ありふれない家族が世界で最も幸せに   作:ゼノアplus+

3 / 38
ステータスプレートは人間以外も使える?

場所を移して現在は大広間らしき場所へ通された。恵理の無事を確認した後、南雲の様子を見に行ったが意外にも冷静だった。正直この空間に飾れた調度品の数々は興味がないので割愛。

 

 

他の生徒たちも、天乃河や一緒に転移させられたであろう教師の畑山愛子先生の尽力によって一時の安寧を得ていた。

 

 

全員が着席すると、狙っていたかのようなタイミングで給仕であろう何人ものメイドがカートを押しながら入ってきた。クラスに大半の男子は本物のメイドというものに興味を抱き凝視している。女子たちからは絶対零度の目線を向けられている。恵里が一瞬こちらを向いてきたが、興味なしとばかりに首を振ってやれば、誰にも見えないように嘲笑うような笑顔を向けられた。なので思いっきりウインクをしてやると気まずそうに顔を逸らした。……勝ったな。

 

そこからはイシュタルと名乗った教皇が状況説明を行なっていた。まあとてつもなく簡単に説明すると、人間族vs魔人族で戦争してるから手伝ってちょうだい。ってことらしい。人間らしい身勝手な理由の押し付けだ。俺はこの世界を()()()()()から言わせてもらうが、来させるだけこさせて地球に返させない神様(笑)を今すぐにでもぶち殺して喰ってやりたいね。

 

そのように俺が思案に耽っていると、

 

 

「ふざけないでください!結局、この子たちに戦争させようってことでしょ!?そんなの許しません!ええ先生は絶対許しませんよ!私たちを早く元の場所に帰らせてください!喚べたのなら帰せるでしょう!」

 

 

叫びながらイシュタルに向けて怒っている先生だが、イシュタルは至って冷静な口調で返した。

 

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでなぁ、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意志次第ということになりますな」

 

 

イシュタル自身の口からしっかりと聞かされ、退路は閉ざされた。生徒たちもあまりの事実に騒ぎ始めた。敢えて内容はカットする。俺としても気分のいい悲鳴ではないのでな。

 

 

バンッ!!

 

 

クラスの奴らが騒ぎ出して数分、天乃河が突然テーブルを叩き演説を始めた。

 

 

「みんな、ここでイシュタルさんに文句を言っても仕方がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人たちが滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたんなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。イシュタルさん、どうですか?」

 

 

そんな天乃河の言葉にイシュタルはさっき以上に快い表情で都合の良さそうな解釈のさせ方をしている。エヒト様の御意志ならば、別にイシュタルが約束してもエヒト様が実行しなければ意味がない。そんなことを無意識にそらせているようだ。

 

 

「俺は戦う!人々を救い、みんなが家に帰れるように。俺が世界もみんなも救ってみせる!」

 

 

殺してやろうかこの人間。……いや、駄目だ。曲がりなりにもこいつは重要人物。今殺すとマズいし恵理に殺されるだろう……

 

 

その後、天乃河の取り巻き(恵里を除く)が次々に賛同していってついにはクラスの大半もそれに賛同していった。

 

おそらくこの時点でイシュタルは天乃河の無駄に正義感を見せびらかす性格に気づいたのだろう。魔人族とやらの冷酷非情さを淡々と話していた。なるほどねぇ……こいつは状況次第では真っ先に殺すべきか。

 

 

 

 

 

 

ただの高校生である俺たち(俺は除く)は勿論戦争をするための力など持ち合わせてはいない。戦う術を身につけなくてはいけない。

 

どうやらイシュタル以下の聖教教会とやらはその辺りも抜かりなく準備していたらしく、この教会の本山である【神山】の麓の【ハイリヒ王国】という場所で受け入れてくれるらしい。

 

どうやら相当標高が高いらしく協会から出た俺たちが目にしたものは輝く雲海。生徒たちは見惚れているようだ。恵理も相当目を輝かせているため、どうせ天乃河と2人きりでこの景色を眺めている妄想でもしているのだろう。

 

 

「彼の者へと至る道、信仰とともに開かれんーーー『天道』」

 

