第11回
──私は、ある村でお姫様のような扱いを受けていた、お金持ちの商人の娘というのもあるが、村一番の美貌と、優しさが人達を惑わしたんだろう、やることなすこと全て人がやってくれて、私はそんな生活が嫌だった。
ある時、お父さんは運が悪かったのか財産をほとんど失った、それでも上の姉達はお金をせびる、優しさからかそれが嫌だったからか、姉達を止めようとした、そんな時だったかな、私が──化け物だったことに気づいたのは。
「ひぃ!、あなた!、なんなのその腕は!」
姉達が怯えている、私自身もこれには驚いたものだ、なんせ獣のような腕になっていたんだから。
私は拾い子だった、どこで、誰に生まれたのか父は教えてくれず、ただ今を幸せに生きていた、皆あんなに良くしてくれたのに、こんな腕を見た村の人達は血相変えて罵倒しながら石を投げてきた。
「この化け物め!、俺達を騙していんだな!」
「私は騙してなんか、ただの人間です」
腕はそのまま治ることはなく、そんな罵倒と石投げの日々は終わりを告げる、父がある日、私に薔薇を渡そうと、ある館の薔薇を折ったことで
そこにいた主人から私をよこせといった、父は私のことが大事でした、理由まではわからなかったけど、ただ母は事故で昔死んだことは教えてくれた。
「ここが……父が言ってた館」
私はその扉を開けて中にはいった、そこにいたのは……私と同じ、いや、全身が獣になっていた人がそこに立っていた。
○
「ジバル……様」
ローザはそこで目を覚ます、綺麗な天井に、薬品の匂い、柔らかいベッドの上に、ローザはいた。
「……ここは」
起き上がろうとするが、全身が痛く、包帯で巻かれていても血が滲んできている。
「そうだ、私は……」
「ちょっと!、それってどういうことなの!視子さん!」
カーテンの向こうから聞き覚えの声が聞こえる、旧学生街エリアで戦ったつうの怒鳴り声だ、ローザはばつが悪そうにベッドから出て逃げようとするが、やはり怪我が酷くうまいこと動けない。
「くっそ、こんな怪我、核の栄養があれば……」
「あまり動けないほうが良いぞ、ほとんど死んでいたに近い状態だったんだからな」
カーテンが開き、そこにはマチやつう、ジャックなど血式少女達が立っていた、ジャック以外は皆包帯を巻いており、ローザによって受けたものだろうことはローザ自身わかっている。
「私、いつまで寝ていたのかしら」
「3日だ、やはり血式少女に似た身体の強さなんだな、ジャバウォックってのは」
「まぁね、さて……私はもう出るわ、敵に助けられるなんてね、なんなら殺すかしら、そこのつうだったかな、それがお望みでしょう」
「ぼくは……」
「駄目だよ!、例え種族が違っても、それに誰も死んでないんだから」
つうが武器を持ってローザに近づくのをジャックが前に立って止める。
「お優しいことで、私は今のナイトメアの長の一人だよ、ここで殺しておいて損はない、罪悪感も抱く必要もないわ」
「でも……」
「それとも、ここで暴れたなら踏ん切りがつくかな」
「やめておけ、まだ完治に程遠い状態だぞ」
「はは、私はそれでも……」
ローザはなんとか立ち上がり、手を獣化させようとするが、まったくできなくなっている。
「ちぃ、血を流しすぎたかも──ね」
そのまま前のめりに倒れるところをジャックが受け止める。
「ジャック!?」
アリスが近づくのをジャックが手で制する。
「視子さんが言うには後1ヶ月はかかるらしいよ、それまでは僕達の中で生活してほしい」
「なぜそこまでして私を助ける、相当のお人好しで偽善者なのか」
「あはは、そうかもね、ただ……ナイトメアとだってわかりあえたんだ、僕は全てとはいかなくても、君達とも仲良くなれるんじゃないかって思うんだ」
その優しさに、ローザはジバルの言葉を思い出す。
『どんな種族にだって悪があり善があるものだ、俺は差別なんてしない、君がどんな姿でも愛して見せるよ』
「……わかった、1ヶ月、ここですごしてあげるよ、その後はどちらも自由にやろう」
「うん、わかった、つうもそれでいいかな」
「本当にお人好しなんだからジャックは、まぁいいよ、今度襲ってきたならぼくが必ず倒して見せる」
つうは翼を生やして、前の変身ができるとアピールするが、すぐに翼が引っ込み、運動後のような呼吸の速さになる。
「……一つ言っておく、私は人間に襲われた、ジバル様もあの老人に……いや、生きてる、そのはずよ」
「ほう老人、それってもしかして薄暮のリーダーかな」
「知ってるならわかるはずだ、私達とあなた達では、わかりあえることは無いと」
「……まぁいいか、とりあえずこちらからは何も言わない、今は停戦調停的な状態だと思っておくよ、それじゃあ帰るぞ皆、まだ昼を食べてない」
そう言ってマチは血式少女達をつれて去っていった。
「……そうだ、私は人間を信じられないから酒呑の組織に入ったんだ、私は……間違ってない」
ローザは再びベッドで寝て、これからのことを考えながら眠りに落ちた。