TSしたダン・モロの胃がマッハで蜂の巣になって「クソが」って言ったガルパン転生《連載版》   作:道長(最近灯に目覚めた)

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 とりあえず続き。
 早速根性なしを発揮。


はじめての戦車

「んで、戦車はどうするんだ杏?」

「無難に火力と装甲重視かな? 今のところウチに重戦車はないし、最低でも中戦車は欲しいでしょ」

 

 生徒会室で戦車のカタログやチラシをペラペラとめくる2人。角谷杏子と諸星玉子ことダン・モロは、言葉のとおり購入する新戦力を相談していた。ちなみにここにいない面子は練習に行っている。猫山霧音はカメさんチームの砲手として、鴉羽唯明はウサギさんチームの操縦士として、それぞれレクチャーを受けている。

 

「これなんてどう? p40の中古。実際は中戦車だけど、火力を考えればこの値段は悪くないと思うんだ」

「……やめといた方がいいな。ただでさえトラブルの多いp40だ。多分買って早々、故障の可能性が高いぞ」

 

見てみろと、特価と書かれたチラシの片隅に書かれたスペック表を玉子が指差す。

 

「機関部が初期のイタリア製ガソリンエンジンだ。信頼性はもちろん、壊れても予備パーツを手に入れるだけで一苦労だな、これ」

「ありゃりゃ。やっぱり値段相応か」

 

 「中々良いのが見当たらないねー」と呟きながら杏は次の候補を探そうとしたが、そこに待ったがかかった。

 

「正直言うとよ。今、日本国内の市場に出回ってる有名どころの中古は、ほとんどが難ありだ。物が物だから状態が良いのは、最初に金と実績のある所に打診するからな。具体的に言えばティーガーが上がると、まずは西住流か黒森峰に話が来る」

 

 頬をかきながら、渋い顔で玉子が現在の日本戦車道について簡単に語り始める。曰く、一時期廃れてしまった影響で、 良質な車両が海外に放出されてしまったこと。曰く、国内で流通している部品も、殆どが固定客向けで、一般には有名どころでも中々出回らない等々。

 

「有澤重工も頑張ってるみたいだけど、その1社だけじゃ限界がある」

「有澤重工だけでそんなに造ってるわけ?」

「日本で製造された戦車の80パーセントは有澤重工だぞ? 戦車道用車輌の生産ライセンスを全部取ってるのはあそこくらいだ。海外産のものでも、消耗品は有澤製に置き換わってる。社訓が世界全ての戦車と榴弾を作る、だからな」

 

 一強が過ぎて色々と新規参入が滞りがちなんだよ。

 呆れているような、感心しているような、ため息混じりの言葉が次々と出てくる。話を聞く杏も苦笑いせずにはいられなかった。

 有澤重工は極めて高品質な戦車を提供しているが、そのせいで国内市場における海外製品の悉くを駆逐、流通数が絞られてしまい、出回るルートが固定されている状況が続いている。

 値段は海外製品に比べて負けているものの、それも品質を考えれば、採算がとれているか疑うレベルであり、その堅牢さと安全性は試合における事故率を大幅に減少させた。人命に関わるような製品トラブルに関しては驚異の0件。

 流通数の減少も、かえって厳格な管理体制を一から制定することを容易にさせ、結果的に戦車道は安全なスポーツという印象を世間に与えることに成功。日本の戦車道を復活させる要因の一つとなっている功労者なのだが。

 ちなみに自社製品の耐久テストは、実弾を撃ち込むというパワー厨おじさんも唸らせる本格派、試合用弾頭の安全性テストにおいては社長自ら標的になるという漢仕様である。

 

「ちなみに卵ちゃんは何か伝手があったりする? その黒森峰の選手でしょ」

 

 お金のない小国が独立維持するって、こんな感じなのかねー……ちょっと違うか、と妙な感慨を抱いた杏だったが、すぐにそれは振り払った。

 おあつらえ向きと言わんばかりに、黒森峰から来た2人がいるのだ。か細い、本当にか細い糸だが、まだ繋がっている。

 

「1軍半の選手にそんなものあるわけないだろ。まほやエリカ、こっちに来る前のみほには、あったかも知れないけどよ」

「じゃあ何なら良いのさ。競技用の新品だと、搬入まで半年はかかるじゃん。費用も嵩むし」

「そこなんだよなー。いくら良いのがあっても間に合わなかったら意味ねえし」

 

 玉子が唸りながら、時間と妥協と予算を抱き合わせた自分の考えを絞り出す。

 

「一番妥当なのは、本土の中古市で試乗してから買うことだな。狙い目はM4シャーマン。元々の生産数が多い分、状態の良い物が流れることも稀にある」

「B◯◯K◯FFの古本に紛れてる貴重本みたいに?」

「そんな感じだ。あと、あの2人の意見も聞く必要はあるけどよ。説明は俺からする」

「じゃあ今出来るのは、次の寄港を調節する位、か」

 

