「でっでは、次は人里にでも…」
「そっそうですね!よろしくお願いします…」
「はっはい…しっかり着いて来てくださいね」
俺たちの間に、気まずい空気が流れる。その原因は、
「な〜によ。何をギクシャクしてんのよアンタら。そんなに気にすることかしらねぇ?」
俺の横を飛翔するこの天狗の女、姫海棠はたて。
全てはコイツのせいなのだ。
話は少し遡る。
ーーー
「文に同行して幻想郷回って来なさい。まだ博麗神社しか知らないでしょ?」
「「へ?」」
そう、咲夜さんに急に休暇を言い渡され、文さんに同行することになった俺は、文さんに連れられ、“妖怪の山”というところに来ていた。
「ほんと…急にすいません、文さん。新聞の取材があるのに…」
「いえいえ!別に大丈夫ですよ。珍しい外の世界の出身者である貴方にもう少し取材したかったですから!」
俺たちは空を飛びながら会話をする。
「それならよかったですけど…ご迷惑をおかけするわけにもいきませんから」
「ほとんど咲夜さんのごり押しだったじゃないですかぁ!気にすることないですって!」
文さんは明るい声で励ましてくれる。優しいなぁ。俺みたいな家事しか取り柄のない冴えない男にもこんな眩しい笑顔を向けてくれる。
「はい!着きましたよ!ようこそ、妖怪の山、天狗の里へ!」
おっと、着いたようだ。しかし緊張するなぁ。
前世でもそこまでコミュ障ではなかったものの、人話すのが得意というわけでもなかった。
したがって、初対面の相手と話すのは普通に緊張するのだ。
「あっ文さん!お帰りなさい!」
「お帰り文様ー!」
すると、里の子供達が文さんを見て一斉に「わーっ!!」という感じで飛び込んできた。人気あんだなぁ。
「人気あるんですね」
「いやー、何故だかわかりませんが私子供受けがいいんです。本当になんでかわからないんですけど」
それにしても可愛いな。子供たちは口々に「文様抱っこー!」とか、
「肩車してー!」とか、それぞれ文さんにおねだりしている。
文さんは、「順番ねー」と言い聞かせているが、大変そうだ。ここは一つ、助け舟を出すべきだな。
「はいはい、そんなに一斉に行ったら大変だろー?順番順番。
あ、お兄さんでもいいよって子はおいで。やってあげるからさ」
少し文さんと子供間に割り込む感じで、俺は子供たちに注意する。
すると、子供たちはキョトンとした顔で、
「お兄ちゃんだれ〜?」
と聞いてくる。
「初めまして、みんな。お兄さんは
「そうなんだー!わーい!遊んで遊んでー!」
自己紹介を終えると、数名の子が飛び込んでくる。
俺はきっちり受け止めて、1人肩車、2人腕からぶら下げる。
「わーいわーい!お兄ちゃんすご〜い!」
子供達からのウケがいいようで安心した。まあフランも懐いてくれたし、俺も子供受けはいいのかもしれないな。
「あやや、助かります神代さん。なにぶん、人数が多くてですね…」
女の子を抱っこしている文さんが話しかけてくる。
「いえいえ、これぐらいお安い御用ですよ。むしろいつも1人で捌いてたんですか?」
そうだとしたらこの人子供扱い上手すぎやろ。
「いやぁ、いつもは椛っていう白狼天狗のこがいるんですけど、今日この時間はあの子の見張り時間じゃないんですよねぇ。だから1人で対応することになったって感じです」
「へえ。そりゃタイミングが悪かったですねってあ。もしかして俺のせいだったりします…?そうだったら申し訳が…」
「へ?いやいやいや!?全然そんなことないです!そんなことないですよ!?」
文さんは慌てて否定する。
慌てる美女と、落ち込んでる1人の男、側から見たらなんとも言えない絵面だろう。
「いや…なんか本当すいません…」
「いやいやいや!?」
こんなやりとりを3回くらい繰り返す。
しかし、このやりとりをしていたせいで、こちらを見ていた人影に俺は気づかなかった。
そしてその人影は、
「ふ〜ん。まさかあの文が男連れてくるとはねぇ〜。これは里のみんなに教えなくっちゃ♪」
ニヤニヤしながらこちらの様子を撮影し、飛翔して行った。
ーーー
あれから、里の子供達が満足して帰って行った後、里までの道を文さんと歩いていた。
「いやぁ、本当に助かっちゃいましたよ、神代さん。流石にあの人数は無理ですからねー」
「いえ、あれくらいならお安い御用です。ってん?なんだあの紙?」
俺たちが歩いていると、上空から紙がひらひらと落ちてきていた。
それを拾い上げ、中身を確認してみる。
その紙はとある新聞だった。しかし、書かれていた内容が…
『号外!有力天狗の文、男ができる!?』
「は?」
「あやややぁぁぁぁ!?」
俺と文さんを写した写真で、書かれていたものはscandalousな内容だった。
…誰だこんなん書いたヤツゥ!
初めてpart分けしました、どうも作者のきつね。です。
遅くなってごめんなさい。新作投稿したくなっちゃって…
こんな5ヶ月も開けてしまうような至らぬ作者ですが、見捨てないでいてくれると幸いです。
では、また次話で。