ありふれない家族が世界で最も幸せに   作:ゼノアplus+

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今回は恵里視点、クラスメイトサイドのお話です。


中村恵里の魔法

今日は、【オルクス大迷宮】に再挑戦する日だ。MCは僕、中村恵里がやっていくよ。いやぁ、あれから2週間以上たったらちゃんと落ち着くことができた。よくよく考えれば、こっそりとスカイツリーからステルスダイブするような影二が死ぬ筈ないもんね。

 

ちなみに今日は以前より少ない人数だけだよ。僕がいる勇者パーティーに、あのゴミ(檜山)のパーティー、そして永山のパーティーだ。まあ仕方ないよね。客観的に見ればクラスメイトが2人も死んだんだもん、平和思考な日本人にはちょっと衝撃的過ぎるよね。先生の努力で希望者だけになったからこんなに人数が少なくなったけど、正直ありがたいよ。目が少ないし、何より少数だから連携も取りやすい。ベヒモスとか、烏合の衆じゃ勝てないし。あれだ、少数精鋭ってやつだね。

 

現在は六十層。あのベヒモスがいた層まで五層ある。今日までに格段にレベルアップした僕たちはサクサクと進んでいるから6日で到達できた。いや〜光輝くんの怒涛の勢い、凄かったね。香織を心配させないように力を無理やり示してたもん…………腹立つなぁ。なにさ、影二が居なくなった僕には何も声を掛けてくれないのに。香織には声をかけるなんて。きっと『兄妹といっても書類上の関係だし悲しみは少ないだろう。それよりも前を向いて死んだクラスメイトの分まで生きなきゃ!』って思ってる筈だね。どうせ南雲ハジメは死んでないよ、影二が気にかけてたし何かがあるんだろうね。

 

この六十層には吊り橋がある。他のみんなは、どうやらあの時のことを思い出して恐怖に駆られているようだけど。僕にとっては逆だ。この下に影二がいると思うと思わず飛び込みたくなる。で・も・影二は僕が危険なことをするのを望んじゃいないだろうし、何より影二が見てない間に光輝くんとの距離を縮ませちゃえば褒めてくれるだろうから我慢することにする。

 

 

「エリリン大丈夫?ここに来てからずっと俯いてるけど……?」

 

「……大丈夫だよ。ちょっとお兄ちゃんのこと考えてただけ」

 

「でも、あの日からエリリン口数も減ったし食事もあんまり……」

 

「谷口、兄貴が死んだんだぜ?流石にすぐに元気になれっていうのは酷だ」

 

 

物静かな僕に対してそういうのは『親友』というポジションにいる谷口鈴。彼女に対してさらに言葉を発しているのが脳筋こと坂上龍太郎だ。鈴は気付いてないけど、お互いに自分のために利用し合っているから逆に接しやすい。お互いにボロが出ないようにしてれば良いからだ。

 

 

「そうだよ鈴。でも恵里、メルドさんも言ってたじゃないか。篝火は恵里をその命をもって守ってくれた。だったら恵里もいつまでも篝火のことにすがってちゃダメだ!!それを糧にしないと。大丈夫、俺が傍にいるし、もう誰も死なせる事はしないと約束する!!」

 

「光輝くん……うん、そうだね」

 

 

……あれ?どうしてだろう。香織に対してより言葉が軽く聞こえる。僕も、どうしてそんな素っ気ない反応しちゃうの?もっと気丈に振る舞わないと光輝くんは僕を見てくれないのに。ねえどうしてなの僕。もっと頑張らないと、影二が喜んでくれないよ……

 

 

「……ごめんなさい恵里。光輝に悪気はないの。ちゃんと言っておくから」

 

「……ううん。大丈夫。光輝くんがそうだっていうのは分かっているから」

 

 

ねぇ雫。どうしてそんなに、『私は光輝のこと分かってます』アピールするの?別に光輝くんのこと好きでもないのに、幼馴染みってそんなにすごいの?僕だってもう6、7年の付き合いになるのにまだ足りないの?

