俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~   作:稚拙

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宇宙からの脅威!!の巻
感染編


 俺の名はジョー。

 

 さて……タイトルからしてイヤ~な予感がしてる、ディスプレイの前の読者(アンタ)……その通り。

 

 今回の喧嘩のメインテーマは……『ウイルス』だ。

 

 もう言うまでもないと思うが……読者(アンタ)たちの世界じゃ、『新型コロナウイルス』っていう得体の知れんウイルスが蔓延してるらしいな。幸いこの未来の世界じゃ、ほとんどのウイルスに有効なワクチンやら特効薬やらがあらかた開発されてるらしいから、大規模なパンデミックが起きる心配はほとんどないらしい。

 

 ―――大丈夫。未来は元気だよ。

 

 ……って、ドラえもんも言ってるし、さ。

 そう悲観的になることは無ぇ。感染対策バッチリ決めりゃ、いずれは消毒もわざわざしなくてもいい、マスク無しで笑いあえる日が来るさ。その日が来るまで、俺も未来から応援してるぜ!

 ……てなわけで、今回の喧嘩はたまたまジジィがウイルス使おうと考えただけであって、決して時事ネタじゃないことは事前に断っとく。

 

 閑話休題、肝心要の本題だ。

 すべてはある日の朝、11棟目の『実家』のリビングから始まった。

 この日に限って、ジジィはいつもよりも遅い時間に、朝飯を食べにリビングにやってきた。

 俺はE缶を飲みながら朝のワイドショーを見て、ジジィを待っていた。

 

「おうジジィ、今日はちょっと寝過ごしたか?今、味噌汁温め直すからよ―――」

「…………………………」

 

 ―――バタッ!

 

 ジジィはいきなり、床に倒れ伏した。

 

「!?ジジィ……!?おい、ジジィ!!」

 

 いつぞやの時と違って、息はあった。見ると、顔が真っ赤になっていた。額に手を当てると、センサーの温度探知機能が『39.5℃』と、俺の脳裏に数字を浮かび上がらせる。

 

「大丈夫か!?凄ぇ熱だぞ!?」

「…………ここ最近……“あれ”にかかりきり……だったからのう……ロクに寝れもせんかった……」

「“最後(Z)エロス(ERO)”なんかに執心するから……とにかく医療マシンに―――」

「…………アレは故障中じゃ…………」

「……マヂかよ……ッ」

 

 普段便利が良いモノほど肝心要の時に使えねぇ、というのは古今東西過去未来同じだ。仕方なく、俺は近場の総合病院をネットで調べ、普段買い出しに使ってる電気自動車―――7回目の喧嘩の後、きちんと免許を取った―――の後部座席にジジィを放り込み、アクセルを踏み込んだ。

 

 ―――――――――

 

 総合病院の内科。

 俺はジジィの診察に付き添い、聴診器を当てられたり、採血されたり、鼻の穴に綿棒突っ込まれて渋い顔をするジジィを見守った。

 そして―――

 

「レイ・ブリュイルトさーん。診察室にお入りくださーい」

 

 ジジィの偽名が女性看護士さんに呼ばれた。診察室で、初老の医者先生からあっさりと宣告される。

 

「A型のインフルエンザですね」

「……はぁ」

「初期症状ですから、お薬を飲んで、一週間ほど安静にしていれば大丈夫ですよ。……ところで、あなたは―――」

「『ヘルスケアジョー』です。ブリュイルトさんの介護を任されています」

「あぁ、最近普及し始めた……」

 

 俺の嘘にアッサリと医者先生が引っかかったのにはワケがある。

 これまで喧嘩に駆り出され、パンツ小僧に倒された同型機(兄弟)の中には、電子頭脳だけをキレイに壊され、空のボディがほとんど無傷で残った奴もいる。そいつらを喧嘩の後で回収し、戦闘用装備をキレイに取り除き、電子頭脳を入れ替えた上、民間の人型作業用ロボットとして販売された『民生型ジョー』が、最近出回り始めたらしい。人手不足の介護業界や医療機関、土木作業や、人間が直接行うには危険な仕事に、労働力として引っ張りダコという話だ。

