書きたいシーン・設定集   作:ぬがー

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鬼滅の刃「無惨憑依BADEND」

 腹が減った。

 

 なぜかはわからないけど猛烈に腹が減った。

 ちょうど手近なところに食い物がたくさんある。

 我慢できない。

 食った。

 

 腹がそこそこ満ちると、今度は眠たくなってきた。

 幸いここは風雨を凌げるし、暑さ寒さも感じない。

 寝た。

 

 

 

 

 

 

「………………………………なんだこれ? 何が起きてんの?」

 

 朝になって外を歩いていると、ようやく目が覚めてきた。

 同時に、何故か体内に複数ある脳(・・・・・・・・)から知識を読み取れるようになってきた。

 

 自分は平安時代から生きる鬼の始祖である。

 人間を食らい、陽の光を浴びれば死ぬ。

 名前は鬼舞辻無惨と言う。

 

「鬼滅の刃の無惨様じゃん。何? 憑依モノ? それにしちゃ昼間から外歩けてるんだけど?」

 

 今は日中。現在地は山。木々が影を作るが、その隙間から陽の光が漏れている。だが体が焼けることはない。

 

「もしかしてさっき食ったの、竈門一家? それで日光耐性ゲットした? 嘘だろオイ。原作ブレイクにも程度ってものがねぇの?」

 

 体と脳に刻まれた記憶に汚染され、もう自分が無惨ということは疑っていない。原作の鬼たちも無惨様が少し混ざっただけで精神汚染されていたのだ。全身無惨様になって汚染されないわけがない。

 だが一応平和な時代で鬼滅の刃を読んでいた魂が入っている。人を殺すこと、食うことに関してはもう嫌悪感すらなかったが、原作が壊れたことだけは気にしていた。

 

「まぁやっちゃったもんはしゃーない。切り替えていこう」

 

 が全身無惨様だ。自分のやったことを反省などしない。すぐに原作で出来たことが出来るか確認して遊び始めた。

 

「うわームズイ! 触手ブンブン丸すらできねぇ! バランス崩れるに決まってるじゃん! どうやってたんだ原作で!」

 

 ゲタゲタ笑いながら周囲の木々を切り倒して転倒する。一しきり遊んだ後、急に飽きて行動を切り替えた。

 

「そういや脳内LINEみたいなのあったけど、こっちは使えねぇなぁ。触手ブンブン丸はうまく使えなかったけど発動くらいは出来たのに。

 ま、いっか! そのうち使えるようになるだろ。動いたら腹減ったしなんか食いに行こ」

 

 そんな軽い調子で人を食いに行った憑依無惨。憑依という現実感のない展開もあって、完全にゲーム感覚である。癇癪を起すことはあっても、生きたいだけで無駄に暴れはしなかった分、前のほうがマシだったかもしれない。

 

 

 だがそんな彼も些事とされるほどの悲劇が裏で引き起こされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無惨様が……身罷られた!?」

 

 突如鬼たちにかけられた呪いが消滅したことを、全ての鬼が感知した。

 示すところは鬼たちの支配者、鬼舞辻無惨の死。

 だがその死に引きずられ、自分たちまで死ぬことはなかった。あの主なら保険として自分が死ねば道連れくらいは確実にしてきそうなのに。

 明らかな異常にしかし、鬼たちは考えても意味はないと自由に行動を始めた。

 

 ある鬼は自儘に人を食らい。

 ある鬼は眷属を自分で作り巣を築き。

 ある鬼は他の鬼と潰し合って競い始めた。

 

 人の身で鬼を殺す鬼殺隊という脅威、いまだ変わらぬ陽の光という絶対的弱点。これらが存在するがゆえに自重はしたが、確実に鬼の被害は増していた。

 

 

 

 

 

 そして最も大きな災害が十二鬼月・上弦の鬼たちだ。

 

「呪いが解け……体が軽い……こういう効果もあったとは……抜かったな……」

 

 鬼舞辻無惨は臆病者だ。自分の命が何より大事で、取るに足らない強さの鬼にすら団結して行動することを禁じていた。

 なら大きな力を持つ上弦の鬼を制限もなく運用するだろうか。いや、するはずがない。

 たとえ反旗を翻したとしても、万に一つも起きない強さ。それが鬼の上限。上限を超えて強くなれるのは無惨の呪いが薄まった時、すなわち首を斬られ死にかけた時だけだ。

 

 だがその縛りももうなくなった。

 上弦の壱・黒死牟は強さを求め無限城を離れた。行く先々で人を食らい、上がった身体能力に合わせて技量を磨いて行くだろう。生きたかっただけの無惨とは異なり、強さを求める鬼だ。時間が経てば経つほど戦闘力は増していくだろう。それこそ縁壱に迫る領域まで。

 

「無惨様も死んでしまわれたか。なら俺が哀れな民を救ってやらなくちゃならないな」

 

 上弦の弐・童磨は人々に救いを齎すべく無限城を離れた。行く先々で人を食らい、自らの一部とすることで永遠を与えて救済していくだろう。どこか常識のような物を持っていた無惨とは異なり、天性のサイコパスだ。その救済に限りはなく、時間が経てば経つほど被害はネズミ算式に増加していくだろう。

 

「――――」

 

 上弦の参・猗窩座は死んだ。無惨の呪いがなくなったことで記憶を取り戻し、天国にいる父や妻、義父の声が届いたのだ。鬼として生きる理由もなく、そのまま塵になった。彼が人類の脅威になることはもうない。

 

「ヒィィィィ! まさかあのお方が死ぬほどのことが起きようとは! 誰かワシを守ってくれェ!」

 

「無惨様がなくなられた後の世界で最高の芸術として永遠に君臨する! それもまた良し!」

 

 上弦の肆・半天狗。上弦の伍・玉壺。

 この二体もまた、理由は違えど力を蓄え始めた。それに必要なだけ被害は増え続けるだろう。

 

「俺らから取り立てるやつは皆殺してやる」

 

「無惨様が死んじゃうなんて……」

 

 上弦の陸・妓夫太郎・堕姫。二人で一体の鬼は妹の方こそ無惨の死を嘆いたものの、すぐ忘れて平常運転に戻った。しかし兄は人を食うペースを上げた。これからは鬼が鬼が争う時代が始まる。時代の流れに呑まれ潰されないために、さらなる力が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これからは鬼殺隊にとって最悪の時代が始まる。

 どれほど被害が出ても首魁を倒しさえすれば勝利、などという希望にあふれた時間は終わったのだ。終わりなき人と鬼の生存競争の幕開けである。

 




はじき出された無惨様の魂は地獄に落ちた。
憑依した人もそのうち落ちる。その時、鬼に食われたらその鬼が太陽光を克服します。
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