「うふふ、さぁ、来なさい血式少女隊」
「言われなくても!」
最初にローザに攻撃したのは赤ずきん、そのハサミを振るうが、ローザはそれを片手で受け止める。
「迷いと躊躇いがあるわね、そんな状態で私に挑もうとはなめられてるわね」
「ぐっ……」
「ほぁ!」
シンデレラは赤ずきんの後ろから跳躍して跳び蹴りをかますが、顔面にくらってものけ反らず、ダメージらうかがえない。
「あらあら、足癖が悪いお嬢さんね」
「メルヒェンの頭も粉砕するわたくしの蹴りを無傷とは、心が折れそうですわね」
「あはは、
ローザはハサミごと赤ずきんを持ち上げて、そのまま地面に叩きつける、衝撃で赤ずきんは吐血、そのままシンデレラに投げて、視界を一瞬遮られたシンデレラはローザを見失う、上だと気づいたときには遅く、ローザは蹴りをシンデレラの横腹に入れて、シンデレラは数回バウンドしながら壁に激突する。
「これが本物の蹴り、なんてね」
二人の髪色は元に戻り、なんとか向かっていこうとするが立ち上がれる力は残っていなかった。
「ぐっ……あたしもそれなりに強くなったと思ってた……のにな」
「はぁ、この程度ならジバル様はらく」
ローザらジバルのほうを見ると、マチに若干押されている姿が見えた。
「しょう……ではない様子ね、これは早いところ倒して援護にいかないといけないわね」
「ずいぶんとなめられてるね、姫、ここはぼく一人で」
「だめだよおつうちゃん、あの人ジェノサイド化した赤ずきんさんとシンデレラさんを難なく倒してる人だよ」
「でも……」
「あー、私作戦会議させるほど暇ではないわけで、とりあえずやられてて」
会話をさせる暇もなくローザは向かって拳で連打してくる、つうは剣でそれを防いでいくが、数秒で剣にひびが入り、砕け散った、そのままローザの一撃をまともに腹にくらって後方に吹き飛ぶ。
「ぐぁ!」
「つう!」
「おつうちゃん!」
人魚姫とジャックが駆け寄る。
「ぐっ……こんな」
「……これだと私が行っても駄目そうね、ヘンゼル兄さんもボロボロ」
「ならおとなしくしてくれると助かるね、私は早いところ援護にいかないといけないし」
「……まだ、まだぼくはいける」
つうはなんとか立ち上がり、懐から小さな箱を取り出す。
「へぇ、秘密兵器的な、いいね、最後まで足掻いてみせてよ、その上で倒すから」
「……」
つうはその箱を開く、そこには小さな注射器で、中には
緑色の液体が入っていた。
その下には髪が折り畳まれており、つうは開いてみた。
内容は、
『これはまだ実験段階のものだ、成功すればブラッドスケルター化を正常な状態で制御が出来る、失敗すれば最悪ナイトメアになりかねない、そんな代物だ、だからこれを見てるつう、本当にヤバイとき、覚悟をもってこれに挑んでほしい、どうか、この紙が開かれてないことを願う、フユより』
「ナイトメアに……ぼくは……」
「ねぇ、早くしてくれません、しないとさ……そこの人魚姫でしたっけ、殺しちゃうかもしれません」
ローザは跳躍し、またシンデレラを吹き飛ばした蹴りを人魚姫に向かって放とうとしている。
「はぁ!」
「ぼくは……!、迷ってる場合じゃない、ぼくはまだ、まだ生きたいんだ、姫と、ジャック達と!」
つうは覚悟を決めて、首筋に注射器を刺した、液体が注入されると、つうの体が大きく脈打つ。
「ぐっ──ガァァァァ!!」
つうの髪が緑色になり、ピンク色のオーラがローザを吹き飛ばす。
「はは、これはまた凄いものを作られたようだね、黎明は」
「キギギガぁあ、あァァァ!」
つうの姿がみるみると巨大な鶴の顔に人の身体の化け物になっていく。
「おつうちゃん!」
「はは、これは失敗かね、まぁいいでしょう、どうせなら強いほうが……ん?」
「──ぼく──は」
完全にその姿になったとき、その身体にヒビが入り、崩れていく、それはどこか、サナギからかえる、虫のようなものに見えた。
「ぼくは……姫の王子様なんだ!」
完全にそれが崩れると、中から大きな翼が生え、髪は元の髪に先端が緑色ながら、目はピンクに輝き、白い和服を身に纏ったつうが立っていた。
「──天使」
人魚姫はそんな印象をつうの姿から受けた。
「なるほど、面白い、私達と同じ段階に進ませるなんてね、面白いね、えぇ、本当に……」
「……姫、ここで少しお待ちを」
つうは人魚姫に会釈した、後一瞬でローザのところにいって、剣を振るう、ここにきて初めての危険を感じてローザは後方に下がって避けようとするが、軽く胸を切り裂く。
「ぐっ……早いですね、だけどこの程度で調子に乗らないほうがいいですわよ!」
ローザは力を解放して、両手をジバルのような獣の腕と耳が生える、その腕でつうに攻撃するが、その大きな翼によって防がれ、散ったいくつかの羽が一人で浮いて、それがローザの身体に刺さる。
「ぐっ!?この、小癪な」
ローザは羽を引き抜くと、今度は身体に竹が絡み付き、ローザを縛る、それにローザは大きく驚く。
「これは……まさか!?」
「終わりだよ」
つうの剣の一撃は今度は避けきれず、まともにくらった、赤い鮮血が舞い、つうの羽を赤くする。
「は、はは、つう、あなた……都庁のナイトメアでしたのね」
「……なぜそれを」
「ふふ、教えません、えぇ、教えませんとも、まぁどうせすぐにわかることですものね──ジバル様!」
「御意」
ジバルはマチの攻撃を受けながらもすぐにローザのもとに行き、竹を壊してローザを抱える。
「こいつ……焼かれながらもローザを救うために」
「ふふふ、ではまた会いましょう、血式少女隊、それとつうさん、そろそろ限界では?」
「なにを──ぐっ!」
つうの姿が元に戻ると、つうはそのまま地面に倒れる。
「さすがに限界でしたわね、初覚醒でしたもの、よく数分も活動できたと誉めましょう」
「帰るような流れだが、逃がすと思うか?」
「逃げますとも、全速力で、ジバル様」
「御意」
マチは逃がさないように火のついた大きなマッチを投擲するが、やはり刺さってジバルは止まらず、ジャック達を吹き飛ばしながらこの場から去っていった。
「……凄まじいな、あのジバルっての、本当にローザが大事なんだな、とりあえず倒れてるやつら運ぶか、マチとヘンゼルが3人他は1人で」
「じゃあ僕と人魚姫がつうを運ぶよ」
「ははは、ごめんね姫、もう指ひとつ動かないや」
「……かっこよかったよ、おつうちゃん」
「……それは、良かった、はは」
そのままつうは安心からか目を閉じた。