うちの脳内コンピューターが俺を勝たせようとしてくる   作:インスタント脳味噌汁大好き

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相違点

とりあえず天衣との結婚について、誓約書にサインは書かなかったし、実印も押さなかったけど、流れが妙だ。

 

(原作では九頭竜を4人がかりで押え付けて、無理やり落款を押させていたよな?そのことを考えると、無理やりサインを書かさなかったことが逆に不自然だ)

『単純に、夜叉神家は天衣とマスターのお付き合いに前向きだということを示したかったんじゃないですか?天衣の同意を求めたところ、また後日と言って逃げられましたし、天衣の意思は介在していないでしょうね』

(誓約書も、若干変わっていたしな。[この誓いを破った場合、命をもって償います。何をされても文句を言いません]は、ヤバくね?)

『ヤバいですが、殺すなら殺すで原作通り[命をもって償います。埋められても沈められても一切文句は言いません]になるはずなんですよ』

 

誓約書の文章は若干変わっていたけど、アイの言う通り殺すなら変える必要のない部分だ。まあ原作との相違点が多すぎるから変わったんだろうけど、何をされてもって部分は引っかかる。

 

……原作では九頭竜に空さんという世間一般から見れば付き合ってそうな姉弟子が居た。身の回りのお世話をしている内弟子も居た。だから焦ったんだろうけど、俺の場合は焦る必要も無いからまた後日になった可能性もある。

 

『マスターに女性の影はありませんからね。たまよんと供御飯さんぐらいじゃないです?喋ることのある天衣と晶さん以外の異性って。あと母親』

(悲しくなるから止めろ。全部身長が低いのが悪い。

……不規則な生活している上に、睡眠時間が短かったからだろうな)

『とりあえずモテたいなら、同じ服着るの止めません?』

(なに着てもチビだと似合わないんだよ。最近、たまよんとのコンビがおねショタとか言われ始めてるだろ。ショタなら椚がいるのに、俺がそういう扱いを受けていると知った時は背筋が凍ったぞ)

 

冷静になって考えると、俺のモテるポイントって財力ぐらいか?そしてその財力は夜叉神家に到底及ばないことを考えると、誓約書へのサインはした方が良かったかもしれない。

 

たまよんにすら、身長は負けているからな。将来的に、天衣にも抜かされそうだ。というか下手すればあと2、3年で抜かされる。天衣はお嬢様で栄養状態が良いからか、同世代の子と比べると身長は高い方らしいし、両親も背は低くなかったはずだから将来的には高くなりそう。

 

『今はまだマスターの膝の上に天衣を乗せられますが、将来的には天衣の膝の上にマスターが乗せられそうですね』

(やめろ。マジでやめろ。まだあと1年ぐらい身長は伸びるだろうし、160は超えるはず)

『既にピタッと伸びは止まっているのに、プラス3センチは強欲ですね。というか、18歳を超えてからは普通の人でもそんなに伸びないですよ?』

(……身長160センチを下回っている時点で、女性からは恋愛対象外にされるんだよなあ。将来的に生まれてくる子が可哀想とまで言われるし)

 

アイと話をしながら、弘天さんと出店についても話をして、話が終わったら夕食をご馳走になる。天衣と一緒に食べるわけだけど、料理人がいる家庭って凄いな。

 

「師匠はよく食べるようになったけど、それでも太らないわね」

「何だ?太った師匠の方が好みか?」

「ちがっ……痩せすぎていて心配になるのよ!何のために食べさせていると思ってるの!」

「いや、お陰様で体重は若干戻ったぞ?プロ棋士になってから5キロは痩せたけど、今は2キロぐらい戻ったし、もうすぐ40キロは超える」

「……はあ?もしかして、前まで私より軽かったの?え?というか私と同じ……」

「天衣は体重気にしなくて良いだろ。成長期だし、いっぱい食べていっぱい寝ろよ」

「感情がこもっているわね……。言われなくても、来年か再来年には師匠の身長を抜かすわよ」

 

天衣の家で夕食を食べる時は、唐揚げやヒレカツなどカロリーの高そうな食事を出してくれているけど、それでも太らない不思議。いや、倍食べるようになってから太ってはいるけど緩やかな太り方という。これ、アイの出力が上がる度に消費カロリーが増えてるんじゃねえの?

 

(これからはブドウ糖を直に摂取するか?ちょっと異常だろ)

『そちらの方が食事で補うより良いかもしれませんね。身長と体重を増やす目的なら食事量を増やしたり、回数を増やす方が良いのでしょうが……対局の際はハーゲンダッツと一緒に、ホットコーヒーを頼むようにして、コーヒーにブドウ糖を入れましょう』

 

「あれ?天衣は40キロ超えてるのか」

「……そのデリケートな話題を出したら、次は刺すわよ」

「いや、145センチを超えてるなら40キロあっても問題は無いだろ」

「無いわよ!まだ40キロは超えてないわよ!」

 

天衣の体重を聞くと、デザートのショートケーキを食べているフォークでシュッシュッと刺す真似をする天衣。危ないから止めなさい。迂闊に聞いた俺の方がどう考えても悪いが、変な自爆をした天衣も悪い。40キロを超えてなくて、一時の俺よりも重いということは、もう答えが出ているようなものだな。

 

『身体を鍛えて筋肉を重くすれば体重は増えるのでは?』

(今の状態で筋トレなんかしたら筋肉付かずに体重だけ減りそう。

……筋トレしているプロ棋士とかいたっけ?)

『今季の三段リーグで降段しそうな傘杉三段が、スポーツマンじゃなかったですか?』

(あー、原作では空さんとの1分将棋中にトイレへ行くフリをした人か。身体は鍛えてそうだったな)

『体育大学出身ですから、降段して退会することになっても生活は大丈夫でしょうね。教員免許まで持っていますし』

(そういう保険を作るから将棋は弱いのか、将棋が弱いから保険を作るのかは永遠の謎だな)

 

奨励会では高校、大学まで進学する人と進学はせずに将棋へ打ち込む人で分かれる。どちらの選択肢が正しいかは一概には言えないが、肝心な将棋の勉強は学校へ行っている人ほど少なくなる。最近はプロ棋士でも高校までは進学する人が多いけどな。

 

(学校へ行ってない人は1日平均で10時間ほどは将棋の勉強へ費やせるけど、大学へ行ってる奴は苦しいだろ)

『大学までの移動時間や講義時間、レポートや課題をこなさないといけないことを考えると、高校生、大学生は1日平均4時間程度が関の山ですね』

(天衣は、どうさせよう?)

『高校に通うかどうか考え始めるのは、4年後からでも問題無いですよ』

 

これからのことを考えつつ、俺もショートケーキをいただく。……このケーキは、料理人が作ったやつなのかな?天衣はお料理勉強中らしいけど、その前に夜叉神家に胃袋掴まれそう。というか既に半分、掴まれているな。

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