俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~ 作:稚拙
立志編
俺の名はジョー。
……てなわけでジジィが世界様にふっかけた喧嘩は見事なまでのボロ負けに終わったわけだが、たった一度の失敗で懲りるほど素直じゃなかったらしい。
ま、年寄りだし、脳味噌カッチカチの石頭だろーし。そもそも素直なら世界征服なんざ企画しねーだろーし。
今度の『実家』はなんともまぁ趣味的な……ドクロつけちゃってまぁ……いかにもな悪の秘密結社の基地建てちゃったよあのジジィ。つーかどこから出したんだ、その金。
その二棟目の『実家』にたどり着いた俺は即修理室送りにされ、わりとあっさり下半身が復活した。うん、やっぱ歩けるのはイイ。
とはいえ……どーしたもんか。このまま自宅警備してても、どーせあのパンツマンに実家ブッ壊されて追い出されるのがオチだろーし、早々に転職考えた方がいいのは目に見えてる。
でも左手バスターだし、こんな危険物……てゆーか兵器そのものを常時携帯してるロボットを雇ってくれる会社なんてあるんだろーか……
「転職……出来そうにねーなー……」
ふと、廊下を歩きながら呟いたのがいけなかったのかもしれん。
「ほぅ……そこの貴様、ただのスナイパージョーではないようじゃのう……」
こ、この声は……
おそるおそる、俺は振り向いた。
そこにいたのは―――
「ジ……ジジィ!?」
「しかもワシにそのような口が利けるとは……簡素なAIしか積んどらん割に口が回りおる……」
「いやその俺は別に……」
「貴様……いやお前さん……何者じゃ?」
……全部ゲロりましたとも、ハイ。
でもフツーこんな話信じねーだろーな。そう思っていたのだが。
「そうかそうか!元々人間だったが生まれ変わってスナイパージョーか!!畜生道に落ちた先がザコロボットとはケッサクじゃなぁ!!ワッハッハッハッハッ!!!」
「笑い事じゃねーよ!!誰が好き好んでこんなあからさまなヤラレ役A的なモノアイ顔にしてくれって頼んだ!?せめてエレキマン*1やクイックマン*2ばりのイケメンにだな―――」
「そりゃ無理じゃ」
「メタルマン*3っぽいシャープな覆面でも可だが?」
「エアーマンタイプ*4なら出来なくはないぞ?」
「腹に換気扇なんざ仕込まれたかねぇ」
そんな感じで、ついジジィと話し込んでいる内、やがてジジィは身の上話を語り出した。やはり年寄り、話し相手が欲しかったんだなぁ、うんうん。
なんでも、パンツ小僧ことロックマンや、前回の喧嘩で使うためにパクったロボットを造った『ライト』っていうサンタクロースみてぇなじーさんに、功績やらなんやらかんやら、ほとんどかっぱらわれてしまったとかで、ライトを見返し、ついでに自分を認めようとしない人間社会も見返すために、世界征服を思い立ったらしい。
「ライトのヤツ、ワシの趣味の卓球でも上を行きおって……アイツさえいなければ……!!」
「とりあえず殺人に走らなかっただけ、分別があるようで安心したぜ。同じ分野の『ロボット』でライトや世界に喧嘩売ろうって気概……アンタ、ノリで生きてるファンキージジィじゃなかったんだな」
「うるさいわい……フ、いつの間にか語ってしまったのう……半信半疑じゃが、ワシャ嬉しいのかもしれん」
「どーゆーこった?」
「付喪神って知っとるか?本来魂が宿らぬモノに魂……心が宿るという日本の妖怪じゃ……マユツバものじゃったが、こうして目の前にいると、な……そして畜生道の受け入れ先にワシのロボットが選ばれたというのものう……」
「ビミョーに違ってる気もするけどな。ま、地獄の先が悪の組織の下っ端ってのも皮肉が効いてるが」
ジジィにとっては感慨深いと思うが、一つ問題がある。
「……で、俺どーなるの?こんなケースめったに……ってかまず無いぜ?
「アホか。そんなことやらんわい。むしろお前さんには生きていてもらわんと困る」
「ほぉ、ワルにしちゃ博愛主義者なんだな」
「違わい。お前さんには『ジョーの可能性』を最前線で追求してもらうことになる」
「……そりゃどういう意味だ」
ジジィはニヤリと笑んだ。
「お前さんはワシの
「………………………………」
このジジィ、最高にノッてやがる。アッチ方面に振り切れちまってる。しかも、明らかに俺をビビらせようとしてる。でもよ―――
「…………上等だ」
「む?」
「こちとら一回死んでんだ……この間も死にかけたけど何とか生きてる……何の因果かゲットしちまった
「なんじゃと?」
「アンタがそのトシで世界獲ろうってんだ。そのバイタリティと反骨心に素直に敬服する……『ロボット』で『ロボット』に勝とうってんだ、何ら理屈は曲がっちゃねぇしな」
「お前さん……」
「アンタに徹底的にこき使われてやるぜ……!アンタが大願成就して未練残さず大往生できるように、手も体も貸してやんよ!!」
―――ガシッ!
固く握手を交わす俺とジジィ。
ここに、奇妙な同盟は成った。
「では早速電子頭脳をイジるとするかの♪」
「……妙なマネしたら即刻近所の老人ホームにブチ込むからな……」
20XX年 Dr.ワイリーによる第二次世界征服計画発動
ワイリー傘下のロボット軍団、8ヶ所の都市を占拠、破壊活動を開始