私とジバルは恋人同士だ、私が辛いとき、悲しいとき何時も側にいてくれて、
「──そろそろ限界だ、ローザ」
私を抱えて走っていたジバル様は膝をつき、その姿が人間に戻っていく、マチの攻撃がかなり響いたのだろう、私もつうの攻撃で血が流れ続けている。
「ローザ……これを」
ジバル様が一つの小瓶を手渡す、核から抽出した栄養液、これを飲めば怪物に近い私達は傷を治すことができる。
「ごめんなさい、ジバル様、私、あなたほど強くない、というより、ジャバウォックで一番弱いのに」
「きにするな、どんなことがあっても護ると決めたのだ、俺は怪物に近いから数分すれば治る……と、思っていたが、マチという女の火、どうにも再生を阻害してるみたいなのだ、今は消えてるが」
ローザは小瓶の液体を飲み干す、すると先ほど切られた傷が塞がっていき、完全に治った。
「……とりあえず、戻りましょう、戻れば栄養で」
「待て、ローザ、誰かくる」
旧学生街エリアの出口の前に、一人の老人が立っていた、しかしその身体はとても老人には見えない筋肉の付きかたをしており、背中には包帯で巻いた刀のようなもの、両手にも刀を2本持っている。
「何者だ」
「──ほほ、なに、ただの老人ですよ、もう67になるものでね、そろそろ70代が見えてきた辺りで、身体の軋みが凄いのなんので」
「……ふん、養生しておけ、じいさ」
ジバル様は左手を獣に変えた──はずだった。
「は……?」
そこにあるはずの左手はなく、何かが地面に落ちる音がした、下を見ると、そこにはジバル様の腕が落ち、いつの間にか接近していた老人が背を低くしてそこにいた。
「おいおいおい!?、お前本当に人間か!?」
「ふっ!」
ジバル様は老人の斬撃を避けながら口パクで逃げろと私に伝える。
(ぐっ……こんなじいさん、万全なら私でも殺せる、けどなぜなの、こんな人間のじいさんに私の足が震えて、逃げろと言ってるの?)
私は数秒思案して、私も口パクでちゃんと帰って来てと言い、出口に向かって走り出した。
○
「……それで良い、それで良いんだローザ」
「仲間を逃がすとは良い判断だな、獣よ、名をなんて呼ぶ」
「俺はジバルだ、ジャバウォック、聞いたことくらいあるんではないか?」
「なるほどジャバウォックか、よく血式少女のことをそれと同じと考えるやつらがいるものでね、殺す殺される相手の名前くらい教えておこうか、わしは花坂、薄暮傭兵団のリーダーをしておる者だ」
「そうか、では……殺すか」
俺は左腕をくっつけ、全身は無理だがローザのように腕だけなら可能だ、俺は獣の腕を振るい、攻撃する、だが花坂はそれを難なく避けて見せる、身のこなしが明らかに年を感じない軽さをしている。
「ぐっ……」
「その程度かね、能力は獣化といったところか、ならわしには勝てないな」
花坂は俺の獣の腕の攻撃を刀でいなすと、そのまま両手の刀で俺の身体を貫いた。
「がっ!……ぐぁぁ!!」
俺はそれを筋肉で固定して、両手を横から叩くように潰そうとするが、花坂は刀を手放して、後ろに退いて避ける。
「はぁはぁ……これでお前の武器は無くなったな人間」
「ほほ、さすがにやるか、では……こちらもこれで行こう」
花坂は背中の包帯を巻いたものを持ち、包帯を外していく、そこにあったのは──。
「なんだ──それ」
肉のような質感に脈動、それはまるで──メルヒェンやナイトメアを思わせる刀だった。
「ムカデ、
○
「はぁはぁ……逃げなきゃ、何で私が人間なんかに逃げなきゃなんないの」
大丈夫、きっとジバル様があのじいさんを殺して戻ってきてくれる、そうよ、私の王子様、私の最強の矛なんだから。
「はぁはぁ……やっぱり運動してこなかったのは響くわね、何時もジバル様の肩で移動していたから……よし、見つけたここまでこれば」
「……発見したわ」
目的の場所、私達ジャバウォックだけが通れる転移する場所になぜか人間が数人陣取っていた、その手には銃が握られている。
「さすが花坂の旦那だな、あっしらはここで待ってるだけで良いんだから」
「タクミ、油断するなよ、こいつらはナイトメアみたいな連中なんだから」
「へいへいわかってますよカエデさん、あたくしだってやるときはやりますよ、さて、おとなしくしてくれるとこちらとしては助かりますね」
「……ここで、ここで私は死ねないんだよ」
「そうですかい、では」
「──はぁぁぁ!!」
私はありったけの力で獣になり、あいつらに突っ込んでいった。
○
「……ん?」
永遠は何時も通り門番をしてると、一人の血だらけの少女がこちらに向かってくるのを見る。
「お嬢さん!?、どうしたんだその怪我」
「──はは、今度は人間に心配されるとは、ほんと──私は運がいいんだか悪い──の──」
少女は永遠にもたれ掛かるように倒れる、息は浅く、このままでは死ぬと永遠は感じる。
「お嬢さん!、早く視子さんのところに行かないと…、それまで生きていてくださいよ」
永遠は少女を抱えて、視子のところに向かって走り出した。