 悪の手で生み出された俺の同型機(兄弟)が、紆余曲折の末に世のため人のために役立つ仕事をしてると思うと誇らしいなぁ。もっとも、ジジィは良い顔をしてなかったが。ジジィにすりゃ、自分が作ったロボットを勝手にパクられて勝手に改造されたもんだしな。……『お前が言うな』というツッコミは、ジジィに代わって謹んでお受けする。

 で、その民生型ジョーの一種が、介護用品メーカーがリースしている『ヘルスケアジョー』というワケだ。おかげで俺もヘルスケアジョーを名乗っていれば街に出ても不審な視線を向けられなくなった。ジジィと一緒にいても介護ロボなら不自然じゃないしな。

 

「では、左腕のハブを出してください。電子処方箋と療養の上での注意事項をインストールしておきますから、薬局の受付端末に接続して、お薬を受け取ってくださいね。お薬は一週間分出しておきます」

「はい。ありがとうございます」

 

 左腕のシャッターが開き、情報取得用のUSBハブが現れる。そこに医者先生のパソコンから伸びるケーブルが刺さる。ジジィじゃなく俺が『注射』をされてるみたいだ。ケーブルを介して、電子処方箋のデータと、『インフルエンザの治療』と題された複数の画像ファイルがインストールされてくる。『実家』に帰ったらしっかり読んでおかないとな。

 

「お大事になさってください」

「お大事に♪」

 

 にこやかに会釈する若い女性看護士さんに軽く頭を下げながら、俺とジジィは診察室を出た。よくよく見ると看護士さんもロボットだった。カワイイ子だったなぁ。アドレス交換しとくんだった。

 

 『実家』に帰ると、それはもうエラい騒ぎになった。

 ジジィを部屋に帰して寝かせてから、見舞いをしようとジジィの部屋に行きたがる同型機(兄弟)同僚(ロボット)たちが後を絶たなかったのだ。

 中には『不治の病であと1ヶ月の命』だの、『植物状態で二度と動けない』だの、誰が吹き込んだのかわからん突拍子もないデマに慌てふためいているヤツもいた。

 

「心配すんな!タダのインフルだ!薬飲んで一週間寝てりゃ良くなる!」

 

 幸い俺達はロボットで、この『実家』に伝染(うつ)る可能性があるヤツは誰一人居ない。俺は騒ぐ同僚(ロボット)たちをどうにかなだめ、ジジィの看病に勤しんだ。

 そして一週間後。

 

「完・全・復・活!ぢゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

「朝っぱらからやかましいだろーがッ!!!」

 

 ジジィ、全快。

 

 まぁ、あの程度のインフルで死ぬようなタマじゃねぇよな。生命力のカタマリみてぇなジジィだし。

 それに仮に身体がどうにかなろうとも、ロボットのボディに頭脳やら意識やらを移植してしぶとく生き延びそうな気もするんだよなぁ。100年くらいは生きるかも知れん。

 だがしかし。こんな迷惑ジジィを21XX年の未来に輸出していいものかと考えた場合、やはり止めた方が賢明だとわかる。大人しく寿命で往生すべきだ。間違っても“最後(Z)エロス(ERO)”の行く末を観察するような親バカは発揮してくれないでもらいたい。100年後の人類とロボットの皆さんに大迷惑がかかる。

 

 そう俺がくどくどと地の文で語っている内、ジジィは俺が作った朝食のパンケーキプレートをペロリとたいらげ、意気揚々と洗面所に行って歯を磨いて顔を洗い、テキパキと着替えて宣言した。

 

「いい考えが浮かんじゃったなーー♪」

 

 いつになくイイ表情しやがる。聞いてもらいたそうに目を輝かせて俺を見るもんだから、仕方なく。

 

「……なんだよ、そのいい考えってさ……」

「この一週間……ワシは地獄を見た……鉛のカタマリを乗せられたかのような頭痛……いくら毛布を着込んでも極寒の吹雪の中にいるような感覚の寒気(さむけ)……何故このワシが!!悪の天才たるこのワシがこんな目に遭わねばならんのぢゃッ!?」

