マギレコRTA ワルプルギス討伐ルート円環の使者チャート 作:イナバの書き置き
(うーん、困りました。困っているのはいつもの事ですけど……)
七瀬ゆきかはメダルゲームの筐体の陰で困惑した。今日も生徒会役員としての活動を終え、メダルゲームを嗜みに参京区までやって来たゆきかだったが、そこにいたのは思いもよらぬ人物であった。
(あれって安藤さん……ですよね?)
イチゴオレを一気飲みしながらゲームの筐体にかじりついている女は、安藤怜奈だった。脇には空の紙パックが山積みになっており、滞在時間の長さを物語っている。
(でもどうしてこんな所に……)
そもそもゆきかは怜奈と面識は無い。梓みふゆが翼達専用の匿名掲示板に送信したメッセージに、彼女の写真が添付されていた程度である。しかしそのメッセージが、この場に於いては大問題となっていた。
みふゆらしい丁寧な前置きから始まったメッセージの内容は、要約すると「怜奈が1人で外出しているのを見掛けたら連絡して欲しい」と言うモノだった。
最初は何かの冗談だと思ったが、確認を取ってみると本気だと言う。
「魔法少女の救済に欠かせない人なんですか?」と問えば「放って置いたら迷子になりますから」と返ってきた。同じ日本語で話しているのに、まるで会話が通じていない。あまりに珍妙な回答に、ゆきかは思考を放棄した。
どうせ関わる事は無いだろうと高を括ったとも言える。
がしかし、紛れもない現実として安藤怜奈と七瀬ゆきかは邂逅しかかっているのだ。逃げるか、ぶつかるかの二択をゆきかは迫られている。
(どうしましょう、連絡した方が良いのでは……?)
それは即ち、
加えて、ゆきかにはどうしてもこの場を離れられない理由があった。
「うっわ、下手くそですねぇ……」
口を衝いて出たのは自分の想像以上に辛辣な言葉だった。
そう、安藤怜奈はメダルゲームが致命的に下手くそだった。「無駄遣い」と言う表現が最適な下手くそ加減である。マナー的によろしくないのはゆきかとて重々承知しているが、口を挟みたくて仕方がない。
それはゆきかの「生きている実感が欲しい」願いが、トラブル体質として作用している証だ。
彼女は面倒事になると頭で理解していても、願いのせいでトラブルに首を突っ込んでしまうのだ。
そしてその性質は、今回も遺憾無く発揮された。
「……なあ、あんた何やってんだ?」
「ピィッ!?」
突然後ろから声を掛けられたゆきかは、奇声と共に飛び退った。
見れば、自らより一回り程小さい金髪の少女が呆けた表情で此方を仰いでいる。
(しまった──!)
ゆきかは焦った。この奇行を学校で言い触らされたりしたら、ゆきかの評判は終わる。間違いなく終わる。
確かにスリリングな生活に憧れているが、それとこれとは話が違うのだ。
「なーねーちゃんどうしたんだよ、急に固まっちゃってさ」
(どうしよう、どうしよう……!)
相対する少女──深月フェリシアは勿論水名女学園生徒ではないし、容姿を見れば年下である事は明白だが、パニック状態のゆきかは「どうやってこの場を切り抜けるか」しか考えていなかった。
危機に瀕した脳が必死に言い訳を捻り出そうとする。窮地にあればあるほど真価を発揮するゆきかの思考は、この時も最善の答えを導き出そうとしていた。
が──
「何やってんの?」
「あっ……」
いつの間にか席を立っていた安藤怜奈が、ゆきか達を覗き込んでいた。
嗚呼、悲しい哉七瀬ゆきか。つい数分前までの葛藤は、一瞬で水泡に帰したのだ。
やったぜ。投稿者:変態魔法小説家(5月2日(水)17時14分22秒)
昨日の5月1日に偶然を装って遭遇した博打好きのお嬢様(16歳)と直後にスカウトしたパツキンの傭兵(13歳)と私(21歳)の3人で参京区にあるゲームセンターで遊んだぜ。
今日は明日が平日なんでコンビニでイチゴオレとサンドイッチを買ってから滅多にマギウスが来ない所なんで、そこでしこたまイチゴオレを飲んでからQBを捜索し始めたんや。
と言う訳でここまでの流れを解説しつつ3人で集まるRTA、はぁじまるよー!
今回はチビキュゥべえの捕獲を行います。が、闇雲に探し回るだけでは早々見付かりっこありません。(出現率低すぎて)狂いそう……!
キュゥべえの発見が遅れ、それに合わせて全てのチャートがずれた事で結局ほんへと変わらない、そんな苦しみを味わった諸兄も多いと思われます。
そんな
やり方は簡単、彼女をパーティに加えたらただひたすら神浜を上下に移動するだけ!
