インフィニット・ストラトス─黒き死神は常闇を舞う─ 作:鴉@地獄よりの使者
感想等お待ちしてます。
side和真
一夏から特訓の申し出を受けた日から1週間が経過し、クラス代表決定戦当日となった。
俺は一夏、ジンと同じピットで待機しているがここでひとつ一夏に問題が発生している。今日の午前中には届くはずだった彼の専用機が納期を過ぎても届かないのである。
RFグループという有数の企業に在籍しているだけあってこういうことにはとても敏感な和真である。
一夏「いつになったら来るんだよ……。初戦は俺だってのに……」
箒「焦っても仕方なかろう。急いては事を仕損じると言うし今はとにかく待とう。」
『………仕方ない。俺の試合を繰り上げるか。織斑先生に頼んでくる。』
ジン「アップとかは大丈夫か?」
『とっくに終わってるよ。』
俺がピットを出て管制室に向かおうとすると扉が開いて織斑先生が入ってきた。
千冬「すまない志村。倉持技研からまもなく到着すると連絡が入った。フィッティングなどの時間を考えるとかなり時間が押すため初戦とお前とオルコットの試合を入れ替えても構わないか?倉持技研には後ほど抗議を入れておく。」
『構いませんよ。なんでしたら今からその打診をしに行こうとしていたところです。すぐに準備しますね。』
俺はそそくさとカタパルトデッキに向い専用機代わりのジェスタを纏った。
カタパルトに乗ると管制室の山田先生から通信が来た
真耶「テストテスト………。志村くん、通信は聞こえていますか?」
『山田先生、問題ありません。いつでも発進できます。』
真耶「了解しました。カタパルト展開、発進シーケンスに移行します。進路クリア、システムオールグリーン。発進タイミングを志村和真くんに譲渡します。」
『I have a control.志村和真、ジェスタ出るぞ!』
勢いよくアリーナへと飛んでいく。
アリーナではすでにセシリアが待機していた。
セシリア「あら、織斑さんではありませんのね。」
『残念ながら最初のダンスの御相手は俺だ。織斑の専用機が開発元からまだ届かなくてな。とりあえず俺が先に出てきた次第だ。』
セシリア「それに全身装甲のISとはまた古典的なものをお使いのようで。このセシリア・オルコットを舐めていらっしゃるの?」
『……今なんつった?』
セシリア「何度でも言って差し上げますわ。そんな古臭い全身装甲のISで出てくるなんて。わたくしを舐めてると言っているのです。」
『……よしわかった、あまり乗り気じゃなかったが気が変わった。お前は徹底的に潰すとしよう。』
セシリア「なっ、なにを怒っていますの?今どき全身装甲のISなんて骨董品の第1世代に数機いた程度ではありませんか!それを古臭いと言って何が悪いのです!」
『お前は自分の乗っている機体を馬鹿にされて黙っていられるのか?1度本格的に教育してやらないといけないようだな。』
セシリア「その減らず口がどこまでもつか見ものですわね。一瞬で沈めて差し上げます。」
『5分だ……』
セシリア「はい…?」
『5分間は攻撃しないでおいてやる。お前が侮った機体の性能を見せた後じっくり料理してやる。』
真耶「では第1試合、始めてください!」
ここにIS学園での初めての戦闘が始まった。
和真sideout
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リディside
よぅ、俺視点は初めてだな。リディ・マーセナスだ。
かず
デュオ「あぁあ、我らがリーダーがキレていらっしゃる。」
リディ「ジェスタは俺たち3人の子供みたいなもんだ。馬鹿にされてキレるのも無理もない。実際俺も少し腹に据えかねているからオルコット戦は瞬殺で勝負を決めるつもりだ。」
デュオ「大人気ねぇなあ……まぁおれもあんまりいい気分じゃねぇからちっとばかし痛い目みてもらおうかね。」