 

小っ恥ずかしい詠唱のようなものを唱えたイシュタルの目の前の台座が動き出し、ロープウェイのように下っていった。

 

さて……俺の正体がバレなければいいのだが……

 

 

 

 

 

 

王宮へと案内された俺たちはほとんどの生徒が気付かないが、驚くべきものを見た。

 

イシュタルは国王と思われしき人間の隣まで進むと、手を差し出した。あろうことか国王はその手をとりあえず触れない程度のキスをした。国王ともあろうものがただの宗教の教皇に忠誠を誓うような真似をする。コレを意味するのはたった一つ。国王よりも教皇、イシュタルの方が立場が上だということだ。

 

それからは王国側の自己紹介。

 

国王:エリヒド・S・B・ハイリヒ(以下、名前を省略)

王妃:ルルアリア

王子:ランデル

王女:リリアーナ

 

というらしい。まあ、俺がわざわざ王族に近づくことはないから、名前と顔さえ覚えておけばいいだろう。

 

その後出てきた食事は……まぁ美味だったとしか言えない。日本には存在しないようなカラフルな食材の料理も出てきたがなかなかなかなか。あ、勿論テーブルマナーはしっかりしたぞ?やろうと思えばなんでもできる。……いや、演じ切ってやるさ。それが俺の能力だからな。

 

食事が終わればいつのまにかもう夜、解散の時刻になった。生徒たちは一人一人部屋を与えられその日を終えた。ふむ……柔らかすぎるベッドというのも逆に寝にくいものだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、早速訓練や座学が始まろうとしていた。

 

集まった場所にはメルド・ロギンスと名乗る騎士団長がいた。どうやら書類仕事などを面倒だと思う性格で一言で言えば豪胆らしい。とっつきやすそうで、しかもしっかりした身分ゆえに選ばれたと言ったところか。

 

 

「よし、全員受け取ったな?これはステータスプレートと言って、文字通り自分の能力……ステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼できる身分証明書でもあるから絶対になくすなよ?」

 

 

生徒たちはそれぞれスマホみたいな板を渡された。ステータスプレートねぇ、どう考えても転生物の話なんだが……まあ大体同じだな。南雲はちょっとファンタジーだ!!とでも喜んでそうだな。

 

どうやら血を垂らすことで登録するらしいが……血か。人間の体になっている今の俺なら確かに血を流せるが……これで評価されるのは篝火影二なのか、それとも()なのか。博打要素が多すぎる。

 

メルド団長がアーティファクトの説明をしているようだが、俺の耳には入ってこない。頭の中での葛藤が凄まじいからだ。

 

 

「説明は大体こんな感じだ。じゃあやってみてくれ」

 

 

おっと、もうそんな時間か……仕方ない覚悟を決めるか……

 

針程度では本来の()を傷つけることはできないが、人間の体な俺ならば針でも血ぐらいは流せる。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

篝火 影二 17歳 男 レベル:1

天職: 役者

筋力:30

体力:60

耐性:20

敏捷:130

魔力:400

魔耐:20

技能:演技・文才・言語理解

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ふむ……確か、初期の天乃河の数値が一律100だとすれば……極端すぎやしないか?いや、天職に関しては戦闘系ですらない。技能に関しては……なるほど、あの神様がくれた物をそのまま反映したのか。クククッ、十分すぎるぞ。魔力量が異常なのは……神様が余計なお節介を入れたとみていいだろうな。少なくとも舐められるってことはないだろうし。

 

暫くの間メルド団長の話を聞いていれば、魔力の高い人間は他のステータスも高くなるらしい。が、俺の場合は敏捷を除いて大体が雑魚だ。まあ詰まるところ……

 

 

(体の維持に魔力を持っていかれてる可能性がある……か)

 

 

別に問題はないのだが、これで変に疑われるのも良くはない。適当な理由を考えなくては……

 

天乃河たちが次々と団長にステータスの報告をしに行く。南雲の番では、知ってた通りに檜山たちにいじられているし畑山先生から追撃も食らっていた。

 

 

「お前は……影二、だったな。お前が最後だぞ?」

 