「そりゃまぁ、カゼやインフルなんかは気をつけててもかかる時ゃかかるぜ?ジジィみたく予防接種受けてなけりゃ、尚更さ」

「そこでじゃよ。この間無重力実験棟で面白いモノが出来たものでな。今度はコレを使ってみようと思っとる」

「無重力実験棟って……あぁ、アレか」

 

 この11棟目の『実家』には、宇宙まで延びる軌道エレベーター、そしてその先の宇宙空間に聳える『展望台』とも言うべき建物―――『無重力実験棟』がある。結果的にこの『実家』は、今までで一番デカい。こんな雲を突き破って宇宙まで届く超高層違法建築物をおっ建ててモロバレじゃないかとツッコまれるだろうが、ジジィはそんなこともあろうかとキッチリステルス処理をして周りからだけでなく、レーダーやらなんやらからも見えなくしてるらしい。

 

「ついこの間出来上がったモノにチョチョイと改良を加えて出来上がったのが……コレじゃよ」

 

 そう言ってジジィが取り出したのは、一個の紫色のUSBメモリだった。

 

「コイツは?」

「ワシ謹製のコンピューターウイルスじゃよ」

「ンなッ……!?」

「コイツを世界中にバラ撒いて、世界中のロボットにもワシと同じ目にあ゛ぉ゛ぅ!?」

 

 ―――流石にそれはヤバい!!!

 俺は反射的にジジィの胸座(むなぐら)を掴んでいた。

 

「おいジジィ……今まではジジィの方にも理があるって思って手を貸していたがな……まさかそんなアホな理由で物騒な病原菌(モン)バラ撒こうとするは思わなかったぞクソジジィ……!やはり老人ホームにブチ込む事こそ正義と悟ったァァッ!!」

「ま、待て待て待て!!落ち着いて話を聞けッ!!絞まる!首が絞まるッ!老人ホームの前に火葬場に連れてくつもりかァ~!!?」

 

 ジジィが語るところによれば、今回バラ撒こうとしているウイルスは、『試作型』よりも幾分マイルドに改良したモノらしい。感染してもブッ壊れはしない、とジジィは言うが……

 

「コイツはロボットに感染後、しばらくの潜伏期間を経て、風邪に似た初期症状を起こす。同時に双方向通信機能を強制的に起動し、ウイルスを他のロボットに送信して“感染”……それを繰り返して感染拡大させるという仕組みじゃ」

「……飛沫感染さながらだな」

「そして一定期間が経過すると、電子頭脳の一定領域に作用し―――」

 

 

 理性を失い熱暴走する、“ステージ2”に移行する

 

 

「……!!」

「一見して、見境のない暴走に見えるじゃろうが、その段階になって初めて、“ある制御電波”を受信可能な状況になる。その電波を受信した“感染ロボット”は、電波を発信する制御装置から思うがままに制御可能になる、というワケじゃ」

「……その制御装置ってのを…………ジジィのことだからもう造ってるか」

「フフフ、少し前に『造り置き』しといたモノが役に立ったわい」

「久々の3分クッキングネタだな」

「さらに!!ワシが『ウイルスで世界を獲る』ためにこんなモノも用意しておる!」

 

 そう言って取り出したのが、大きな医療用カプセルに六角形のナットが挟まったような、独特な形のモノだった。

 

「それってまさか……」

「そのとーり!このウイルスから立ちどころに全快できるワクチンプログラムじゃ!コイツを量産して必要としておるロボットに高値で売りつけるんぢゃよ。世界はウイルスによって大パニック、じゃがワシのワクチンを求めて世界中のロボットがワシに助けを求めにやってくる!金が無くて暴走したロボットも、いずれはワシの制御下に入り、優秀なロボットがたくさん手に入る!どう転んでもワシが得するウハウハな作戦!その名も『宇宙からの脅威!!』じゃぁぁぁぁぁ!!!」

