「うぅ……ん……恵里……なんでそんな死んだ魚の目をしてパッドを胸に……」
「……主様ぁ」
「……地獄かなここ。ああ、挑戦者には地獄だったね」
「んぁ……あぁ?ミレディではないですか?どうしました、能面みたいな顔して」
「君さ……毒吐かないと起きられないの影二君?」
目が覚めると目の前にミレディが。……確か記憶では恵里よりもミレディの方が板に近かったな。
「いえいえそんなことは……という、動けないのですが?」
「もっと周りをみなよ」
「?……ヌルさん?あの、どうして私に抱きついているんです?」
「抱き枕みたいでちょうど良かったみたいだよ。今の君小さいからマスコットみたいだし」
「えぇ……ヌルさん、起きてください」
「……我が救世主……いわ……祝え?……むにゅぅ……」
「なんで白ウォズみたいなことを言ってるのですかねぇ!?はぁ……仕方ありません。ふっ!!……な、抜けれない!?」
おかしい……俺の筋力は4万近くあるのに、どうして勝てない!?くっ……かくなる上は……
「あぁん……うにゅ?……主様?」
「主様ではありません。起きたのなら早く退いてください」
「え……?……ッ!?も、申し訳ありません!!」
仕方がないのでその大きな胸を思いっきり掴んで、ちょっとした快感で起こさせる。目の色なんぞわからないはずのミレディの目がドス黒く染まっていた気がしたが気のせいだ。ヌルは驚いた様子で俺の体を投げ飛ばし、わざわざ翼を出して飛んで離れた。……頭ぶつけた。
「……んん?ほぅ……美しい翼ではありませんか。漆黒の翼というのもまた映えますね」
「ふぇ!?……あ、ありがとうございます?……貴方が何かしたわけじゃないのですか?」
……説明していなかったか?
「私が行った『錬金魔法』は貴方の体を構成する物質を別の物質に変化させることです。……それが何かまでは」
淡い水色のワンピースを着て漆黒の翼を広げた彼女の姿は、まるで堕天使のようだ。堕ちているという意味では正しいかもしれないが。
ジリリリィ……………
「お!?来たみたいだね。影二君、ヌルちゃん、私はちょっとしなきゃいけないことがあるから行ってくるよ」
「ミレディ……?用件とは?」
「どうせろくなことじゃありませんよ。ほっときましょうヌルさん」
「大真面目だよ!?……3人の新しい挑戦者がもうすぐ最終試練まで辿り着くからさ。ええっと……白髪君と金髪ちゃんとウサギちゃんだね」
どう考えてもハジメ達だろう。……そうか、もうそんなに時間がたったのか。……はぁ、素直に謝って許してもらうしかないか。
「ッ!!……そうですか。ミレディ、あの3人は強いですよ」
「へぇ……あの子たちが、君の言ってた子なんだね。ふふっ、楽しみだなぁ〜影二君曰く、あのクソ野郎をぶっ殺してくれるんでしょ?これは……本気でやらないとなぁ〜。あ、殺しちゃったらごめんね?」
「構いませんよ。これで死ぬような人間ならば用はありません」
「うっわぁ辛辣。お友達じゃないの?」
「……友達?ハハッ、冗談はよしてください。親友ですよ。大切なね。でもやはり彼らが死んじゃったら私泣いちゃうかもしません」
「おぉ!?それは見てみたいかもね!!よし、張り切って行きましょー!!『界穿』」
どうやら俺の言葉でミレディのやる気が急上昇したらしい。俺が泣くとこってそんな変なの?まぁ、この体だったら涙とか出ないんだがな。そしてミレディはワープゲートを出して行ってしまった。おそらく戦闘用のゴーレムに魂を移すんだろう。
「あるz……篝火影二。これをどうぞ」
「貴女さっきから変ですよ?……宝物庫ですね。ありがとうございます」
ヌルが俺の宝物庫を渡してくれた。……武装は全部ある。服はなぜか前よりきっちり畳まれてる。食料は……俺が全部食べたんだっけ。裁縫道具、調理器具、掃除道具……よし。
「揃っています。……ヌルさん。貴女、ちゃんと服を選びましたか?」
「え、ええもちろんです。だからこうして着ているではありませんか」
「……下着は?」
「…………下着?」
この天使やばいのではないだろうか?そんな言葉初めて聞きました、というような声と表情のヌル。……最初に出会ったときはクール系だと思ってたんだがなぁ……ポンコツ系だったのか。
