ありふれない家族が世界で最も幸せに   作:ゼノアplus+

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奈落の底にて

 

水の音がする……俺は今どこに居るのだろうか……とりあえず、目を開けよう。

 

 

「…………なるほど、俺も落ちたのか」

 

 

辺りを見渡せばバラバラになったトラウムソルジャーの骨や橋だっただろう岩が落ちている。

 

 

「ベヒモスは……ああ、一緒に落ちたな。魔石でも落ちていればいいんだが」

 

 

すぐに体を起こしてあたりの捜索を開始する。痛み?ああ、言ってなかったな。今は私の姿、真っ黒な全身に赤く光る目を宿したドッペルゲンガーとしての姿をしている。

 

 

「なるほど。魔石もなければ何も無いと……南雲くらいはいると思っていましたが……期待外れですね」

 

 

グルルルゥ……

 

 

「おや、早速ですか。覚えている限りではここから先は真のオルクス大迷宮。魔物の強さも桁違いなはず……そうだ、私のステータスを確認しておきましょうか」

 

 

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???(篝火影二) 17歳 レベル47

天職:役者

筋力:34000

体力:27000

耐性:16000

敏捷:32000

魔力:190000

魔耐:16000

技能:完全演技・完全擬態・文才・言語理解

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「そういえば私の姿でステータスを確認するのは初めてでしたね。……マジ?」

 

 

流石にこれは予想外。え、なに?なんでこんなにこの姿強いの?使徒とかより普通に高い気が……

 

 

「い、いえ……強いことは良いことです。ええそうでしょうとも。……あの神様、ちょっとやり過ぎだろ。流石にネタに出来ねぇぞ。ふざけんなあのジジイ!!無双する気はサラサラ無かったのに!!絶対、物足りないのぅ……とか言って2桁ほどいじっただろうが!!」

 

 

……おっとっと、本性は隠す隠す。失敬、あまりのエグさに自分で引いてしまった。

 

 

「ガルゥ!!」

 

「おや、狼……確か雷のやつでしたね」

 

 

尻尾が2つに分かれた狼がおそらく俺の叫びを聞いてやってきた。

 

 

「さて……私の力、どんなものか試させていただきましょう!!」

 

 

それからはただの虐殺だった。最初は、この姿で戦うことなんてなかったらその力を操りきれずにグチャグチャに殺してしまった。殴るだけでだ。

 

だが、それを聞いてさらに集まってきた熊や兎、狼などいろんな魔物が、俺に向かってくる。

 

 

「アッハッハッハッ!!楽しいですねぇ!!虐殺というのは!!」

 

 

殴り、蹴り、噛みつき、握り潰し、あらゆる手段で魔物を殺し尽くした俺はひとまず落ち着いた。

 

 

「ふぅ……こんなものでしょうか。全く、実力差を悟って逃げればよかったものを。野生の本能とやらは意外とあてになりませんね」

 

 

辺りには電撃痕や破壊痕、斬撃痕など様々な破壊痕が出来ていたがその中で俺は何事もなさそうに立っていた。いやまあ実際なにもなかった。

 

 

「そういえば、ドッペルゲンガーである私が魔物の肉を食べるとどうなるのでしょうか?ふむ、人間には劇物だと聞いていますが……まあ大丈夫でしょう。いただきます」

 

 

そこら辺に転がっていた兎の肉を掴みそのまま咀嚼する。

 

 

「んぐ……なるほど、なかなか美味しいですね。やはり強い魔物ほど肉が熟成されているということでしょうか?」

 

 

特に体に異変も感じない。やはり人間が虚弱なだけでしたね。

 

 

「おお!!ステータスプレートの技能に魔力操作が追加されていますね。これでより精密な魔力の操作が……まあ訓練しないといけませんか」

 

 

南雲ハジメは確か、食べた魔物特有の技能を得ていたはずだが……俺には反映されないらしい。

 

 

「ふむ、纏雷や天歩は便利なので欲しかったところですが……まあ仕方ないでしょう。手に入れることができなくとも使うことはできますからね」

 

「さぁて、南雲と出会うまでの間、私の力の調節をしましょうか。……ええ、ざっと10日はかかりそうです」

 

 

2日経ってようやく魔力操作が出来るようになった。これでより正確に擬態ができるようになる。

 

 

