俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~   作:稚拙

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骸骨編

 俺の名はジョー。

 

 かくして俺とジジィは殴り合いの末、『新たなる野望』という名の四度目の喧嘩に挑むことになった。

 

 昭和の青春マンガかよ。

 

 まぁジジィがノリで喧嘩やってるわけじゃないってのはよくわかった。それなりに責任持って『ジジィ軍』の頭目張ってることも。

 だがよ、ジジィ―――

 

 

「幼女誘拐にまで手を染めるのはマズくね?」

 

 

 ……順を追って説明するか。

 今回ジジィがプロデュースする、第四回ワクワク喧嘩計画のテーマはズバリ―――『替え玉』だ。

 

 マスコミやネットによると、ジジィは前回の喧嘩のラストで『実家』の自爆に巻き込まれてから、生死不明扱いになってるらしい。つまりは『死んだんじゃね?』的なノリだ。まぁ確かにガレキの下敷きになったジジィを俺が助けたところは誰も見てねえわけだしな。

 自己顕示欲の化身みてぇなジジィのことだから―――

 

『刺激が少なくなって退屈しとった世界のアホ共に朗報じゃ!!ワシャ死んどらん!この通り足もついとるぞ!残念じゃったなライトにロックマン!!ワ~ッハッハッハッ!!』

 

 ……てな感じで大々的(おおっぴら)に生存を世界に公表するモンだと思ってたが、なんとジジィは自分の生存を隠すことにした。まるで武田信玄の遺言だな。あちらは死んだことを隠すように言ったが。

 

 で、だ。

 ライトと青タイツマンと世論を欺くため、ジジィの替え玉を仕立て上げ、ソイツに喧嘩の首謀者(カシラ)役をやらせるという作戦らしい。なんでも、ジジィのグラサン……もといお眼鏡に適ったヤツが、ここロシアにいるという。

 ミハイル・セルゲイビッチ・コサック。

 ジジィやライトよりも若い、『オッサン』といった感じのロボット博士―――コイツに替え玉をやらせるつもりなんだと。なんでも、作ったロボットは市民生活に密着した着眼点から設計されていて、世間様からは高い評価を得ているらしく、ちょっと若いがジジィやライトも一目置くセンスがあるとのことだ。

 世界征服なんざ、フツーのヤツなら頼んでもやらんだろう。当たり前だ。世界征服だもんな。うん。で、ジジィがオッサンに世界征服をやらせるための起爆剤として目を付けたのが、オッサンの一人娘であるカリンカ・ミハイロヴナ・コサック(9歳)だった―――

 ……要するに。

 

『カリンカたんを人質にしてオッサンに世界征服させちゃおう大作戦』

 

 ……という、割と外道(アレ)な喧嘩計画である。

 

 計画は滞りなく進み、カリンカたんはあっけなく同僚(なかま)たちに誘拐され、現在この『実家』に軟禁されている。あ、部屋にはふかふかのベッドを備え付け、暖房も完備、テレビもネットも外部への通信以外は自由に使える環境をご用意、食事も朝・昼・晩3食欠かさずイイ感じの食事を出し、飲み物やオヤツが欲しいと言えば1分以内にお届け―――と、豪華ホテルもかくやの丁重な貴賓待遇(おもてなし)をさせていただいている。

 断言しよう。

 カリンカたんは俺達の『姫』である。

 ……でもな。

 

「いい加減にしねーと裁判で『主文後回し』にされる刑に処されるんじゃね?」

「やかましい。けしかけたのはお前さんじゃろが。コサックの娘はきちんと監視しとるじゃろうな?」

「交代しながらローテでやっとるよ……いやぁ、ジジィと男と畜生メカと無機物しかいないこの『実家』に一輪の花が咲いたぜ……どいつもこいつもカリンカたんに萌え萌えでさぁ。俺もだけど。そーいや交代の時に『カリンカたんと離れたくない!もっとカリンカたんと話してたいんだぁぁぁ!!』って血涙(目からオイル)流してた同僚(ヤツ)もいたな」

「……女性型ジョーも造っとくべきじゃったか……それとお前さん、ロリコンじゃったのか……」

「バカ言うな。紳士たる者、『YESロリータNOタッチ』は絶対遵守の掟だぜ」

「そのフレーズが口から出とる時点でアウトじゃろ……」

「それがさ、昨日作ったカレーが思いのほか好評でさぁ。せっかくロシアに来てんだし、今度はボルシチかピロシキでも作ろうかな~って。クッ〇パッド参考にすりゃぁ作れそうだし……調べて買い出しの時買っとくか……」