「疲れたー!」と、杏がチラシを盛大にぶちまけた。

 

「……ちゃんと片付けろよ。大体、何でこんなに焦ってんだ」

 

 玉子の疑問をのせた冷ややかな視線は気にもとめられず、杏は半笑いで干し芋に手をつける。いつもの「干し芋食べる?」からのやり取りを経て

 

「出来るだけ爪痕を残したいのさ。校内に、私か西住ちゃんの銅像を立てるのが目標かな?」

 

 口から干し芋をぶら下げながら言われても、どこまでが本気かは分からない。観念したように玉子は息を吐いた。

 

「止めはしねえけど程々にな。あいつらの訓練もとうの昔に終わってるだろうし、俺は行くぞ」

「お茶位飲んでってもバチは当たんないと思うよ?」

「俺が良くても2人に付き合ってる回りが心配なんだよ」

 

 真面目だねー。だから車長にしたんだけど。

 口に出さず表情も半笑いのまま、席を立つ玉子を見送るつもりでいたが、その対象が扉の前で「あークソ」と呟くと、急に踵を返した。

 

「真面目だねー。早くいってあげなよ」

「うるせえ。こっちの片付けの方が楽なだけだ」

「ありがとう。いいお嫁さんになるよ」

 

 わざわざ床に散ったチラシを拾い上げる姿に、嫌がるだろうなー、と思いつつも口にしてしまった。やっぱり非常に嫌そうな顔をした。

 事実、猫山霧音が一発で目標に命中させて河島桃の心をへし折ったり、鴉羽唯明がM3リーでトップスピードでの多角形コーナリングを行って、大野あやの眼鏡を叩き割る等、大変愉快な練習風景が広がっていたのだが、彼女達が知るのはしばらく先になる。

 

 生徒会室の電話が鳴った。

 

「もしもーし。こちら大洗女子学園生徒会室ー」

「ご機嫌よう。角谷生徒会長」

「お、アッサム? 珍しいね。こういうのはダージリンの仕事だと思ってたんだけど」

 

 予想外の所からきた意外な人物の電話だった。聖グロとの練習試合もその手続きも無事終了しているし、仮に何か用があれば、顔役であるダージリンが電話をかけてくるはずだ。

 退出しようとする玉子に「大丈夫」とジェスチャーを送りながら話を続ける。

 

「申し訳ありません。今回は危急の用件でして。ダージリン様ならwitに富んだ前置きを話すのでしょうが、何分浅学の身なので、どうかご容赦を」

「気にしないでいいよ。次からはアッサムが連絡してくんない? そっちの方が楽だし」

「それはダージリン様が拗ねてしまうので難しいですわ」

「そっか、残念。用件は?」

「……大変申し上げにくいのですが……」

 

 

 

 

 

 ところ変わって聖グロリアーナ女学院、その戦車道演習場にて。

 

「ねえペコ、こんな言葉を知ってる? 『事実は小説より奇なり』」

「イギリスの詩人バイロンの言葉ですね。格言というより慣用句ですし、バイロンが実際に言ったわけでは無いようですが……」

 

 いつもなら今は戦車道の時間。ダージリンとオレンジペコはチャーチルに乗り、聖グロ伝統の美しい隊列の中心で指揮をとっていることが常だ。が、今日に限って言えば、演習場がよく見える小高い丘でティータイムに興じていた。

 

「私は今までバイロンが『空飛ぶモ◯ティ・パイソン』と『ばんてふのFA残留』を見たことが無いからその言葉が言えたと思ってたの」

「ええと、すみません。『モ◯ティ・パイソン』はともかく、『ばんてふ』のことはよく知らないのですが」

 

 それを聞いたダージリンは紅茶を一口飲んで、カップをソーサーに丁寧に置いて一言。

 

「『ばんてふ』は横浜市民の必修科目よ。広島における『樽募金』のように。必ず調べておきなさい」

「わかりました」

 

 今のはちょっと本気でしたね、と思いながら紅茶のおかわりが必要かどうか、さりげなくカップの中身を確認する。

 まだ必要は無さそうだ。

 

「ねえペコ」

「なんでしょうダージリン様」

 

 ずっと気になっていたのだが、決してオレンジペコはそれを指摘することはなかった。言ってしまえば、この2人だけの空間が壊れてしまうから。

 例えテーブルの上の無線機から、淑女らしからぬハイテンションな笑い声が聞こえても、狂喜するV型12気筒リバティエンジンの唸り声が演習場に響いても、履帯を破壊されたマチルダ隊の骸が眼下に広がっていても決して。

 今オレンジペコは10代半ばにして、激しい喜びがない代わりに、深い絶望もない、植物の心の様な平穏な人生を求めていた。幸いまだ、モナ・リザの手を見ても興奮するような趣味はなかったが。

 

