前々からジャッジアイズの主人公である、八神さんの幻想入りを書きたかったので書いてみました。サスペンスっぽく、なおかつアクションもといった、ジャッジアイズと東方Projectの両方の要素を含めた描写をできるように頑張ります。
東京都神室町。人々の欲望で溢れる歓楽街だ。
そんな歓楽街の一角で探偵事務所を開く男がいた。
「なぁター坊。今日の仕事はねぇのかよ。」
八神のことをター坊と呼ぶ、この厳つい男は
「そうは言ったって、依頼がなきゃ何も仕事出来ないし。こればかりは待つしかないんだよね。」
数少ない依頼を請負い、それなりにこなして、それなりには生きていけるくらいには稼いでいる八神探偵事務所。
「・・・しっかし、どれだけ降るのかねぇ。この雨は。」
「今日は嵐級に荒れるんだと。直接お客さんが来るこたぁねえだろうな。」
「・・・よく降られなかったね海藤さん。」
「降る前に来たからな。帰る頃には止むだろ。」
「そうなるといいね。」
大荒れの天気を窓から眺めながらそんな事を話す。
「それより、本当に戻らなくてよかったのかよ、ター坊。」
「またその話題かよ海藤さん。この生き方がもう合ってるんだし。余程の事がなくちゃね。」
「ま、その必要もねえだろうしな。」
八神というこの男。実は元弁護士である。有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判で奇跡とも言える『無罪』を勝ち取った有能弁護士として一時期は名を馳せたのだ。・・・が、弁護した人間が保釈後に再び残虐事件を起こし、八神に対する世間の評価は『犯罪者を野放しにしたインチキ弁護士』に堕ちる。その件もあり、八神は弁護士を辞め、探偵となる。
・・・しかし、その後、神室町を恐怖で震え上がらせていた『神室町眼球くり抜き殺人事件』の調査を依頼され、見事黒幕を追い詰め、解決。
元々勤めていた弁護士事務所やそれなりの関係にある
現在も探偵をしているというわけだ。
「海藤さん、大家さんから肉じゃが貰ってるけど、食べる?」
「お、じゃあ貰うぜ。」
何故か日課になった大家さんからの手料理。
今日は肉じゃがだ。電子レンジで温めてから食べる。
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「・・・。大家さんマジで料理上手くなったなぁ・・・。」
「ター坊それ毎回言ってるけどよ。そんなに酷かったのか?」
「1番最初は凄かったな・・・。2つ目のワサビ唐揚げはちょっと癖になりそうだったけど。」
「ワサビ唐揚げちょっと気になるぞおい。」
遅めの昼飯を男ふたりでとりながら談笑する。
食事を終え、各々寛いでいた頃。
「なあター坊。ジャンケンしねえか?」
「暇か。」
「暇なんだよ。」
そんな他愛も無さすぎる会話を繰り広げていた時だった。
コンコン・・・
「・・・いま、ノックされた?」
「…聞き間違えじゃなけりゃな。」
「・・・す、すみませーん・・・。」
「あぁ!はいはい!今開けます!」
聞き間違えじゃなかったので八神が半分慌てながら扉を開ける。
目の前に経つのは黒い合羽を着ている、びしょ濡れの金髪の美女だった。
「・・・お客さん・・・でよろしいですか?」
「はい・・・。」
「タオルどうぞ。」
海藤がタオルを女性に手渡す。
水滴をあらかた拭き取り、ハンガーに合羽を吊るす。
「・・・とりあえず、お名前をおきかせ下さい。」
目の前にコーヒーが置かれ、八神と謎の女性が向かい合う。
「東雲蘭子です。」
「・・・しののめ、らんこさん・・・と。ご依頼、ということでよろしいですか?」
「はい。」
「それは。こんな雨のなかわざわざウチにまで来ていただきありがとうございます。・・・依頼の内容は?」
「私の・・・、私たちの村を救って欲しいんです。」
「・・・村を、救う・・・?それはまた規模がとても大きいですね。」
「詳細は村で話したいのですが・・・。まあ、規模が大きすぎて分かりづらいというのも分かります。ですから、報酬は前払いでどうでしょう?」
そういい、蘭子は懐から分厚い封筒を出した。
「・・・その中に五百万入っています。」
「なっ・・・!?」
「・・・それほどあなた方に危険な目に遭わせてしまうかもしれないということです。それを承知で、依頼をしに来ました。増額にも対応します。・・・引き受けていただけますか。」
「・・・内容はそれほどわかってないけど、『わざわざここまで来ている』んだから、余程の危機的状況なのでしょう。・・・わかりました、引き受けます。今日はもう夜遅いので、明日その村に移動するという形でいいですか?」
