超合理主義と魔王   作:神龍馬

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第3話

「なんでそんなに生き急いでんのかな(笑)」

 

 多分これは俺に向けられた言葉なんだろう。多分の嘲りとちょっとした興味の視線を俺に向けているこの人は一体誰なんなんだろうか?素性も言葉の意味も理解できなかった。

 

 取り敢えず変な人に話しかけられて返事してもいいことないだろうし、時間の無駄だから無視でいいでしょ。

 

「………」

「そんな意固地になんないでさ、もっと気楽に生きなよ。息苦しいんじゃないそんなガチガチした生き方」

 

 俺が彼女の横を通り過ぎようとした時、彼女は俺しか聞こえないほど小さな声で先ほどとは声音も口調も変えてまるで、俺の()()()()()()()()()かのように話してきた。

 

 その瞬間、俺は彼女のことについて少し思案する事にした。いま覚えば、多分腹が立たんだろう。ほんの一瞬、会話を聞いて容姿を見ただけで俺の何を理解した気になっているのだるんだこいつは。賢しらぶったこいつの鼻っ柱をぶっ潰してやりたい。普段の俺なら考えられないほどの怒りという非生産的な感情によって突き動かされた。まあ、思案するだけだ。なんの労力も発生しないし、時間もとらない。だから俺は彼女について考えた。

 

 まず、あの車、そして運転手を見ればこいつがいいところの出だとわかる。それにさっき突っかかってきた女が「姉さん」とか言ってるかあいつの姉なんだろう。なるほど姉妹揃ってめんどくさい性格していやがる。姉妹に対しての感情は一旦置いといて、きっとあいつは部活から帰ってきたのだろう。八幡の荷物の量やその他大勢の荷物も多い。そんな荷物の量を考えると、ここから駅まで持っていくのは案外きついかもしれない。きっとあの姉は妹を迎えにきたのだろう。だがどうなんだろうか? なぜ姉が迎えにきたのに彼女はあんな悲しそうな顔をするのだろうか。そして、その姉の方は悪戯ない笑み浮かべていた。きっとこの辺を攻めればいいんじゃないだろうか?俺はさっきの意趣返しのように、顔には嘲笑を貼り付けて、

 

「嫌がってる妹を迎えに来るなんてよっぽど暇か妹想いなアンタに比べれば確かに俺は生き急いでるのかもな(笑)。アンタはもう少し時間を建設的に使ったらどうだ(笑)」

 

  こう言って俺はそそくさと固まってる奴らに何か言われる前に帰っていった。

 

 その時の俺は何故、彼女への意趣返しの時に『()()()』なんて言ったのだろう? 嫌がっていて、悪戯な笑みを浮かべていたら普通『妹嫌い』と形容するだろう。ただ、俺にはまるで彼女が無理してあんな顔を作っている、そういう風に見えていた。そんな疑問を心に残しながらも、俺はもう次の瞬間には今後の予定しか頭になかった。在校生じゃないならもう会うことはない。そういう風に考えると会わない人について考えるのは非生産的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 最初は、ただ雪乃ちゃんが言い返されてるのを見て、面白そうだなぁ、と思ってちょっとした、ほんの些細な気持ちでちょっかいを出したつもりだった。だけど、彼ときたら、無視するどころか去り際の一瞬で私のちょっかいなんて生易しいほどのボディブローをかましていきやがった。

 

 幸いな事に彼はさっさと帰ってくれたけど、もしあの場で彼が残っていても私はまともな返しができただろうか? たしかに客観的に見れば私は、大学生というそこそこ忙しい身分なのにわざわざ妹にちょっかいを出しに来た暇なやつだった。

 

 あ〜〜恥ずかしい!!いま覚えば私何やってるんだろう。確かに側から見れば、好きな子にちょっかい出しちゃう小学生男子みたいな振る舞いだった。私の顔は夏の暑さ以外の要因で赤くなっている。こんなところを雪乃ちゃんや先生に見られたくない!

 

 私は全力で平静を装って雪乃ちゃんたちに話しかけた。幸いな事に雪乃ちゃんは彼のせいで私のことなんて気にしないほどメンタルブレイクしており、周りも空気を読めなくて固まっていた。良かった〜。バレてないかもしれない。一先ずの安心を得て、私はこんなにも恥ずかしい思いにさせてくれた彼に逆恨みというか逆ギレしていた。

 

「ねぇ、雪乃ちゃん。あの子なんて名前?」

 

 その顔は笑ってても目は笑ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、

 

(次の予定ってなんだっけ?)

 

 




ダメージゼロの主人公……

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