セシリアの預かり知らぬところで死刑宣告フラグが2件立ったのは言うまでもない。
ちなみにジンの方もなんかムカつくから1発〆るとのこと。
一方試合の方に目を向けると
セシリアが乗機であるブルー・ティアーズの主武装であるライフル「スターライトMarkIII」で狙撃しそれを最小限の動きで回避する和真のジェスタという構図である。最初こそしっかり狙っていたが3分を過ぎたあたりからどんどん狙いが甘くなり4分をすぎた今では狙撃と言うよりは乱射に近い撃ち方になっている。
セシリア「どうしてあたりませんの……?!」
和真『狙いが正直すぎるんだよ。早くしないと約束の5分までもう1分もないぞ?』
セシリア「仕方がありませんわ。行きなさいティアーズ!」
セシリアの背部から出た4つの光。
和真はその正体を察知しすぐさま回避行動に移る。
『まさかこんな所でビットとやり合うとはな!だがフブキのビットに比べれば!』
的確に回避し避けられない物はシールドでガードしている。
セシリア「私を忘れてもらっては困りますわ!」
和真の意識がティアーズへと完全に向いた瞬間を狙ってセシリアのライフルが火を吹いた。
頭部への直撃コース
ビットの攻撃で避けきれないかと思われたその時和真のビームライフルも火を吹き狙撃を相殺し最小限の射撃でビットを落とす。
セシリア「攻撃しないのではなくて?」
『約束の5分は経ったのでな。今度はこちらから行かせてもらおう。』
腰にライフルをマウントし左腕にマウントされたビームサーベルを抜く。
盾を構えてセシリアへと突貫する和真。それを黙って見過ごすセシリアではなかった。
セシリア「そんなまっすぐの突進だけで怯むとお思いなら舐められたものですわね!」
『そう言うのは1発でも俺に当ててから言うんだな!』
突進の途中でセシリアに向けてシールドをぶん投げた。
突然のことにセシリアは盾を撃ち落とそうとライフルを向けた。
特に驚く様子もなく和真はジェスタの腰部からグレネードが発射する、照準は先程投げたシールド。
ジェスタのシールドにはミサイルランチャーが内蔵されている。
ここでひとつ考えてみよう。
爆発物の近くで爆発が起きればどうなるか?
誘爆だ。
シールドがド派手に爆ぜ砕けた破片が両者を襲う。
セシリアは無意識に腕をクロスさせ防御姿勢をとる。普通の人間なら当然の反応だ。
だがこの反応が明暗を分けることとなる。
防御姿勢をとったことにより和真から完全に意識を逸らしてしまった。
爆煙が収まらぬ中すぐにハイパーセンサーで和真の位置を探る。
反応は自分の真後ろにあった。
その直後後ろから何かに押され地面へと叩きつけられ組み伏せられる。
和真のジェスタである。
じたばたと暴れるセシリアにマウントしておいたビームライフルをセシリアの頭へと向けこう言う。
『チェックメイトだ、お転婆娘。』
それを聞きセシリアも悔しそうな表情を浮かべ暴れるのをやめてこう告げた。
セシリア「セシリア・オルコット、遺憾ながらこの勝負………《
千冬「試合終了!勝者、志村和真!」
さて、次の試合は俺だ。準備に入るとしよう。
リディsideout
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和真side
会場は何が起こったのか把握出来ずにいる。
アナウンスを聞き和真はセシリアの拘束を解き手を差し伸べる。
その行為に鳩が豆鉄砲食らったような顔をしているセシリア。
焦れったくなったのか和真の方から手を取り引き上げる。その時少し勢いをつけすぎたのかセシリアを抱き留める形となりスタンドがざわめく。
状況を理解出来ていないセシリアは頬を赤く染めて上目遣いのジト目で和真を見てくる。
セシリア「紳士としては少し強引ではありませんか?」
『そう言われると耳が痛いな。』
セシリア「構いませんわ。それともう離していただいて結構ですわ、それともこのまま責任取って頂けるんですの?」
