「……あの」
人魚姫は困惑していた、拐われていったいなにをされるのか怯えていたが、今人魚姫の目に映っていたのは、祭り、魚のメルヒェン達が踊り、豪華な食事が並んでいた。
「どうかしたかな、姫」
そして隣には浦島太郎が座っている、にこやかな目で、人魚姫を見ており、敵意や殺意などは一切感じなく、むしろ好意的な感情が感じられる。
「これはどういうことですか?」
「あぁ、不満だったかな、これはあなたがここに来たことの宴ですよ」
「あぁそれはなんとなくわかります、なぜ拐ったんですか」
「それは……あなたを俺の嫁にするためです」
「──へ?」
○
「……とまぁ、浦島は気に入った相手を娶るやつだね、あと一番に警戒すべきはあの煙、触れれば老いていく、本人だけがそれを解除できるって感じね」
血式少女達とローザは水族館跡にやってきた、マチを除いてだが。
「そういえばマチは来なかったみたいだけど、まさか冷たいところが苦手とはね、あと血式少女隊なのに男が二人いるのどうなのよ」
ローザはジャックとヘンゼルを見る。
「僕、血では、グレーテル、治せない、でも戦える」
「ヘンゼル兄さんは強いわよ、本当に血式少年は謎ね」
「僕も強いといいんだけどね」
「ジャックは今のままでもいいわ、私達をブラッドスケルター化から救ってくれるだけでもありがたいわ」
「うん……」
(女の子に守られるのが嫌そうね、同じ男の子が戦闘してるのもあるんだろうけど)
「そういえばローザ、あんた仲間倒すの抵抗ないの?」
赤ずきんがローザに聞く、少し考えたあと、ローザは口を開く。
「まぁ、無いと言えば嘘になるね、でもジバル様以外なら問題ない、それとも私が嘘言っていてあなた達をはめようとしてるって思ってるのかな」
「それもあるかもね、で、その浦島を倒す方法とかは?」
「悪いけどわかっていたら教えてる、ただわかってることはあるわね、浦島は核を取り込んでいる、水族館跡エリアのやつを」
「つまり……不死性はないと見ていいのね」
「それなりの再生力はあるけどね、それじゃあ入るわよ」
ローザと血式少女と少年達は水族館跡の中に進んでいった。
その頃、マチは一人、解放地区の中を歩いていた。
「……さて」
マチはその中でも人がこない広場、もとい空き地に訪れる、建物に囲まれており、かなり狭い隙間以外に道はなく、ここに入れるのはかなり細身の人か建物の上から降りるしかない。
「さて、つけてきたお方、姿を見せてくれないか」
「……おやおや、やはりマチちゃんは勘が鋭いねぇ」
隙間から姿を見せたのは、マチはよく知ってる相手だ、年齢は見た目だけなら30代後半か40代前半ほど、右目が赤く光、角が生えてるが、ほとんど人間の姿のメルヒェンである、しかしそれはマチにとっての。
「母さんか、なんの用かな」
「えぇ、黎明の人に聞いたけど化け物の腕を持ってるそうじゃない、一度見せておくれ」
「……あぁうん、はい」
マチはあきれぎみに懐から茨木童子の腕を見せる。
「おぉ、これはこれは、もっとよく見たいから渡してくれないかね?」
「はいはい」
マチはそれに腕を渡す、その瞬間それの姿が変わる。
「はははは!、バカめ!、確かに腕は貰ったぞ!」
それは茨木童子の姿になる、マチはため息を吐き、背中の2本の大きなマッチを両手に持つ。
「いや、本当にバレてるぞ、で、後二人はなんだ?」
「なんだぁ、バレてるのかぁ、本来なら逃げるつもりだったが、酒呑様の命令だ、我輩達で貴様を倒すぞ」
上の建物から二人ほど降りてくる、一人は桃を基調とした服に刀を持った男性、もう一人は半裸で大きな両刃の斧を持った熊のような男性。
「あぁ、桃太郎に金太郎か、鬼と一緒にいていいのか疑問だがまぁいいか」
「ぐはは!、いかにもワレは金太郎!、3人で一斉に攻撃するのは好かんが酒呑の命令だ!許せ」
「僕は巨悪を殺すことに何人がかりは当たり前だと思ってるよ、この桃太郎、容赦しない」
「さぁ!、サンミイッタイで貴様を倒すぞ!」
「……はぁ」
なんか自分が悪役感あるなと思いながら、マチは構えた。
○
「……ついたわね」
ローザと血式少女達は水族館跡エリアの最奥までやってくる、そこにはたくさんの魚のメルヒェンがおり、その奥にナイトメアと浦島太郎、そして鳥籠の中に人魚姫がいる。
「姫!、助けに来ましたよ!」
「おつうちゃん!」
「あぁ、やはり俺は……ふふ、なら簡単だね、つう、お前を殺すとしよう」
「そうだな、僕もお前を殺そうと思っていたところだよ」
「……物騒だな」
「ローザ、お前が導いたのだろうな、本当に裏切るつもりということは理解したよ、では……やろうか」
浦島が指を弾くと、一斉にメルヒェン達が血式少女 少年達に襲いかかる。
「さぁ!、行くよ皆!」
「「おぉ!!」」
血式少女達もつうの一声で、メルヒェン達に向かっていく、つうはメルヘンスケルターになり、飛翔して、浦島太郎に向かっていった。
「さぁ!、お前を殺して俺が人魚姫の一番に、結婚相手になってやる!」
「ふざけたことを抜かすなよ浦島太郎!、人魚姫はぼくのお嫁さんだ!」
(……おつうちゃん……浦島さん)
人魚姫はそれを、哀しそうに檻の中で眺めていた。