「はぁ……私がコーディネートします。と言っても、そうですねぇ……これでしょうか。下着は正直なんでもいいですし」
「か、篝火影二……?」
彼女の漆黒の翼をさらに映えさせるためには黒めの服がいいだろう。髪が銀髪だから、イメージは『ローゼンメイデン』の『水銀燈』のような洋のゴスロリがいい。身長もあまり高くないからサイズもちょうどいい。……いや少しキツいか。ほぼ『水銀燈』の服に寄せているが、頭の飾りと服に付いている十字架模様がついてないだけのほぼ同じものだ。
「服を仕立て直すのでちょっと待ってください。10分で終わらせます」
「……もうなんでもいいです」
ヌルも諦めたようだ。さて、宝物庫から裁縫道具を取り出してすぐに作業を開始する。……体が小さくなったから少し感覚がおかしいな。
「あの……質問いいでしょうか?」
「ええ」
裁縫をしながらヌルの言葉に答える。
「なぜ……命を削ってまでわたくしを救ってくれたのですか?」
「貴女を気に入ったからですよ。私は気に入った相手には手厚いのでね」
「でも、それだけでは命を削るほどの理由にはなりません」
「……私と似ていたからです」
「え?」
さっきまでポンコツだったのに、シリアスな雰囲気になるとしっかりしているのだから、俺がよくてもヌルがそうさせない。させてくれない。
「自由が無かった頃の私にそっくりだったからですよ。何かをしたいのにできない。強大な何かに怯えながらいつも下を向いて過ごす日々に飽き飽きし、絶望し、諦めていた私にね」
「……貴方の……家族、という者ですか」
「ッ……そういえば、あのとき私の感情も流れたのでしたね。ええ、貴方にだってどこか身に覚えがあったのでは?」
「はい、貴方から流れてきた感情は、わたくしが体験した感情に近く……なんというのでしょう?」
「親近感が湧いた、もしくは同情した、というところでしょうね」
感情に疎い、という点でも少し俺たちは似ているらしい。
「私からも質問しましょうかね」
「わたくしに……?」
「それ以外に誰がいるのですか。なぜ、すぐに旅立たなかったのです?」
彼女はもう自由だ。いつでも、どこにでも行くことができるのにわざわざここに残る必要はなかったはずだ。
「……笑いませんか?」
不安そうな目を向けてきた。俺に言って笑われるようなことでもあるのか?
「内容を聞かなければ笑うも何もないでしょう」
「……わたくしは……貴方について行きたいのです」
「…………ほぅ?」
これは……また、なんとも意外な。まさか俺についていきたいとはね。
「わたくしは何も知りません。誰かがいないと何も出来ません。でも……それ以上に……貴方の旅路を見てみたいと思いました」
「私の……ですか?」
「たった1人しかいない存在で、何処へ行き、何を見て、どうするのか。詰まるところ、貴方という存在に惹かれてしまいました。これは責任を取ってもらわなくてはなりません」
「いやいや……急にがめついですねヌルさん。ふむ……」
真面目な顔から、綻び、天使のような笑顔で俺に惹かれたと言ってくる彼女はまた美しく見える。……戦力には申し分ない。どうせ俺はこの大陸を回らなくてはならないし世界を見たいという元来の彼女の願いに反していない。
「まぁ……いいでしょう。ハジメに断られたら最悪別行動すればいいですしね……」
「本当ですか!!やったぁ!!……ッ……失礼しました」
どうやらだいぶお茶目な一面もあるらしい。というかこっちが素なのだろう。俺の手を、両手で掴んでくるほど喜んでいる。
「よし、出来ました。じゃあ着てみてください……って、着方が分かりませんよね。私が着せるので脱いでくださいな」
「あ、はい。お願いします」
彼女がワンピースを脱ぎ全裸になる。別に如何わしいことは何もしていない。というか、俺には生殖機能がついていないのだから欲情も勿論しない。人間に擬態すれば一応出来るが、恵里に対しても別に欲情しないのだから無理だろう。
「…………ここをこうして…はいバンザーイ」
「ば、バンザーイ?」
俺に合わせて両腕を上げるヌル。その間にちゃっちゃと服を着せていく。背中は、翼が邪魔にならないように広く開けてある。少し扇情的に見えるが仕方がない。
「はい完了です。よく出来ました。着方は覚えましたか?」
「……多分?」
「よろしい。……それにしても、似合っていますね」