見て下さいよこのスピード!兎に角なな……(痛恨のミス)
……その筈だったんですけどねぇ。
かれこれまぁ2時間くらい、えー待ったんですけれども、キュゥべえは誰1人来ませんでした。誰1人来ること無かったです(絶望)。
1人位来るやろなぁ……と思ってたんですけども、結局誰1人来ませんでしたね、ええ。
「怜奈さん」
いやこれはキツイですよ(本音)。まさかゆきかちゃんをパーティに加えた上で、カスりもしないとは思いませんでした。
ほんへ前の小さいキュゥべえはゆきかに保護されていた筈なので、予め彼女に預けて任意のタイミングでリリースする予定だったのですが、完全に当てが外れてしまいました。
「怜奈さんっ!」
焦りからか新西区まで来てしまいましたし、クォレハ完全なロスですね……。
あーどうすっかなー俺もなー。再走するしないかなー。
「──れ・い・な・さんっ!アレ見てくださいアレ!」
おや、ボーッとしている間にゆきかちゃんが何か見付けたようです。
……これで何回魔女結界に遭遇したんですかね。フェリシアちゃんが楽しそうだったから別に良いですけど……。
「キュゥべえ?……にしては小さいね」
「ですよねぇ……しかもこっち見てますし」
「モキュ……」
モキュ……モキュ!?
ほんへが始まった訳でもないのにどうしてモキュがこんな所に!?自力で脱出を!?
「あん?魔女じゃねーのかよ、つまんねー」
何でこんな所にいるのかは分かりませんが、捨てるガバあれば拾うガバありとはこの事ですね。さぁ早速捕獲し──
「──待ちなさい」
は?七海やちよ?
あぁ(タイム)落ちたねぇ、落ちましたね……(超速理解)
今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。
私が玄関の扉を開けた瞬間、右手に青薔薇と白いカーネーションの花束を携えた女性が深々と頭を下げた。出歩く事が億劫になる程の土砂降りだと言うのに、傘すら差さず濡れ鼠になっていた。
「申し訳ありませんでした」
「ちょっ、ちょっと──!」
安藤怜奈がみかづき荘を訪ねて来たのは、メルが
まだ心の整理がついていなかった私は、それはもう面食らってしまった。この場面を近所の人に見られたらどう思われるかとか、そんな無駄な事ばかりを考えた挙げ句に彼女を家の中に通してしまったのだ。
「取り敢えず話は中でしましょう。さ、顔を上げて」
「──はい」
突如として現れた彼女は、私が無理矢理みかづき荘に押し込むまでずっと頭を下げたままだった。
「安名メルさんが亡くなったのは、私の責任です」
「え?」
居間に案内された安藤怜奈は、開口一番にそう言い放った。
せめてお茶の準備だけでもしようと棚を漁っていた私の背中に、言葉のナイフを突き刺したのだ。
「
「ええ、それがどうしたと──」
「私が水名区での足止めに失敗しました」
頭が真っ白になった。
呆然とする私に気付いているのかいないのか、安藤怜奈は俯いたまま独白を続けた。
「夜まで──夜まで
「阿見さんもいた、明槻さんもいた、竜城さんも──皆協力してくれるって、言ってたんです」
「でもアイツは日中に動き出した。これまで工匠区に中央区を抜けてきた訳ですから、魔法少女の行動パターンを学んだんでしょうね」
「皆学校がありますから、動けたのは私だけでした」
「全部私が悪いんです。私があの時、もっと粘れていれば」
「腕が千切れようが、足が吹っ飛ぼうが
「ごめんなさい。本当に、ごめんなさい──」
独白と言うよりは、最早懺悔であった。ぼろぼろと涙を流しながら、ひたすら「ごめんなさい」と呟く彼女をどうして責められようか。
そもそもからして、東側から流れて来たのなら『あの魔女』が強敵なのは分かっていた筈だ。
それを侮り、結果死人まで出した責任はチームリーダーの私にある。安藤怜奈が謝罪する理由など何1つ無い。
だと言うのに、私の口からは慰める言葉すら出てこない。惨めで、悲しくて仕方なかった。
・アレ
お前重いんだよ!(過去)
少なくともメルの1件が無ければもう少し真っ当な生活を送っていた事は間違いない。
・七瀬ゆきか
チャートをぶち壊していくやべーやつ。パーティに加えるとQBとの遭遇確率大アップ!(遭遇するとは言っていない)他の先駆者兄貴は避けようとする中積極的に関わった事で特大級の爆弾を召喚する。
・七海やちよ
みかづき荘の管理人さん。アレの謝罪を受ける。その場に自分しかいなかった為、みふゆ達はその事を知らないと思っている。
・深月フェリシア
偶々居合わせただけ。500円で雇えるとかコスパが良すぎる。パーティに加えると種類を問わずイベント発生確率が上昇する(極小)
・花束
白いカーネーションと15本の青薔薇。
風習や祭りとしての「ヴァルプルギスの夜」があるドイツではカーネーションは葬式の花らしい。安名メルが魔女になった事を怜奈が意識していたのかは分からない。
青薔薇の花言葉は「神の祝福」。15本の薔薇は謝罪を示す。マギレコ世界に於いて安名メルの救済は成されていない。
せめて花だけでもーーと安藤怜奈は考えたのかもしれない。