※敵スタンド名は【ラ・トルトゥーラ⠀】です。何度もラ・トゥルトゥーラと言ってますが間違いです。多分いつか直します。
「お前は、スタンドのことを理解しなければならない」
病院から出たあと、そのまま彼の家に向かうこととなった。そろそろ授業に出席したいが。
「スタンドとは、パワーある像《ビジョン》。目視できる超能力だと思ってくれ。スタンドは一人一能力、基本的にはな」
説明の最中、正宗は自らのスタンドを発現した。
「俺のスタンドは近距離でパワーを発揮する。今まで出会ってきたスタンド使い達の能力を軽く分類してみたが、近距離型、遠距離型、自動型、同化型・・・。多分まだまだあるだろうが、俺もまだ数人としか出会っていないからな」
予備知識なしに説明されてもサッパリだが、彼があの水のスタンド以外にもかなりのスタンド使い達との先頭を経験してきたことがわかった。そして全ての戦闘で勝利して来たのだろう。
「そして、スタンドとはスタンド使いにしか見ることはできないし、スタンドはスタンドでしか触れることは出来ない。お前・・・俺のスタンドが見えていたな」
言われて気付く。確かあの水のスタンドも自分のスタンドはスタンド使い以外にも見えると言っていた。逆説的に一般的なスタンドはスタンド使いには見えないのだ。
確かに見えている。病院でも見えていたんだ。
「でも、スタンド能力というのが感覚でわからない。本当に僕にもあるのだろうか」
「それはお前にしかわからない。しかし、発現したところで戦闘面ではお前に期待していない。戦闘向きの性格をしていないし、なにより貧弱な精神には貧弱なスタンド能力しか現れない。スタンドは本体である人間の精神から現れるものだからな。しかし、パワーがないからと言って全く戦えない訳では無いんだ。それを自らの力で証明してくれ」
僕の力・・・。
念じても出ない。その日は大学によることなく真っ直ぐ家に帰った。しばらくの間スタンドの事について考えてみたが、一向に能力が現れない。そのまま、彼らと再会することも無く、平穏な日々が続いた。
襲撃の恐怖、スタンド、自分の願いすら忘れそうになっていたある日。
いずれ来るはずだったその日がきた。
結局サークルに入ることなく、単純に授業で帰宅が遅れた。寄り道もせず帰路を歩いてたそのとき、目の前の十字路を右に曲がろうとした先で、何かが割れる音がした。ガラス?ガラスが割れたような音がした。恐る恐る角を曲がると、道に割れたビンの欠片が散らばっていた。
道路は濡れていなかった。中身は無かったのだろうか。落とした本人は?
ビンのラベルを見てみる。
塩酸。
それを見た瞬間僕は走り出した。後ろでは水が飛び散る音がしたが、振り向くつもりは無い。目指すは錦正宗の家だ。この敵に勝てるのは彼だけだ。ここから少し離れているが、果たして無事にたどり着くことが出来るだろうか。
背後から水が跳ねる音が追いかけてくる。次第に、僕とは別の足音が聞こえてきた。少しだけ振り向くと、跳ねる人形の水と、一人の男の姿が見えた。
「あれが本体!」
顔さえ確認、または記録さえ出来たら逃げ切れば勝ちだ。しかし日が暮れ初め、この距離からでは視認できない。距離を縮めるとあのスタンドに攻撃される。あのスタンドが僕に追いつけないのは、スピードではなく射程距離の関係だろう。本体と一定距離までしか離れることが出来ない。近距離型なのか?いまいち理解出来ていないが、近距離型の弱点として、近づかなければ攻撃はされない。このまま走り続ければ何とか。
バシャッ。
体になにか水のようなものがかかった。後ろを振り向くとまだ距離はかなりある。届くはずはないんだ。でも、この液体は。
「この刺激臭!まずい!吸ってはいけない!洗い流さないと」
塩酸だ!どうやってかは分からないが、この距離からあの敵はこっちに向かって塩酸を飛ばしてきた。すぐに洗い流さないと溶け始める。
すぐにTシャツを脱ぎ捨て、少しでも被害を減らそうとした。公園なら、水場がある。先に洗い流すんだ。錦正宗は公園に呼ぼう。ポケットから携帯をとりだし、先程交換したばかりの連絡先に電話する。
『どうした。なにかあったのか』
「敵だ!あの水のスタンド使い、本体も追いかけてくる!、八橋《やつはし》公園にきてくれ!」
『わかった』
素っ気ない人だが、即答してくれたのはものすごく助かった。
八橋公園までは、あの家からも、現在地からもそう離れていない。なんとか時間を稼ぐ。
「お前、酸を何とかすれば俺に勝てるって思ってないだろうな」
後ろをみると、敵本体はいたが、スタンドの姿が見えなかった。さっき飛んできたのが、やはりスタンドが憑依していた塩酸なのだろう。
公園まで残り数百メートル。息が切れ始め、距離も少しずつ縮まってきている。塩酸を洗い流した後のことは考えていなかったが、その場その場で乗り切るしかない。
公園に到着し、すぐさま水場で身体中を洗い流した。皮膚が所々ヒリつき、数箇所は炎症をおこしているようだった。敵も既に目の前まできている。
「水に憑依すると言っただろ」
蛇口からでる水が意志を持ったかのように僕の体を締め付け始めた。ラ・トルトゥーラのパワーが次第に上がってきている気がする。液体の量が増えるとパワーが増すのか。
「お、折れるっ・・・」
身体中からミシミシと音がしているような気がした。今は蛇のような形をしているこのスタンドのパワー上昇を抑えるために、蛇口を閉めなくては。
「させるか!引きずり回してやる!」
締め付けられたまま引っ張られ、公園内を引きずり回され、遊具に激突し、何度目かの死を悟った。
まだか、まだ彼は来ないのか。祈ることしかできない。意識が段々遠のいていく中、急に浮遊感を覚えた。上空に投げ飛ばされたらしい。真下にはジャングルジムがある。
ドゴッシャァァァン!