「……ん?どこから宇宙が出てきた?」

「このウイルスの試作型を開発したのが『無重力実験棟』じゃったからのう」

「そーゆーことか。……まったくあくどいコトにだけは元気に頭が回るんだからな……」

「既に“制御装置”はワクチン製造機に内蔵しとる。ヘタに別々にすると厄介なことになりかねんからのう……」

「ヘタに一緒にしても厄介なことになりそうな気がするがな……って、ちょっと待て。コンピューターウイルスってヘタすりゃ俺達も感染するんじゃね?そうなったらキングの時以上に『実家』がヤバいコトにならんか?」

「素朴な疑問じゃな。このワシがそんなウッカリをしでかすようなマヌケと思ったか?」

「過去何回かしでかしてるから言ってるんだが」

「ぬぅ……じゃが心配いらん!すでにお前さんを含めたこの基地内のロボットたち全員に、ワクチンパッチを送信しておる!お前さんたちジョーに至ってはボディも新調したというのに何も気づいておらんかったのか?」

「……え?おぉ!!いつの間にかボディが赤から緑に!専用機から量産機にランクダウンか……」

「専用機も何もジョーに専用機なぞ存在せんわ。ウイルス対策バッチリのマシンガンジョー、これぞ『帰ってきたマシンガンジョー』じゃ!」

「……マイナーチェンジだからそのネーミングで納得せにゃならんな……」

 

 常にジジィの手足として最前線で戦ってきた俺とあっちゃ、『ウイルス』なんつー得体の知れんブツをバラ撒くこの喧嘩はどーも乗り気がせん。しかしどんなに渋い表情にしようと、金属製のモノアイフェイスではジジィに伝わるはずもなく、ジジィ製のウイルスを積んだ超小型の蚊型ロボットは街に向けて静かに放たれたのだった。

 

 

 ―――そして2ヶ月後。

 

 

《……新型コンピューターウイルスによるロボット感染症『ロボットエンザ』の感染拡大は尚も続き、各地で混乱が広がっています》

 

 テレビのニュースキャスターが、深刻な表情で伝えている。ジジィのウイルスは瞬く間に世界中に蔓延。WRUは『ロボットエンザ』と命名し、1ヶ月前にパンデミックを宣言。世界中のロボット工学博士が揃いも揃って有効なワクチンプログラムを開発できないまま、高熱や長引く咳、吐き気などの症状に苦しむロボットは日に日に増えていた。

 やがて、ロボットに支えられていた社会も当然、その体を保てなくなっていった―――

 

 そして、ついにその日が来た。

 

《ロボットエンザによる高熱で電子頭脳が暴走したロボット達が、世界中で破壊活動を行っており―――》

 

 ジジィの想定通り、“ステージ2”に移行した。

 

「すべてはスケジュール通りにコトが運んでおるわ。ロボット達のデータが次々と送信されてきておる」

「ワクチンももう出来てるんだろ?」

「それがまだなんじゃよ。データ取りに基地の電力を割いとるからとりあえずの1個だけしか―――」

 

 その時、警報音と共に、低い轟音と衝撃を感じた。

 

「!?」

「な……なんじゃッ!?」

 

 思わず身構えた次の瞬間、この研究室の出入り口のドアが爆風とともに四散、俺とジジィは衝撃で吹っ飛ばされた。

 

「ぐぅ……ッ!ジジィ、大丈夫か!?」

「この程度でくたばるほどヤワじゃないわい……!何者じゃ!?まさかもうロックマンが嗅ぎつけおったのか!?警備は何をしておったァ!?」

「……!なんだコイツら……!?」

 

 ジジィが怒鳴る中、チリとホコリの奥から研究室に入ってきたのは、まったく見覚えのない、8体のロボット達だった。

 しかし全員、俺の熱センサーでも容易に捉えられるほどの、異常な高熱を発していた。

 

「…………ゥゥウ……!」

「アツイ……ク、クルシイィ…………!」

「ゲホッ!ゴホッゴホッ!!」

 

 8体とも、頭をフラフラさせたり、せき込んだり、明らかに健康体とは程遠い状態だ。それを見たジジィが瞠目する。

 