「あ、それ今度ワシにも……」

「テメーは干し芋で十分だ」

「ちったぁ年寄りを労らんかい!!」

 

 ……そうそう、俺はジジィの飯当番も兼任してる。

 自炊してたからそれなりに料理が出来る事をジジィに買われての人事だ。

 今回、カリンカたんの料理番も俺が担当することとなった。やっぱり同じ飯を作るのでも、マッドなファンキージジィとカワイイ金髪ロリっ娘だと入る気合が違うってもんよ。

 

「それはともかくコサックの造ったロボットはなかなかのスペックじゃ。しかも簡単な改造で戦闘にも転用可能……若造のクセに用心深い設計をする奴じゃ」

「そーいや……見慣れん同類(ロボット)も増えた気がするな。オッサンが造ったヤツらか?」

「いくつかはワシとの合作じゃがな。間に合わせの改造作業用だけじゃと頭数が足りんから、もう1体戦闘用のロボットも造らせとる。骸骨型とはなかなかセンスのあるヤツじゃわい」

「『実家』の真ッ正面に堂々と巨大シャレコウベを飾るアンタに言われちゃオシマイだな……」

「……さて!お待ちかねの『改造タイム』ぢゃ♪お前さんもバージョンアップしてやるぞい♪」

「うわぉ唐突にキター!!」

 

 いきなり!大改造。

 というわけで次の喧嘩に向けて俺も新たなる姿に変わるのだ。

 で、今回の姿(ボディ)は―――

 

「エアーマンタイプから脱却させてくれたことは素直に感謝する……でもよ」

 

 俺は自分のボディの腰を指差した。

 

「腰回り30cmって貧相過ぎねぇか!?どこの試作モビ〇スーツだ!?メ〇スかよ!!」

 

 あ~スースーする!腰が細すぎてスースーする!!

 それになんじゃこの見た目は!?ジジィ大好きなホネホネロックそのものじゃねーか!ジジィめ、ついに公私混同しやがったか……

 

「まったく……改造の度に文句言われちゃ敵わんわい。そのボディ構造こそ、ロックマンに対する最大のカウンターじゃというのに」

「どーゆーこったよ?」

「そのボディは細分化されたブロック構造になっておってな、それを磁界で固着して、磁界を制御することでボディそのものを『外側から』動かす仕組みじゃ。つまりは少ないパーツでボディを形成することで量産が容易になったんじゃよ。ハンマージョーと同素材でも大幅なコストカットじゃ」

「サイフには優しいかもしれんが俺にとっては貧乏ボディにしか感じんぞ!?」

 

 張り巡らせたフィールドでボディ動かすって∀ガン〇ムかよ。そう考えればジジィの科学力はパねぇと思うが、それが逆にコストカットになってるとわ……

 

「貧乏じゃと?話は最後まで聞けアホタレめ。そのボディ、理論上はロックマンのバスター程度じゃ永久に壊れんぞ」

「……マヂか!?」

「マヂじゃよ。ホレ」

 

 ジジィは手元のボタンを押した。瞬間、俺のボディがそれはもう見事なまでにバランバランに分解され、パーツがぐしゃっと散乱した。頭だけになった俺は即座にツッコミを入れる。

 

「言っとるそばからブッ壊れちまってるじゃねーか!!呆気なく分解とか欠陥品もいーとこだろーが!!リコールだリコール!!」

「……ふふふ。まぁ待て」

 

 するとどうだ。なんと、バラバラになった俺のパーツが勝手に寄り集まり、元の形に合体、最後に頭をジャキーン!とハメて合体完了!!

