それからのことは悲惨だった、突如として薄暮の兵士達が『全ては新世界のために』と言って何かを噛むと、血反吐を吐き、絶命していった。
その光景に困惑と恐怖を血式少女は覚える、いや、グレーテルだけは冷静にこの行為の意味を考えていた、そして、それから1日が経過する。
「──で、なぜお前らがここに?」
研究室にて、縄で手を縛られているが、マモル ヒカリ カエデ タクミ イツキ そしてドロシーが来ていた。
「さっきもいったが俺らはリーダー、花坂から逃げてきたんだよ、薄暮の一件、ジャバウォックの件でな」
「──薄暮」
「落ち着いてローザ、この人達は味方よ、一人は知らないし、擬態化前のことだけど」
ローザがマモル達に攻撃しようとするのを、赤ずきんが止める。
「……ちっ」
「うん、わかってくれて助かるよ、で、皆記憶は戻ってる?」
「あぁ、皆あの一件の後に記憶が戻ってる……そろそろ縄解いてくれないか?」
「えぇ、そうするわね」
赤ずきんは皆の縄をほどいていく。そしてフユが今回の本題について話す。
「さて、本題についてだけど、メルヘンスケルターについてだ」
「あぁ、それってぼくと姫が使えるやつだね、それが?」
「……ラプンツェル、見せてやってくれ」
「うん!」
「え?」
ラプンツェルが目をつぶると、姿が変わる、両手が塔のようなものになり、黄色のドレスを身に纏った。
「えぇ!?、なんでラプンツェルがその姿に!?」
「うーん、フユにナイトメア食べたことあるって聞かれて、うんって答えたら、黄色の液体くれて、飲んだら苦しくなったけどー、今は凄い力が溢れるよー」
「……フユ、これって」
「ネタバラシするならあの液体はナイトメアの細胞の活性化、少なからずナイトメアの力があるならなれるって感じ」
「それなら私とジャックもなれたりするのかしら」
「あぁ、二人もそういえば……だけどやめておいたほうがいいかな」
「どうしてかしら」
「簡単な理由だ、二人が耐えきれない可能性が高いからだ、ナイトメア化して正常な状態だったか?」
「……そう、残念ね」
「仕方ないよ、でもこれで3人はメルヘンスケルター化できるわけだね、増やすにはやっぱり対応したナイトメアを探さないといけないのかな」
「そうだねジャック、だけど他エリアにナイトメアがいないからそれは近いね、不可能に」
「……つう 人魚姫 3人でなんとかしないとなのかな」
「マチも行けるぞ、これで4人だ」
「……よし、明日、監獄塔エリアに侵入する、つう 人魚姫 ラプンツェル マチで黒月の首魁、酒呑童子の撃破
他はメルヒェンを相手に専念だ、それでは解散!」
○
「……はぁ」
僕は、一人、屋上でたそがれていた、今までいろんなジャバウォックと出会ってきた、最初はエリアの長、次にローザとジバル、襲ってきたけど嫌々ながらで今では僕達の大切な仲間、次に織姫と浦島太郎、そしてマチさんの話で桃太郎と金太郎、マチさんが会った二人のことはわからないけど、織姫はつうの母親らしい、浦島太郎さんは……義理堅く、いい人ではあった。
今だから言える、もしかしたら……茨木童子、酒呑童子とも和解できる可能性があるのではないかと。
「でも……こんなことみんなの前では言えないね」
「わぁ!!」
「うわぁ!?」
僕は急に後ろから声が聞こえて驚いて振り返る、そこにはドロシーがいた。
「きみは……」
「どうもー!、元薄暮のドロシーちゃんだよ!」
ドロシーさんは僕の隣に立った、なんなんだろう、この人、凄く明るい。
「んー?、どしたん?、何に悩んでいるのかなー?」
「……ジャバウォックって本当に敵なのかなって、あ、ごめん、こんなこと言っても困るよね」
「……そうだねー、相手の本当に考えてることを知らないからそんなこと言えるわけだね」
「うん、だから」
「だからこそ、可能性があるなら頑張って話し合うことは大事だと私は思うね、何事も相手の理解から始まるんだしさ」
僕はその言葉に納得する、うん、そうだよ、何も知らないで他人を語れないわけだし、それにしても。
「意外とよく考えてるんですね」
「えー!、急に酷いねー!」
「あはは!、ごめんごめん」
僕はひとしきり笑うと、屋上から出ていこうとする。
「ありがとう、ドロシーさん、僕、他の人達に僕の考え伝えてくるよ」
「うん、いってらっしゃーい」
僕は手を振るドロシーさんを見たあと、屋上から出ていった。
「……本当にお人好し……ね」
ドロシーさんは小声でそんなことを言っていたような気がした。