清々しくて逆に腹が立つほどの快晴な朝。俺、篝火影二は学校に行くための準備を終え、まだ寝ている寝坊助な妹を起こすために部屋へとやってきた。
「恵里、さっさと起きて学校に行くぞ」
「うむぅ……勝手に人の部屋に入ってこないでよお兄ちゃん……今日は日曜だよ?」
「アホ言え、月曜日だよ。ほら、若干素が出てるぞ?」
「演技を気にしなくていい時間に無作法な男が来たからね。勘弁してよ影二」
「役者たる者いついかなる時でも備えろ。来たのが父さんだったらどうするんだよ」
「シンプルに成人男性が未成年の少女の部屋に来たとしてタマに制裁を加えるだけだよ」
流石にタマはやめて差し上げろ。死ぬから……
「はぁ……いいからとっとと起きろ。母さんが、『朝飯を食べてくれないし反抗期かしら』って言ってたぞ」
「無駄に声まで完璧に真似するのやめてくれる?分かったよ、僕の負けだよ。おはよう影二」
「おはようさん恵里。ああもうまた寝癖がひどい……後で直してやるからさっさと身支度整えてこい」
「は〜い」
恵里の部屋を出た俺は自分の部屋に戻り、4冊に増えたノートを取り出した。3冊はクラスメイトの個人情報を事細かに書き記した物。残りの一冊は執筆途中の小説だ。これは俺の人生をかけた物だからな。いつでも持っている。
「あら影二、恵里は起きた?」
「さっき起きたよ。また寝癖全開で降りてくると思う。父さんは?」
「2時間前には仕事に行ったわよ。今日は遅くなるかもですって」
「そう。母さん、俺が言ったこと覚えてる?」
「ええ、月曜日に影二と恵里のクラスが突然いなくなったらある日にすっと戻ってくるから心配しないで、でしょ。毎週聞いてるから覚えたわ」
「ならオッケー」
「お母さんおはよ〜」
「あら、やっと起きてきたわね。おはよう恵里。食べやすいようにパンに色々挟んだから、影二に髪を整えてもらったら食べながら行きなさい」
「了解〜」
二階から恵里が鞄を持ち制服を着て降りてきた。10分ほどかけて髪を整えてやった後俺たちは家を出た。
「「行ってきます」」
何事もなく無事に学校へ到着した俺たちが見た物は、最近特に目立ってきた光景だ。
「よぉ、キモオタ!また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うっわ、キモ。マジか〜」
同じクラスの南雲ハジメに突っかかる檜山大介に、それに悪ノリするそのほか3名。
「ねえお兄ちゃん、昨日は何やってたの?」
「えーと……Fa◯eの原作って言われてるゲームを徹夜でやってたな」
「R指定は?」
「もちろん18」
「……まあいっか。人間用のR指定だし」
良い子は真似しないでね!ダメだから。
ボソボソと会話をし、席についた俺は恵里がこのクラスのリーダーとも言える存在、天乃河光輝のところへと向かった。俺はと言えば、多少の敵意を込めて檜山たち4人を睨む。それが届いたのか4人は両腕をさすって南雲から離れたようだ。全く……これだから人間は……多少の趣味嗜好の違いで容易に同族を差別する。
「おはようさん南雲朝から災難だったな」
「あ、篝火くんおはよう。もう慣れちゃったよ」
「それはそれでどうかと思うけどな。ッ……すまん南雲、どうやら俺はここまでらしい」
「え?……あぁ、うん、また後でね」
「力になれなくてすまん……」
「いいよ、慣れたから。嫌なものは嫌だけどね」
俺と南雲は、とある日に発売したゲームを当日に買いに行ってばったり出会い割と話すようになった仲だ。なまじ色々あって自分が昔いじめを受けていた時の経験から南雲の反応は仕方ないと思うが、慣れたで友人にも済ませてしまうあたりはどこか人間としては壊れてるだろう。まぁ、俺にとってはそこが良いのだが。
そして俺が南雲から離れた理由だが、その答えは彼女にあると言える。
「南雲くんおはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」
聞く人が聞けば明らかに煽り。だが本人にその気は一切なく純粋に南雲のことを心配して言っているのだろう。その名を白崎香織。この学校で二大女神とか言われてる美少女だ。まあ俺からすれば恵理のほうが何千倍も美しく見えるが。
まあこの学校の人からしたら、こんな美少女が平凡でいじめられっ子な南雲を構うのはよろしくないんだろう。
「南雲くん、おはよう。……その、ごめんなさいね」
「おはよう。……もう慣れたから」
