ハジメと合流した俺は、ハジメの変化に驚きながらも(演技)いつも通りに話しながら迷宮攻略をしていた。
「だぁーーー!!なんでここの魔物どもは無駄に強いんだ!?」
「そうですか?……この程度ならなにも問題ありませんよ?」
「それはお前がチートすぎるからだ!!」
「……?」
その中でも現在は、見事に魔物に追われていた。密林のようなフィールドを歩いていた時に突然降ってきた巨大ムカデである。ムカデのキモさ+その巨体は、ハジメの嫌悪感を煽るのには十分すぎるほどだった。
「本来なら直接触りたくはないのですが……仕方ありませんね」
体を反転させて振り向きざまにムカデの体を掴んで引きちぎる。しかし……
「おい影二ィィィ!!増えてんじゃねえか!!」
「おや……?」
なんと体の節々を分裂させ別々に襲ってきたのだ。
「ああもう……チッ……リロードがッ」
「仕方ありませんねぇ……『火拳』」
『ワンピース』のメラメラの実の能力者『エース』の姿になり、その基本的な技を放つ。一直線に飛んでいくだけの技だが所詮は虫。結構な勢いで飛んでいく火に、ムカデたちは一瞬怯んだ。
「ハジメッ!」
「リロードは完了済みだ!!」
その一瞬を見逃すはずもないハジメは、もたつきながらも自作のドンナーという銃のリロードを終え全てのムカデを撃ち殺した。
「いい腕です」
「……お前なぁ、エース使うんだったら『炎帝』とかあったろ」
「ハジメのレベルアップになりませんので」
そう、本来ならば俺1人で殲滅できるのだが、俺の擬態は魔力を使うものであり割と消費も激しいため乱用はしたくないのだ。技を使えばさらにだ。
「じゃあハジメ……食べましょうか?」
「…………嘘だろ影二。流石にな!?」
ハジメは魔物の肉を食べることでその魔物の特性を手に入れる。が、魔物の肉は人間には劇物であるので食えば強烈な痛みを伴う。ハジメは神水という超強力な回復薬で体を直し痛みに耐えながら肉を食っている。ていうか魔物以外に食料がないため仕方がないと言える。俺?別に食わなくても生きていけるが、人間社会での生活で食事の美味さを知ってしまっているから出来るだけ食べたい。
「冗談ですよ。流石の私でも人間がムカデを食べないことくらい知っていますとも。じゃあこれは私がいただきます。……ふむ、クソまずいですね」
「当たり前だよなぁ!?魔物食って平然としてるのはもう慣れたがなにやってんのお前!?」
ムカデは不味いのか……いやはやいい勉強になった。あ、銃弾はなんかピリピリしてて美味しい。
「物は試しですよ。私にはそういう嫌悪感はありませんので。それよりも、先ほど何やら果物のような実をつけたトレントらしき魔物が歩いてましたが……ってハジメ?」
「久しぶりの肉以外の食料!!絶対に殺し尽くしてやる!!」
「…………毒かどうか確認していないのに、元気ですね彼は」
ハジメがいなければ迷宮攻略も頓挫してしまうんで仕方なく手伝う。攻撃方法も蔓や果実を投げてくると言ったショボいものだったため、俺の力も相まって数分で殲滅が完了した。
「ハジメ。それが美味なのは分かりましたがそろそろ先へ進みましょう。飽きてきました」
「むぐ……むぐ……そうだな。俺の訓練もだいぶいい感じになってきたし、あの扉の向こうへ行くのにちょうどいいかもな」
ハジメの言うあの扉とは、なかなか豪華な装飾が施された3メートルほどの扉だ。現在は俺らが奈落に落ちてから約五十階層ほどの場所だ。試練と言うにはちょうどいい高さだ。
「では早速行きましょう。見るからに魔物が擬態していそうな像もありますし?」
「影二……お前ってそこそこ戦闘狂の節があるよな?」
「人間基準で考えないでいただきたいですね。少なくとも私のような者は他にいるはずがないので、私が基準です。よって普通です」
「理屈がおかしい……いや、気にしたら負けか」
ハジメもやっと俺に慣れてきたらしい。最初の方なんか、いつもの姿を魔物と誤認して撃たれまくったからな。このくらいさっぱりした方が将来的にはげなくて済むぞ?