「全く、この姿の時は睡眠が要らないとはいえ人間の時の習慣は抜けませんねぇ」

 

 

思わず横になってしまったりしたが本来は必要のないもの。

 

 

「さて、ここからは擬態の訓練でもしましょう」

 

 

さらに6日経って、自分の思い浮かべた人物たちへの擬態と、それらを完全に演じきるための訓練を完了した。

 

 

「これだけバリエーションが増えれば、大抵の敵はこの姿でなくとも大丈夫でしょうね。……アインズ様は流石にやり過ぎましたが」

 

 

8割しかコピーできないパンドラズ・アクター涙目である。

 

 

「装備品などは擬態出来ませんし、言うほど強くはないのですがまあ良いでしょう」

 

「さて、次は……することがないですね。ああ、先にオスカーの屋敷でも探しておきましょうか」

 

 

そして、俺が奈落に落ちてついに10日が経った。

 

 

「ふむ……迷いましたねぇ……私が方向音痴であるのをすっかり忘れていました」

 

 

2日間休まずに歩いた結果は、どう頑張っても同じ場所に帰ってくるというクソ食らえなものだった。…………そういや俺は基本恵里について行ってたな。

 

 

「どうしましょうか……脱出の一番簡単な方法は『マッピング』を使えるキャラを演じることですが……生憎と私はそのような便利なキャラを知りませんし……はぁ……無作為に探し回る必要がありますか。幸い時間はあります。用は南雲と出会ってさえしまえばいいのですから」

 

 

そして俺の完全に無駄な時間が始まった。通った道に印をつけても、気がつけば何故か最初の地点。ちなみに洞穴の入り口は3カ所しかない。……何故だ。

 

それから何日過ぎたと思う?3日だよ。ふざけてるとしか思われないだろう。合計5日間も同じ場所をグルグルしてるだけだなんてな。

 

 

「ガァァァ!?」

 

「ん……今の声は、熊のものでしたが……この辺りの魔物は殲滅したはず……こちらですね」

 

 

熊の鳴き声がした方は壁。あぁ……

 

 

「なるほど……崩落で塞がっていたと。……今更ですが『トリコ 』に登場する美食屋四天王『ゼブラ』は声の反響で空間を把握する『エコーロケーション反響マップ』が使えました。その手があったか……私の時間を返していただきたい……」

 

 

ドパンッ

 

 

あ、誰がいるか確定だ。さて、そうと決まればレッツぶち抜き。

 

 

「ッ!?……なんだ!?」

 

 

奥から懐かしい声が聞こえる。何日ぶりだろうね。俺の体内時計では大体15日ほどか?そうだ、久しぶりの再会を記念してサプライズでも仕掛けてやろう。

 

 

「おや、こんなところに人間が。随分と物好きも居たものですねぇ」

 

「テメェは……言葉が通じるのか?」

 

 

岩を粉砕して俺が姿を現すと、白髪になって片腕の無くなった南雲の姿が。うむ、しっかり豹変しているようで何よりだ。

 

ちなみに俺は、今のまま。口調でどの姿か判断してほしい。

 

 

「おやおや、今しゃべっているではありませんか?左腕がありませんね。どうやらスリリングな戦いを経験されたそうで」

 

「敵だったからな。それで、お前は俺の敵なのか?」

 

 

南雲は銃を俺に向けて話している。

 

 

「残念ながら、今の貴方では私の敵ではありませんよ。なんならステータスプレートでも渡しましょうか?」

 

「ッ……魔物がどうしてステータスプレートなんかもっていやがる?」

 

「魔物じゃありませんので」

 

「そうだな……見せろ。こっちに持ってこい」

 

「分かりました」

 

 

撃つ気満々じゃないか南雲。そんなに笑ってんのになにもしないと思えないぞ。

 

俺は少しずつ近寄っていき南雲の正面まで近づいた。その時……

 

 

「死ね」

 

 

ドパンッ

 

 

「ふん……俺の邪魔になりそうなヤツは真先に殺す。せっかく会話ができるっていうのに、悪いな」

 

「そう思うのでしたら撃たないで頂きたいですね?」

 

「なッ!?」

 

 

俺は銃から発射された弾を指2本で挟んで止めた。そのまま逆の腕で南雲の方へと伸ばす。

 

 

「テメェ!!」

 

「はい、ステータスプレート」

 

「……は?」

 

「おや、なにを呆けているのです?貴方が見せてほしいと言ったのですよ?」

 

 

完全に南雲は呆けている。纏雷でも撃つ気だったのかその手はバチバチと稲妻が走っている。

 

 

「……いきなり撃って悪かったな」

 

「いえ、怪しい者を見かけて警戒しない人間など居ないでしょうから。それが正しい反応です」

 

「…………ッ!?篝火影二!?お前が!?あの!?てか桁がおかしい!!偽物だろ!?