 

団長がわざわざ俺の元まできた。仕方ない素直に報告するか。

 

 

「これなんですけど……明らかに街でしか活躍できそうにないんですけど……」

 

「む……役者?演者という天職なら聞いたことがあるが……いや、魔力や敏捷の値が異常レベルだ。もしかしたら俺たちの知らない可能性もある。この天職を国王陛下に報告するが……いいだろうか?」

 

 

天職だけなら問題はないだろう。

 

 

「ええ。もともと国王陛下の温情で生かされているような物ですし、しっかりと伝えてくださいな」

 

「ッ……そういう発言はあまりするな。昨日の感じから、お前は頭が回る方だろう?」

 

 

へぇ……ただの武人かと思ってたけど、人を見る目はありそうだ。

 

 

「了解です。すいません、多少試しました。これからは気をつけます」

 

「試したって……ああなるほどな。そうしてくれ」

 

 

そう言って団長は俺の元から離れていった。入れ替わるように、恵里がこちらへやってきた。

 

 

「影二、君のステータスはどんな感じかい?」

 

 

素の口調で、小声で話しかけてきた。

 

 

「こんな感じだ。恵里のも見せてくれ」

 

「はい。ってうわ……戦えないじゃん影二。どうするの?南雲とおんなじ扱い受けるかもよ?僕の方で多少は根回ししとこうか」

 

「別に問題無い。逆にこれは本当に俺の天職だよ。全て、どんな物でも役者として演じ切ってやるだけだ」

 

「……あ〜、なるほど。確かに影二にしか意味がないかもね。で、どう?僕のは」

 

「……なんかこう、性格の現れだよな。降霊術師とか」

 

「でしょ〜。し、か、も、僕好み♪最初はどうなることかと思ったけど、これがあれば思ったより早く光輝くんを手に入れられそうかも」

 

 

恵里のステータスは大体魔力メインに高い。技能も魔力を使用しそうなものが多く正しく恵里に適していると言っていいだろう。……特に、降霊術師という部分は死んでも魂まで離さないという意味ではぴったりにも程がある。

 

 

「まだ派手なアクションは控えろよ?もう少し様子を見てからだ」

 

「うんうん分かってるよ。暫くの間は技能の強化に勤しむしぃ。……その、影二」

 

「ん?」

 

「転移の時、守ってくれてありがと」

 

「ああ、そんな事か。好きな人を守れただけで十分だ。気にするな」

 

「むぅ……またそういうこと言って……まぁ、いまに始まったことじゃないか。じゃ、言いたいことは言ったからまたね〜」

 

「おう。気をつけてな」

 

 

サササ〜と恵里が女子たちのところに戻っていった。さてと、俺も訓練を始めようか。

 




(…………なんで?)


その日の夜、中村恵里の心は荒れていた。


(どうして、影二は僕を守ってくれたの?好きな人を守る為って言ってたけど、だったら光輝くんが僕を守るべきじゃ……)


トータスへ転移する時、光に飲まれそうになった恵里の元へ、その力の一部を解放してまで守りにきた影二。件の天乃河光輝といえば、他の生徒と同じように動揺し真先に駆け寄ったのは『親友』という枠組みに入ることができた白崎香織の元。


(いや、分かってる。僕は所詮、ヒーローに助けられた後は登場しない、その回限りの登場人物)


もう天乃河光輝は恵里の事を見ていない。そんなことはとっくの昔に自覚していた。


(でも……でも……仕方ないじゃないか!!好きなんだから!!香織の様子じゃ光輝くんに可能性はない。だからまだ大丈夫だ。それに……影二は言ってくれた。僕が幸せになるために協力してくれるって。だったら絶対僕は……影二が喜ぶような幸せな女になるんだ!!光輝くんと一緒に……)

「ふふふ……影二。僕、頑張るよ。だからその分はちゃんと返すからね」

影二が演じるキャラの性能に制限は必要?

  • いる
  • いらない
  • どうでもいいから続き書けよ
  • もはや、他作品キャラやめて
  • どうでもいいから恵里との絡みを増やせ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。