ありふれない家族が世界で最も幸せに   作:ゼノアplus+

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大蹂躙

【33】

 

 

翌日、街に壁が出来た。何を言っているか分からないと思うが……いや分かるだろ。ハジメが錬成で周りの地面をこう……グッとやったんだよ。

 

……ん?話を逸らすなって?ハハッ……なんのことか分からないな……別にティオ・クラルスに対するお仕置きが捗ったとかそんなことは一切無い。

 

 

「おい、影二。テメェあの駄竜に何やったんだ」

 

「これといって特別なことは何もしてない」

 

「嘘つけ!!だったらこれはなんだ!?」

 

 

俺の胸ぐらを掴みながら怒鳴るハジメ。そして震えながら彼のズボンにしがみつくティオ・クラルス。側から見ているベルはいい気味だと笑顔になり、ユエさんとシアさんは少し同情の視線を向けている。

 

 

「ティオさんが縛って欲しいって言ったから望み通りにやっただけだが?」

 

「嘘じゃ!!あんな……あんな行為で妾が悦ぶとでも思っておったのか!?」

 

「テメェは何様だ?」

 

 

俺がやったことは至極簡単。お望み通りに魔力糸で天井から吊るしドMでも地獄だと思える程度に体をマッサージしただけだ。快感を得る余裕がない程度の痛みでな?

 

 

「クックック……ハジメ。当分のお仕置きはこれでいいだろう?」

 

「いや、それするたびに毎回こうなんのはダルいから辞めろ。内容聞いたら少し同情するわ」

 

「ハジメの口から同情だなんて!?」

 

 

決戦前にこんな会話をしていいのだろうか?いや、いい(反語)

 

 

「ティオさん」

 

「ひぃ!?」

 

「これに懲りたら……2度とベルの前で教育に悪いこと……言わないでくれないか?聡明な竜人族ならわかってくれるよなぁァ?」

 

「わ、わかったのじゃぁぁぁあああああ!!!!」

 

 

魔力糸をもう一度出しながら脅せば泣きながら土下座してくるティオさん。よし、虐めるのはこれくらいでいいだろう。

 

 

「影二……それだけのためにこの駄竜を……流石だな」

 

「ふっ、そう褒めるな」

 

「今のは褒めておらんのではないかの!?」

 

 

ついでにツッコミ要員も確保。グダグダと会話をしているが、この間にも先生達は街の住人の避難をしている。俺達は来るべき時へと……

 

 

「来たぞ」

 

 

待っていたが、少し早めのお出ましらしい。ハジメがドローンで大軍を発見したのだ。

 

 

「ハジメ、礼を言う。今日は今まで生きてきた中で最高の舞台、脚本、演出になるだろう。役者としてこれ以上の幸福はない」

 

「まああんなものまで用意させられたしな……ここまでやってガッカリな演劇だったら撃ち抜くぞ」

 

「任せておけ。俺の……篝火影二の演技は生きとし生ける者全てを魅了する『完全演技』だからな」

 

 

ハジメに言葉を告げた俺は、重力魔法で自身の重力を操り空へと浮かび上がる。

 

 

「聞け、ウルの街の勇敢なる者たちよ!!」

 

 

ハジメに作ってもらった拡声器型アーティファクト『マイク』を使い広範囲に声を届ける。手で持つタイプではなく胸元に取り付けるタイプだ。俺の声で眼下の人間達が一斉に俺を向いた。もちろん先生達も。彼らは俺が空中に浮いていることに驚いているのか静まり返っている。

 

 

「我々の勝利はすでに確定している!!何故ならば、我々には豊穣の女神愛子様がついているからだッ!!」

 

「…………え?」

 

「我らの傍に愛子様がいる限り、敗北はありえない! !愛子様こそ ! !我ら人類の味方にして〝豊穣〞と〝勝利〞をもたらす、天が遣わした現人神である! 私は……いや私達は、愛子様の剣にして盾、彼女の皆を守りたいという思いに応えやって来た! !見よ! !これが、愛子様により教え導かれた我々の力である。ベルッ!!」

 

「お待たせしました主様」

 

 

俺の後ろから声が響く。

 

 

「「「「「「おお…………」」」」」」

 

 

人間達が思わず感嘆の声を上げている。目を見開き、膝をついて祈り出した者までいるようだ。そう、漆黒の翼を大きく広げたベルが俺の下から飛翔してきたのだ。彼女の美しさはエヒトによって『そうあれ』と想像されたもの。そして俺が与えた漆黒とゴスロリの服は彼女の銀髪をよりいっそう目立たせている。

 

 

「主様、準備を」

 

「ああ。リフレクタービット展開ッ!!」

 

 

俺は中指にはめた宝物庫から、ハジメに大量生産してもらった鏡型の浮遊ユニットを解き放ち俺を囲むように配置させた。

 