「……!こやつらは……!!」

「知っているのかジジィ!?」

「うむ……送信されてきたデータの中にこやつらのデータもあった……こやつら全員、ロボットエンザに感染しとるぞ!」

「じょ、冗談じゃねーぞ!?つーかこいつらどーやってここにたどり着いた!?ステルスなんとかで見えねぇんじゃなかったのかよ!?」

「まさかとは思うが……ウイルスが“逆探知”したとでもいうのか……!?バカな、ワシはそんな……」

「おい製造販売元ォ!?」

 

 愕然とするジジィを尻目に、8体のロボットの中で一番ガタイのデカい緑色のロボット*1が、ワクチン製造機をどっこいせと持ち上げた。

 

「こいつら、まさか最初からアレ狙いで!?」

「ド、ドロボー!!」

 

 慌てて俺はバスターをデカブツロボに向けたが、俺とジジィの眼前に、頭の部分が氷山のようになったロボット*2が、右腕を水平に鋭く振った。液体が撒き散らされた途端、そこから巨大な氷の棘が壁のようにそそり立ち、進路を塞いだ。

 

「オーバーヒートとは全く無縁そうな氷ロボまで暴走させるとは効果覿面(テキメン)じゃねーか……なぁ、ジジィよ……!?」

 

 ジジィに目を向けると、愕然として腰を抜かしていた。

 俺はすぐさまバスターを巨大氷柱に向けてブッ放したが、氷柱が粉々になる頃にはすでに8体のロボットたちの姿は消えていた。

 

「…………チッ、どーすんだ……ワクチンが造れなきゃウハウハ以前の問題だぞ……ロボットが動けなきゃ、それこそ世界の終わりだ……」

「ぐぅ…………ッ……ならば作戦を変更せざるを得まい……!ここからでも軌道修正は充分可能じゃ……!」

「軌道修正って……もうこうなっちまったら喧嘩する前に人類もロボットも仲良く全滅だぜ!?早いトコ、ライトのじーさんやタイツマンと休戦してだな―――」

「言われんでもそのつもりじゃッ!!」

 

 驚いた。

 キングの件以来、幾分頭が柔らかくなったのか、素直にじーさんに頼ることを覚えた……のだろうか。

 

「ワシはこれから、手元に残ったこのワクチンを土産にライトの所に転がり込む!あの暴走ロボット共にこの基地から追い出されたことにしてな。……背に腹は代えられん、こうなったらロックマンにあのワクチン製造機を取り返させるよう仕向ける!それから製造機をかっぱらえば何の問題もあるまい!!」

「多少遠回りになるがな……ホント、他人のフンドシ使わせたら天下一品だよ、アンタは」

「誉め言葉と受け取っておこうかの。……お前さんにも頼めるか?」

「今回の俺のミッションだな。何をすりゃいい?」

「お前さんはこの基地のジョー達の中から何体か選抜して、連中を追ってくれぃ。そして隙を見てワクチン製造機を奪い返すのじゃ!……あ、でももしロックマンが来たら、ドサクサ紛れに別に倒してしまっても構わんぞ?」

「あからさまな死亡フラグはノーサンキューだ……元ネタはそんなにフラグじみてなかったらしいが

 

 ……とゆーわけで、キングの時以来となるジジィの夜逃げである。前回と違うのは今回はジジィがじーさんの家に自主避難する形となるワケだが。

 

 さて……今回の喧嘩は今まで以上に色々な意味でヤバい。ジジィが原因とはいえ、このままだとマジでバイオ〇ザードだ。この『実家』がアン〇レラ扱いされ、ジジィはさしずめウェス〇ーか。……ファーストネームが同じとは奇遇だな。

 俺は俺で、逃げ出したあの連中を追わねばならなくなった。

 ……こーゆーコトが起こるから、俺は乗り気じゃなかったんだ……世界中の皆さん、本当にすんませんでした……俺があの時、ジジィを止めて老人ホームにブチ込んでさえいればこんなコトには……ッ。

