クロスワールドウォー   作:根王

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 どうも根王です。今回は適当に作り過去に思い付いた奴を友人と相談しながら何かできあがってしまった物です。元々お蔵入りかな~と思ったのですが段々設定が出て来てしまったのでお試し感覚で投稿しました
 


本編
第1話 遭遇


 いつからだろうか…この世界にこの地球に怪物が現れたのは

 

 アメリカのホワイトハウスが異形の怪物、竜の炎に焼かれ竜が巣食う場所となったのは。太平洋は巨大な海魔に支配されどれだけの船と命が海の冷たいの底へと沈んだのか。辛うじて生存圏の制空権を握る事ができた人類は『連合防衛軍』を結成した超法規的軍事組織でアメリカ軍やロシア軍を始め自衛隊などもこの組織に統合された。皮肉な事に奴らは国境線をも喰らったのだ。この星を取り戻す為人類は団結し最も被害の少ない極東・日本を起点に世界各地で人類は奮戦した。

 

 7年の歳月を経て地球の8割の地域を怪物から解放させた。だが、7つの大都市、地域と引き換えに太平洋を取り戻した人類は次の手は核爆弾による掃討作戦であった。7つの都市と地域に大群怪物と強力な個体の怪物を誘導しその多くを灰と化した。連合軍は故郷や生存圏を犠牲にしてまでも怪物を掃討したのだ。これを『クリーン・ナップ作戦』と言われ後の禍根を生んでしまったのだ。

 

 その作戦から連合軍から離反する者が大勢いた。かつてのアメリカを再建し世界の主導権を握る『ネオアメリカンフォース』と共産主義の出身者で結成された『共産主義同盟』、荒廃した国家に変わり南米を我が物顔で支配する『ラテンコミュニティ』…俺たちは何時の時代か人間同士で争う世界になってしまった。

 

 

 

 

 

 皆、異世界に夢を抱くだろう…だがな俺たちにとってこの世界の混沌へと導いた元凶は

 

 

 

 

 

 その異世界なんだぜ?レベルもステータスもない、生き残る為には引き金を引き続ける事だけだ。もし魔法や聖剣があったらどれだけ嬉しい事か…でもどんなに望んでも時が過ぎてもそんなもんは存在しない。改めて思ったよ神様なんていないってな 

 

 

 

 

 

 だけど、あくまでも噂だ。怪物たちは伝承や神話、ファンタジーゲームで出てきそうな奴らでこの地球には存在しない生き物たちだ。今も学者たちが頭を捻らせて考えこんでいる。お陰で現代の戦い方では通用しない相手でもあった。現代は機械化…つまりハイテクな装備で最低限な人員で活動することが多い、それが裏目となり火力不足などが生じて怪物の討伐が遅れてしまった事があり、連合陸軍は部隊編成と戦術の考案を余儀なくされた。一方で空軍は強力な個体を除けば連勝続きだ。くそったれのドラゴン共をミサイルやバルカン砲で消し飛ばすからな羨ましい限りだ。空爆も有効打として、退役した戦闘機も駆り出して爆撃で怪物たちを吹っ飛ばしていたな。海軍はミズーリの戦艦を莫大な資産を投じて改修し太平洋の支配者だった『クラーケン』を屠った立役者だ。今も連合海軍の第一艦隊の旗艦を務める。

 

 

 

 

 

 これは今の教科書に書かれている事だ。自衛隊を除隊して傭兵になって旅しようと思ったらまさか化物が襲来するなんてな…現地の義勇兵として戦っていたら連合陸軍にスカウトされ、士官養成教育に投げ込まれて卒業したら大隊の指揮を執るハメになって7年か…今は大尉まで上り詰めてしまった。俺が指揮するのは『ブロッサム大隊』だ。この隊の特徴は多国籍軍だ。AlphaからEchoまでの分隊が存在し戦車部隊の『ウォーリア隊』にヘリ部隊の『カリバー隊』、武装偵察隊『ウィング隊』、狙撃支援部隊『ガイスト隊』で編成されている。俺はAlpha部隊のリーダーで大隊の大まかな指揮を執っている元自衛官元傭兵の白熊徳(しらくま とく)だ。

 

 少しばかりの船旅で揚陸艦に乗り込みハワイ島へと向かっている。アメリカの大陸東を陣取るネオアメリカンフォースの動向を探る為だ。奴らは地下に潜み度々連合防衛軍勢力下の地域でテロ紛いな事件を引き起こしている。しかも、連合軍と同等かそれ以上のテクノロジーを持っているとされているとも噂されるが果たして

 

「よお、徳。バーガーだ」

 

「わりぃな。……今日は照り焼き風味か」

 

「不満か?」

 

「いやいつものじゃないから不満なんざねえよ。昔から食ってきたからな」

 

「……知ってるか?初期生産だった頃は酷いもんだぜ?ソースなりケッチャプなりぶっかけてマシな味にしたもんだぜ」

 

