りみりんハッピーバースデー!

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牛込りみ生誕祭2020

 ピンポーン、と。りみはインターホンを押す。

 しばしの静寂の後、玄関のドアが勢いよく開かれた。

「りみ〜! いらっしゃい! お誕生日おめでとう!」

「うん、ありがとう、ひまりちゃん」

 ひまりは笑顔でりみの手を取ると、

「ほら入って入って! 今日は目一杯お祝いするって決めてるんだから!」

「わわっ、ひまりちゃん、自分で歩けるよ〜」

 

 

 

 

 自室に案内したひまりは、小さな紙袋を取り出した。ピンク色をしたそれは、可愛らしいラッピングが施されていた。

「まずはこれ! 誕生日プレゼント!」

「わぁ、ありがとう! 可愛い〜」

「開けてみて!」

「うん!」

 丁寧にリボンを解き、慎重にテープを剥がすりみ。そして袋の口から取り出したのは、

「──ヘアピン?」

「そう! 前に雑貨屋さんで見つけて、『これだ〜!』ってなって買っておいたの!」

 薄いピンク色をした、花柄のヘアピン。決して目立つ派手さは無いが、アクセントとしては申し分ない。

「し、か、も、──ホラ見て!」

 そう言ってひまりは、自分の髪を指差す。そこには、

「あっ、同じヘアピン……?」

 りみが手に持っていたヘアピンと、全く同じモノが留められていた。

「そう! 私とお揃い!」

「わ〜! め〜っちゃ嬉しい! ありがとうひまりちゃん!」

 お礼を言ったりみは、自分の髪に手のヘアピンを留める。

「えへへ、お揃いだね」

「〜〜〜〜っ! りみ〜! ホントにいい子だよ〜!」

「わわっ、苦しいよ〜」

 感動し抱きついたひまりの腕の中で、りみは小さくバタつく。

「ごめんごめん、つい感極まっちゃって」

「でもありがとうね。素敵なプレゼントだよ」

 すぐに解放したひまりは、なおも得意げに腰に手をやる。

「ふっふっふ……これで終わりだなんて、まだ言ってないよ?」

「え?」

「ちょっと待ってて!」

 言うが早いか、ひまりは部屋を飛び出していった。バタバタと廊下を走る音が響き、すぐに静かになる。

 待つしかないりみが用意されたクッションに腰を下ろしてすぐ、

「──お待たせ〜」

 ひまりが戻ってくる。その手には、小さな箱が。りみがその箱に描かれたロゴを見た瞬間、大きく目が見開かれた。

「そ、それってもしかして、昨日駅前に出張オープンした期間限定の有名スイーツの……⁉︎」

「お、流石りみ。チェック済みだったか〜。でも食べた事は?」

 ブンブンと首を横に振るりみ。

「な、ないよ! 物凄い行列で、三時間並んでも買えなかった人もいるって……」

「今朝早起きして、並んで買ってきた!」

「す、凄い……!」

「だってりみの誕生日がある今週末に、いきなりオープンだよ? これはもう、二人で食べるしかないって思って!」

 箱からひまりが取り出したのは、ショートケーキとチョコレートケーキ。どちらもいたってシンプルな形だが、鼻腔をくすぐる甘い匂いは初体験と呼べる代物だった。

「りみが主役だから、りみから好きな方選んでいいよ」

「ホントに? じゃあ、チョコレートケーキに──」

 りみは黒曜石のようなケーキを指差し、その直前で止まる。

「──チョコレート、大好きだけど……でも、このお店のショートケーキは一番人気で世界一って言われてるくらいやし……。きっともう、今日しか食べるチャンスは無いんやな……。うぁぁぁウチには選べん〜!」

「な、悩みすぎてりみが関西弁に……。──り、りみ落ち着いて!」

 肩を揺さぶられたりみは、力なくひまりを見つめる。

「やっぱり私には選べないよ……。ひまりちゃん、先に決めて……?」

「ごめんてりみ! まさかそんなに悩むなんて思わなかったから……。──ちょっとだけ待ってて!」

 ひまりは立ち上がると、再び部屋から飛び出していった。バタバタと激しい音が聞こえ、

「──お待たせ!」

 すぐに戻ってくる。その手には、

「え、えええぇぇっ⁉︎」

 煌めくナイフが握られていた。

「最初からこうすれば良かったんだよ〜」

 ニコニコ笑顔で歩み寄ったひまりは、

「──えい」

 ケーキを二等分。やや薄くなってしまったケーキ二種類をお皿に取り分けると、片方をりみに手渡した。

「あ、ありがとう……」

 ありえないと分かっていても、若干顔が引きつってしまったりみ。

「?」

 そんなりみに首を傾げたひまりだったが、すぐに興味は目の前のケーキへ。

「さ、いっただきま〜す! ──ん〜〜〜〜! 何これ! こんなケーキ初めて食べたかも!」

 目を輝かせるひまりを見て、ようやくりみも自分のフォークを手に取る。そして、

「め〜っちゃ美味しい!!!」

 同じように、瞳からお星様を飛ばす。

「いや〜、こうやってりみをお祝いできて、こんな美味しいケーキ食べられたんだもん。今日はいい日だな〜!」

「ぷっ……ひまりちゃん、それ私のセリフ!」

「あ、それもそっか。あはははは! ──りみ、これからも一緒にベースとバンド、頑張ろうね! ──えい、えい、おー!」

「おー!」


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