 

 

「恵里ちゃん。精神には効果がないけど、気休めに回復魔法を掛けておくね?」

 

「……ありがとう。少し楽になったかも。流石香織だね」

 

 

ねぇ香織。どうしてそんなにアホなの?光輝くんからそんな感情を向けられてるのに、どうして無視するの?興味がないなら変わってよ。僕は光輝くんの隣に立たなくちゃいけないんだから。

 

 

「……私も降霊術が使えれば、もっと貢献できるのに」

 

「エリリンは魔法も腕もすごいから十分貢献してるよ!!」

 

「そうよ。自信を持って。このパーティーには恵里が必要なんだから」

 

 

鈴や雫が慰めようとしている。別にどうでもいい。僕は降霊術は生理的に無理って事で使えない設定にしているけど全然使える。手札は隠している方がゲームが面白くなるからね。最近結構面白い派生魔法を使えるようになったから楽しみにしててね〜♪

 

……あっ?

 

 

「ッ!?」

 

 

不躾な視線に気づけば、あのゴミがこっちを見ている。その表情はどこか辛そうだ。万が一でもバレたらどうするつもりなんだろうね?どうせなら、殺してから傀儡にしても良かったかも。その方が使いやすいし従順だし。

 

 

「よし、先に進もうみんな!!」

 

 

おや、光輝くんが言ってる。さてと、頑張ろう。光輝くんを手に入れるために。影二に喜んで貰うためにもね。

 

 

 

 

 

 

ついに六十五層に到着した。部屋に入ってすぐに見覚えのある魔法陣が出てきた。ああ、また出てくるんだ。へぇ……

 

 

「ま、まさか……アイツなのか!?」

 

 

光輝くんの不安そうな声もまた良いね。そんな様子に他のみんなも気づいたのか、恐怖心に煽られた様子をしている。

 

ふふふ、わざわざ出てきてくれたんだ。きっと別の個体なんだろうけど良いさ。……絶対にぶっ殺してやる。生きていることを後悔するくらいに、ボロボロになっても、さらに少しずついたぶってやる……!!あの時、僕を狙ったこと、奈落の底で生きている影二の代わりに屠ってあげるよ!!

 

 

「ガァァァァァァァァアア!!!!」

 

 

光輝くんが先陣を切り技を放つ。前は最大限の攻撃でも無傷だったけど、特訓の成果か、他の技でもダメージが通っているようだ。そのまま前衛組がベヒモスの相手をしている間に僕たち後衛組が魔法の発動準備に入った。

 

 

「エリリン、早く詠唱しないと……」

 

「うん。ちょっと待ってて」

 

 

せっかくの相手なんだ。僕の実験台になって貰うよ。

 

 

「欲するは炎。しかしそれはただの赤き炎にあらず。彼の者に害なす悪しき魂よ。復讐の炎に焼かれるがいい。我らが契約は永遠なりて決して途切れず。我らの邪魔を為すならば……苦しみを以て懺悔し後悔し恨み……そして恐怖しろ。それが我らの糧となり悦びへと変わるだろう。今こそ示そうではないか。誰が為の戦いなのかーーー『煉獄』」

 

 

ドス黒い炎が僕の真上に現れる。……成功だ。僕だけのオリジナル魔法、『煉獄』。さあ、ヤツを殺して♪

 

 

「グゥルガァァァァアァァァァ!?!?!?」

 

「「「「『炎天』!!」」」」

 

 

そこへさらに僕以外の魔法組が炎系上級魔法を唱えてベヒモスに命中。でもねぇ〜?

 

 

「燃え盛れ復讐の炎よ……我らこそが至高なり。赤き炎は黒く染まりて更なる力とならん。全てを喰らい尽くしその身に宿せ。我らの炎は消えることを知らず。『煉獄昇華』」

 

 

誰にも聞こえないように更に詠唱。うんうんこれも成功♪完璧だね。他の炎系魔法を吸い取って『煉獄』を成長させる『煉獄昇華』。降霊術が使えなくても、炎術師じゃなくても、これくらいはしないと影二も喜んでくれないよ♪

 

 

「ガッ……アァァアアァァァァァァアアァァア……」

 

 

その声は、何て言うんだろうね?僕の詠唱でも言った通り、懺悔かな?それとも、やっちゃいけないことをやった同族への恨みかな?ふふ……でもまだ殺してあげないよ。僕たちが味わった恐怖は、僕が影二に感じた申し訳なさとか嬉しさとか疑いとか、全てを持って味合わせてあげるからね。

 

それから何分たっただろう。1分?10分?もしかしたら1時間かもしれない。誰もがベヒモスの死を願って、その姿を見続ける。そして……

 