「そ、そうですか?」
「ええとても」
「………………」
恥ずかしいのか、俯いている。もしや『恥ずかしい』は初体験かな。誰かの前で全裸になることを恥じる日が来れば良いのだが……
「それで……その、もう一つお願いがあるのですが」
「まぁ、これからは旅の仲間ですし、なんでしょう?」
「名前を……頂きたいのです」
「名前?貴女にはヌルという名前があるではありませんか」
「それは、エヒトに付けられただけです。わたくしの今の体は貴方によって作り替えられたのです。篝火影二……貴方に付けて欲しいから」
急に、敬語を外すのやめて欲しい。ビクッとしてしまう。名前……名前ねぇ……ヌルはどのような存在か……神に裏切られた者。堕ちた天使……そういえば……
「ヌルさんは、エヒトをどうしたいのですか?」
「アイツがわたくしにやったように、ボロボロになって許しを乞いながら絶望する瞬間が見たいです。ついでに泣き叫びながら『わ、我は神だぞぉ!!』とか言ってくれたら最高ですね。高笑いしながらその顔面を蹴飛ばしたくなります。チッ……とっとと死ねばいいのにあのカス野郎」
「……な、なるほど。いいではないですか」
思っていたより爆速で、尚且つすっごいいい笑顔で俺より恐ろしいこと言ってる……よっぽどショックだったのか……ていうか口悪いなこの子!?……気を取り直して、だったら話は早い。
「リベルタ」
「……?」
「貴女の新しい名前です。私の世界では、『リベル』が『反逆者』、『リベルタ』が『自由』という意味を持ちます。……名付けは初めてなので分からないのですが……どうでしょうか?」
「リベルタ……リベルタ……リベルタ……」
小さな声で反芻する様に呟く彼女。気に入ったのか、気に入らないのかはっきりして欲しい。神に反逆する者として『リベル』。俺やミレディが彼女に望む『自由』を願って、イタリア語の『リベルタ』。女性に対してつけるには変な名前だが、今の俺にはこれ以上の考えは浮かばない。
「わたくしの名前……リベルタ……わたくしは今日からリベルタです!!」
「愛称は……ベルにしましょうかね。これから宜しくお願いします、ベル」
「はい!!よろしくお願いします。主様!!」
どうやら気に入ってくれたらしい。表情が豊かな子だ。うんうん……うん?
「あの……ベル?主様とは……」
おかしいな……さっきまでフルネームで呼んでいたのに……突然に御主人様呼びになったぞ……?
「主様は主様ですよ?」
「いや……そういうことではなく……普通に影二、とかでも良いのでは…」
「主様に体を書き換えられたとき、主様の魂の一部もわたくしの中に入ってきました。つまり、わたくしの一部は主様で出来ています。だから主様なのです!!」
「いやぜんっぜん分からないのですけど……」
何を言っているのだろう?俺の一部が入ったから?
「主様……ダメでしょうか?」
「…………はぁ……私も甘くなりましたねぇ。分かりましたよ、それで構いません」
「じゃあ主様です!!」
唐突な上目使い。でも俺の方が身長は低い。体小さいしな……いつになったら戻るんだろうか……ハジメに神水をもらってそれで治れば良いのだがなぁ……あ、そういえば……
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???(篝火影二) 17歳 レベルーー
天職:役者
筋力:25000
体力:16000
耐性:15000
敏捷:27000
魔力:100000
魔耐:15000
技能:完全演技[+千変万化][+武器操術補正]・完全擬態[+イメージ補強力上昇][+衣服投影]・文才[+心象投影]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔力変換]・裁縫[+魔力針生成]・家事・我流武器操術[+槍術][+拳術][+剣術][+弓術][+鎧術][+鎌術][+鋸術][+扇子術][+奏術]・生成魔法・重力魔法・眷属化[+堕天使]・言語理解
状態:生命力低下