少し妖艶な表情を浮かべ和真を見つめる。
『知り合って間もないのにそういう事を言うのは淑女としてどうなのかとは思うぞ。』
セシリア「あら、淑女ではなくてお転婆娘と言ったのは貴方ではなくて?」
『そう言えばそうだな。Msオルコット、今回の件はお互いさっぱり水に流そう。ここから先はいい学友として接して欲しい。』
そう言って握手を求める。
セシリア「学友……、まぁ最初ですしそれでいいですわ。それとこれからはセシリアとお呼びくださいまし。」
握手に答えるセシリア。
その後お互いのピットに戻ると一夏のISが到着しており初期設定が急ピッチで進められていた。
『やっと来たんだな、なかなか良さそうな機体じゃないか』
一夏「おつかれ和真。《白式(びゃくしき)》って言うらしい。にしてもさっきの戦いだけどさすがにどうかと思うぜ?女の子組み敷くなんて。」
『訓練の時に言ったはずだぜ一夏。俺たちが扱っているのは玩具じゃなくて兵器だ。それを身に纏っている以上お互い死ぬ覚悟を持って扱わなきゃならない。それにセシリアは俺の琴線に触れた。少しやりすぎたとは思うが俺は謝らない。』
ジン「やっぱこいつ怒らせるのヤバいわ。」
『何か言ったか?』ギロリ
ジン「イエッ、ナンニモナイデスヨダンナ」ブルブル
一夏「片言になってんぞジン。さて、俺の方もそろそろアリーナで軽く白式の慣らしに移るか。」
『おう、頑張れよ。』
そういって一夏は白式を纏いカタパルトから射出されていく。
すると箒が心配そうな顔をして俺に近寄ってくる。
箒「一夏は勝てそうか?」
『ジンを除いた俺たち3人に勝てる確率は1割ってところだろうな。得物次第ではジンには3割、セシリアには五分五分と言ったところか。』
箒「いくら特訓したとはいえ最初はこうなるか。」
『まぁ俺の個人的な見解だから見る人が見れば多少は変わるかもな。』
箒「………ありがとう。」
『へ?』
箒「まだちゃんと礼を言えていなかったからな。同じクラスの級友とは敵同士。見捨てられても文句は言えない状況にも関わらずこちらの頼みを聞き入れてくれた。それに今だって私の質問にも遠慮なく答えてくれた。下手に繕った答えを言われるより好印象だ。」
『………特訓に関しては俺たちが言い出したことでもある。今答えた勝率だってただの個人的な見解だ。別に礼を言われたりする覚えはないよ。』
そういってそっぽ向いてしまう。
そんな和真の背中から何故か目が離せなくなってしまう箒。
その背中になんとなくの懐かしさを覚えたのは幻覚かそれとも…。
その後つつがなく試合は続きおおよそ和真の予想通りとなった。
ちなみに1番勝ち星を稼いだのは和真である。
和真sideout
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翌日の朝のホームルーム、和真がクラス代表の指名を行った。
『俺が指名するのは一夏。お前だ。』
一夏「ええっ?!俺誰にも勝ててないのにいいのか?俺よりも強い和真たちの誰かがやった方が良くないか?」
『クラス代表は言わばクラスの指標。お前が負けたり不甲斐ない結果を出せば俺たちクラスメイトの顔に泥を塗ることになる。だからこそここでお前を指名した。緊張感があった方がお前も修練に身が入るだろ?あの契約にも早く近づけるかもな。』
千冬「志村の言う契約というのは気になるが言っている事は最もだ。拒否権もないし気張ることだな。」
一夏「うぐっ……、わかりました。俺やります。」
真耶「話も纏まったところでクラス代表は織斑君に決定しました。一つながりで縁起が良さそうですね。」
麻耶の一言の後チャイムがなる。
千冬「さて、予鈴だ。しっかり授業の準備をするように。では代表、号令を。」
こうして無事クラス代表も決まり入学早々の一悶着は収まった。
しかし次の嵐はすぐ近くまで迫っていることをまだ誰も知るよしもなかった。