「おいター坊、それだったら東雲さんの泊まる場所がねえぞ。」
「あ、そうか。・・・どうしようかなぁ。ひとまず、村の住所だけでも・・・。」
「それに関しては大丈夫です。迎えの者を来させますので。少し遠出になるので、準備する時間もありますが・・・。」
遠出になると聞き、八神と海藤は目を合わせる。
「じゃあ、そうしようかな。ちょうど雨も緩まってきたし。蘭子さんはどうします?」
「・・・じゃあ、ここで待つことって出来ますか?」
「構いませんよ。一応鍵を閉めておきますね。」
「ター坊、俺も待っとくよ。スタミナン頼むぜ。」
「俺をパシる気満々じゃん・・・。」
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階段をおり、最寄りのコンビニへと足を運ぶ。
コンビニでスタミナンを数本、タフネスも数本、弁当も忘れずに買って事務所に戻る。
「ただいま海藤さん、蘭子さん。お茶です、どうぞ。」
蘭子に買ってきたお茶を渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「こちらは準備は整いました。蘭子さんは大丈夫ですか?」
出発の意志を蘭子に伝える。
蘭子は頷きながら話す。
「ありがとうございます、大丈夫です。・・・それでは迎えを。」
蘭子は貰ったお茶を飲み、一息つくとケータイを出し、電話をかける。
「はい、完了しました。・・・よろしくお願いします。」
ケータイを閉じ、八神と海藤を見る。
「そろそろ迎えが来ると思いますよ。」
「え、早いね。」
「割と近くに待機してたんだろうな。」
「ここの裏だったりして。」
そんな事を話していると八神と海藤の足元に謎の空間が開いていることに気づく。
「――な、うわぁ!?」
「うぉ!?」
驚く暇もなくその空間に飲み込まれる。
少し賑やかだった事務所が蘭子だけ、・・・いや、そこに『東雲蘭子』という女性はいなかった。
9本の尾を生やした伝説上の生き物。『九尾』と呼ばれる妖怪がそこにはいた。
「・・・紫様も荒々しい手段を思いつくものだな。」
九尾の妖怪は立ち上がり、事務所の鍵を閉め、電気を消す。
そして、東雲蘭子の名が書かれた書類を消滅させる。
「さて、送るべき客人もあちらへ招待したことだし、私も戻るとしよう。」
そう言うと、九尾の妖怪は八神と海藤が飲み込まれた空間を開き、
そのまま自分も入っていった。
事務所内にはぬるくなったコーヒーが置かれたまま、暗闇と静寂に包み込まれていた。
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ここは忘れ去られたものが訪れる場所、
「紫様、ただいま戻りました。」
「おかえり藍。どうだった?あの二人は。・・・まあ、私も見てたけど。」
紫様、と呼ばれたこの妖艶な女性は
そして、この金髪の女性は
「どうもこうも、まだ実力を見た訳ではありませんが・・・。どちらも相当な手練なのは間違いありませんが・・・。ところでまた、何故外来人を・・・。」
「まあ、それはまた今度話してあげるわ。少なくとも異変は動き出している訳だし。それのせいなのか、今あの二人もここには出てこれていないわ。」
「・・・は!?」
「異変の影響なのかスキマが上手くコントロール出来ないのよ。勝手に開くことはないにしろ、細かい位置設定が出来なかったりするわ。」
「・・・じゃあ今あの二人はどこに?」
「・・・あら厄介。妖怪の山のようね・・・。しかも、1人しか確認できないわ・・・。」
妖怪の山。幻想郷でも危険度が高い場所だ。
そんな場所に放り出されたらしい。
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木陰に倒れ込んでいる八神。
気を失っているようだが、目を覚ます。
「・・・んー・・・。」
ゆっくりと目を開け、体を起こす。
「・・・どこだ、ここ・・・?」
周りを見渡す。
が、木と草と花しか目に入らない。山のようだ。
「・・・本当にどこだここ!?」
立ち上がり、道らしきところに出てもう一度見渡すが、知っている景色ではない。
「海藤さん!!無事!?いたら返事してー!」
・・・返事はない。
「海藤さんもいない・・・。そうだ、蘭子さんは・・・、いや、いる気配も無い。海藤さんと一緒にいてたらいいけど。」
スマホも圏外。・・・いや圏外ではないが、画面の表示には見たことの無いアンテナがたっている。あまり使わない方が良さそうだが・・・。通信ができるなら、一度知り合いにかけてみよう。
・・・そうだな、真冬は・・・。
Prrrrrr....
