俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~   作:稚拙

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野郎編

 俺の名はジョー。

 

「死ぬかと思ったぞ!!前々回フラグっぽくバカ一にあんなコト言うんじゃなかったッ!!」

 

 生きておりますとも、ハイ。

 パンツボーイの地雷は、俺の下半身“だけ”をキレイサッパリ吹っ飛ばしてくれた。おかげで電子頭脳(のーみそ)のある頭部は無事にしぶとく生き残り、同型機(兄弟)に救助されてなんたらかんたら以下省略。

 

「いやーケッサクだなぁザコよォ!!イキッて出てったらロックマンに返り討ちとはなァ!!ぶっははははははははは!!!」

「ギギギ。おどりゃバカ一」

 

 バカ一が俺の肩を爆笑しながらバシバシ叩く。ちくせう。てめーはパンパンマンとガチで戦ってねぇからデカい口叩けんだ。あの純真な表情とまっすぐな正義感に騙されちゃいかん。あれは蒼き衣を纏った死神なんだぜ。コレだから世間知らずのボンボンは……

 しかもスナイパージョー01のボディの在庫がないからって、旧型の無個性ボディに電子頭脳を移植されてしまった。バスターとシールド、返してけろ。

 

「……事実だからな。今回は謹んで笑われてやるよ」

くぅ~ん……

「おぉゴッスィー……心配かけたなぁ……俺の心配をしてくれるのはお前だけだよ……後でE缶*1オゴってやるからな♪」

わんわん♪

「さり気なくゴスペル餌付けしよーとしてんじゃねーよ。ともかく、やっぱロックマンをブッ倒せるのはこのオレだけってことだなァ!」

「でもジジィはあの独特なアゴのロボットにべったりのよーだぜ」

 

 ジジィは、ロボット博物館に展示されていて、先頃豪快にパクってきたガッツマンを舐め回すように観察している。

 

「見事なモノじゃ。出力、耐久性、拡張性……すべて申し分ない。ライトが作ったという一点以外は完璧じゃな♪」

「やっぱガッツマンオキニじゃんか」

「んぉぅ!?……な、なんじゃ……その声はお前さんか……」

「それにしても……」

 

 俺はガッチリとしたガッツマンの巨躯を見上げた。無表情で一点を見つめたまま、微動だにしない。理科室の人体標本めいた雰囲気を俺は感じた。

 

「今にも動き出しそうで怖ぇな……」

「このガッツマンはライトが博物館展示用に作っとったスペアボディ……電子頭脳は入っとらん。動き出すことはないから安心せい」

「なんだスペアか……ん?じゃあロボット博物館に展示してあるジジィのロボットはなんなんだ?まさかわざわざ寄付するほど器がデカくあるまいに」

「……何しれっとディスっとるんじゃ。ありゃロックマンの記録しとった映像から、どこぞの輩が3Dプリンターで()()だけ再現したハリボテ同然のシロモノじゃ。最近になってロボット博物館がロックマンの企画展を始めたらしくてな。その一環でロックマンと戦ったロボットどものスペアボディが展示されとったのじゃよ」

「オッサンのロボットや前回の世界最強ロボのスペアとかもあった中……どーしてガッツマンに手ェ出したのけ?」

「それは……その……さっきも言ったじゃろ。完成されていながら高い拡張性を持っておるからな、改造ベースにはうってつけなんじゃよ……」

「…………………………ア・ゴ❤」

「……ッ!!?」

 

 ジジィは刹那に動揺した。

 

 「あのしゃくれた“段差アゴ”の魅力に取り憑かれてんのはよ~くわかってる。『ねんがんのアゴロボをてにいれた』んだ、喜びもひとしおだろう」

「ぬ……じゃ、じゃからワシはあのアゴにそそられたワケでわ……」

「まぁそういうことにしとくか。だが青パン小僧のことだから、ガッツマンを『ころしてでもうばいとり』に来るぜ。まぁ、この場合は取り返しに、だが」

「フンッ!わかっとるわアホンダラ。ならばせめて兄弟を心置き無くクズ鉄に変えられるように徹底的に改造してくれるわ!!今に見ておれロックマン!!ぬッははははははは!!!」*2

 

 ジジィが楽しそうで(ry

 

