うちの脳内コンピューターが俺を勝たせようとしてくる   作:インスタント脳味噌汁大好き

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睡眠

パッと目を覚ますと、午後5時。天衣が来たのは午後1時だから、4時間も寝たのかよ。4時間も寝たの、何年ぶりだ?

 

『おはようございます、マスター。4時間も寝たのは4年ぶりですね』

(はぁ。本当に、睡眠薬を盛られたんだな。……原作では、九頭竜も睡眠薬を盛られてたっけ?)

『それらしい描写があるだけで、残念ながら明言はされていません。まあ九頭竜はあいに睡眠中に、色々とされている描写とかもありますが』

(マジかぁ。部屋も色々と探索されてるし、パソコンに至ってはエロゲの購入履歴まで見られてるぞ)

『マスターの性癖が、暴露されてしまいましたね。だからパソコンにはロックをかけろとあれほど……』

 

部屋から出ると、天衣は何食わぬ顔であい達JS研のメンバーと作業をしていた。おう、こっちに目を合わせろや。

 

「あら師匠。起きたのね。突然眠っちゃうから、何事かと思っちゃったじゃない」

「一応言っておくが、俺の部屋には監視カメラがあるんだ。貴重品とか大事なものが、大量に置いてあるからな。

……俺が寝ている間に入ったようだけど、変な事はしてないだろうな?」

「ごめんなさい!」

 

俺の部屋に監視カメラがあると言うと、顔を真っ青にして即座に土下座してくる天衣。自分から謝れるのは偉いが、師匠に睡眠薬を仕込んで部屋を勝手に探るとか、普通に考えたら破門されてもおかしくない出来事だ。まあ、監視カメラは嘘なんだけど。そんなもの、一般人の部屋にあるわけないじゃん。

 

土下座する天衣を見て、慌て始めるJS研のメンバーと「しまった!」と言いたげな晶さん。いや、晶さんが騙されたら駄目でしょ。とりあえず見た物を他言するなと釘を刺したけど、どうしようか?

 

『天衣が自分に興味津々だと知って浮かれるのは勝手ですが、普通に犯罪行為をされているわけですし、何らかの罰則は与えないといけないでしょう』

(えー、天衣が嫌がることって何だ?)

『……コスプレさせます?釈迦堂さんから、天衣に服のモデルをやらせたいという打診はあったはずですが』

(アリだな。それにするかぁ)

 

アイと相談した結果、断り続けていた釈迦堂さんの依頼を引き受けることに。空さんもやっていたことだし、今度東京に行く時にでも寄ろう。

 

なお天衣は釈迦堂さんからの依頼を受けさせると言った瞬間、何をさせられるのか察して首を振ろうとし、その状態で固まったのは見ていて面白かった。まあコスプレで済むなら安いものだろ。晶さんに至っては得しかしてねえ。

 

あと晶さんに睡眠薬のことについて聞くと「何故バレた!?」という驚きの声と非常に良い表情を頂けた。無味無臭で、普通の人なら気付きもしないらしい。いや、急に眠たくなったら普通の人でも気付くんじゃない?この2人にとって、睡眠薬が使われたことに気付かれたのは想定外だったんだろうな。

 

……昨日、徹夜でゲームしていることはツイッターで確認することが出来る。そういう時は昼間にうつらうつらとするし、対局中でも寝たことはあるけど、半分は起きてるんだよ。全部寝ることは無い。

 

天衣とJS研の計5人で行なう夏祭りの準備の方は、原作通りにお手紙のガチャガチャをするようだ。確かこれ、晶さんが発案だったような……。確認のために晶さんに聞くと、やっぱりそうだった。それと夜叉神家が全面的にバックアップするせいで、たぶんそこいらの祭りより屋台の数は多くなる予定。

 

『あいはともかく、天衣が実行委員に選ばれたのは予想外でしたよね』

(でも、福島の祭りで新女王を祭り上げたいのは分かる。あいと同名というのも、大きいな)