 

「召喚【歪鏡】……展開」

 

 

【歪鏡】を取り出して360度に展開。円形に広げて正面に構える。

 

 

「準備OKだベル。いつでも来い」

 

「了解しました。行きますよ主様……『断罪』ッ!!」

 

 

ベルの翼から漆黒のエネルギーが一機のリフレクタービットに命中。真っ黒だが一応、光の一種である『断罪』は鏡に光が反射するようにして角度を変える。そのまま他のビットに命中し反射…反射…反射…反射……全てのリフレクタービットが無限に反射を繰り返し俺の周りを囲っていく。俺は目前に迫る魔物の軍勢を向き息を整えた。

 

 

「おぉ……なんと神々しい……」

 

「篝火くん……一体何を……?」

 

「うっわ、影二アイツ……思ってたよりエグいなアレ。分解能力までついてたらまさしく断たれるな」

 

「ベルの魔法……負けてられない!!」

 

「すごいですねー……あの、これ大丈夫です?」

 

 

三者三様の反応を聞きながら俺は【歪鏡】を天に向ける。あとはリフレクタービットの向きを変え全ての『断罪』を俺に向けるだけだ。遠隔での魔力操作は俺も習得しているのでできた。ユエさんにやり方を教えてもらったがな。

 

 

「主様……技名は?」

 

「ふむ……昨日のアレでいいだろう」

 

「分かりました。では」

 

「ああ」

 

 

食らえ下等な魔物共よ。ドッペルゲンガーと堕天使の一撃で滅べることを感謝するがいい。

 

 

「「『神滅ノ輝キ』」」

 

 

2人で宣言すると同時に、すべてのビットの角度を変え俺に向けた。反射を続けていた全ての『断罪』が俺の【歪鏡】を直撃し、天に向かって漆黒が渦巻く。俺は【歪鏡】を軍勢の方へとゆっくりと向けた。

 

 

「「「「「「うわぁ……」」」」」」

 

 

先生達やハジメ達が思わず声に出してしまった。しかしそれほどの迫力があったのだ。

 

蹂躙。その一言に尽きるだろう。元々チート級の力を持っているベルの魔法は幾度となく反射して収束。影二が魔力で最大限強化した【歪鏡】でさらに威力を高めたその一撃はまるでレーザー砲のようだ。漆黒のレーザーは空中の魔物達を容赦なく飲み込んで存在することを許さない。そのまま地上へと振り下ろされた一撃が1分ほど続いたその砲撃が止むと、残っている魔物は最初の3分の1程度まで減った。

 

 

「安心するがいい諸君!!今の力は愛子様が使役する中でも末端のような力に過ぎないのである!!」

 

「ん?あんなセリフ書いたっけか?」

 

「……読んだけど書いてなかった」

 

「ア、アドリブ……?」

 

「ほぅ……影二殿は道化を演じるのが上手いのう。昨日のアレも道化の結果であればよかったのじゃが……」

 

 

ハジメ達が何か言っているが無視。

 

 

「なんと……愛子様!!」

 

「愛子様!!」「愛子様!!」

 

「「「「「「愛子様!!愛子様!!」」」」」」

 

「これは戦いですらない!!愛子様による神罰であるッ!!諸君、愛子様はそこにおられるぞ!!」

 

「「「「売った!?」」」」

 

「かかかか篝火くん!?なんてことをきゃぁぁああああ!?!?」

 

 

わっしょいわっしょいと先生を神輿のように担ぐ男達に膝をついて祈り始めた老人女子供。南無南無先生、これで今日から貴女は神だ。信者が増えすぎて神格が生まれないように気を付けてな。いい主役でしたよ先生。

 

 

「さて、俺達の出番だ」

 

「やっとかよ。待ちくたびれたぜ」

 

「ん……ベルには負けない」

 

「やるですよー!!」

 

「主様との修行の成果を見せる時です」

 

「このメンツで妾って霞みすぎる気がするのじゃ……いや、今更じゃな」

 

 

ハジメが錬成した壁に立った俺達6人は各々の得物を構えて敵を見据える。

 

俺は【烈槍】と【撃槍】を

ハジメはドンナーとシュラークを

ユエさんは手に重力球を

シアさんはドリュッケンを

ティオさんは扇を

ベルはハルバード2本を

 

 

「よしお前ら、蹂躙開始だ。敵は1匹残らず殺せ!!」

 

「「「「「了解!!」」」」」」

 

 

ハジメの言葉で俺達は駆けた。

檜山と光輝の生殺与奪は君達にあるのだ!

  • 檜山殺
  • 光輝殺
  • 両方殺
  • 両方不殺
  • クラスメイトも一緒に……殺?
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