「おお、そういえばお前さん、ターボマン*3の基地が少し手薄になっとってな。手伝いに行っとくれんか?お前さんの為のマシンも用意しとるから、頼んだぞ!」

 

 ―――――――――

 

「ヒィィィャッッハァァァァァァ!!!オラオラどーしたパンツマァァ~ン!逃げてるだけじゃ勝てねぇぜ~!?チンタラしてっと轢いちまうぞオ゛ラ゛ァァ!!!」

 

 ……………………

 

 『ジョーさんが楽しそうで何よりです』……だって?そりゃどーも。

 

 俺は基地に着いて早々、大型のショベルカーを魔改造したと思しき大型トラックに乗り、現在侵入してきた青パン小僧を追いかけてるところだ。何故かこの時の俺は興が乗っていて、頭に白いタオルまで巻いていた。ハチマキじゃなくタオルな、これがミソだ。

 もはやただの暴走トラック野郎―――『トラックジョー』と化した俺は、世紀末のモヒカンのように三下感抜群の咆哮を上げながらパンツ小僧を追いかけ回しているのである。モヒカンジョーに改名した方がいいのは、どーやら俺の方らしい。

 

「くっ……!弱点は……弱点はどこなんだ!?」

 

 追いかけられながらもバスターで抵抗してくるパンツボーイだが、この魔改造トラックは案外重装甲で、バスターを弾いてくれている。

 そうこうしている内、ついに行き止まりまでパンツマンを追い詰めた。

 

「行き止まり!?そんな!」

「もう後がねぇぜ正義のヒーローさんよォ!押し潰されるか降参するか、好きな方を選びな!」

 

 トラックの前面、“最も魔改造なポイント”と思われる特殊金属製のトゲ付きプレートがタイツマンに迫る!

 

「カモンラッシュ!!ラッシュコイル!!」

「ワォォォォォン!!」

 

 パンツ小僧の相棒・ロボワンコことラッシュが降臨し、背中からバネを出してタイツ小僧を遙か上空へと打ち上げた。

 なるほど、そう来たか。その方法ならこのトラックをジャンプで越えられる。案の定、タイツマンは俺のトラックの後方に着地する。

 ―――でもな。

 

「バックしま~す♪」

 

 教習所通っててよかったわ。慌てず焦らずギアを『R』に入れる。マニュアル講習の方にして正解だったぜ。

 とは言うが、実は俺、教習所卒業できないまま前世で死んだから無免許なんだわ。決めた。この件が終わったらきちんと教習所通い直して正式な免許取ろう。ジジィが車持ってるコトは知ってるし―――あ。

 そーだった。ジジィのヤツ、事もあろうにターボマンの開発ベースにあの車を使ったんだった……!!ちくせう、俺はどこまで運のない―――

 

「もらったぁぁぁぁぁぁ!!!」

「―――!?」

 

 ジャンプしていたパンツマンのバスターの砲口が、俺を捉えていた―――

 

 

 みんな、車を運転する時は、ボーッとしたり考え事をするんぢゃないゾ!慎重に、ゆとりを持った、思いやりのある運転を心掛けるんだ!ジョー兄さんとの約束だ!

 

 

 ―――数秒前まで運転席にいた俺の愛車は、赤々と燃え上がったのだった。

 

 

 ―――――――――

 

 残念だが、今回の喧嘩での俺の出番はここまでのようだ。後はバカ一とゴッスィーとジジィに任せることにする。

 そのバカ一だが、アイツなりに一芝居打ったらしく、じーさんの研究所への潜入にまんまと成功し、『合体のための設計図』を盗み出した。やるじゃねーか。だがこの件、じーさんサイドにもツッコミどころがある。

 

 まずひとつ。あんなバカのサル芝居にダマされるパンツマンとじーさん、あまりにも人が良すぎる。もう都合6回もジジィと喧嘩してるんだし、そろそろ人やロボを疑う事を学ぶべきじゃないのけ?

 そしてふたつめ。今時設計図を紙資料で、それも人の目に付くところに置いとくか?後々聞いた話では流石の俺も耳を疑った。20XX年だぞ!?未来だぞ!?フツー、そんな重要書類はハードディスクとかSDカードとか、そーゆーのに保存しとくモンだろ!?

