俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~   作:稚拙

4 / 33
ジジィの謎の巻
立志編


 俺の名はジョー。

 

 ……てなわけでジジィが世界様にふっかけた喧嘩は見事なまでのボロ負けに終わったわけだが、たった一度の失敗で懲りるほど素直じゃなかったらしい。

 ま、年寄りだし、脳味噌カッチカチの石頭だろーし。そもそも素直なら世界征服なんざ企画しねーだろーし。

 今度の『実家』はなんともまぁ趣味的な……ドクロつけちゃってまぁ……いかにもな悪の秘密結社の基地建てちゃったよあのジジィ。つーかどこから出したんだ、その金。

 

 その二棟目の『実家』にたどり着いた俺は即修理室送りにされ、わりとあっさり下半身が復活した。うん、やっぱ歩けるのはイイ。

 とはいえ……どーしたもんか。このまま自宅警備してても、どーせあのパンツマンに実家ブッ壊されて追い出されるのがオチだろーし、早々に転職考えた方がいいのは目に見えてる。

 でも左手バスターだし、こんな危険物……てゆーか兵器そのものを常時携帯してるロボットを雇ってくれる会社なんてあるんだろーか……

 

「転職……出来そうにねーなー……」

 

 ふと、廊下を歩きながら呟いたのがいけなかったのかもしれん。

 

「ほぅ……そこの貴様、ただのスナイパージョーではないようじゃのう……」

 

 こ、この声は……

 おそるおそる、俺は振り向いた。

 そこにいたのは―――

 

「ジ……ジジィ!?」

「しかもワシにそのような口が利けるとは……簡素なAIしか積んどらん割に口が回りおる……」

「いやその俺は別に……」

「貴様……いやお前さん……何者じゃ?」

 

 ……全部ゲロりましたとも、ハイ。

 でもフツーこんな話信じねーだろーな。そう思っていたのだが。

 

「そうかそうか!元々人間だったが生まれ変わってスナイパージョーか!!畜生道に落ちた先がザコロボットとはケッサクじゃなぁ!!ワッハッハッハッハッ!!!」

「笑い事じゃねーよ!!誰が好き好んでこんなあからさまなヤラレ役A的なモノアイ顔にしてくれって頼んだ!?せめてエレキマン*1やクイックマン*2ばりのイケメンにだな―――」

「そりゃ無理じゃ」

「メタルマン*3っぽいシャープな覆面でも可だが?」

「エアーマンタイプ*4なら出来なくはないぞ?」

「腹に換気扇なんざ仕込まれたかねぇ」

 

 そんな感じで、ついジジィと話し込んでいる内、やがてジジィは身の上話を語り出した。やはり年寄り、話し相手が欲しかったんだなぁ、うんうん。

 なんでも、パンツ小僧ことロックマンや、前回の喧嘩で使うためにパクったロボットを造った『ライト』っていうサンタクロースみてぇなじーさんに、功績やらなんやらかんやら、ほとんどかっぱらわれてしまったとかで、ライトを見返し、ついでに自分を認めようとしない人間社会も見返すために、世界征服を思い立ったらしい。

 

「ライトのヤツ、ワシの趣味の卓球でも上を行きおって……アイツさえいなければ……!!」

「とりあえず殺人に走らなかっただけ、分別があるようで安心したぜ。同じ分野の『ロボット』でライトや世界に喧嘩売ろうって気概……アンタ、ノリで生きてるファンキージジィじゃなかったんだな」

「うるさいわい……フ、いつの間にか語ってしまったのう……半信半疑じゃが、ワシャ嬉しいのかもしれん」

「どーゆーこった?」

「付喪神って知っとるか?本来魂が宿らぬモノに魂……心が宿るという日本の妖怪じゃ……マユツバものじゃったが、こうして目の前にいると、な……そして畜生道の受け入れ先にワシのロボットが選ばれたというのものう……」

「ビミョーに違ってる気もするけどな。ま、地獄の先が悪の組織の下っ端ってのも皮肉が効いてるが」

 

 ジジィにとっては感慨深いと思うが、一つ問題がある。

 

「……で、俺どーなるの?こんなケースめったに……ってかまず無いぜ?電子頭脳(のーみそ)開けて調べてみるか?マッドサイエンティストのジジィならいかにもやりそうなことだが」

「アホか。そんなことやらんわい。むしろお前さんには生きていてもらわんと困る」

「ほぉ、ワルにしちゃ博愛主義者なんだな」

「違わい。お前さんには『ジョーの可能性』を最前線で追求してもらうことになる」

「……そりゃどういう意味だ」

 

 ジジィはニヤリと笑んだ。

 

「お前さんはワシの()()()()じゃよ……!これから先、スナイパージョーを素体とした改造プランが山ほどあるからのう。お前さんはテストベッドとして、率先して改造してやろう……使いまくって使い倒し、ワシの野望達成の肥やしになってもらう……どうじゃ?怖いじゃろ?元人間のお前さんにはキツいじゃろ?ま、精々ジョーに生まれ変わった己の不運を呪うんじゃな、ガッハッハッハッハッハッ!!」

