俺がこの世界に転移して、1ヶ月が経った。言葉も理解し、文字も読めたり書けるようになったため、何かあった時のために日記を書き始めよう。
俺の名前はトーレ。前にいた世界ではハンターをやっていた。
そう、“前にいた世界”だ。俺が今いる世界は、故郷とは全くの別世界だ。捕獲レベルもIGOも聞いたことがなく、さらに言えばテレビなんて物も見たことが無い。一方、俺を拾ってくれた一龍という人は、リオレウスを始めとするモンスターの事を、そしてハンターズギルド等の組織を知らなかった。
お互いに知らないものがある。だから俺にとってここは異世界なのだろうと、一龍さんは言っていた。
元々俺は、海に生息するモンスターを調べるために舟で沖に出ていた。だが運の悪いことに嵐に遭ってしまい、舟は波で揺れまくった。最後に自身がひっくり返った事だけは覚えている。
一龍さんは、別荘のあるビーチに舟が漂着していたのを見つけ、俺の治療もしてくれたらしい。
その後は大変だった。言葉は通じない、文字も読めない状態で、翻訳する機械が出来るまでコミュニケーションは難しかった。
極めつけは、見たことの無い様々な食材たちだ。この世界はまさに美食の世界。殆どの生き物が食材だというのだから、それを聞いたときは顎が外れるくらいに驚いた。
だけど、どれも美味い! 一龍さんも、俺が飯を食べているのを見て微笑んでいた。
さて、今後の生活についてだが、一龍さんからハンターの腕を買われた。何でもこの世界はとても広大で、未発見の生き物や食材も存在しているらしい。それの調査や発見、捕獲を手伝ってくれないかと誘われた。
俺としては、一龍さんには沢山の恩がある。異質な存在とも言える俺に対して、治療だけではなく飯や住む場所、戸籍まで与えてくれた。ハンターとして精一杯、お返しをさせてもらおう。
だから、これから俺は……美食屋として働こう。
俺の他にも、一龍さんが育てた4人の美食屋も居るらしい。けれど、中々個性が強いとのことだ。
けれど一龍さんや。犬よりも鋭い嗅覚とか、髪の毛を自在に操るとか、毒を作り出せるとか、超地獄耳とか流石に冗談だよな? 竜人族として長い年月を生きてきたがそんな超人は……いや、この世界なら有り得るか。
そうそう。他にも、次郎さんとか節乃婆さんにも俺のことを紹介された。俺が別世界出身という事に驚きつつも、すぐにその世界の食材や料理に興味津々な様子を見せていた。特に次郎さんは酒の事で気が合い、いつか酒で溢れてる島に連れていってくれると約束してくれた。
まぁ、これからは、後世にも伝えられるように、俺が印象に残った食材について記していこう。どうかよろしく。
読んでいただき、ありがとうございました。