俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~   作:稚拙

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水晶編

 俺の名はジョー。

 

 『のりもの』によってヒドい目に遭わされた俺は、同型機(兄弟)に助け出されるや否や、即座に『実家』に出戻りした。理由はもちろん―――

 

「ゴラァジジィィ!!」

 

 ―――クレームだ。

 

「なんじゃなんじゃ騒々しい!その声はお前さんか?いったいどうした?」

「どーしたもこーしたもあるかッ!!アパッチも水上バイクもアッという間にボロ負けしたんだが!?だいたいバイクモロすぎ!バスター『2発』は紙装甲だろ!?『V』でさえ『3発』だぞ!?無機物より装甲薄いってどういう了見だぁ!?」

 「お、落ち着け!落ち着かんか!すぐ頭に血が上るのはお前さんの悪い癖じゃぞ!?」

「俺は血も涙も流さねぇ!ロボットだからな!マシーンだからな!!」

「じゃが燃える友情はわかるんじゃろ?じゃったらワシと一緒に『正義を討とう』じゃないか」

「ケッ、こちとら戦闘のプロじゃねぇ、素人上がりなんだよ」

 

 この漫才、いつまですればいいんだか。

 

「……ジジィよ。俺ァ知ってんぞ。俺にナイショでもう一種類、ジョーのボディがあるんだろ。それもハンマーやスケルトンみてぇな局地型のな」

「ぎくっ。……フス~」

「吹けてねーぞ口笛。長兄だったらマトモに吹けてたぞ」

「今ブルースの話題をするな、忌々しい。ついさっき、ダミーの『ブルース要塞』をようやくこさえたばかりだというのに」

「ほぅ。『実家』と同じ規模の違法建築物をよくもまぁこんな短時間に……どれどれ」

 

 俺はその『長兄要塞』を正面から映しているというカメラ映像を見た―――瞬間。

 

「ぶっwwwwwwwぶはははははははははは!!!!!!」

 

 ツボったwwwwwクッソwwwハラがよじれるwwwwww

 まさかwwwwwまさか、長兄のグラサンフェイスをそのまま建物にするとはwwwwww

 ホンモノの長兄が見たら無表情のまま10秒で更地にするなww

 

「前wwww衛wwww的wwwwすぐるwwwww」

「わ、笑うなアホンダラ!!ほらアレじゃ、わかりやすさ重点というじゃろ……子供受けのよい方がじゃな……」

「今更体面取り繕っても手遅れだバーロー。……それよりも、だ。クリスタルマンの基地に行く連中の中に、見慣れん同型機(兄弟)がしれっと紛れてたのは知ってんだよ。そのボディ、余ってんなら俺に寄越せよ……!渋谷区大型デパートヨコセヨ!!」

「最後は何言っとんのかワケわからんが……まぁいいわ。本当は金策用じゃったが仕方無い……」

 

 ジジィのヘソクリがいくら減ろうが関係ない。そんなことより新型ボディだ。

 さーて、ジジィも出し渋った今回の新型は―――

 

「……なかなかイケメンだな。プロポーションもナンバーズに近いし、何より純白のカラーが気に入った。洗いたてのシャツに似た清潔感さえ感じる―――」

「ファッション評論家気取りかアホタレめ。まあ、『クリスタルジョー』はクリスタルマンとかなりの数のパーツを共有しとるから、クリスタルマンの量産型と言ってもいい。スペックはクリスタルマンの90%に達しておる。そのせいで材料費がかさんで数は作れんかったが……『量産型』よりかは『少数生産機』に近い性質じゃな」

 

 まるでνガン○ムとジェ○タの関係だな。

 だが―――

 

「それをどーして俺に黙ってた?」

「言ったじゃろーが、金策用じゃと。クリスタルマンのモノよりは劣るが、人工水晶の精製機能が備わっとるからの。今回かなりの荒稼ぎができたから、一体くらい予備に、と……」

「やれやれ……負け犬根性ついちまってるじゃねーか、負けた時のこと考えてるなんてさ。勝ちに行こうぜ?せっかくの『高性能機』だ……使いこなしてやるぜ!」

「かく言うお前さんもすっかり『ジョー根性』が染み込んどるようじゃな。ならば行けぃ!行ってロックマンの首を取ってくるのじゃぁッ!!」

 

 ……残念ながら、『パンツマンの首(1 U P)』ならわりと落ちてるんだよなぁ、何故か。だから首一つ持ってきたところで死亡証明にはならんよ、あのパンツ小僧の場合。今度同僚(なかま)たちと“あの首”かき集めてジジィの部屋にしこたま置いといてやろう。きっと喜ぶ。

 

 さて、俺が新型ボディを受け取っている間に、タイツマンはブルース軍(に擬装したジジィ軍)の基地を7ヶ所攻略、残った最後の一ヶ所である水晶鉱山基地へと迫りつつあった。ジジィはこの鉱山から水晶を盗掘、売ッ払って荒稼ぎ、一部はクリスタルマンやクリスタルジョーの材料費にまわし、精製した人工水晶でさらに荒稼ぎを重ねる―――という、転売ヤーさながらの狡っ辛い(こすっからい)商売をしていた。どーりで最近、羽振りがいいと思ったぜ。水晶バブルだったわけだ。