 こうなったら、まずは何はともあれワクチン製造機の奪還が最優先だ。アレが使えん限り、ロボットエンザを治すにも暴走ロボットを制御するにも、二進(にっち)三進(さっち)もいかん。パンパンマンもジジィがけしかけるらしいが、果たしてどう転ぶことやら……

 

 俺とジジィ史上初の、『世界を守るための戦い』―――

 

 ―――という崇高な皮を被った、空前絶後の壮絶な『尻拭い』が、今ここに始まろうとしていた……。

 

 

 

 20XX年 北米にて未知のコンピューターウイルスに感染した作業用ロボットが発見される。あらゆるワクチンを受け付けないこのウイルスは、1ヶ月の間に全世界に感染拡大。WRUはこのウイルスによるロボットの感染症を『ロボットエンザ』と命名、パンデミックを宣言

 

 Dr.ライトの製作した家事補助ロボット『ロール』、ロボットエンザの陽性が確認される

 

 1ヶ月後、ロボットエンザによって電子頭脳に支障をきたしたロボットたちが全世界で暴走を開始、破壊活動により各地が大混乱に陥る

 

 Dr.ワイリー、ロボットエンザを治療するためのワクチン開発に成功するも、ワクチン製造機を感染ロボットの集団に奪取され、ただ一つ製造できたワクチンとともにライト研究所に避難

 

 ロックマンとブルース、ワクチン製造機を奪還するために出動。フォルテも行動を開始し、3人でチームを編成して感染ロボット軍団に立ち向かう

 

 これらの裏で、Dr.ワイリーによる第十一次世界征服計画発動

*1
『コマンドマン』のこと。型式番号:DWN.075。緑色のカラーリングと厳つい直線的なボディから純戦闘用ロボットと思われがちだが、実際はNGO組織所属の地雷除去作業用ロボット。ボディは地雷原での事故に備えて直線構造を多用して非常に頑丈に造られており、少々の誤爆にはビクともしない。特殊武器の『コマンドボム』は、本体からの操作信号によって直線的に弾道を変更することが可能な遠隔誘導爆弾で、これを地雷原に発射、爆発させて地雷を誘爆させることで地雷除去を行う。また弾頭は多積層式であり、着弾と同時に複数の小型ナパームが火柱を上げ、広範囲の地雷を誘爆させることが可能。世界各地から依頼が来るため多忙を極めるが、元々旅好きなこともあり、世界各地のオイルを味わえることが仕事の楽しみと語る。穏やかで社交的な性格なのだが、見た目が厳つく、爆弾を使うこともあって、現地の子供達から怖がられるのを気にしているらしい。ちなみに『10』と『11』の8体のボス達は、ワイリーが開発に直接関与していないロボット達だが、ワイリーの世界征服計画に利用されたため、『DWN(ドクターワイリーナンバーズ)』の型式番号が付された上でWRUのデータベースに公式に登録されている。なお、同様にワイリー製ではない第四次計画に利用されたコサック製の『DCN(ドクターコサックナンバーズ)』と、第六次計画に利用されたWRUメンバー製の『MXN(ミスターエックスナンバーズ)』も、WRUのデータベースには便宜上『DWN』として登録されている。

*2
『チルドマン』のこと。型式番号:DWN.076。ある国の気象観測局に所属する、北極圏自然観測ロボット。観測用高感度センサーの冷却を行うため、ボディにオイルとは別に液体窒素を循環させており、過冷却防止のために冷却水も循環させている。特殊武器の『チルドスパイク』はこれらの冷却機構を使った副産物的なものであり、液体窒素によって過冷却状態(凝固点より低い温度でも凍っていない状態)になった冷却水を高水圧で発射することで、何らかの物体に触れた瞬間、その物体を巻き込んで凍結する。さらに周囲の空気を巻き込み結晶化させることで、氷が棘状に形成される。かねてより環境問題に興味を持っており、仕事の合間を縫って北極圏の現状を写真に収めてルポとともにネットや雑誌に掲載、環境問題ルポライターとしても名が知れている。極地活動用ロボットとしてはアイスマンの後輩にあたり、コサック製のツンドラマンは同期である。

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