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……ものの見事に下がったな。生命力低下か……いや、分かってるぞ?自業自得だし……にしても、いつの間にやら重力魔法を会得しているな。どうせミレディが、俺が寝ている間に魔法陣の上にポイッしたんだろう。俺に適性があるのかどうかだけ知りたい。重力魔法のことを考えれば自然と使い方も分かる。魂に刷り込まれているらしい。
……眷属化か。堕天使となっているあたり、ベルの種族は堕天使らしい。方法はおそらく生命力……俺の場合『魂』の一部を対象に付与させることだろう。魂魄魔法もしくは変成魔法、それか両方の複合魔法の末端と言ったところか。つまり、これから一生ベルは俺の眷属ということになる。……エヒトを殺したら、解除できる方法を探そう。彼女には彼女が自由に生きる世界を見つけて欲しいから。
『影二君とヌルちゃん、試練終わったからこっちに来てくれる?道は作るから〜』
「わたくしはもうヌルではありません。リベルタです!!」
「空間魔法って便利ですねぇ……」
ミレディの声が聞こえてきたと同時に、目の前にゲートが現れた。奥にミレディの姿も見える。とりあえず、ベッドを含めた荷物の全てを宝物庫に入れた。ベルが何やら抗議しているが何の意味もない。というかどれだけ名前を気に入ったのか。
「ベル、貴女の武器も収納しておきましょう。ハルバードを二本とも渡してください」
「主様、問題ありません。こう……出来ますから」
「……エヒトって本当にチートなんですね」
ベルは両手を開くと、一瞬で手元にハルバードを二本とも呼び出し、一瞬で消した。確認でそれをもう一往復した。……宝物庫無しかよ。
「さて、行きましょう」
「はい、主様」
2人でゲートを潜る。
「お疲れ様ですミレディ。負けました?」
「うん、もう清々しいほどしっかり負けたよ。なんでゴリ押しで魔法使ってくるかなぁ……」
「終わったことですし仕方ないですよ」
「主様の言う通りですミレディ」
言葉では感じ取れないが表情で分かる、結構悔しそうだ。その顔面には感情を投影する機能でも付いてんのかな。
「わわ!!ヌルちゃんその服すっごい似合ってる!!本当にお人形さんみたい……ていうか主様?……ああ、なるほどね〜やるじゃん影二君」
ミレディの察しが早くて助かる。ニヤニヤしてるのは一発殴ろうかと思ったが。
「ミレディ、今日からわたくしの名前はリベルタです。主様が付けてくれました。ベルと呼んでください」
「おお?そこも変えちゃったの?わざわざ付けたんだから意味があるよね?」
「『リベル』は、ベルのエヒトの哀れな姿が見たいという願いから『反逆者』の意味を、『リベルタ』は解放者や私の願いから『自由』の意味をとりました」
「……思ってたより理由づけがしっかりしてて私は絶句だよ。ヌルちゃ……ううん、ベルちゃん。本当にいい名前をつけてもらったね」
「はい!!」
ミレディはベルを抱きしめている。ベルもどこか嬉しそうだし、本当に仲がいいのだろう。…………何千年と磔にしてたのにな。
「さて……今ゆっくりと床に乗ってこっちに向かってきてるね。もうすぐ着きそう」
「では私たちは後方で待機しておきましょう。行きましょうかベル」
「はい主様」
壁際によって2人でミレディを見守る。どうせまたふざけた口調で喋るのだろうが、今はシリアスな雰囲気なので何も言わない。
「やっほ〜!さっきぶり〜!ミレディちゃんだよっ!」
どうやらハジメたちが来たらしい。…………気まずい。拒絶されたらどうしようとかそういうのはないが、どう謝ればいいか分からない。だが、シンプルに凄惨な現場を見させて悪かった、と素直に謝るしかないだろう。
「ほれ見ろ、こんなことだろうと思ったよ……ん?」
「「…………」」
ユエさんとシアさんは、ミレディを見て絶句しているがハジメは予想通りと言った表情だ。しかも何気にこっちを見た。おそらく気配感知の技能に俺たちが入ったのだろう。今なおミレディからの口撃が行われているがハジメはほとんど聴いていないようだ。一瞬、ベルの方を向いたがすぐに俺の方を向く。目が合っている。……ベル、今こそ眷属として俺を助け……あ、ダメですか。……はい。
「あれあれぇ〜?驚きすぎて言葉が出ないのかなぁ〜?ふふ、びっくりしちゃった?ドッキリ大成功だね!!」
「ふん……ドッキリか。確かに大成功だよなぁ影二?」
「「影二(さん)!?」」
(……あれ?もしかして私、今から空気?)