 部屋に入ってきたのは相棒であり腐れ縁のカルロスだ。渡して来たのは連合軍名物の『スタミナバーガー』だ。100%培養肉と保存料たっぷりで化学調味料でカロリーを底上げしたバーガー……単価はかなり安いらしい培養肉は以前コストが高かったが研究の果てにローコスト化に成功、食糧事情はかなり安定したのだが。初期の生産型は味が大変酷かったらしいMREの再来とも言われる程に……俺が士官養成コースの頃には大分マシな改良型が開発されたらしい、意外にも食事っていうのは兵士たちの士気を上げてくれる時もあるから馬鹿にはできないからな 

 

「ワシントンが灰になって2年か…その頃は太平洋をクラーケンから解放した後だったな」

 

「俺たちは東南アジアで植物型モンスターを火炎放射器で焼き殺していたけどな」

 

 カルロスがバーガーを頬張りながら寂しげな表情をする。コーラを飲みながら当時の事を思い出す。空軍が枯草剤を撒いて、弱らせた後にナパームやら火炎放射器で焼いていたな植物型のモンスター。マンイーター達を焼いたのはいい思い出だ。あいつらの噛みつく力は強いからな防弾チョッキなんて余裕で貫通するから油断できない相手だ。世界各地で苦戦する陸軍の兵士の生還率と戦闘能力を向上させる為、パワードスーツ…強化外骨格の開発がスタートした。第二世代まで開発されているがこいつには稼働時間があり長く持って1時間程度だ。バッテリーが切れちまうとただ鎧だ、防弾チョッキよりは遥かに防御能力は格段に高いが過信し過ぎると奴らの餌になるので油断はできない。

 

 しかし、歩兵が運用する小銃では相手にならない奴も現れたりするから高周波ブレードも悪くない選択肢だったりする。最新鋭の技術が数世紀前の武器に注がれる事になるなんてな。試作型も完成しており、脇差サイズだったり槍や斧といったバリエーションも開発中らしいが強化外骨格の装着を前提に開発されてるし、銃とは勝手が違うから別の訓練が必要なるなど問題点も多い

 

 昼食を摂って甲板に出る。食後の軽い運動だ。暇な奴は片隅でハーモニカや部屋で雑誌なり漫画みてたりしている。真面目な奴が近接格闘の訓練や銃の整備をしたりしている。装備に関しては統一したかったがそういう時間も無いし今更だったりするので特に言うことはない。ただ、訓練兵の時から使われているSCARを使う兵士が多かったりする。俺は士官学校時代に89式持たされてそれ以降使っている。カルロスから貰ったレールシステムを無理矢理乗せたり消音器を改造したりと原型が残ってないがな…

 

「大尉、食事は終わったのか?」

 

「ヨハンか、どうした暇か?」

 

「ああ暇だ。羽付いたトカゲ野郎がいれば賑やかだろうさ」

 

「賑やかどころのレベルじゃねえけどな」

 

 背が高くごつい大男はロシア人のヨハンだ。元ロシア軍のスナイパーで神業の腕を持つ狙撃手だ。こいつに対物ライフル持たせれば人間でなんとかなるレベルのモンスターなら倒せる奴だ。確実に弱点を狙い撃ちドラゴン相手でも火を吐かれる前に開いた口に対物ライフルを撃ち込んで頭を吹き飛ばしたり、ゴーレムのコアを全弾叩き込んで粉砕したり、巨大化したスライムの核を破壊する際に一度撃ってスライムの体質により受け止められた弾丸にもう一度撃って命中させ核を貫いて討伐と枚挙、派手にモンスターを屠る野郎だ。

 

 茶を啜ろうと部屋でゆっくりしていると部下のジルベルトが部屋に慌ただしく入ってきた。

 

「大尉大変です!進行方向から見て方位270°にドラゴンの群れが現れました!」

 

「何だと…!?すぐに戦闘準備!無反動砲持ってこい!」

 

「了解です!」

 

 ARX-160を背中に背負いカールグスタフを脇に抱えるジルベルトの背中を追いつつ甲板に出ると部隊の仲間が甲板に集まっていた。ヨハンはKSVKを携えておりやる気満々だ。

 

 ドラゴンはレベル2以上の相手で、大きさによっては無反動砲や対物ライフルで事足りることもある。体内には炎を生成蓄える器官を持つので誘導兵器も有効だったりする。部下の一人のウォンにスティンガーミサイルを持たせているし最悪のケースも考えないとな… 

 

 原子力空母からF/A-18Fが今にも発艦しようとしている。まずは連中が先に仕事をして撃ち漏らしたのを俺たちで対処する形だ。余程の事がない限り俺たちの出番が無いがな、ここまで聞こえるぐらいの爆音を響かせては母艦から発つ蜂共見送り帰還を祈った

 

 

 

 

『こちらキラービー1から各機へ、ドラゴンハントの時間だ』

 

『キラービー2了解。キラービー3遅れるなよ』

 