 

 

どうやらステータスプレートの名前の欄を読んだらしい。

 

 

「えぇ……これでもか?」

 

 

すっと体を篝火影二のものに戻した。

 

 

「どういう意味だ?……余計に疑わしいんだが?」

 

「地球にいた頃から人間じゃなかったってことだ」

 

「なッ!?意味がわからん……けど、一個だけ聞く。お前は俺の敵か?」

 

「いいや、違うさ。俺の目的は別にあるからな。だが、もし敵でも今のお前じゃ無理だ。諦めるんだな」

 

「…………分かっている」

 

 

南雲は銃を下ろしてくれた。ウンウンそれでいいのだよ。

 

 

「なあ、この完全擬態ってのはさっきの姿ってことでいいのか?」

 

「いや、さっきの姿が素の姿だ。この人間の姿は地球で生活するために適当に作った」

 

「……シロエだよな?」

 

「ああそうだが?」

 

 

そう、俺の体のモデルは『ログ・ホライズン』の主人公の付与術師『シロエ』のアバターを参考に作ったものだ。結構な力作。

 

 

「他のもできるのか?」

 

 

ふっ……オタクなお前だったらそういうと思ったぞ。もちろん用意してありますとも。

 

 

『知るがいい』

 

「ッッ!?その姿は……まさか……おいおいマジか!?」

 

 

南雲はこれまでになく驚いた。俺が完全擬態と完全演技でとあるキャラを演じているからだ。

 

 

『お前の前には、アインズ・ウール・ゴウン41人の力が集まっているということを』

 

「篝火……お前は神か!?」

 

『そして、お前に勝算などもとより皆無だったと理解しろ!!』

 

「ア、アインズ様じゃねえか!!しかも完全再現!!他は、他には!?」

 

 

フフフ、さすがの南雲でもこれは効くだろう。

 

 

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる……貴様たちは……死ね!!』

 

「おお〜〜〜!!」

 

『問おう。貴方が私のマスターか?』

 

「ッッッ!!」

 

『僕と契約して魔法少女になってよ』

 

「嫌だ!!だけどすげぇ!!」

 

『エヴァに乗れ』

 

「ゲンドウさん!?」

 

『オーナーゼフ!!!……長い間、くそお世話になりました!!』

 

「サンジィィィ!!」

 

 

どうだ、5連続。完璧だろう?

 

 

「はぁ……はぁ……篝火、いや影二と呼ばせてくれ」

 

「それはいいが……どうした?」

 

「疑って悪かった。一緒にここを出ようぜ」

 

 

ちょっとキモいなこの魔王。俺のせいか?若干覚悟が歪んだ気がするぞ?

 

 

「あ、ああ。南雲…「ハジメでいい」……ハジメ、これからよろしく。おそらくずっとはついていけないだろうがな」

 

「こちらこそだ。だが、俺の敵になった時は、たとえステータスが負けてても殺すからな」

 

「フッ……一撃でも加えられるようになってから言え。それと俺は人間が嫌いだから約束はしない。お前はお気に入りの1人だからそんな事はないだろうがな」

 

「ああ?お気に入り?」

 

「なんでもない。それより道案内は任せた。俺はどの姿でも死ぬほど方向音痴なんだ」

 

「……胸張って言ってんじゃねえ」

 

 

俺たちは、お互いの軽口に笑いながら先の道を進んでいった。……これで、もし恵里が南雲……ハジメの敵になったとしても多少の容赦はしてくれるだろう。仲の悪くない人間には多少甘いからな、この魔王様は……

影二が演じるキャラの性能に制限は必要?

  • いる
  • いらない
  • どうでもいいから続き書けよ
  • もはや、他作品キャラやめて
  • どうでもいいから恵里との絡みを増やせ
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