ニヤッと、威圧的な笑い方で俺の名前を呼んできたハジメ。その声でユエさんとシアさんも俺の方を向いた。ミレディがすごい悲しそうな目で俺を見てきたが無視だ。だって今からお前は空気なんだから。
「……お久しぶりですね皆さん。御元気そうで何よりです」
「お前はなんかちっこくなってるけどな。……で、なんでここにいる?」
「……ベル、ミレディと遊んできなさい」
「分かりました」
ベルと一旦距離を取り、ハジメたちに近づく。
「まずは謝罪を。この度は本当にご迷惑をお掛けしました」
「へぇ?お前は俺たちに謝らないといけないような事をしたのか?」
白々しい……が、どっち道悪いのは俺なので何も言わない。
「……ハジメ。人の前で人を食う場面を見せてしまったことは本当に申し訳ないと思っています。シアさんも、温厚なハウリア族……特に子供たちの前であんな凄惨なことをしてしまって」
「へっ!?いや、だ、大丈夫ですよ影二さん。うん……きっと……あれ?あれは大丈夫じゃないけど、大丈夫?うん?……頭が……」
「シア……落ち着いて」
「…………」
何故だろう……ハジメからの威圧が大きくなったような?いや……あの怖いんですけど……
「ハ……ハジメ?」
「影二……テメェ本気で言ってるのか?」
「はい。もちろんです」
「そうか……」
ハジメが目を閉じた。一体どうしたというのだろうか……
「影二、俺は怒っているように見えるか?」
「え……そうですね。激昂ラージャンよりも?」
「じゃあなんで怒っているように見える?」
「そりゃぁ……目の前で人を食った事とか、ハウリアの前で元の姿を晒した事でしょう。そう考えたら私は迷惑しかかけていませんね……」
「……歯を食いしばれ影二」
「へっ!?……いやあのハジメ私に歯なんてありまs「ぶっ飛べ馬鹿野郎ッ!!」グハッ!?」
ハジメに頬を思いっきり殴られた……壁まで吹っ飛んだし。ステータスも減少しているからめっちゃ痛い……ていうか割と重傷だ……
「ハジメ……一体何を……」
「俺たちが……俺たちがどれだけ心配したと思ってやがるッ!!」
「ッ……」
怒髪天という言葉が似合いそうなほど、ハジメの表情は怒りに満ちている。だが、そんな顔で言ってきた言葉は……俺を心配する言葉。何故わざわざ俺にここまで肩入れするんだろうか……所詮はバケモノ。
「私たちが今更……人を食べた程度で影二を嫌いになるって……本当に思ってる?」
「確かにちょっとビックリしましたけど……私たちを助けてくれたじゃないですか!!父様や他のみんなだって……影二さんに感謝してました!!『助けてくれてありがとう』って!!」
ユエさんやシアさんも、怒ったような顔をしている……でも、3人ともすぐに優しげな表情をした。
どうして……どうして……俺にここまでするんだ……思ってしまうじゃないか……俺にそんな感情を持たせてどうしたいのだろうか……
「影二、お前は自分のことどう思う?」
「……バケモノだと、人とは決して合いいれることのない正真正銘のバケモノですよ……私は」
「ふっ……そういうと思ったさ。なあユエ、シア?」
「……無論」
「ですぅ!!」
当たり前だろう。だって、自ら望んでヒトを捨てたのだ。今更後悔もない。なのに……コイツらが言おうとしている言葉はなぜか分かってしまう……
そして、3人は俺に手を差し伸べながら言った。
「「「俺((私))もバケモノでよかった。おかげでお前((貴方))と同じだ(ですぅ!!)」」」
どうして……この人たちは、俺を心までバケモノにしてくれないんだろう。ああ……今初めて思った。この体で……涙を流せたらいいのに。
〜ベル〜
「主様……良かった……」
「感動的だねぇ……影二君がちっこいのがアレだけど」
「ふふっ……そうですね。あ、後でミレディも抱いてみるといいですよ。結構抱き心地がいいんです」
「そうなの?じゃあ遠慮無くさせて貰おっかな〜……雰囲気的に無理だけどね?」
わたくしもミレディに便乗してみましょう……主様のこれからが、自由な意思のもとにあることを願っています。
檜山と光輝の生殺与奪は君達にあるのだ!
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檜山殺
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光輝殺
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両方殺
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両方不殺
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クラスメイトも一緒に……殺?