「──さて、行こうか、みんな」
マチはそう言って率先して前に出て監獄塔エリアに入っていく。それに続いて他の血式少女達も続いていく。
「それにしても驚いたな、ジャックができれば殺しあいたくないと」
「すみません、でも僕は」
「わかってる、ただ相手が本気で殺りにきたら迎撃はさせてもらうぞ」
「はい、わかってます」
「よろしい、じゃあ先に進んでいくぞ」
マチ達はメルヒェンを倒しながら監獄塔を進んでいく、そして、頂上前までやってくる、そこには茨木と2体の角の生えたナイトメアが待っていた。
「きたな、血式少女隊、ここから先には行かせないぞ」
「だろうな、では赤ずきん達、ここは任せるぞ」
「任されたわ、それじゃあ行って、マチ」
「おぉ!」
マチはラプンツェル つう 人魚姫、そしてジャックをつれて頂上を目指して走りだす、茨木が止めようとするがそれを赤ずきん達が阻む。
「ちぃ!、邪魔するな!」
「さぁ行って!」
○
僕達は赤ずきん達が戦ってるのを背に頂上にたどり着く、そこには和服を右側をはだけさせた茨木と同じく角の生えた白い髪の少女がいた。
「……待っていたよ、ジャック」
「あなたが酒呑童子さんですね、僕を知ってるんですか?」
「あぁ、知ってるとも、何せ一度戦ってるじゃないか、擬態化前にね」
擬態化前、そして角……つまり酒呑童子と茨木童子の正体ってそういうことなのか。
「……擬態化前にあった僕が鬼だと言っていたナイトメア2体、それがきみ達なんだね」
「ご明察、さて……」
酒呑童子は金棒を持ち、地面から八つの大きな蛇が現れる。
「殺ろうか、お前達の目的はウィッチクラフトで外に出ること、わっちは王になること、このジェイルのね、だから外に出られると困るわけだよ」
「そんな……別に争う必要なんて」
「無いと言えるかな?、わっちにはあるわけだよ、さぁ、来るといいさね」
「ジャック、下がっていろ、ここからはマチ達の領分だ」
「ラプンツェル、がんばるよー!」
「姫、行きましょう」
「うん、おつうちゃん!」
ラプンツェル つう 人魚姫はメルヘンスケルター化し、マチさんも背中の大きなマッチを2本持つ、皆やる気だ、なら僕は……。
「頑張ってください……僕も全力でサポートします」
「おけ、それじゃあいくぞ!」
まずマチさんが駆け出していく、八つの蛇が襲いかかってくるけど、マチさんはそれをマッチ2本で吹き飛ばしていく、ラプンツェルは塔のような腕からレーザーを放つ、それを酒呑童子は金棒で防いだ。
「この程度か、お前ら血式少女は!」
酒呑童子はラプンツェルの懐まで一瞬で移動すると、その金棒でラプンツェルを塔で防がれても、空高くまで吹き飛ばす。
「うわーーー!」
「ラプンツェル!」
僕はラプンツェルをなんとかキャッチする。
「ありがとう!ジャック!」
「うん、どういたしまして」
ラプンツェルはお礼を言うと、再び酒呑童子に向かっていった。
「くらえ!」
「行きます!」
つうは大きな竹の球体を、人魚姫は水の槍を作り出す、それをつうは右から、人魚姫は左からそれを放つ。
「しゃらくさい!」
酒呑童子は金棒の風圧で水を吹き飛ばし、竹の球体は金棒で打ち砕く。
「さぁ!、まだまだわっちは元気だぞ!」
○
私、グレーテルは考えていた、黒月の今まで行動、核を奪っていくジャバウォック、今まで無かったメルヘンスケルター化、マチや血式少年のヘンゼル兄さん、フユなどの存在、とてもウィッチクラフト1つで行ったとは考えにくい量のことが起きている。
「……あるのでしょうね、ウィッチクラフトより強い力を持つ核が」
「グレーテル!、あなたも戦いなさい!」
「……えぇ、わかってるわ赤ずきん」
とりあえず今は、戦いに専念ね、そして、もし私の予想が正しければ……この戦いは無意味に近い、いやむしろ……黒幕の思うつぼね。
○
「──はぁ、はぁ」
あれから濃密な数分間の戦いが続き、酒呑童子を僕達は追い詰めていた、僕もメアリガンで皆を回復させている、フユさんから聞いたけど、今のメアリガンは威力を調整でき、軽く岩を壊せるまで上げれる、僕はまず使わないけど、そしてメルヘンスケルターには僕の血を浴びせればその状態を長持ちさせられるらしい。僕の血もそろそろ限界が近い、酒呑童子だってそうだ。
「はぁ!」
マチさんは酒呑童子にマッチを連続で叩き込む、酒呑童子はそれをいくつかくらい、よろける、そらを見逃さず、つうと人魚姫、ラプンツェルが各々の攻撃を命中させる。
「がっ……」
酒呑童子はそのまま、地面に倒れ伏した。
「……負けだよ、さすがにもう動けん」
「はぁはぁ……よし」
つうと人魚姫はハイタッチをし、勝利を喜ぶ、その時、ジェイルが白い月に届く、そして……ウィッチクラフトが誕生する。