「影二、聞いてもらっていいか?」
「いつものですね。ええどうぞ」
「俺は……生き延びて故郷に帰る。日本に……家に帰る。邪魔するものは敵。敵は……殺す!!例え、影二でさえも!!」
ハジメが定期的に行うルーティンのようなもの。自らに課した願いや誓いを口に出すことでより強固なものにする行為。俺と言う別の誰かがいることでその拘束力はさらに増す。だからあえてハジメは俺の目の前で言うようにしている。
「クフフッ、相変わらず大きく出ますねぇ。敵味方関係なく、強くなったハジメとなら殺し合ってみたいものです」
「割と冗談に聞こえねぇからやめろ。それよりもだ影二。残念ながらこの扉に付いている魔法陣がさっぱり分からん。もしかしたら相当古いのかもしれん」
「ほう……ちょっと貸してください。私が力押ししてみましょう……むっ?」
バチィ!!
「影二!?……いや、大丈夫だな」
「当たり前でしょう、舐めないでください」
おそらく正規の方法以外で開けようとすると発動するトラップだろう。赤い放電が起き俺の両腕を伝って全身を焦がそうとするが無意味だ。伊達に基礎能力値が万を超えてないんでね。
ーーオオオォオォォォオオオォォ!!!!ーー
ハジメが、神水が節約できて助かる。と失礼極まりない独り言を呟く中で急に野太い声が聞こえてくる。
「テンプレと言いましょうか?」
「だな」
扉の両隣にあった一つ目の巨人の像がバラバラに砕け中から像と同じ姿をした肌が暗緑色の巨人……サイクロプスが現れた。その巨体に見合う大剣も持っている。
「一体もらいますね」
「俺がやった方が速いからいい」
ドパンッドパンッ!!
「悪いが空気を読むほどの余裕はもう俺にはないんだ。残念だったな」
「……まあ、この後楽しい事があるから良しとしましょう」
「なんか言ったか?」
「いえ何も」
出てきた瞬間に一つしかない目を撃ち抜かれて絶命する二体のサイクロプス。叫び声が聞こえた時点で銃をホルスターから抜いていたハジメにとって隙以外の何物でもない。……俺の楽しみは減ったわけだが。
「この様子からすると……ふんッ」
「ああなるほど。汚いですが……ここら辺でしょうか」
ハジメが、飛ぶ斬撃である風爪でサイクロプスの死体を切り裂き魔石を取り出した。拳大ほどある魔石を先程のくぼみに嵌め込むと……ピッタリと嵌まり込んだ。
それに倣って俺も無理やりサイクロプスの体に腕を突っ込み中から魔石を取り出してハジメに投げ渡した。
「私は少しこの肉塊を味わってから行くので、先に行っててください」
「分かった。……努力なしで食う飯は美味いか」
「はぐっ……んぐっ……ええ、ちょー美味しいです」
「皮肉くらい反応しやがれ」
扉を開けて進んだハジメを横目に、俺は肉を喰らい続ける。ステータスは……レベルは上がってるけど技能は増えてないし、ただ美味いだけだな。
数十秒経った後に……
「すいません、間違えました」
ハジメの声が聞こえてきた。
「……どうしました?明らかに怪しい封印をつけられてそうな美少女でもいました?」
「やけに具体的だなおい!!その通りだよ!!」
「待って……お願い……助けて!!」
扉から少し離れた位置にいる俺でも聞こえてくる声。さて行くか……
扉の向こうを覗くと金髪紅眼で下半身が石に埋められている美少女の姿。ハジメの方を向いて必死そうな視線を向けている。
「……貴方……何?」
「おやおや、この姿を見て大抵の方は驚き恐怖するのですが……貴女に敬意を評して名乗りましょう。ええ、そうしましょう」
「おいバカやめとけ。こんな奈落の底で、明らかに封印されてそうな奴だぞ?関わったらろくなことにならねえよ絶対やべぇ」
初めて見た
「ふむ……見たところ脱出には役に立ちそうにないですし、放って置きますか。申し訳ありませんね。では」
俺たちは扉を閉めるために下がろうとするが……少女の一言で止まってしまった。
「違う!!……私……私は……裏切られただけっ!!」
裏切られた……か。懐かしい、もうあのクソみたいな日々から解放されているはずなのに、未だ脳裏に焼き付く光景。
(……もう忘れたつもりだったのですがねぇ。やはり、あの神様の忠告は素直に胸に留めておくとしましょう)
十数秒ほどして俺は平静を取り戻した。横目でハジメを見ると目をつぶって何かを考えているようだ。それからさらに三十秒ほど経ってハジメは振り返って少女に歩み寄って行った。
俺は別に2人の会話など興味はないので先に外へ出てサイクロプス君の肉を喰らい続ける。サソリの相手は2人に任せよう。彼女の叔父からの最後の試練なのだから俺がいては無粋だろう。しっかり扉も閉めたため音漏れの心配も無しだ。
少し時間が経った後に扉の中から、手伝え影二ィィィ!!と声が聞こえてきたので仕方なく……仕方なく俺は中に入って攻撃に参加した。