 

「か、勝った……のか?」

 

 

誰かがそう呟き、他のみんなもその事実に呆然としている。そして……

 

 

「そうだ!!俺たちの勝ちだ!!」

 

 

ベヒモスだった黒い炭を背にして、僕たちの方を向いた光輝くんはその聖剣を掲げて宣言した。

 

 

「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」

 

 

歓声。みんなが勝利を喜んだ。男子どもは肩を叩き合い、女子の中には感極まって泣いている者もいる。メルド団長たちは感慨深そうにそれを眺め、おそらく胸中では喜んでいると思う。

 

 

「やったねエリリン!!……って、あんまり嬉しそうじゃないね?」

 

「え?いやいや、嬉しいに決まってるよ!!勝ったんだよ!!あのベヒモスに!!」

 

 

……危なかった。少し素が出てたかも。はぁ……ちょっと疲れたかも。まさか、あんなに魔力を持っていかれるなんてね。なんとかして魔力を補充する方法を創らないと……

 

 

「これで南雲と篝火も浮かばれるな!!自分を突き落とした魔物を、守ったクラスメイトたちが倒したんだから……」

 

 

……ああ、光輝くんのなかでは、2人は死んだことになってるんだね。まあいいよ、そのうちひょこっと出てくるんだろうし。その時の驚く光輝くんの顔にも興味があるしね♪

 

あーあ、早く帰ってこないかなぁ〜

 

 

「よし、安全確認をしたら休憩するぞ!!」

 

 

メルド団長の声でみんなが安全確認をしだした。僕もそれに加わり、拠点作りの準備をしていた。その時、

 

 

「中村恵里、ちょっといいか?」

 

「メルド団長……どうしました?」

 

 

突然メルド団長が話しかけてきた。

 

 

「生徒たちは、あんな黒い炎を使えなかったはずだ。それに、お前は1人だけ違う詠唱をしていた。単刀直入に聞く。何をした?」

 

 

へぇ……わざわざ問い詰めてくるんだ。他の生徒や騎士はベヒモスに勝った喜びでそんなこと忘れてるって言うのに。

 

 

「詠っただけです。私とお兄ちゃんの事を」

 

「詠った……?まさか、それだけでオリジナルの魔法を?」

 

「……ダメなんでしょうか?」

 

「いや、ダメではないが……驚いてな」

 

 

……今なら使えるかもしれない。

 

 

「……堕ちろ『らくしk……「そういえば」……ッ?」

 

 

危ない……バレるところだった……

 

 

「これを影二から預かっていてな。読み終わったし、内容も覚えたから返しておこう」

 

「これは……ッ!」

 

 

メルド団長から渡されたのは日本で影二がよく使ってたノート。しかも、クラスメイトのプロフィールが書かれたあのノートだ。でも、もう一冊がないってことは……自分で持っているのかな?

 

 

「その資料があったから、光輝たちとの関係も上手く縮められた。アイツは相当な切れ者だな。もしや、役者さながら自分が死んだような演技までしているかもしれん」

 

 

……うわぁ、影二、変な信頼のされ方してる。

 

 

「地上に戻ったら酒を奢る約束をしていてな。全く、なかなか面白いやつだった。ここで死ぬようなタマじゃないと思うがな!!」

 

 

ガッハッハと笑うメルド団長につられて、思わず僕も笑ってしまった。……最近は上手く演技ができてないかも。

 

 

「お前の魔法、上には黙っておく。神の使徒がドス黒い魔法なんて人聞きが悪いからな。使うなとは言わないが、注意をしておけ」

 

「……ありがとうございます」

 

「おう、しっかり休んでおけよ」

 

 

そうして、メルド団長は去っていった。確かに……勇者な光輝くんといるときにこの魔法は見た目が悪いね。影二がいるときだけにしよっと♪て・こ・と・は、また新しい魔法を考えなきゃね?ふふふ……もはや最近の趣味だよね〜。降霊術が使えない縛りなんてしてるんだから。はぁ……とりあえずは魔力の回復に専念しよう。もう『火種』すら使えないよ……

 

さて、次はどんな詠唱にしよっかな♪

影二が演じるキャラの性能に制限は必要?

  • いる
  • いらない
  • どうでもいいから続き書けよ
  • もはや、他作品キャラやめて
  • どうでもいいから恵里との絡みを増やせ
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