「………………………………」

 

 このジジィ、最高にノッてやがる。アッチ方面に振り切れちまってる。しかも、明らかに俺をビビらせようとしてる。でもよ―――

 

「…………上等だ」

「む?」

「こちとら一回死んでんだ……この間も死にかけたけど何とか生きてる……何の因果かゲットしちまった金属(メタル)のボディ……いっそ、夢とロマンに賭けてみるのもアリかもな」

「なんじゃと?」

「アンタがそのトシで世界獲ろうってんだ。そのバイタリティと反骨心に素直に敬服する……『ロボット』で『ロボット』に勝とうってんだ、何ら理屈は曲がっちゃねぇしな」

「お前さん……」

「アンタに徹底的にこき使われてやるぜ……!アンタが大願成就して未練残さず大往生できるように、手も体も貸してやんよ!!」

 

 ―――ガシッ!

 

 固く握手を交わす俺とジジィ。

 ここに、奇妙な同盟は成った。

 

 

「では早速電子頭脳をイジるとするかの♪」

「……妙なマネしたら即刻近所の老人ホームにブチ込むからな……」

 

 

 20XX年 Dr.ワイリーによる第二次世界征服計画発動

 ワイリー傘下のロボット軍団、8ヶ所の都市を占拠、破壊活動を開始

*1
型式番号:DRN.008。ライト製の原子力発電電圧制御作業用ロボット。ミスの許されない重要な業務をこなさなければならないため、正確かつ迅速な判断を下すことができる優秀な電子頭脳と、その判断を即座に行動として実現可能な機動力を併せ持ち、当時ライトが製作したロボットの中では最高傑作とも呼ぶべき完成度を誇った。冷静沈着な性格で、イザというときには非常に頼りになる。元々攻撃用の機能は持っていなかったが、ワイリーによって拉致・改造された際に小型高周波発電機を組み込まれ、そこから励起される電磁界によって周囲の静電気をプラズマ化して集束、指向させて発射する特殊武器『サンダービーム』が使用可能になった。第一次世界征服計画の際は、都市発電用タワーを占拠していた。仕事の合間にギターを嗜んでおり、休日は駅前や商店街で弾き語りライブをしている姿がしばしば目撃されている。

*2
型式番号:DWN.012。ワイリー製の高速戦闘用ロボット。『時間を制する』というテーマに対するワイリーのアプローチとして、『自らが光速に近づく』という解答の元、エレキマンのデータを参考に製作した。なお、その字面の通り『時間を制する』ことに対しては、兄弟機として時間制御戦闘ロボット『フラッシュマン』を製作して解答としている。クイックマンは自身の主観時間を増大させる、いわゆる『加速装置』を搭載しており、他のロボットの2~4倍という超スピードで行動することが可能。冷静な性格で、正々堂々の勝負を好む、身も心もワイリーナンバーズとは思えぬほどのイケメン。特殊武器の『クイックブーメラン』は、中距離をカバーする小型カッターであり、ロックマンの行動範囲を狭める牽制の役割を担う。

*3
型式番号:DWN.009。ワイリー製の高機動戦闘用ロボット。カットマンのデータを参考に設計、製作された、ワイリーが独力で開発した戦闘用ロボット『ワイリーナンバーズ』の記念すべき初号機。緻密に設計されたボディの重量バランスと高精度ジャイロスコープにより、不安定な足場でも安定した戦闘が可能。しかし軽量化の弊害故に耐久性能に難があり、後のワイリーの分析によって、圧縮太陽エネルギーへの耐久能力が劣悪であった……すなわち『ロックバスターに弱い』という欠陥があったことが判明している。その姿を見たライトが『あれじゃ未来の歯医者さんだよ』と述べたのはあまりにも有名。当然ワイリーは憤慨した。特殊武器『メタルブレード』はローリングカッターを参考にしたセラミカルチタン製の回転鋸型円盤。ローリングカッターと異なり回収することを前提としておらず、フリスビーのように投擲して使用する。

*4
その名の通り、エアーマンを第1号機とするロボット群。純粋な人型ではなく、頭と胴体が一体化した独特な外見をしているロボットのこと。これはワイリーが心理学から導き出したデザインであり、純粋な人型よりも相手に対して威圧感と恐怖感を与える。また、必然的に通常の人型よりもずんぐりとした寸胴型の体形になり、ボディ強度を確保できることから耐久性能が高くなるという実用的な利点も併せ持つ。エアーマンの後にも、ワイリーはニードルマン、ナパームマン、クラウドマン、アクアマンを開発。非ワイリー製でもトードマン、ブリザードマン、コールドマン、マグママン、ストライクマンなどが開発されていて、エアーマン以後はロボット工学界のデザイントレンドに採り入れられたようである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。