シスタープリンセス・オブ・エンジェルズ物語編(悪魔っ娘プリンセス)   作:平 一

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悪魔っ娘プリンセス その3 亞房宮襲撃!

 隣街の青年実業家は科学研究に熱心で、自分の研究施設を持てるほどの富豪でしたが、同時にオカルトマニアでもあり、超自然現象を科学的に解明・利用しようという、執念をもっていました。彼は兄妹の住む街で発生する不思議な出来事の噂に不審の念を抱き、調査の結果、そこでは亞里亞ちゃんの住む屋敷を中心として超常現象が起きているという確信を得ました。彼は『魔物狩り隊』を編成し、亞房宮に乗り込むことにしました。

 

 放送取材と偽って敷地に入った数台の大型車両からは、効果のほどは定かでないものの銀色の防護服に身を包み、『ゴーストバスターズ』のような装備を持った隊員たちだけでなく、怪しげな青年やパワードスーツまで現れて、計測機器で周囲を測定するなり、迎えに出ていた毬絵ちゃんと花穂ちゃんを押しのけて、無理やり邸内に不法侵入します。部隊の中には、研究用やあとで編集・販売するための映像を録るカメラクルーもいます。館の廊下に現れた魔物たちが特殊銃の電撃で消滅したのに気を良くした隊員たちは、どんどん奥へと入って行きますが……。

 

 空はにわかに暗くなり、激しい雷雨が降り始めました。雷が大型車両を直撃し、電磁探査・攪乱機材や緊急外部通信装置を破壊してしまいました。鹿の角を生やした人間や、脚の長いミミズクのような異形の影が2つ、電光に照らされて浮かびます。邸内では案の定、多くの異形の生き物が防護服の一隊を襲ってきました。しかし彼等は、電撃銃などでその生き物達を撃退し、最後に主人の居室と思われる部屋の扉を開けて突入しました。しかし、彼らは館の裏口から外に飛び出してしまいます。扉はひとりでに閉まり、彼らは二度と館に入ることはできませんでした。

 

 怪しげな青年は、邸内にいた咲耶ちゃんと白雪ちゃんに電撃銃を向けて持ちかけます

『俺にも不思議な力があってさ……少しだけど人の心が読めたり操ったりできるんだ。それを悪用したのがバレて、今じゃ研究所の実験台みたいなもんだけど、ここなら好きに使っていいよね。どうせ君達も魔物だし、この銃もあるし、酒池肉林とまではいかなくても、楽しい仲間に混ぜてくれないかな。世界征服とか企んでるなら俺も協力するよ』

 

……しばらく続く自粛場面がカットされたのち(笑)、咲耶ちゃんとベッドに横たわる若者の所に、白雪ちゃんが料理を運んできます。その蓋を開けるなり、男は悲鳴を上げて飛びのき、『お前ら、俺とつるんだふりして、たばかりやがったな!』と2人に向き合います。天井の高い大きな部屋で、男はまず女公爵の姿に変わった悪魔を撃って消滅させ、つぎに人身牛頭の悪魔に銃を向けようとしますが、後ろから女公爵のそばにいたラクダに押し倒されます。押さえつけられて『どうして人間のほうだと思ったの?』と耳元で囁きかけられた男は、恐怖のあまり『うわあああ! 俺はラクダと(以下音声削除)!』(笑)と叫び、次の瞬間ふたたび現れた女公爵に『そっちかよ!』とハリセンで叩かれて、失神します。

 

場面は変わり、医務室の寝台でうなされている若者。雛子も加えた3人が見ています。(咲耶)『入ってすぐに眠らされたのに、おバカさんねえ。こんなに身勝手でけしからん奴じゃ暗示能力も没収ね』

(白雪)『蜂の子に、イナゴの佃煮……夢の中でも珍しい料理を楽しんでもらいたかっただけですのに……』

(雛子)『咲耶ちゃんって、本当はどっちなの?』

(咲耶)『レディーに正体を尋ねるなんて、失礼よ(ウインク)!』

 

 パワードスーツの隊員は、強力な武装で多くの怪物を倒しながら進んでゆきましたが、地下の階層に入ったとたん突然外部映像カメラが暗転し、巨大な力に振り回されます。彼は勇敢に抵抗しますが、光増幅・熱画像装置、ミリ波・超音波レーダーやレーザー走査全て探知不能です。とうとうスーツがこじあけられ、梟の頭に狼の上半身、熊の下半身をした悪魔に覗き込まれました。

 

愕然とする彼の心の中に、衛ちゃんの声が響きます。『目視成功! 機械だけに頼ってちゃダメだぞ』 そのあと彼は、背後から春歌ちゃんに楽しいピコピコハンマー型の特殊武器で叩かれて、隊員は幸せそうに寝入ります。

