今回は、最後に汚い表現があるため、ご注意ください。
今この日記を書いているが、いつもの自宅ではない。砂塵の谷と呼ばれる谷を越えるための、リフトハウスに乗っている。
今回の向かう先は、サンドガーデンと呼ばれる広大な砂漠だ。とても広大かつ種類が豊富な砂漠なのだが、そこへ向かうには、このリフトハウスで1ヶ月かけて砂塵の谷を越える必要があるらしい。幸い、色んな依頼を受けて金は蓄えてあるから、家賃の支払いには困らなかった。
だけれど、ずっとハウスの中にいるから暇でしょうがない。やることと言えば、砂漠に生息する猛獣たちの図鑑を読んだり、手持ちのナイフや双剣を研ぐくらいだ。到着が待ち遠しい。
ようやく着いた。今回向かうのは、サボテン砂漠と呼ばれるエリアだ。別名『砂漠の森』とも呼ばれるそのエリアは、名前の通り沢山のサボテンが生えている。
サボテンは水分を蓄える事で有名なため、比較的優しいエリアだと思われがちだ。だが、それこそが厳しい場所でもある。
水分を得られる植物があるということは、それを求めてやって来る草食動物が居るわけで、当然、それを補食する肉食動物もいる。しかも、前の世界で戦ったディアブロスのように、草食でありながら非常に獰猛な生物も、この世界には存在している。
故に、サボテン砂漠は、実力がつき始めた美食屋に立ちはだかる壁にもなっている。……と言うことを一龍さんから聞いた。今日は、近くの村の宿を借りて一夜を明かす。本格的な仕事は明日からだ。
今回の依頼は、アロエサボテンの採取だ。
アロエサボテンとは、見た目は普通の球状のサボテンなのだが、その中には治癒成分が含まれた粘液が詰まってる。その粘液がアロエの成分と全く一緒という植物だ。果肉にも粘液にも甘味があって、水分を加えて簡単な健康ジュースにもなる……らしい(与作談)。
特殊な調理は必要なく、採ること自体も簡単なのだが、こいつは砂漠で数少ない糖分なので、狙う獲物も多い。しかも広大な砂漠の中から見つけないといけないので、捕獲レベルは結構高めだ。レベル15は越えると思った方が良いだろう。
戦闘を終えた為、書き留めることにする。サボテンを探している途中で狩ったのは、ドラゴンフラワーフィッシュという、砂の海に潜む魚だ。背びれがウチワサボテンにそっくりで、サボテンの群生地に擬態して獲物を待ち伏せ、水分を求めてやって来た所を襲いかかるという、獰猛な魚だ。
味は、程よく脂の乗った白身系の魚の味がした。しかし鮮度が落ちると、魚の生臭さと植物の青臭さが混じった最悪な臭いになる。
ここは植物があるとは言え、暑い地帯であることに変わりはない。血液もしっかり頂いて、水分を確保しよう。
サボテンは無事に確保出来たが、思わぬ猛獣と遭遇した為、逃げるのに必死で、その後の日記が書けなかった。
昨日何があったかと言うと、サボテン砂漠の『主』に出くわしてしまった。その名も、ドラゴンワーム。竜ではなく、巨大な芋虫だ。
こいつは、サボテンにやって来た獲物を、サボテンごと補食するという生き物だ。補食方法は、ハプルボッカのように地中から獲物を丸呑みする。待ち伏せではなく、常に砂漠の地中をうろついている、おっかない生き物だ。成長すると、デザートビートルという甲虫になって、アロエサボテンの中身や、サボテンに生るドラゴンフルーツを食べるようになる。
ドラゴンワームは地中からの奇襲以外に、尻から小便をかけるという攻撃も持っていて、こいつを食らうと所持品が塩にまみれてしまう。だけど、人体に害は無く、むしろ高級な塩として取引されるようだ。
あまりにもしつこく追いかけて来るものだから、俺お手製のこやし玉で追い払ってやった。そのついでに奴の塩も回収してやったよ。思わぬ臨時収入だ。
~食材メモ~
アロエサボテン 捕獲レベル15~20
球状で、中に、アロエの治癒成分を持つ粘液が詰まっている。僅かに甘味があるため、砂漠の数少ない糖分でもある。広大な砂漠の中から探さないといけない事と、糖分を求める猛獣がいる事も含めて、捕獲レベルは高めになっている。
ドラゴンフラワーフィッシュ 捕獲レベル17
砂の中に潜み、サボテンの水分を求めてやって来た動物を補食する魚。見た目はアンコウに似ている。背びれがウチワサボテンにそっくりで、それを利用してサボテンの群生地に擬態している。新鮮なうちに食べないと、悪臭が強くなる
ドラゴンワーム(デザートビートル) 捕獲レベル25
別名『サボテン砂漠の主』。サボテンごと獲物を丸呑みにする芋虫で、常に砂漠の地中を泳ぎ回っている。成長するとデザートビートルという甲虫になり、ドラゴンフルーツやアロエサボテンの中身などを食べる甘党になる。芋虫の攻撃に、小便をかけるというものがあり、掛かったところは塩まみれになってしまう。人体に害は無く、高級な塩として取引される。なお、芋虫自体も、テキーラに漬け込むことで美味になる……らしい。
読んでいただき、ありがとうございました。
今回の話に登場したドラゴンワームのモデルは、モンゴリアンデスワームと、グサノという芋虫です。
グサノ・ロホという、芋虫が一匹入っているテキーラがあるのですが、その芋虫の小便による塩があるらしいです。知ったのは、漫画『BAR レモンハート』です。