「どうして戦車が離着陸の練習をしてるのかしら」

「はいぃ? クルセイダーがそんなことしたらただの特攻兵器じゃ「Powwwwwweeeeeeeeeerrrrrrrrrr!!!! ですわ!うわぁ……

 

 ジャンピングタンク用のロケットエンジンを装備したクルセイダーが、白旗を上げたマチルダを華麗に、けれど醜悪に飛び越えるのを見てふと、「そういえばイギリスの国教はプロテスタントでしたっけ?」とオレンジペコは思ったが、すぐに考えることをやめた。色々と苦笑いしか出来ない。

 いつものダージリンならこれを見て、殺人ジョークを食らったみたいに笑い出すのだろうが、今回ばかりはマチルダ隊の惨状が酷すぎて、形のいい眉の片方を微かにひきつらせるだけだった。

 そんなことなど露知らず、クルセイダーのキューボラから身を乗り出して興奮する、聖グロ生の姿が2人の視界に飛び込んできた。

 彼女は語尾さえ何とかすれば淑女になれるとでも思っているのだろうか。

 多分その「ですわ」は、ウナギのゼリー寄せに蒲焼きのタレをかける位手遅れだ。

 

「最っっ高ですわ! あなた達、聖グロに転校しませんこと?」

「嬉しいのだけれど、先約があるので丁寧に断らせてもらうわ」

「俺もだ。……引っ付くのはやめろ」

「え~、いいじゃ御座いませんか。そうだシロさん! 転校がダメならウチの子になりませんこと? ワタクシ末っ子ですから、妹に憧れてましたの!」

「俺は犬猫扱いか……。そもそもそう簡単にいくわけないだろう……」

「大っジョーブですわ! ウチは大家族ですから、今更1人2人増えた所で余裕のヨッちゃんで御座いますわ!」

「試しにニャーとでも鳴いてみたらどうだ、シロちゃん?」

「確かに、いつも猫被ってるじいさん鴉には無い話だな、クロちゃん」

「あら? クロさんも誘っているので御座いますわよ?」

「えっ」

 

 無線機から垂れ流される呑気な会話をBGMに、2人は揃ってお行儀悪く紅茶を飲み干した。

 

「ペコ、おかわりを」

「はい。ただいま」

 

 車輌の修理、クルセイダー1輌に撃破されたマチルダ隊のメンタルケア、聖グロOG会の最大派閥であるマチルダ会への説明等々、やることは山ほどあるが、今は紅茶を浴びるほど飲みたかったのである。

 

「『寒いなら紅茶が温めて、熱いなら紅茶が冷まして、落ち込むなら紅茶が励まして、興奮は紅茶が醒ましますわ』……でも紅茶は悪夢からは醒ませてくれないのね……」

「私達はいつの間に『モ◯ティ・パイソン』の世界に迷いこんだのでしょうか……」

 

 さて、この騒動の原因。それ自体はいつものダージリンの思い付きなのだが、更なる元々の発端は昨年まで遡る――。

 




ダージリン
 T◯S時代からのベ◯スターズファン。◯人は嫌いです。でもそれ以上にカー◯女子が嫌い。だけどカー◯おばさんは好き。内◯コピペで笑える。
 イギリスといえば紅茶と紳士淑女の国。

 アッサム
 ◯人ファン。ただし父親からの影響なので、そこまで熱心というわけではない。カッスレで笑える程度の猛者。サンキューカッス。フォーエバーカッス。
 イギリスといえば紅茶とジョークの国。

 オレンジペコ
 野球をよく知らない。フォースアウトの場面を見て以来、プロ野球選手はみんなジェダ◯の騎士か何かだと思ってる。なおダージリンは訂正する気はない模様。
 カッスレでは笑えなかったが、ジョイナスレは不覚にも勢いに負けて笑ってしまった。
 イギリスといえば紅茶とスコーンの国。それ以外は気にしない。

 鴉羽唯明
 ブ◯ーウェーブ時代のファンであり、日本◯ムファイターズ時代のファン。北の侍? うっ、頭が……。今はス◯ローズ一筋。つば◯郎のことをずっとつばcrowだと思ってた。見た目はペンギンなのに。
 イギリスといえば「モ◯ティ・パイソン」と「T◯p Gear」の国。

 猫山霧音
 野球にはあまり興味がない。打てばいいと思ってる。
 イギリスのことは全然知らない。ただイギリスの正式名称を見て一言

「Greatは必要ないだろう」


 活動報告に書いた通りテキトーな短編集になります。その割に1話で終わらないあたり最高にう◯こですね。
 今更ですがキャラ崩壊酷いです。アレすぎる場合は適当な対処をお願いします。

傾向調査(期待に添えるか、そもそも書くかどうかも未定です)

  • 試合が見たい(第一の被害者はプラウダ)
  • 毒にも薬にもならない日常回
  • 前世でダンモロは何したの?
  • そもそもこんなの書くな
  • その他(要望あればメッセージや活動報告に)
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