(凛々)『私の電子妨害機のおかげだよ!でも衛ちゃんの脚って蛇じゃなかったの?』(春歌)『あ……あれは水中戦仕様(衛)』『まあ、じゃあモビルスー(音声一部削除)みたいですのね』

(衛)『ロボットと違うって!』(笑)

 

 隊長である青年実業家は幸運にも、ついに館の主人の本当の居室である地下広間に出ました。そこにはソファーに腰を掛けたまま、眠っているかのような少女が一人。そこへ他の姉妹や兄が駆けつけます。追い詰められた青年は、少女に銃を突きつけて、『降伏しないとこいつを撃つぞ!』と脅します。『なんだかこっちが悪者みたいだが、どうせお前らザコな魔物だろう。主人の命が惜しかったら、私をここから出すんだ』と少女の首に巻かれたリボンをほどきます。するとその時、室内の光景が一変しました。少女が目覚めたのです。

 

 室内を無害に見せるための偽装が解除されて、本当の姿が現れました。青年が腕を回していた少女の身体は、白くてふわふわの毛皮に覆われた、巨大な蜘蛛の脚の1本でした。恐る恐る青年が首を回して、脚の伸びてきた方を見ると……。ばあん!ばあん!という効果音とともに、青年と少女の顔が交互に切り替わり写し出されます。青年の表情は、そのたびに恐怖に歪んでいきますが、不思議なことに少女の顔も、びっくりした様子から世にも恐ろしげにひきつって行きます。もっとも少女の顔の両隣にある猫と蛙の顔は、あくびをしたりゲコッと鳴いたり、全然緊張感がありません(笑)。

 

 青年と少女の悲鳴が同時に響き渡りました。ソファーから転げ落ちて、妹たちを見た青年は、再び本で見覚えのある大悪魔たちの姿を見て腰を抜かしますが、その悪魔たちも何だか慌てているようです。追い打ちをかけるように、少女の絶叫が皆を圧倒します。

『兄やの……兄やの(くれた)……おりぼん~っ(泣)!』

 

 少女の背後にあった大きな暖炉から、さきほどまでに退治されたはずの魔物たちが一斉に湧きだしてきました。消されたふりをして、地獄への通路内に隠れていたところへ、亞里亞ちゃんの悲鳴が聞こえたので、飛び出してきたのです。間一髪、ケルベロスの制止で青年は助かりましたが、魔物たちに埋もれて気絶してしまいました。

 

 普通の人間の姿のままの兄が『ふう……誰も怪我がなくて、よかったね』と言ったそのときです。銃声が響き、弾丸が兄の周囲の透明な障壁にあたって跳ね返されました。青年の友人である研究所長が、後からついてきていたのです。妹たちは、冷静さを失いました。

 

どちらかといえば可愛らしかった、悪魔姿の亞里亞ちゃんと可憐ちゃん、雛子ちゃんは、ちょっと笑えるほどに恐ろしい怪物メイクやライティング、人体模型の部品などを使って変身し、四葉ちゃんにつかまって『やめてくれ、俺はホラー映画に弱いんだ(泣)!』と泣き叫ぶ研究所長を思いきり恐がらせる、捕虜虐待の罪に走りそうになりますが(笑)、千影ちゃんがうまく機転をきかせて、3人の頭を冷やします。年齢の違う3人の自分に分身した彼女は、3大悪魔相手に『じゃんけんポイ……あっち向いてホイ!』とお互いの方を向かせて、今度は彼女たちに盛大な悲鳴をあげさせることに成功しました。

 

 理性を取り戻した(笑)可憐ちゃんは、青年実業家と研究所長に本当のことを説明します。

実は『悪魔』というのは人類を生み出した種族の一員であり、人類の健全な発展を陰から支援する組織で活動する者たちをいうこと。

彼女たちが『兄』と称する指揮官はかつて人類が自滅的な大戦争によって文明を失ってしまったとき、人類を弁護して、再び自力で再文明化できると主張し、その責任を果たすために地球への配属を志願したこと。

つい最近(といっても数百年前)、ある作戦で巻き添えになり瀕死の重傷を負った子供を救うため、その子供の同意を得て融合し、その姿を借りながら活動を続けていたこと。

今回の騒動でも分かるように、彼らの強大な技術力は、人類に過大な影響を与えないよう一定の倫理規定や疑似人格プログラムにより、発動が制限されていること。

人類がこのまま健全に発展すれば、星間社会に迎えられる日も遠くないこと。

その日がくるまでは秘密保持のため、やむをえず目撃者には記憶の封鎖か条件づけをするが、人格の発達には影響しないこと。

 

青年と友人はそれを了承して、可能な限りの協力を約束しました。

 

物語の最後に彼女たちは本来の姿=美しい天使の姿になって、素敵な歌を唄います。

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