 これを機に、ライト研究所にはセキュリティーの見直しを強く薦めたい。いや立場上敵の俺が言うのも変な話だが。

 

 そして、パワーアップを遂げたバカ一とゴッスィーは、合体して『スーパーフォルテ』となり、『実家』にて同じくロボワンコと合体したパンツマン『スーパーロックマン』と『宿命の対決』を繰り広げたわけだが、いいトコまで追い詰めたものの結局敗れ去った。これで勢いづいちまったパンパンマンは、あっという間に7棟目の『実家』を爆破炎上させ、のっしのっしと徒歩で帰宅していった。

 

 惜しかったな、バカ一よ。これでちったぁパンツ小僧の強さを肌で感じ取れただろう。ゴッスィー、ケガしてなけりゃいいけど。

 

 っつーわけで、これで7度目の喧嘩はおしまい。だが次の喧嘩のことは、あんまり思い出したくないんだよなぁ……

 

 ジジィとじーさんの世界を巻き込んだ大喧嘩は、バカ一という新メンバーを加えて大いに盛り上がる。そして、それはあくまでも『俺達』の手で決着なり何なりがつけられると思ってた。

 

 ―――あの、『鋼の英雄たち(メタルヒーローズ)』が、宇宙から降ってくる、その日までは。

 

 俺もジジィも、パンツ小僧もじーさんも、そしてバカ一さえも、『ある力』に目がくらみ、踊らされちまった『8度目の喧嘩』―――

 

 それは、突然始まった。

 

 

 20XX年 Dr.ワイリーによる第七次世界征服計画、ロックマンによって頓挫

 

 負傷したフォルテ、ライト研究所に搬送。修理完了後、ライト研究所からパワーアップ設計図を奪取

 フォルテ、Dr.ワイリーが開発したロボットと判明

 

 Dr.ワイリーの研究所、爆破炎上。ワイリーは姿を消し、再び行方不明に

 ワイリー、全世界に指名手配される

*1
正式名称『エネルギー缶』。液化させた太陽エネルギーを充填した、ロボット用缶飲料。人型・非人間型問わず、太陽エネルギーで稼働しているロボットならば誰でも摂取できる。ロボット専門ショップの店頭や自販機等で安価で手に入るほか、業務用サーバー対応のビア樽サイズや備蓄用のドラム缶サイズも存在。ロボット達は日常の食事やオヤツとしてコレを飲んでおり、今やロボット達の生活に必要不可欠な大ヒット商品である。なかなかに美味らしい。ゲームではおなじみのストック制体力全快アイテムで、多くのプレイヤーがこれにピンチを救われただろう。逆にこれを使わずクリアできるのはロックマンシリーズ上級者の証左とも云える。

*2
そして徹底改造された結果が、ワイリー城で登場する『ガッツマンG(グレート)』である。左腕をペンチ状のハイパワーアームへと換装したが、その代償として二足歩行が不可能となったため、下半身を丸ごと剛性を重視したフレームを組み込んだキャタピラ式の脚部に換装し、さらにはジェネレーターもより大出力のものへと交換―――結果、原型機とは比較にならないほどの恐るべきパワーを持つに至った。よく見ると変化の少ない右腕部も換装されており(二の腕の色が黄色から灰色に変わっている)、結果原型を留めているのは頭部と胸部のみとなっている。ライト製のボディをワイリーの技術で改造したという点では、ある意味でライトとワイリーの技術融合体とも云え、『ガンマ』の小型化版と解釈できなくもない存在である。奇しくも顔も似ている。

*3
型式番号:DWN.056。ワイリー製の可変型戦闘用ロボット。脱獄したてで資材不足に悩んだワイリーが、苦肉の策として所有していたヴィンテージカーを泣く泣く改造して誕生したという、ワイリーナンバーズ随一の異色の出自の持ち主。通常のロボット形態から、瞬時に機動力を重視した車形態に変形することが可能。動力源であるガソリンエンジンをそのまま流用しているため、ガソリンが燃料。さらに特殊武器の『バーニングホイール』も、ガソリンを使用して炎の車輪を撃ち出すものであるため、非常に燃費が悪い。カーステレオがそのまま残っているらしく、音量を爆音にしてカッ飛ばすのが趣味。あとはエアバッグが欲しいらしい。同じく化石燃料を動力源とし、E缶が飲めないチャージマンからは後輩として可愛がられている模様。

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