俺の名はジョー ~メカフェチジジィと世界を喰らう~ 作:稚拙
俺の名はジョー。
どうやら三度目の正直とばかりにジジィの胸のエンジンにも火がついたようで、ジジィは朝から張り切って
ジジィが楽しそうで何よりです。
さて、そんな中俺はジジィに呼ばれた。
「次の作戦に備えてジョーの
「ヒャッハーパワーアップだぁぁぁ!!…………ん?」
待てよ。つまりそれって……
「改造手術ってヤツ……ですか……!?」
「うむ。改造手じゅ
「ゲェーーーーーーーー!?!?!?」
ジジィが噛んだことにツッコむことも忘れ、俺は素直に慄いた。
「い、痛いのは勘弁してけろ!?
「……お前さん……ワシを何だと思っとるんじゃ……誤解が無いように説明するが、お前さんの今のボディをそのまま改造するワケじゃない。あらかじめ新しいボディはもう作ってある。その方が手間がかからんからな」
「3分クッキングみてーだな」
「お前さんのボディの電源をシャットダウンしてから、電子頭脳だけを新しいボディに移植するんじゃ。ま、お前さんにしてみれば、寝て起きれば新しいボディに変わっとる、といった感覚じゃ。30分もかからん」
「脳移植とかそれはそれでヤベー予感もするが……で、古いボディはどうするんだよ?まさかそのまま明日の粗大ゴミの日に出すんじゃねーだろーな?」
「アホか。パーツ取り用に取っておくんじゃよ。こちとら財政難なんじゃ、新品のパーツはおいそれと仕入れられんからな」
「ご遺体再利用とか世知辛すぎる世界征服だな……」
そーいやジジィの財源ってなんなんだか。これほどまでのロボットや基地やら実家やら、金が無きゃ作れんもんだが。年金か?んなアホな。つーかこんな大罪人に年金出るのか。
……ツッコんだら負けな気がする。
考えるのもアレなので、俺は寝た。
―――――――――
「ほれ、終わったぞい」
ジジィの声で目が覚めた。
「おい……ジジィ……」
鏡を見た俺は―――愕然とした。
「エアーマンタイプだけはやめろっつったろーがぁぁぁ!!!??」
両肩が主張し、顔と胴体が一体化したメタボ体型……見事なまでのエアーマンタイプになっちまってやがる!!
俺もそうだが、これではこのボディに電子頭脳移植される
「何が悲しくてこんな顔面埋没型カオナシドスコイボディで過ごさなアカンのや!?説明せい説明をぉ!!」
「お、落ち着けお前さん!キチンとワケがあるんじゃ説明させろ説明を!!それからエアーマン*1とニードルマン*2に謝れ!」
ジジィが語るところによると、今まで手持ちだった盾の特殊合金でボディ全体を覆うことに成功し、ロックバスターではまず破壊できない重装甲に仕上げられたとのこと。
無敵だ!
「やりゃできるじゃんかジジィ」
「今更掌返ししたところでワシの心は傷ついたぞい。よよよ」
「ガラスのハートってタマかよ。で?防御はともかく攻撃は?」
「重量アップに伴って出力も向上したから、それを利用してこのハンマーを使うんじゃ。純粋な質量攻撃だから、ロックマンも簡単にしのげはしまいて」
「おお、漢の武器ガ〇ダムハンマー!ますます気に入ったぜ!」
用意されたハンマーを持ってみる。軽い!持ち上げるどころか振り回すことすら可能だ。見てくれこんな重そうなものを軽々と扱えるとは、
「だが気をつけい。カメラ部分のシールドは長時間下げられん。ハンマーを投げる瞬間だけは攻撃を受ける可能性があるから気をつけるんじゃ」
「見えないが無敵、見えるが弱点丸出しの二択とはな……」
「拠点防衛用として大幅な進歩を遂げたジョー……名付けて『ハンマージョー』じゃ!!」
「相変わらず壊滅的なネーミングセンスだな」
パワーアップには満足してる。攻防共に強化されたことは良いことだ。
しかし、だ。
この俺をあろうことかエアーマンタイプに改造してくれたことに関しては許してないぜ。俺の電子頭脳にしかと焼き付けさせてもらった……!
