ジョジョの奇妙な冒険~たった一つの願い~   作:名無名無名無

4 / 6
どうやったら文字が揺れたりするんだ。
ゴゴゴゴ
とか揺らしたい


錦兄妹 その1

 

 ここで一つ、昔話をしよう。昔と言っても、一個人の過去話であるため、そんな昔のはなしではない。

 男の名は錦正宗《にしきまさむね》。スタンド使いである。スタンドの名はユー・レイズミーアップ、能力はエネルギーを別のエネルギーに変換することができる。

 もっとも、スタンド能力に目覚めたのはつい最近の話だが。

 彼の生い立ちは、お世辞にも幸せなものでは無かった。錦がまだ十一歳の冬、両親が交通事故で故人となった。それ以来母方の祖父母にお世話になりながら残されたもう一人の家族、妹の錦雪奈《にしきゆきな》と暮らしていた。

 錦正宗には夢があった。医療の道に進む、それも科学的な方面でアプローチをかけるため、なんとしても大学に行きたいと思った。

 日々勉強とバイトをこなす日々。両立するということはかなりきつい事ではあったが、雪奈との生活は十分に幸せなものであった。

 錦正宗が高校二年、妹の雪奈が中学三年年生へと進級した春。祖母と祖父が老衰で亡くなった。

 その後、父のお兄さんの元で生活する事になったのだが、それからの日々が地獄だった。 

 毎日家事のほとんどを任せられ、バイトにもろくに行けなくなってしまった。また叔父の酒癖が酷く、時には暴力を振るわれることがあった。錦正宗は、雪奈を一人では家に帰らないように言いつけた。

 そんな日々が続いたある日。事件は起きた。少しバイトで帰るのが遅れてしまい、妹を待たせているのではないかと待ち合わせ場所に向かった正宗は驚愕した。いつも待ち合わせ場所にしている公園に雪奈がいないのだ。

 嫌な予感がして、急いで家に帰った正宗の目には信じられない光景が広がっていた。雪奈に暴力を振るう。叔父の姿である。

 

 「おい、なにしてんだ!」

 

 「なんだお前、そんな口の聞き方を俺は許した覚えは無いぞ」

 

 「お前!」

 

 その後の事はあまり覚えていない。妹はその日、おじの奥さんに公園にいる所を見つかって、家に連れていかれたらしい。正宗は妹を連れて家から逃げだし、警察の元へと向かった。奇跡的に養子として向かい入れてくれる人が見つかり、新居にあわせて学校も転校した。

 あれから叔父がどうなったかは分からない。知りたくもなかった。

 その頃の錦正宗の頭の中には、夢というものはもはや生活するために必要な工程のひとつと成り果ててしまった。

 妹の幸せを。ただそれだけを願って。

 

 そして今、大学生となり大学生活の中で謎の少女と出会いスタンド能力に目覚めてから、まるで引き合っているかのように次々と同じくスタンド能力を持つ人々からの襲撃を受けるようになった。

 それぞれが皆、誰とは言わないがある人物から依頼を受けて存在するかも分からないスタンド能力を探しているのだと。

 錦正宗は大学二年、妹の雪奈は大学一年生となった春。雪奈もスタンド能力に目覚めることとなった。

 妹が危険にさらされる。俺だけでは守りきれない。味方が必要だ。同じくスタンド能力を持つ、正義の心をもった味方が。

 

 

 条城が意識を取り戻したのは、日をまたいだ次の日の朝だった。何気なく体を起こし、そこで違和感を覚える。あのスタンドから受けたダーメジどころか、窓から飛び降りた際のダメージすら残っていなかった。むしろ身体中にパワーがみなぎっているように感じた。

 いつぶりだろうか。こんなにも清々しい朝を迎えたのは。

 一悶着はあったが、その日の昼には病院を出ることになった。

 病院の入口には、昨日病室に入ってきた男が立っていた。隣には、見知らぬ女の子がいた。

 

 「元気そうでなにより。覚えているよな、昨日のこと。俺は錦正宗《にしきまさむね》、隣のこいつは妹の雪奈《ゆきな》だ」

 

 「僕は、条城序如。今日はありがとう。助けてくれたんだよね。あいつは?」

 

 「わからない。だが、やはり現場から逃走する男の後ろ姿を確認した。射程距離は十五から二十メートル位だろう」

 

 射程距離。あの能力についてはきちんと理解が出来てはいないが、効果範囲みたいなものだろうか。この男。錦と名乗ったこの男も、同様に何かしらの能力を持っていた。何か知っているんだろうか。

 

 「細かい話はいい。既に知っているだろうが、俺にもスタンド能力がある。名は、「ユー・レイズミーアップ」精神力から生み出されるスタンドエネルギーを、全く別のエネルギーに変換することが出来る。熱やら、運動エネルギーやらに」

 

 「正宗!」

 

 隣の女の子が、叱りつけるように彼の名を呼んだ。こういう場合、自分に出来ることは隠すべきなのだろう。

 

 「スタンドの特性を知られると言うことは、弱点を晒しているようなものだ。もっと言うぞ、俺のスタンドは近距離パワー型に分類され、車数台くらい簡単にスクラップに出来るようなパワーを持ち合わせてはいるが、その分射程距離が短い。せいぜい自分の周囲半径2メートルで殴り合えるかどうかってくらいだ」

 

 「ちょっと!どういうつもり!」

 

 さらに口調を荒らげ、彼女は怒鳴る。

 なんだ。この男は何がしたいんだ。自分の不利益になるような事をペラペラ喋り、そもそもなぜ助けてくれたかも分からない。彼にとってメリットなんて無いのに・・・。いや、これからか。

 

 「単刀直入に言う。力を貸してほしい。お前がどんな能力を持っているかなんてのは後回しだ。答えてくれ、はい、か、いいえ、だ。簡単だろ」

 

 とんでもない、簡単なんてもんじゃあない。彼の目的はまだ分からないが、求められていることは分かる。ようは、一緒にあのスタンド使い達を相手してくれってことだろう。そんなことごめんだ。

 しかし断ればどうなるかっていうことは、口には出さなかったが、能力の説明をした時点で察しがついた。

 断れば即始末。

 

 「スタンドなんて、僕はまだ」

 

 「そんなことは後回しだと言っただろう」

 

 「正宗。巻き込む側の態度じゃないでしょ。理解してる?」

 

 「こいつは俺が助けなかったら死んでいたんだ。なんだ?ならあれか、これからも守ってやるって言ったら協力してくれるのか。条城序如」

 

 初めから、こちらの意見なんて聞く気はなかったのだろう。いつも通り、長いものに巻かれるだけ。それでいいのだろうか。何かが変わりそうな今。ここで一歩踏み出すことが出来れば。

 

 「いや、並ばせてもらう。違うよ、錦正宗。僕も協力するから君も協力するんだ。僕の目的に」

 

 決めたじゃないか、勢いでも。もう逃げないって。

 

 「僕は後ろに隠れている本当の敵を叩く。守るんじゃあない、逆だ。攻めるんだ」

 

 僕の願いは、精神の成長だ。スタンドでもなんでも利用して成し遂げる。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。