「おやハジメ、人がいない間に全裸の少女にくっつかれながら戦闘とはいい御身分ですね」
「戯言言ってないで攻撃しろ!!」
「はいはい……と言っても私がやるとすぐ終わりますしね」
サポート程度に留めるために針を根本から引きちぎる。ただ問題だったのが……
「むっ……ハジメ、重大な事が分かりました」
「なんだ?」
「私、ステータスが高いだけで耐性類は持ってなかったようです。結構毒が全身ピリピリします。神水をください」
「その程度の擬音で済むんだったらいらねえよなぁ!?」
俺がいたからか、そのあとは一分もかからず戦闘が終了した。威力の優れた範囲攻撃を持っていない俺たちの代わりに、ハジメの血を吸って回復した少女、ユエが蒼天という強力な魔法を放ち、流れるようにハジメが手榴弾でとどめを刺した。その間俺は足止め代わりにボコボコ殴っていただけだ。だいぶ辛そうだったけどな。体が凹むほどには。
「お疲れ様でした。いやぁ、強敵でしたね」
「バカ言え。影二が入ってから一分もかからなかったぞ。さっきまでの苦戦を返せ」
「んっ……ハジメ苦労してた」
「おや、お嬢さん。先ほどは無視して申し訳ありません。篝火影二と申します。見た目の通り人間ではありません」
「ユエ。吸血鬼の先祖返り。貴方が思ってるより長生きしてるからお嬢さんはやめて」
「…………これは失敬」
どうやら藪蛇だったようだ。
「とりあえずこいつらの素材を集めてから拠点に戻るぞ。意外にこのサソリもどき、いい素材みたいなんでな」
「ならば私には、毛皮と糸、それと錬成した針をください。即席ではありますがユエさんの服を作りますので」
「……裁縫できるの?」
「いいえ、した事もありません。が、お任せください」
「不安……」
裁縫が上手なキャラは覚えている。というか結構いるから誰でもいい。
そして、俺が結構食ったこともあって少なくなったサイクロプスを回収し拠点に戻った。途中、歩けなーいとハジメの背中に飛び乗りユエさんが甘えていたが私的には興味はないので割愛。恵里がそうしてきたらちょっと嬉しい。
ハジメの説明によると吸血鬼族は300年前の戦争で滅んだとされているらしい。そしてユエさんによると20歳歳の時に封印されたそうだ。つまり……
「ユエって少なくとも300歳以上なわけか?」
「……マナー違反」
「ハジメ……流石に今のはどうかと」
女性に向かって300歳?とか人外の俺でも消し炭にされるぞ?ユエさんがジト目でハジメを睨んでいる。
どうやらユエさんは自動再生という固有魔法を持っているらしくほとんどの傷はすぐさま再生してしまうそうだ。……いやまあ知ってるけど。
「……ハジメ」
「どうしたユエ?」
「そこで裁縫してる無駄に巨乳の女は誰?」
「影二だよ」
「……本物?」
俺が今演じているのは『ニセコイ』に登場するヒットマン『鶫誠志郎』だ。ヒットマンであるのに関わらず家事類は万能。裁縫をするにはちょうどいい。
「ああ、なんでも、固有魔法で擬態ができるらしい。それに、天職である役者の演技の技能を使うことでその擬態したキャラを演じる。見た目、性格、口調、さらにはその能力まで演じきることでそのキャラが持つ技能を使っているらしい」
「……つまり?」
「世界を滅ぼせる力を持った奴を演じれば、この世界でも滅ぼせるってことだ」
「……反則。完全に理解の外側を行ってる」
「俺もそう思う」
好き勝手言うじゃないか。あってるけど……
「はい、出来たぞ。全く……これくらいは自分で出来るべきだぞ?」
「……ハジメ」
「多少過激なツンデレのキャラだ。許してやれ」
「……戻ればいいのでしょう戻れば。どうぞユエさん、あまり出来は良くないのですが」
何故ウケが良くないのだろうか……?
「いや、十分。ありがとう影二」
「お気になさらず」
流石に年頃……年頃?の女性がずっと全裸でいるのは良くないからな。
「影二、今変なこと考えた?」
「いえ、そんなことはありませんとも」
……女の勘はヤバいな。素の姿に戻ってそう考えただけで悟られるとは……
影二が演じるキャラの性能に制限は必要?
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いる
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いらない
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どうでもいいから続き書けよ
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もはや、他作品キャラやめて
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どうでもいいから恵里との絡みを増やせ