勢いよくジャングルジムに激突し、辺りに金属製のものがひしゃげる音がする。
不思議と体のどこにも痛みはなかった。
薄らと目を開けると、僕はジャングルジムの中にいた。体が大きくひん曲がったジャングルジムの中段くらいまで沈みこんでいて、体の表面を何かが覆っていた。金属片の集まりのようなもの。全身を鎧のようなものが覆っていた。
ひとまずジャングルジムから抜け出す。敵はスタンドを僕の周りを囲むように展開し、待機していた。
「それが、お前のスタンドか」
そういう事なんだろうか。自らの意思で発現した訳では無いので、自分のものだとは確信がもてないが、納得するとこもある。
スタンド能力は本体の精神から生み出される。僕にぴったりの能力だと思った。自らを守る鉄壁の守り、臆病な自分に。
そして、守られているのなら、
攻めることも出来るかもしれない。
「闘志が湧いてきた。いくぞ」
「そんな薄いスタンドで何ができるんだこのコンドーム野郎!」
スタンドを槍のように展開し、
僕目掛けて飛ばしてきた。
「
即席の名をつけたそのスタンドで身を守り、相手本体目掛けて走り出す。
痛みはないが、水の槍に吹き飛ばされ、思うように近づけない。何度も何度も吹き飛ばされ、近づくどころか次第に離されていく。
「関節技はどうかな!」
再度体を締め付けるように巻き付いてきて、左腕に関節技をキメてきた。
「うぁぁ!ん?さっきよりパワーが足りてないぞ。いや、こっちのパワーが上がったのか。このスタンドで」
増幅装置のような働きもしてくれているのか。
「ならこれでどうだ!」
今度は全身を覆うようにまとわりついて来て、思うように動けなくなってしまった。液化しているのか、触れることも出来ない。もがいて何とか場所を変えても、ラ・トルトゥーラも同じく移動してくる。
呼吸は出来る。こいつ、酸素ボンベのような役割もしてくれるのか。しかし、いつまで持つのだろう。
両者睨み合う様な形となったが、以前不利なのはこちら側だろう。彼は、錦正宗は
「そうか。そういうスタンドなんだな、なら問題ないな」
You raise me up。
「スタンドエネルギーを熱エネルギーに変える」
到着と共に、彼は自分のスタンドで水中を殴り続けた。
「バカめ!液化している俺のスタンドにいくら殴りかかろうが、俺には痛くも痒くもない!」
「痛くも痒くもか・・・なら茹で上がれ」
このスタンドのお陰か、温度の変化は感じられない。しかし、しだいに水が沸騰し始め、彼が何をしているかわかり始めた。
「あぁぁぁぁあっづいぃぃぃ!やめろ!やめてくれ!なんなんだお前のスタンドは!」
「言っただろう。変換していると。俺のスタンドエネルギーを熱エネルギーに変換してお前にその熱を与えているだけだ。どうやらお前のスタンド、温度の変化に弱いらしい。塩酸をも操れるのに、滑稽だな」
「まて!わかった!解除する!ほら!」
敵は僕を囲んでいたスタンドを解除した。
「はぁ・・・はぁ・・・。憑依を解除したらフィードバックも無くなった。そうか・・・」
「やってみろ、やる気ならな。この距離なら、俺のスタンドの方が早い」
いつの間にか錦は、敵の目の前まで距離を詰めていた。
「はぁ・・・。やるか。スピードに自信があるようだ『オラァ!』ぐばはっ!」
相手の会話を遮り、錦のスタンドの拳が敵にめり込んだ。
「すまん、せっかちなんだ。俺は」
『オオオオオオオオオオオオラァ!』
そのまま相手が気絶するまで拳を叩き込んだ。いや、とっくに気を失っていただろうに、手加減をする気はなかったようだ。
同意する。
御手洗 世継 みたらし よつが
スタンド、ラ・トルトゥーラ
「液体に憑依し、形状を固定して操る。液体ならなんにでも憑依できる。攻撃を受けた際常にダメージフィードバックがあるが、液化状態になれば、攻撃も出来ないが、ダメージフィードバックはなくなる。温度の変化に弱い」