「・・・だめだ、やっぱり繋がってないみたいだ。」
スマホを仕舞い、もう一度周りを見る。
・・・どちらを向いても見たことの無い景色。神室町ではないことだけはわかる。どこかはわからない。しかし、直前の出来事が上手く思い出せない。蘭子さんに出発の意志を告げ、迎えが着いたことも覚えている。謎の空間に飲み込まれたのも確かだ。
「けど、謎の空間なんてものがあるのにビックリだけど・・・。」
まず、人を探すことにする。
人の気配がする訳では無いが、道を頼りに道を歩く。道は舗装されている訳では無いが、動きやすい。
ふと、何かが上を通った気配を感じ、見上げる。
「・・・何も無い、か。」
しばらく歩いてみると、今度は後ろから気配を感じる。
素早く振り向いてみる。
「・・・あれ?おっかしぃな・・・。」
なんかの気配がするのは間違いないはずなんだけど・・・。
そう考えている間に今度は右手側の森ん中から気配感じてきたし・・・。
チラ見してみるが、案の定いない。
・・・というよりかは、多方向から見られているようだ。
(・・・かけてみますか。)
立ち止まり、声を張る。
「そこにいるのは分かってるからさー、出てきてごらんー。」
そうすると、木々の間からゾロゾロと5、6人ほど現れた。
「あー、結構いたね。」
っておいおい、みんな盾と剣持ってるぞ。世界観が狂ってんな。
「おい、お前は何者だ。」
リーダーらしき女性が前に出て、俺に問いかけてくる。
犬耳・・・、尻尾・・・?コスプレ集団にしては・・・、いや剣、本物だわ。
「え、えーと・・・、割とその質問はこちら側もしたいと言いますか・・・。」
「・・・?変なことを言う奴だな。」
「・・・や、八神です。」
「聞いたことのない名前・・・、ひょっとして、外来人・・・?」
外来人?変なワードが出たぞ。
「ええい、隊長!面倒です!切り捨てましょう!」
突然後ろで見ていた別の女性が切りかかってくる。
「あっおいバカ!!」
「な、ちょ待て!!」
間一髪で避ける。
・・・どうやら、隊長を除く残りの奴らはやる気みたいだ。
隊長は頭を抱えている。いや止めなさいよ・・・。
「かかれぇ!!」
(人数が多い。・・・減らすためにもさっさとケリをつけよう。)
そう考えて、八神は緩く構える。円舞スタイルの構えだ。
八神は特に何かやっていた訳では無い。神室町で暮らしていたことで鍛えられた独自の戦闘スタイルだ。
これはその一つである足技を主軸にしたスタイル。
「まずはお前だ!」
2発軽く蹴りを入れ、足を払い、薙ぎ払うように蹴りを入れる。
「うわぁ!?」
「ぐあっ!?」
薙ぎ払う際に巻き込んだようで、近くにいたやつも吹っ飛ぶ。
多人数に強いスタイルだ。
「・・・後ろが空いているぞ!」
別のやつが八神の後ろから切りかかる。
八神はそれを素早く躱す。
「まだまだっ!」
先程のふたりが起き上がり、追撃に来るが、八神は後ろに走り出し、その攻撃も躱しながら木を駆け上がる。
「オゥラァッ!!」
そこから飛びかかり、1番近いやつの頭を掴んで回転し、周りのヤツらに蹴りを食らわせる。
「うおお!?」
「うわぁ!?」
そして、回転を終え、落下の勢いで掴んでいる頭を地面に激突させた!!
「がっはぁ!?」
EX・壁飛び壊撃だ。
(・・・意外とチョロいな。数も減ってきた事だし・・・。)
ここで八神はスタイルを変える。中国拳法のような構えをとるが、これも我流。タイマンに強い、一閃スタイルだ。
「・・・調子に乗るなよ!!」
味方をやられ、激高したのか男は八神に盾を構えつつ向かってくる。
「見え見えだ・・・。」
剣を振りかぶるタイミングでまわりこみ、後ろから素早いコンボを入れる。
「はあああああ・・・。」
そして、最後の一撃が当たる瞬間に、気を繰って、力強い拳を腹にあびせた!
「セヤァッ!!!」
「そんな・・・、馬鹿なァっ・・・!?」
ふうっ・・・。こんなものか。まさか知らない土地でこうなるとは・・・。
「隊長さん・・・、てかあんた隊長さんだったのか。」
「ええ、まあ・・・。というより、すみません、うちの連中、血の気が多くて。人の話は聞けっていつも言ってるんですけど・・・。」
「いや、まあ、別に・・・。それよりも、外来人ってのはなんなんすか?」
「・・・それを説明する前、この世界の説明した方がいいかもしれませんね。」
・・・こ、この世界・・・だって?
まさか蘭子さんから引き受けた依頼・・・、予想以上に一筋縄じゃあ行かないってことか・・・?
To be continued...
ー次回予告
謎の武装集団を撃退し、冷静だった武装集団の隊長と再び会話を始める八神。だが、八神は話をするにつれ、自分が今いるこの場所は神室町がある世界とはまた違う世界、所謂別世界だと聞かされ、驚愕する。右も左も分からないこの世界で迂闊に動くことの出来ない八神は、武装集団、もとい、この妖怪の山の哨戒の隊長、犬走椛からの提案により、共に行動するのだった。