『勿論ですよ…あ、隊長目標が見えましたミサイルの射程に…ん?』

 

『どうしたキラービー3?報告せよ?』

 

『見間違いか?人がドラゴンに跨ってる!それに翼の生えた人間が!』

 

『何?…でも様子が可笑しい…』

 

『キラービー2からキラービー1へ!先頭の一体が後続のドラゴンから攻撃を受けています!』

 

『よし、各機攻撃を受けているドラゴンを援護するぞ。敵かどうかわからんがそれは後で分かることだ。まずは一体…FOX2!』

 

 

 

 

「何です?人が跨ってる?人に翼が生えてる?本当なんですか、それ?」

 

 通信兵兼補給兵のジルベルトが艦橋の指令室から連絡を受けているがどうにも今回は可笑しいらしい。何でもドラゴンに人が跨っているだの背中に翼生えたと…それもこっちに向かっておりキラービー隊がそう報告したらしい、それにもう遠目でシルエットを確認しているのでどうすればいいのか判断を任されてしまった。

 

「取り敢えず旗でも何でもいいからジェスチャーを送れ!」

 

「徳!いつでも無反動砲は撃てる準備はしとくぜ!」

 

「そうしてくれ…ウォン、スティンガーも撃てる用意はしとけよ!指示を出すまで攻撃は厳禁だぞ!」

 

「襲ってこない事を祈るしかないぞ…!」

 

「そうなったら甲板が炎で包まれるぞ。そうなったら俺たち全員真っ黒こげだ」

 

「そんな死に方はゴメンだぜ!俺は!」

 

 甲板に展開する部下と仲間に指示を出しつつ迎撃の準備だけは済ませておく、ドラゴンなんざ敵でしかないと思っているからなしょうがないし俺も不安だ。無残に焼き殺されるか食い殺されるかだ。俺達歩兵からすれば対戦車ヘリみたいなもんだ、小口径のライフルなんざ豆鉄砲にすらならねえよ。対物ライフルや対戦車火器が無ければ人間なんざただの餌だ

 

「…キラービー隊、帰還しました。損失0です」  

 

「はぁ…マジで受け入れるのか?言葉通じんのか?いきなり襲ってきたら殺すしかないぞ」 

 

「大尉…もう見えます。この揚陸艦に乗船するつもりですかね?」

 

「マジかよ。俺達か…」

 

 揚陸艦の上をぐるぐる飛び続けるドラゴンと翼が生えた人間…あっちもあっちで俺達と同じ考えかもしれんな…

 

「全員、銃を下ろせ向か入れる。責任は俺が取る」

 

「しかし!もしも…」

 

「だから言っている…責任は取る。もし上手く行けば怪物について知る事ができるかもしれない」

 

「分かりました…」

 

 全員が武器を下ろし蛍光灯や旗を振り、自分達なりにジェスチャーを送る。何か伝わったのだろうかドラゴンと翼の人が揚陸艦の甲板に降り立ったが部下や仲間は彼らを鋭い視線で睨んでいた。さて…どうなる事やら…

少なくても平穏が訪れる事はなさそうだな

 




・この世界の知識

連合防衛軍 UDF
 2021年に結成された超法規的軍事組織。地球圏の勢力下では最大勢力である。かなりの権限を持っており国家という存在が無いにも等しい各エリアに統治している。本部は日本の横須賀からフランスに移転している。現在、横須賀は連合海軍の最大の基地として機能、ネオアメリカフォースとにらみ合いを続けている。かつてのアメリカ軍やロシア軍、中国軍などの軍事データをサルベージし最新の兵器を開発している。『クリーン・ナップ作戦』以降一部の上層部の暴走と私欲に溺れていた事が発覚し事故死に見せかけクーデターにより暗殺されている。

強化外骨格
 怪物との戦争最中、従来の戦い方が通用せず、歩兵小火器では対処しきれず死亡する兵士が増加してしまった為、怪物の攻撃に耐えつつ強力な火器を装備を可能とし身体能力を補佐を目的にした強化外骨格をアメリカ軍とロシア軍の軍事機密からサルベージし開発に成功。現在は第3世代を開発中システムのアップグレードと近接戦闘用システムを導入予定、稼働時間に限りがあり最大1時間程度しか持たない、バッテリーが切れてしまうと身体能力の補佐などの機能が失われてしまう 

怪異生物
 またの名を『モンスター』。異世界やファンタジーゲームで登場しているモンスターがある日を境に世界中に出現し甚大な損害を被った。しかし、皮肉な事に国境をも喰らい人類が団結する切っ掛けを与えてたのもモンスターのお陰だったりする。生存圏を争う戦争で7年経過した今でも存在するが確認されるだけで8割近くの掃討に成功している。大戦により人類の総人口は半減してしまった。

怪異生物危険度
 単に「危険度」と称される。所謂、モンスターの強さと危険度を現す。現在、10段階存在しているが新種のモンスターや状況によって変動する。

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