「アリス!!」
「ジャック……ごめんなさい」
ジャックはすぐにアリスに駆け寄る、意識はあるが、全身が切り傷でボロボロで戦える状態ではない。他の血式少女達も意識はあるが、立ち上がれる状態ではない。
「お?、どうやら来たみたいだな」
茨木童子は振り返り、マチを見る、しかしマチは茨木童子を見ずに、何か核に細工をしている獣に目がいっている。
(ヤバイな、明らかにナイトメアより強そうだとマチの勘が警笛鳴らしているぞ、相手するなら骨が折れそうだ)
マチがそんなことを考えてると、獣は核を両手で掴み、引っこ抜いた、核は崩れることなく脈動しており、まだ活動してることが見てうかがえる。
「へぇ、核を生かした状態で摘出できるなんて、興味深いわね」
グレーテルは引っこ抜かれた核を興味深そうに見ている、その視線に気づいた獣の肩に乗っている少女が口を開く。
「あらあら、見せ物ではないんですけどね、茨木、これを持って戻りなさい、ジバル様」
「御意」
獣の姿から想像できない綺麗な声でジバルと呼ばれた獣は核を茨木童子に渡す。
「はいはい、ローザ様は人使いが荒いね、誰がここまでの道中のメルヒェンを掃討したと思ってるんだか」
「疾く行きなさい、私達は残りを相手しないといけませんので」
「むぅ、まぁいいさ、またやれるだろうからな、そんじゃ帰ります」
「茨木」
茨木がマチ達の横を素早く通りすぎた辺りでマチが呼び止める。
「なにさ、我輩忙しいのだが」
「7日後にくる約束どうした?」
「あぁそれか、簡単な理由だ──黎明の場所がわからんかった!」
それだけ言うと茨木童子はこの場から去っていった。
「グ……キサマラ!」
「コアヲドウスルキダ!」
2体の父と母のナイトメアが起き上がりジバルを襲いかかる、しかしジバルはそれを腕の一振りで吹き飛ばした、ナイトメア2体は腕や足が吹き飛んで、壁に激突し、再び動かなくなる。
「父さん!、母さん!」
ヘンゼルはボロボロながら2体のナイトメアに駆け寄る、まだ消滅してないため生きてはいるが再生しないことから既に核は近くにないことは明らかだろう。
「ぐぅ……お前ら!」
ジバルに向かっていこうとするところをマチが腕を引いて下がらせる。
「落ち着け、それなりにお前も強いだろうけどあれはお前一人で普通に戦ってなんとかなるようなやつではない、武器もないのに無理はするな」
「あらあら、冷静な人がいるものですね、いや、傲慢からくる余裕とも言えるのかしら?」
「どちらも褒め言葉として受け取ろう、お前もジャバウォックとかいう連中なのか?」
「はい、ここは自己紹介しましょうか、私はローザ、こちらの殿方はジバル、私の愛しいお方よ」
ジバルは頷き、ローザはジバルの肩から降りる。
「ジバルとローザか、美女と野獣かな」
「あら、博識、まぁいいわ、バレても別に、ここであなた達は死ぬんだから」
「……ジャック、つう、人魚姫、ヘンゼル グレーテル、ここは」
「ちょっと、私だって……やるわよ」
「わたくしだってまだまだいけますわ」
赤ずきんとシンデレラが立ち上がる、その足元にはメルヒェンの血液がついた試験管が転がり、二人はジェノサイド化している。
「赤ずきん、シンデレラ……6人ならもしかしたら……か、ローザの相手は任せる、ジバルの相手はマチがする」
「一人で!?、無茶だよ!」
「赤ずきん、なに、無茶はしないさ、それにナイトメア以外でここまでのやつは初めてでな、楽しみで仕方ないんだ、茨木に戦闘狂とは言ったがマチも大概だなこれは」
「……必ず、生きて」
「わかってる、それじゃあ、親指、意識あるか、少しまさぐるぞ」
マチは倒れている親指姫のポケットから2つのものをヘンゼルとグレーテルに渡す。
「これ、なんだ?」
「親指、出来れば能力、プチプリンセスを解除してくれないか」
「──わか──ったわよ」
親指姫は半目ながら、能力を解除する、するとヘンゼルには大きな斧剣、グレーテルには鎌が握られる。
「これは……」
「さて、フユさんに準備させておいて良かったな、これで準備完了だ……行くぞ!」
マチのかけ声でマチと6人の血式少女達がローザとジバルに向かっていく、その姿をジャックは拳を強く握りしめ、悔しげにそれを見ていた。