 ―――だが、そのバブルも崩壊の時がきたよーで。

 

「新型のジョーか!」

 

 絶対基地壊すマン、参上。

 

「こっちは何度も姿形変えてるが、お前は変わらんなぁ……」

 

 コイツの姿を見て、安心感を覚えるまでの境地に至った俺……

 

「そこを通してもらうぞ!絶対にブルースからライト博士を取り戻すんだ!」

「俺もじーさんとはイイ話をさせてもらったから、礼はしねぇとな……じーさんには美味いメシを……そしてテメーには……!」

 

 俺は胸の前に両の掌を向かい合わせにかざした。

 

「テメーから逆輸入させてもらった……“溜め撃ち”だッ!!」

 

 掌に気合いを込めると、俺の全身が輝き、エネルギーが両掌の間に集中する。 

 

「させるか!」

 

 パンツマンはバスターを連射するが、俺のエネルギーチャージの間は俺の周囲にフィールドが展開されるようになっている。ジョーシリーズとメットールシリーズに連綿と受け継がれる、伝統の『無敵時間』だ。

 

豆弾(まめだま)ではなぁ!」

 

 エネルギーチャージが完了し、先の尖ったデカい水晶が俺の両掌の間に出現した。

 

「ジジィの力を借りて、今、必殺の!!クリスタル・アタァァァック!!」

 

 俺の発射した水晶弾はまっすぐに飛び、青パン小僧の土手ッ腹に命中し、パンツ小僧は仰向けに吹っ飛んだ。なかなかの威力じゃないか。ナンバーズロボットの9割の性能は伊達じゃないらしい。

 

「来いよ、青タイツ!特殊武器なんか捨てて、かかってこい!」

 

 俺は再度のエネルギーチャージに入りつつ、パンツマンにハッパをかける。この間は特殊武器でエラい目こかされたからな、精神的に揺さぶりを―――

 

「負けるもんか……!ライト博士が僕に託してくれた、この力を見せてやる!!」

「『ニューロックバスター』とやらか?だが生憎、このエネルギーフィールドはそれでもビクともしない防御性能でな!!」

 

 パンツマンのバスターにエネルギーが集中する。だが俺は発射前に先制攻撃に成功、青タイツの顔面目掛けて水晶弾を放った―――

 

「『ロックスライディング』!!」

「またかよッ!?」

 

 顔面と同じ高さへの攻撃、もはや通じぬと認識すべきか。

 ゼロ距離を取った青パン小僧は、俺の胴体にバスターを突きつけ―――

 

スゥパァァァ!ロック!!バスタァァァァァッッッッ!!!

 

 ―――じーさんめ、パンパンマンをしっかり強化してやがったか……

 コイツを通して全力で殴りに来てるじゃねーかよ…………

 

 フッ……ありがとよ…………―――

 

 ジジィよ……今アンタと同居してるじーさんは、アンタが思ってる以上に―――

 

 

 ―――『武闘家』だぜ…………―――

 

 

 ―――――――――

 

 さて、それからの顛末はというと。

 水晶鉱山基地も攻略し、8ヶ所の基地をすべて更地に変え、『日ブ工』もビックリの最強解体作業ロボットと化したパンツマンは、ついにジジィが作った過去最もシュルレアリズムに根差した違法建築物件である『長兄要塞』の解体作業に取りかかった。

 長兄のものまねをしたダークマン4号がいいトコまで追い詰めたらしいが、まさかのご本人登場で形勢逆転、さらにはジジィが登場して長兄への冤罪なすりつけとじーさん誘拐、さらには『実家』の番地までをも余さず自供しちゃいまして……

 

 なんだコレは。某テレビ局の『ものまね王座決定戦』と名探偵コ○ンを無理やり混ぜた闇鍋番組か。

 あ、長兄要塞は『ご本人』が5秒で更地にしてくれました。すげぇ、俺の予想の半分だ!流石は長兄!俺達の出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる(略

 

 で、あとはもうわかってますよねー。

 じーさんはパンツ小僧に奪還(ゲットバック)され、ジジィの5棟目の『実家』は轟音とともに爆発四散、サヨナラ!

 ……最期は自爆だったらしい。それは青タイツの手で更地にされることを拒んだ、『実家』のささやかなる抵抗だったのかもしれない……

 

 ……さて、今回の喧嘩も見事に俺達『ジジィ軍団』の敗北に終わったわけだが……

 これまでの負けに比べて、なんだか清々しさすら感じるのは何故だろうな。

 決まってる。じーさんの覚悟を知れたからだ。じーさんの本気を、言葉と実力行使(パンツ小僧)、その両面から受け止められたからこそ、俺もマジメに燃えられた。

 

 ジジィよ、じーさんは本気だ。

 次は―――アンタが『見せる』番だぜ。

 

 

 

 20XX年 Dr.ワイリーによる第五次世界征服計画、ロックマンによって頓挫

 

 ブルースを旗頭に武装蜂起したロボット軍団はすべてロックマンにより鎮圧、さらにブルース軍はワイリー軍による擬装と発覚

 

 Dr.ライト、ワイリー要塞からロックマンにより救出

 

 Dr.ワイリー、またも行方をくらます

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