異世界狩人の、グルメ発見日記   作:G大佐

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再び投稿、一龍の視点のお話です。私は一龍や次郎、マンサム所長など、イケメンな親父キャラが好きです。


一龍から見た彼

「あれがビックリ島か! 凄い爆音だな!」

「はっはっはっ! 竜を狩り続けたお主からすれば、これくらいの音は軽いか?」

「ティガレックスって言う、咆哮で大岩を粉砕するモンスターとも戦ったことがあるからな! ディアブロスと戦った時は鼓膜をやられた事がある!」

「既に経験済みじゃった!?」

 

 ボートに乗りビックリ島へ向かう、儂とトーレ。この季節はビックリアップルを驚かせる祭り、仰天祭の季節じゃ。

 トーレを連れてきたのは、単にこの世界のイベントを見せる為だけじゃなく、彼の実力を見ておきたいという目的もあるがな。

 

 思えば、初めて出会ったときは衝撃的じゃった。

 バカンスのために訪れていた島の海岸に、ボロボロとなった木造船と共に漂着していたトーレ。見たこともない鎧を着ており、調べてみると舟に使われていた木材はこの世に存在していない物ときた。おまけに、彼の話す言葉も聞いたことが無く、コミュニケーションを取ることに難儀したのも、良い思い出じゃわい。

 言葉が通じるようになり、彼の口から聞かされたのは、スケールの大きな話じゃった。

 

 自然に生きるモンスターと呼ばれる存在。それらを狩り、恵みをいただきつつ、世界中を旅してきたという。何でも彼は長命の種族らしく、若い見た目でありながら100歳は越えておるらしい。

 

 異世界から来た狩人。彼は、この世界においても自然と共に生きておる。それに……

 

(剣を向けるのはモンスターのみ、か……)

 

 トーレは、狩った獲物を捌くためのナイフとは別に、2つの剣(双剣と言うらしい)を持っておる。何でも、セルレギオスと呼ばれるモンスターの鱗を混ぜこんであり、そのお陰で切れ味は凄まじいものになってると本人は言っておった。

 そんな聞くからに強そうな剣を、トーレは人に一度も向けない。狩人の掟だそうで、あれを向けて良いのはモンスターのみらしい。

 

(トーレ。お主は人の闇を見たことが無いのか……?)

 

 もしジダル王国のような、治安の悪い所へ行ったら……。そう考えると不安が出てくる。

 

「会長、到着しますので上陸の準備を」

「ん? おぉ、そうか」

 

 考え事をしてるうちに、到着じゃ。

 さて、トーレ。お主はどのようにしてビックリアップルを驚かせる? 腕っぷしとは違う実力を見せてくれよ?

 

 

 

 

 

 爆音が鳴り響く森の中を儂らは歩く。儂はともかく、初めて上陸したトーレも堂々と歩いている。

 

「あそこにある、人間の顔をしているリンゴがビックリアップルか?」

「そうじゃよ。別名『人面林檎(りんご)』と呼ばれておる」

「ふーん……わっ!

『ミギャー!』

 

 うおっと。トーレの奴め、通りすぎたリンゴに振り向いて驚かせよった。

 

「見た感じ、ビックリLV(レベル)は5の辺りかのう?」

「ビックリLV?」

「ビックリアップルの“ビビりの度合い”じゃよ。高ければ高いほど味も良く、高価になるんじゃ」

「なるほどな」

「もっとも、G7のアポロンの判定なら信用性も高いがな」

「一龍さんも、この祭に出たことがあるのか?」

「一度だけな。その時はLV95を叩き出したのじゃが、高価になりすぎて市場が少し混乱しての。今は出場を止めておる」

「95って、どんな驚かし方をしたんだよ……」

「受けてみるか?」

「止めてください、死んでしまいます」

 

 あの後アポロンに見てもらったが、LVは7じゃった。

 

 

 

 

 

「予測できーないこーとをすると、ビックリアップルはよーり驚きますー」

「なぁ、一龍さん。アポロンさんの喋り方って……」

「言うんでない、儂も予測しづらいのじゃから……」

 

 鑑定ついでにトーレの事を紹介した後(もちろん異世界の事は伏せておいた)、彼はアポロンから驚かし方のコツを教えてもらっておる。しっかし、アポロンの喋り方は本当に独特じゃの……。

 

「予測できないこと、か……」

「不意打ちとーかですねー」

「不意打ち……。ふっ、なら俺の得意分野だ!」

 

 トーレは、ビックリアップルの木に向かって歩き始めた。すると、アポロンが驚いた。

 

「っ!? 消えた!?」

(いや、違う。あれは……)

 

 アポロンの目には、トーレが消えたように見えるのじゃろう。だが儂には見えておる。

 あれは……極限まで気配を消しておるのじゃな。その証拠に、ビックリアップルはトーレが近付いて来ていることに全く気が付いていない。

 すると、解体用の小型ナイフを抜いて、ビックリアップルに向けた。

 

『っ!? ウギャアァァァァァ!!!』

「い、いつの間にあんな近くに……」

 

 気配を戻した瞬間、アポロンもトーレを認識出来るようになった。ビックリアップルの驚き様も凄い。何も居なかったのに、突然目の前にナイフを突きつけられたのじゃからな。相当ビビるじゃろう。

 

「アポロンさん、判定を頼む」

「わ、わーかりまーした……。これは……LV42!」

「よっしゃ!」

 

 何と……。二度目で高レベルを出しおった。42×50万円、つまり2100万円もの価値を出したと言うことか。

 

「トーレよ、あの気配の消し方も、前の世界で?」

「あぁ。臆病な生き物を捕まえたりするのに使っていたよ」

 

 トーレの奴め……。彼のハンターの腕前は本物のようじゃわい。

 

 あの後、トーレは30から40台のレベルを次々と叩き出した。ビックリアップルを食べたときの美味そうな顔と言ったら、まるでトリコたちを見ているようじゃったの。




読んでいただき、ありがとうございました。
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