覚悟しとけよジジィ。この借りは必ず返す。テメーを老人ホームに叩き込むことでな……
しかしそれを警戒してか、今回の『実家』は老人ホームから遠かった。最短距離は50km先……おのれ、ジジィ。
さて、俺と共に改造された
まさか生きてる間に宇宙旅行に行けるとは……って、1回死んでるか、俺。
今回の喧嘩で俺が配備されたのは、岩山のような鉱山基地。エネルギー採掘基地っつっても、割と地球の岩山と変わらんな。
俺の持ち場はハシゴの途中。ここをノコノコと登って来た青パン小僧をハンマーでブチ落とすって寸法だ。
……にしても……
「……………………」
俺はふと、背後を振り返る。ズン止まりの岩壁のそばに、不自然に置いてあるモノが目に留まる。
バレーボールほどの大きさの透明なボールの中に、点滅する白い玉が入っている珍妙なオブジェクトだ。
……なんだありゃ。
そーいや映像で見たことがある。青タイツが倒した
それに、俺は何回か見たことがある。
……………………青パン小僧の『生首』を。
しかも、基地にたまーに置いてあったり、あろうことか
……俺にもあんなブツが仕込んであるんだろーか。だとすればかなりイヤだ。得体が知れん。
『ロックマ~ン!新しい顔よ~!』
♪ちゃっちゃららちゃっちゃっちゃ~ん♪
『元気百倍!ロックマン!!』
…………ま、まさか……!!!
俺は心底戦慄した。
つまりあの頭は取り外し可能で、ア〇パ〇マ〇のように新たなヘッドを換装するというのか……!!しかもそれがジジィ製のロボにまで仕込まれてるとわ……
恐ろしい……恐ろしいぞパンツマン!!
「まさに……ライト脅威のメカニズム!!」
「見つけたぞ、Dr.ワイリーのロボット!」
「!?」
ひとりで悦に入っていた中、背後から聞き覚えのある声がかけられた。振り返る―――首が無ぇから体ごと振り返らんといかん。ジジィめ、忌まわしい体にしてくれおって―――と、青パン小僧が目の前に立っていた。
―――しまったーーーーーぁぁぁぁ!!!
ハシゴをノコノコと登ってくる途中でハンマーブン投げて撲殺、って計画だったのに、コイツは既にハシゴから離れて目の前に立っている。
つーか今まで、コイツが来る前には『ロックマンが来たぞぉぉぉ!!』とか見張りが叫んでたろ!?どーして誰も何も言わんかったんだ!?
……と思ってから、ふと。
この基地に配備されていて、俺がいる場所よりも前に配置されている
……ハブスビィ*3。
……帰ってきたモンキング*4。
……ワナーン*5。
おぃぃィィィィ!!?
人語を解せる奴がいねぇぇぇ!?
蜂とエテ公と無機物トラップが『死ね!ロックマン!!』とか器用に言えるわけがねぇ!!
「えぇいこうなりゃヤケだ!鉄球大撲殺しちゃる!!」
俺はハンマーを頭上で振り回す。すると目の前が勝手にシャッターで覆われ、視界が塞がれる。前は見えなくなるがこの状態では無敵だ。案の定、バスターを撃ち込まれて衝撃を感じるが、弾かれた弾がそこらの岩肌にぶつかる音がした。さすが重装甲だ。ジジィに感謝―――はしない。エアーマンタイプだから。
「バスターが効かない!?」
「お約束のセリフありがとよ!見えんけど。オラァ喰らいやがれぇぇぇぇぇ!!!」
開眼し、渾身のハンマーを投げ放つ。目の前の青タイツ、その上半身のどこかに当たれば儲けもの、意地の一撃―――だが。
「『ロックスライディング』!!」
顔面と同じ高さに投げ放たれたハンマーを、ロックマンは咄嗟のスライディングでかわした。
……って、スライディングだと!?そんな器用かつスタイリッシュな行動パターンが出来るのか!?しかもこんなゴツゴツしたオフロードでそれをやるか!?間違いなくケツが擦り切れるぞ!?
それに単純にしゃがんで避けられるより、やられた側の精神的ダメージもデカい!!
「パワーアップしたのは、お前たちだけじゃない!」
なるほど、新機能か。
そりゃそうだ。ゲームの続編モノだって、大抵は新システムが導入されてより快適なプレイが出来るようになる。それと同じってことだ。
俺もコイツもロボットだ。欠点や弱点が見つかれば、それを解消するためのアップデートがされる。
そうか―――いわばこれはジジィとライトの代理戦争だ。俺もコイツもその駒に過ぎないんだな。
でもよ……同じ駒でも、『肩入れ』の度合いが違うぜ。ジジィに魂を売ったのは、『ジジィ軍』広しといえど、俺だけだ!
「いいぜ、俺も本気で相手をしてやる!!来やがれ青パン小僧!!」
この勝負―――負けられん!
気迫を込め、俺は新たなハンマーを取り出し、頭上で回す。
「俺の真の力を見sガン!!☆」
hammer joeをシャットダウンしています……
―――ジョーは めのまえが まっくらに なった……