「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ。そんなやる気のないヤツにゃあ何言っても無駄だよ」
「まあまあ、南雲くんだって好きで香織に世話焼かれてるんじゃないだろうし……ね?」
近寄ってきた男女4人。最初の1人が八重樫雫。次のが天之河光輝、その次が坂上龍太郎、最後が書類上妹の中村恵里だ。
ぶっちゃけた話、上から順に二大女神の片割れ、人気者、脳筋、ヤンデレ予備軍だ。恵理以外は特に関わりはないんだけど、あえて言うなら、誰も知らないが恵理は天之河のことをヤンデレ一歩手前なレベルで好いている。ちなみに俺は、そんな恵里のことが好きだ。まあ説明すると面倒だから後々話すよ。
その後簡単な受け答えを南雲はし、いつも通りに天之河に難癖をつけられる。途中白崎からの爆弾発言が飛び出してクラスの温度が数度下がったりしたがチャイムが鳴ったので全員が何事もなかったかのように席に戻った。
◇
午前の授業が終わり、昼休みの時間になった。聞くところによれば南雲はこの休みは徹夜をしていたらしく、この午前中は爆睡だった。
「恵里、今日の昼飯。はいよ」
「ちょ……家で渡してよお兄ちゃん」
「悪い、時間なかったからな」
恵里に母さんが作った弁当を渡し、自分も飯を食う。と言っても大体人目がつかないようにしてから大きく口を開けて一口でパックリ食べるだけだ。俺の異常性はもうみんな知ってるだろうしな。
ふと目線を南雲へ向ければ、エナジーゼリーを10秒でチャージしたらしい。机に飲んだ後のが置いてある。が、朝と同じように白崎に絡まれているのが見える。その様子を見たのか天之河一行も現れちょっかいをかけ始めた。
「全く……自分の価値観を他人に押し付ける事しかできないのか。あの歪んだ人格者は。…………壊れてる部分だけ見れば好みだけど、いちいち言動に腹が立つ」
俺が天之河を嗜めようと席を立った時、クラスの空気は完全に凍った。
(今日だったのか!?)
「恵里ッ!!」
「え?」
天乃河の足元に現れた、いわゆる魔法陣は一瞬のうちにクラス全体へ広がり金縛りのように動けなくさせた。まあ俺は無理やり拘束を引きちぎり恵里の元へと向かったわけだが……
そのままクラスの中は光に包まれた。そして、その光が消えた時に残っていたものは、人間以外の全てだ。
◇
人を抱いている感触を受けながら、目を開ければまず目に映るは巨大な壁画。それはとても美しい絵に見えるが、どこかに狂気を感じる。ふと目を向ければ、よほど眩しかったのか目を瞑っている恵里の姿があった。
「恵里……恵里……無事か?」
「えい……ッ、お兄ちゃん、なんなのこれ?」
流石の恵里でも動揺はするか。一瞬、素が出かけたがなんとか踏みとどまった。
「分からん……とりあえず立てるか?」
「え?……きゃッ」
俺が抱いていることに気づいた恵里は飛び起きた。よかった、なんともなさそうだ。
「あ、ありがとう……」
「ああ」
クラスにいた俺たち全員が今この場にいる。ただ場所が異常だ。変な台座に乗っているのがわかるが、周りには宗教的な格好をした人間が俺たちを囲んでいた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎いたしますぞ。私は聖教教会にて教皇の地位についておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後よろしくお願いいたしますぞ」
そう言った、無駄に煌びやかな法衣を纏った老人は微笑を浮かべながら近寄ってきた。さて……どうしたものか。
影二が演じるキャラの性能に制限は必要?
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いる
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いらない
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どうでもいいから続き書けよ
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もはや、他作品キャラやめて
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どうでもいいから恵里との絡みを増やせ