「──さぁ、行け、脱出するんだろ」
「うん、それじゃあ……」
僕はウィッチクラフトのもとまで走っていく。
「……!」
ウィッチクラフトに触れようとした時、酒呑童子は立ち上がって、僕を横に突き飛ばした。
「あいつ!この」
つうは、酒呑童子が邪魔したように見えた……が、それは違うと数秒後、気づく、何か光の光線が酒呑童子の胴体を貫いたのだ。
「──酒呑童子!」
茨木童子が、その名を叫んだ。
「──あーらあら、酒呑ちゃん、やっぱり気づいてたんですねぇ」
空から降りてきたのは、僕が知る人物だった、ピンク髪の少女……ドロシー、そして花坂さんに織姫。
「き、貴様ら!、酒呑様を裏切るのか!」
「あは!、茨木ちゃんは本当に酒呑ちゃんの言いなりだったんだねぇ、まぁそれもいいかもね、それじゃあ」
ドロシーはウィッチクラフトに触れると、ドロシーの身体に吸収されていき、ドロシーの姿が変わっていく、白い杖を持ち、ピンク色の眼を輝かせる、その妖艶な姿は本にでてくる魔女のようだった。
「うふふ、目の色を隠す眼鏡ももういらないかしらね、髪もほどこう……さて、
ジェノサイド・ピンク?、聞いたこと……ないはずなのに、何か引っかかる言葉だ。
「……なぜなんだ、ドロシー」
「うん、ジャック、悪いとは思ってるよ、心も痛いし、本当に悪かったと思ってる、嘘も言ったことないし、まぁ……ごめんね、ジャックゥ」
その笑みは相手を嘲笑う、とても邪悪な笑みだった。
「……ジジィ、本当にそっち側なんだな」
「なに、これもわしのためだよ」
「……許さないぞ、許さんぞ!ドロシー・オズ!」
茨木童子、そしてマチ つう 人魚姫 ラプンツェルはドロシーに近づこうとするが、織姫の糸によって拘束される。
「はいはい、そこで止まっていてね、ドロシー様、行きましょうか」
「ん、そだね、じゃあ皆さん、次に会えるときを楽しみにしてるよー、じゃあねー」
ドロシーは杖を掲げると、一瞬で織姫と花坂と共に消えた。それと同時に皆の拘束を解ける。
「──はは、まんまとやられてしまったな」
息も絶え絶えだが酒呑童子が生きていると知ると、茨木童子は酒呑童子に駆け寄る、僕から見ても、もう命は無いのが見える、あの光、マチさんと同じ再生を阻害する力があったのだろう。
「……ジャック、近くにこい」
「え?、はい」
「ジャック!?、そいつの言うことなんて」
「つう、大丈夫だ」
つうが止めようとするのをマチが制する。
「──茨木童子、血式少女達についていけ、わっちはもう死ぬんだから……」
「そんな……でも!、ここに核液が!」
「治らないよ、ドロシーのあの光、それなりのものだったんだろう、まったく再生しないぞ、ジャック」
「……はい」
ジャックは酒呑童子の近くにくる、すると、その手を精一杯伸ばして、ジャックの手を握る。
「──覚醒するかは……お前し──だ」
そして酒呑童子は僕に吸い込まれる形で消えた。
「これはいったい……茨木童子は何か知ってる?」
「いや、我輩にもわからない、いや……そうか、そういうことか」
茨木童子は僕に平伏する、えっ?、これってどういう。
「あの、なんで」
「酒呑様はあなたと一体となった、ならば、我輩はジャック、お前につかえよう。
「──えぇぇぇ!?」
○
それから、塔は崩れていき、僕達は途方にくれていた、頂上でおきたことを皆に話すと、グレーテルは黒幕がいたことに気づいていた様子だった。
「で、どうしますの?、ウィッチクラフト無しではここから脱出は不可能ですわよ」
「それなら、我輩に、いや、擬態化前の記憶があるやつらなら心当たりがあるはずだ」
「それって……そういうことね」
グレーテルは気づいた様子だ、僕達もそういうことだと、ヒカリのところに急いだ。
「──あの、これって」
黎明に着くと、ヒカリは擬態化前に見た天使の姿に変わっていた。それにマモルは驚いている様子だ。
「おいおい、なんでウィッチクラフト無しでこの姿になったんだよ」
「うん、私も驚いたけど、たぶんこの世界の擬態化が甘いせいだと思う、けどおかげでこれで皆を地上に送れる」
「……マジか、いや本当にこの世界はなんなんだか」
僕達は各々準備を行った後、ヒカリの前に集まった。。
「ジャック、みんな、1つ伝えておくわ私の予想が正しければ外の世界は」
「わかってるよグレーテル、でも、ここで止まるわけにはいかない」
「……そうね、どうせ外にいくという以外に選択肢はないわけだし」
「それでは皆さん!、外に送り届けます!」
ヒカリが手を掲げると、僕達は光に包まれた……。
○
二度目の脱獄、それは全てがまったく違っていた、けど僕達は諦めない、たとえどんな世界が待っていても、僕達なら……きっと脱獄ができると信じている。
to be continued