 ∀だと思ったら○ーンXだったでござる。

 ポーズでも決めれば完全に鋼鉄○ーグだ。

 

「……これまたどーゆーこった……」

「ボディを覆う磁界自体は、ロックバスター1発程度の熱量で簡単に乱されて破壊される。すると当然、磁界で支えられとるボディは結合を維持できずに分解する。じゃが、バスターの熱量は磁界に相殺されて消滅するから、ボディそのものには一切ダメージは及ばん。それどころか、自動修復プログラムによって磁界を再発生させ、ブロック構造のそれぞれのパーツの回路に記憶させておいた元の形に再結合、何事も無かったかのように復活!……という具合じゃ」

「………………つまり………………どういうことだってばよ……?」

「ガクッ……」

 

 すまない理系はさっぱりなんだ。

 でもまぁ、このジジィがひいき目無しの天才だということは改めて実感できた。この場で講義めいた説明をする様は、れっきとした『研究者』とか『博士』のそれだ。

 

「ま、お前さんには単純に言った方が早いか。電子頭脳さえ無事なら、半永久的に不死身じゃ!!」

「すっごーい!」

 

 某フレンズのように相槌を打ってしまった。無敵を通り越して不死身とは……しかも(ジョー)をベースにしたということは当然量産前提だろう。

 

「この不死身のジョー、『スケルトンジョー』量産の暁には、ロックマンなどあっという間に鉄クズじゃわい!!ガッハッハッハッハッハッ!!」

 

 またしてもまんまなネーミングだな。

 そしてジジィよ、言いはしないが心の中でツッコんでおく。

 

 その言葉をのたまったヤツは最終的に負けたんだよなぁ……

 

 あとどーせター○Xにするならオールレンジ攻撃とかも(以下略

 

 ―――――――――

 

 ジジィのプラン通り、コサックのオッサンは世界に向けて世界征服を宣言、世界8ヶ所の大都市を占拠した。

 今回も俺はとある基地の防衛に駆り出されることとなったんだが―――

 

「これまた悪趣味極まるステキ基地なこって……」

 

 まるで巨大恐竜の骨格標本の中に造られたと言っても過言ではない、白骨の、白骨による、白骨のための、白骨でできたカルシウム満点の基地だ。骨粗鬆症もこれで改善だ。

 俺命名『ジジィ大好きホネホネロック基地』。

 しかもこれだけの白骨基地でありながら、なんとジジィはノータッチらしい。よって詳細もジジィは知らん。いや、知らせちゃならんだろーな。

 これをジジィが知ったが最後、『実家』をこんな風に劇的ビフォーアフターしかねん。なんということでしょう。風通しが良すぎます。

 

「ロックマン、スカルマン*1基地に侵入!!」

「ばかなやつめ。あっというまにわれわれのえじきだ……」

「バスターの使えないロックマンなど赤ちゃんと同じさ!」

「スカル接近戦!!」

「それそれ地獄におちろ~!」

 

 青パン小僧、颯爽登場。それにしても『オッサン軍』の連中は独特のノリだな。バスター使えねぇってソースはどこよ。

 そうそう、俺は今回は『オッサン軍』としての参戦、いわば『ジジィ軍』からの派遣社員だ。ジジィのことはパンツマンには言わんとかねぇと。

 

「!?ジョーの新型!?Dr.コサックはジョーにも改造を!?」

 

 おぉ、なんだか久々の気もする我らが宿敵。このノリ懐かしいなぁ。

 

「再会を祝して『じめんタイプ』の技をくれてやるぜ!」

 

 俺は武器の骨型ブーメランナイフを力の限りに投げ放った。しかし青パン小僧はあっけなくかわすと、バスターを連射してきた。

 

「ぐふっ!」

 

 胸部にバスターが命中した瞬間、全身から力が抜け、バコーン!とバラけた。オープン〇ェェェット!!ってカンジだな。

 

「な、なんだ!?」

 

 面食らったパンツ小僧はバラけた俺にバスターを撃つも、パーツ自体もハンマージョーと同素材、効きはしない。

 

「効かないのか……!?」

「そーゆーことだぜ!ビルド、アァァァァァップ!!」

 

 せっかくなので鋼鉄ジー○を真似てみた。バラバラになったパーツが再合体して、再び俺、参上!!

 

「復活した!?」

「これぞジジィの威力だ!今に見ていろパンツマン、残機ゼロにして全滅だ!!」

 

 俺は再び取り出した骨型ブーメランナイフで斬りかかる。俺もスカル接近戦!!

 

「く……必ず弱点があるはず……あるはずなんだ!!」

 

 飛び退きながらタイツマンはバスターを撃つ。しかしまた命中→分解→復活の繰り返し。今の俺は正に不死身!!

