン下げません???
それ告白じゃなくて脅しですよ???
「病めるときも貧しい時も健やかなる時も寝てる時もずっと一緒に居て、私がお世話してあげる。一生愛してあげる。だから来てくれる?」
威嚇をするように、脅すように再度バチバチとスタンガンを鳴らす梨子
そして、普段の彼女からは想像出来ないような言葉と行動
「お世話、ねぇ……」
要するにヒモという事だろうか。
「よし、分かった。梨子、一緒に住もう!」
「やった!それでこそ私の千夏君だね……♡」
拝啓 お父様お母様、僕は人に流される生活をしていたらヒモになりました。