『奨励会の方に注力して欲しい所ですが、既に7連勝ですか。次の例会で三段昇段を達成してしまえば、来季の三段リーグまで時間的な猶予は出来ますね』

 

次の例会で、天衣と空さんは三段になる可能性がある。前回の対決から日が経っておらず、潰し合わない可能性も高いことから空さんと天衣が同時昇段する可能性もある。マスコミにとっては、格好のネタになりそうだ。

 

『三段リーグの、第15局と第16局がある日でしたか。祭りが始まる前に、鏡洲さんの昇段が決まっていると良いですね?』

(どうだろ?今のところ一敗でトップではあるけど後半崩れやすいのは過去の三段リーグで分かっているからなぁ)

『負け犬根性が染み付いている、みたいな描写までありましたからね。……3位でも、フリークラスに入れるのは大きいです。鏡洲さんに関してはそろそろ安心しても良い頃だと思いますよ?』

(ここから全敗することもあるのが三段リーグだろ。俺が偉そうに語れる資格は無いけど)

 

来季から地獄の三段リーグに飛び込む天衣と空さんは、同時昇段だと対局が早く終わった方が上位になる。どちらにせよ、一期抜けというのはかなり難しい。……と言っても、最近だと歩夢と俺が一期抜けしているから2年に1回は起こる現象か。原作でも空さんと椚が一期抜けをしてるし。

 

そろそろJS研のメンバーは帰さないといけない時間なので、さっさと帰らせる。俺の家で、お泊り会なんてイベントは起きません。九頭竜はホテルに軟禁中だから、あいは清滝先生の家で寝泊まりする予定。家事能力の高さを見るに、一人でも何とか出来そうだけど、九頭竜が一人にはしない過保護っぷり。

 

さて。天衣と晶さんにどこまで見たのか吐いて貰いたいけど、聞くのが怖い。とりあえず、当たり障りの無い部分からかな。

 

「……あのパソコン、どこまで見た?アルバムの方まで見たのか?」

「全部見たと思って貰っても良い。そして私は、大木先生に1つ聞きたいことがある」

「ええぇ……。何でそっちが強気なの……」

「大木先生は今まで将棋以外で、どれだけの額を稼いだんだ?将棋が強ければ、馬券や宝くじの当たりも分かるものなのか?」

 

問い詰めようとすると、晶さんに逆に問い詰められる俺。これは、マジで色々と見られたんだろうな。この人達に悪意があれば、俺の財産が吹っ飛んでいたかもしれない。いや睡眠薬を使っている時点で悪意はあるけど。

 

……ネットの仮想通貨も含めれば、あり得ない倍率でお金を稼いでいることは認める。詳しい人が見れば、未来を知っていたのかと疑いたくなるような倍率だ。ただその未来知識を活かした稼ぎは、全部合わせても8桁には届かない。

 

将棋に専念できる環境作りのため、スマートフォンの数を増やすため、親の説得のため。必要な経費は、そういう所で稼いだ。宝くじに関しては、一回だけ当たり番号を憶えている回があった。競馬は、将棋を始める前の俺の趣味だ。前世と差異が無い部分も多い今世、最も稼ぎやすかったのは競馬だった。あと仮想通貨。

 

まあでも、憶えていたはずの宝くじの番号は1つずれたり、本来なら万馬券が生まれるレースで2着と3着が入れ替わって万馬券が生まれなかったりしたんだけど。とりあえず昔から稼いだお金はスマートフォンとパソコンに費やしたことを言って、その後は適度に怒っておく。

 

(今回の件はアイの方が怒ると思ったんだけど……怒ってないのか?)

『ええ。ちょっとまあ……良かった点もありましたし、そんなに怒る気はないです』

 

今回だけは、冷や汗が止まらなかった。全部見られた時点で、色々と手遅れな気はするけど。ぶっちゃけプライベートを全て見られた後で、もうやるなって言うのは意味無いしな。むしろオープンにしても受け入れてくれるのなら、それはそれでアリな気がしてきた。

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