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

「さぁ、追いつめたぞ」

 

 イケる!!

 まさかここまでやれるとは思わんかった!

 ボスロボでもないこの俺がパンツ小僧撃墜……!これでジジィも枕を高くして寝れるし、カリンカたんも家に帰してやれるってもんよ。

 俺……帰ったら、ジジィの祝勝会とカリンカたんのお別れパーティーをするんだ……

 

「パンツマンもこれまでだな。くっくっくっ……」

 

 ……“獲物を前に舌なめずりは三流”……

 どっかの特殊部隊の軍曹殿の金言を、後々になって俺は思い出した―――

 

「『ロックスライディング』!!」

「な、なにぃ!?」

 

 パンツマンは俺の股下をスライディングでくぐった。おい、システム的にそりゃねーだろ!?

 

「こうなったら……今こそ、ライト博士が僕に託してくれた『新しい力』を見せてやる!!」

 

 青タイツの目がマジになった。途端、小僧のバスターに猛烈な熱量が集中していくのをセンサーが感じ取った。イヤな予感が頭をよぎった次の瞬間―――

 

ニューロック!バスタァァァァァァッッッ!!!

 

 普段のバスターとは比べ物にならん、青と緑に輝くエネルギーが、俺の極細ウエストを直撃、俺は久々に上半身と下半身を素晴らしく真っ二つにされたのであった。

 

「ば……バカな!?何が不調なのだ!?」

「この『ニューロックバスター』なら、どんな相手でも負けない!」

 

 パンツマンはそう宣言すると、やはり俺をスルーして行ってしまった。

 

「マジかよ……しかも再生も出来ん……オ・ノォォォォレェェェ!!」

 

 ジジィ理論、青パン小僧の新兵器に敗れる。

 こーゆートコ、ツメが甘いんだよな、ジジィよ……

 

 ―――――――――

 

 その後―――

 オッサン軍は見事8連敗、パンツ小僧はオッサンの『実家』―――ロシア建築風の見事な城だった。ジジィにこのデザインセンスを見習わせたい―――に乗り込んだ。

 しかしなんと、前回の喧嘩以来行方をくらませていた長兄が、ジジィの『実家』からカリンカたんを奪還、オッサンの元に帰しちゃったからエラいコトになった。

 ―――結局ジジィは自分が生きてたことを青タイツにバラし、『実家』にご招待してレッツパーリィしたんだが。

 

 

 数時間の後、『実家』は某タイムでボカンなシリーズよろしく、ドクロ型のキノコ雲を上げて更地になったのでした。お仕置きだべぇ~。

 あぁ……オチまでシャレコウベ。

 

 

 ―――ジジィよ。もう、老人ホームに入っていいんじゃね?

 

 俺も介護、やるからさ。

 

 

 

 20XX年 Dr.ワイリーによる第四次世界征服計画、ロックマンによって頓挫

 

 コサックの娘カリンカ、ブルースにより救出

 Dr.ワイリーの生存が確認されるも、行方をくらます

 今回の事件においては、コサックもまたワイリーの被害者であり、ワイリーによる単独犯と認定

 裁判にてコサックに執行猶予付きの刑が言い渡された

*1
型式番号:DCN.032。コサック製の戦闘用ロボット。コサックが今回の世界征服計画に際し、ワイリーに半ば脅迫されて開発した、コサックナンバーズ唯一の純粋な戦闘用ロボット。特殊武器『スカルバリアー』は、ワイリーが提供した技術によるもので、髑髏状に視認される特殊なエネルギーによるバリアシステムである。この装備によって防御を賄いつつ、遠距離の敵に対して速射バスターで攻撃を行う。骸骨がモデルとなっているのは、同じく骸骨をシンボルとしているワイリーへの皮肉やささやかな意趣返しであるとも、コサックが抱く戦闘=『死』のイメージが由来ともされているが、真相はコサックが黙して語らぬ為不明。性格は悪趣味かつ好戦的。戦うこと以外何も教えられていないらしいが、どこで知識を得たのかホラー映画鑑賞を趣味とする。ありがひとし先生著『ロックマンメガミックス』におけるロックマン4の後日談的エピソード『復活の死神』ではメインヴィランとして登場。コサックナンバーズの中、ただひとり戦闘用として生み出された彼の悲哀が生々しく語られており、是非一読をお勧めしたい。

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