俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~ 作:稚拙
俺の名はジョー。
さて晴れて悪の科学者Dr.ジジィと血の盟約を交わし、悪の尖兵となって『世界征服』という前人未到、人類史上初の『愚挙』へと邁進することとなった俺だが、ジジィは早速俺を別の部屋に案内した。
「実はさっき修理した時にな、新たなシステムをお前さんに組み込んでおいた。左手に意識を集中してみろ」
言われたとおりにやってみると、ジャキッ!と、今まで兵器だった左手首から見慣れた、いや御無沙汰だったモノが出てきた。
「おぉ手!手じゃねーか!いやぁ今まで不便してたんだよなぁ。狭い場所に挟まったモノ取るのに大変だったし、変に力んだだけで弾が出て部屋ブッ壊しちまうし―――」
「お前さんの私生活のために改造したワケじゃないわい。これから先の作戦のためには、両手が満足に使えんと話にならんからのう♪」
ジジィは壁のレバーを下ろした。仰々しい音を立てて照明が点灯する。そこには。
「をっ!?」
二足歩行の大型メカが、整然と並び立っていた。
「ライトからかっぱらった設計図を元に量産した『スナイパーアーマー』じゃ!ロックマンのバスター1発2発じゃビクともせんタフさと攻撃力を兼ね備えた万能メカ!!コイツを操縦するためには両手が使えんといかんからのう」
「アンタまた窃盗罪追加されたぞ……それで両手が使えるようにしたのか……あ、でも操縦方法わかんねーけど」
「そこはもう電子頭脳にインストール済み、手足同然にコイツを扱えようぞ。それと『旧型』と区別出来るように色も変えたぞ」
「お、そーいやオレンジになってるな。量産機がガ○マかミゲ○かハ○ネ専用機になった感じだな。一足くたにシ○ア専用の赤にしなかったのは俺としてもありがてぇ。重圧がパねぇ」
「何言っとるかよくわからんが、お前さんはタダのスナイパージョーじゃないぞ。今日からお前さんは『帰ってきたスナイパージョー』じゃ!!」
「ウ○トラマンじゃあるまいし……ネーミングなんとかならねー?どーせなら『スペリオルジョー』とか『真・スナイパージョー』とか」
「お前さんもどっこいどっこいじゃろ」
かくして『帰ってきたスナイパージョー』としてパワーアップを遂げた俺は、ジジィが挑む世界へのリターンマッチに付き合うこととなった。
……ん?両手が使えるようになったこと以外、俺自体はパワーアップしてなくね?まぁ気のせいってことにしとこう。
転んでもタダでは起きんとばかりに、ジジィはライトのロボのデータを基に8体の戦闘用ロボットをいつの間にやら開発、他にもかっぱらってきた作業用ロボットをいじったりして戦力を展開、8ヶ所の都市を占拠してド派手にやらかし始めた。前回と比べて2体多いな。ジジィの本気度がわかる。
さて俺はというと、地下水道に配備された。生活用水を全部熱湯に変えて、市民生活をマヒさせる作戦だとか。
エグい。
俺なら即座に音を上げて平伏す作戦だ。水飲めねぇとかありえねー。非人道的すぎる。無慈悲すぎる。よし、やっぱコレ終わったらジジィを老人ホームにブチ込もう。世のためだ。許せジジィ。
「ロックマン発見!!てめーら丁重に
「ヒャッハーロックマンだぁぁぁ!!」
ノリがいいなこいつら。たぶん核戦争後の世紀末でもやってける。胸に七つの傷があるゲジマユ救世主に遭遇しなければの話だが。
今回の俺の配置は何とボスのヒートマン*1の部屋の3つ前、それも俺が突破されたら後はヒートマンだけという大役だ。しかも
ジジィめ……基地間格差ありすぎなんだよ。
あからさまにクイックマン基地優遇しすぎだろ。なんだあのマヌケな音を出す連続レーザー地帯。余裕で死ねる。つーか全部の基地に付けときゃロックマンも余裕で瞬s―――
……などと頭の中でグチってると、この部屋の反対側の天井のハシゴをわっせわっせと降りてくる全身青タイツのガキンチョが見えた。
ジジィの宿敵、リングイン。
「これは……ライト博士が設計してたはずの……!?どうしてワイリーのロボットが使ってるんだ!?」
「あ~……そりゃスマン。ウチのジジィが借りパクした」
「なんてことだ……許さないぞ、Dr.ワイリー!」
青パン小僧は怒りのバスターを発射するも、5、6発撃ち込まれた程度じゃビクともしない。前評判通りのタフさじゃないか。
「こっちもジジィに天下獲らせるって言った手前、壊された
などとビミョーに三下感が滲み出るセリフをのたまった俺は、操縦レバーのボタンを押した。バルカン砲が吼え、連続で着弾する。
「く、僕は負けるわけにはいかないんだ!世界の平和のために!!」
お決まりのヒーロー定型句を叫んだパンツマンは、弾幕をかいくぐりながらバスターを撃つ。でもコイツに豆鉄砲は―――
―――ドカーン!!
通用した。スナイパーアーマー、爆発四散。俺は咄嗟に機体を捨てて着地する。
「うわ案外呆気ねぇ!?」
「残るはお前だけだ!」
「こーなりゃ仕方ねぇ、かかって来いやパンツ―――」
言いながらバスターを構えて撃ったその瞬間、また腹に弾を叩き込まれていた。
「んご!」
下半身にサヨナラバイバイ、これで二度目。
おい……俺はもしかしてジョーの皮かぶったクレイジーレイジー*3じゃねーのか?下半身分離して殴るアイツ―――
「よし、先を急ぐぞ!」
青パンは残された俺をスルーし、俺の背後の床にあったハシゴから更に下へと降りていった。
そして程なくして―――
「ぐわーっ!!」
―――ティウンティウンティウンティウン
ヒートマンの叫びと爆発音がこだました。
―――――――――
やがて俺は、駆け付けた救助隊の
―――ドゴゴゴゴーーーーン!!!
今回は俺達生き残りの目の前で、『実家』が大破炎上大爆発。
轟音とともに崩れ落ちる悪の大要塞……アニメの最終回やん。
「あぁ……帰る場所が!!」
「おのれロックマンめ……ロックマンめぇぇぇ……!!」
俺以外の敗残兵連中は心の底から悔しがるも、俺は割と平常心だった。
ま、
―――さて、ジジィ。
アンタ、まだ諦めてないんだろ?
―――ジジィが逮捕されたのを知ったのは、その一週間後のことだった。
20XX年 Dr.ワイリーによる第二次世界征服計画、ロックマンによって頓挫
一週間後、Dr.ワイリー逮捕
裁判で禁固2000年の刑が言い渡され、重犯罪者専用刑務所地下100mの特別重監獄へと収監