第5回
薄暮傭兵団──通称薄暮、本部に元学校を使っており、メルヒェンに捕らえられた人達を解放し、メルヒェンと戦える人材を育成する機関でもある。
体育館、もとい傭兵団の修練場、そこでマモルはリーダーに鍛えられていた
「やあぁぁぁ!」
「おっと、少しは良い動きができるようになったか?、だが」
マモルがここにきて1ヶ月、毎日薄暮のリーダーの修行をしていた、朝にランニングから腹筋から素振りなどなどを経て、昼に食事をした後、今リーダー直々の戦闘訓練をしていた、マモルは拳が得意だということからリーダーも拳で相手をしている。
「ほい!」
リーダーの正拳突きで、マモルは後方に吹き飛ぶ。
「ぐ……げほ」
「ほう、咄嗟に腕でガードしたか、それなりに動けるようにはなったか、ほほ、今回のワシからの修行は以上だ、この後も頑張るのだぞ」
「はい!、今日も修行つけてくださりありがとうございました!」
マモルは立ち上がり、90度きっちりのお辞儀をした、1ヶ月でリーダーに精神的にも身体的にも鍛えられた、そこらの雑魚メルヒェンなら無傷でやりあえる程度には。
「ふぅ……」
マモルは元教室を使った自室でベッドに腰掛けながら先ほどの動きの反省点を考えていた。
(あの正拳突き、今の俺ならもう少し反応を速くできていたな、反射神経はまだまだ人間レベルってところなのか、まだまだ強くなれるということかもしれんな、それに)
「マモル!」
マモルは急な大声でビックリして、のけ反って壁に頭をぶつけてしまう。
「いってぇ!、なんだよヒカリ」
マモルの幼なじみ、ヒカリ、薄暮で救護班につき、様々な人を癒す術を学んでいる、全てはマモルを死なせないために。
「なんだよはないでしょ、せっかく呼びにきたのに」
「呼びに?、何か任務か」
「まぁそうかもしれないわ、リーダーは任意らしいけど
ね」
「場所は?」
「本来は不仲らしい……黎明よ」
黎明、薄暮のほとんどが嫌っている血式少女がいる、マチが、ジャックがいるであろう組織。
「あぁ、俺は行くぞ、ヒカリは?」
「もちろん行くわ、マモルが行くならね」
「だろうな、さて、すぐか?」
「既にリーダーは外で待ってるそうよ、ほら、行きましょ」
「あぁ」
マモルは薄暮の制服の軍服に着替え、自室をあとにした。
○
「ふぅ……やっぱり美味いね、ここの料理」
「そうね、独房にいたころに比べたらかなり違うわ」
ジャックは今日の鍛練を終え、他の血式少女達と食堂で食事をとっていた。
各々好きなものを食べ、談笑している。
「マチお嬢!、この緑の葉っぱはなんなんのだ?」
「キャベツだよ、ちゃんと食えよ?、もったいないからな」
「マチさーん、食べさせてください~」
「はいはい、ほれ」
「シンデレラ、そこのソースとって」
「わかりましたわ赤ずきんさん、はい」
「……いいかげん赤姉と呼んでくださっても」
「嫌ですわ」
「親指姉様、口にケチャップがついてますよ、拭きますね」
「あら、ありがとう白雪、ネム、寝ながら食べるのは行儀悪いわよ」
「ん……わかった……」
「姫、そちらがお嫌いならぼくが食べましょうか」
「うん、ありがとうおつうちゃん、だけど自分で食べるわ、もったいないし」
各々そんな話をしてると、フユが食堂に現れる。
「皆好きなもん食べてるね、どうだ?美味いかわたしが
作った料理は」
「作ったのは素材だろ、思考力が落ちる副作用を無くしたこの野菜とか」
「あはは、まぁね、あとマチ、きみにお客さんだよ」
「ほう?」
マチは食事を終えると、立ち上がる。
「ジャック、アリス、お前らも来るか?」
「マチさんがそう言うなら僕は行きますけど、アリスは?」
「そうね、なら行きましょうか」
「3人ね、じゃあ行きましょうか
ジャックとアリスは食べ終わると立ち上がって、フユの後をついていく。
「他の皆はゆっくりしていってくれ、それじゃあまた後で」
それだけ言ってマチもフユについていった。
黎明の入り口まで行くと、そこには老齢の男と、後ろにマモルとヒカリが軍服姿で待っていた。
「マモル!」
「ジャック、やっぱりこっちにいたのか」
「うわ」
マチは老齢の男を見ると引きぎみにそんな言葉が口に出た。
「うわとはなんだねお父さんだぞ?」
「え!?、マチさんお父さんいたんだ、ということはマチの師匠?」
「別に珍しくは無いだろう、で、何のようだ師匠」
「お父さんって」
「言わないからな」
「残念だ、ジャックくん、アリスちゃん、ワシが薄暮のリーダー、
リーダーはジャックに手を差し出す。
「よ、よろしくお願いします」
ジャックは少し緊張しながらもリーダーの手を握る、自分の腕とはかなり違うゴツゴツとした手に興味を持つ。
「あの、メルヒェンを単独で何十も倒したって本当ですか?」
「もちろん本当だとも、なんならこれからマチちゃんで」
「やらないからな、それで、なんの、ようで、きたんだ!」
(本当に嫌そうな顔をしているなぁマチさん)
「ほほほ、まぁ今回は新しい血式少女の姿を見たかっただけだよ、マモルとヒカリにジャックくんとマチちゃんの姿を見せたかったのもあるがね」
「はぁ……」
「──どうせならこれから旧学生街エリアに行こうと思っていたんだ、マモルくん、ヒカリちゃん、一緒にどうだい?」
「フユ?、何を考えてるんだ?」
マチは先ほどの言葉の真意を問う
「──ふふ、冗談だよ、花坂さんならいざ知らず、今の二人には荷が重いね」
「……まぁいいか」
「ほほほ、フユちゃんは冗談はお好きですな、それでは今回はこの辺で、マモルくん ヒカリちゃん、帰ろうか」
「あぁ」
「わかりました、アリスちゃん、またね」
「えぇ、また会いましょ」
リーダーとマモルとヒカリが去ると、フユ達も黎明の中に戻っていった。