イセカイ&ドラゴンズ   作:原田孝之

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日常編第六話:ベップ異文化交流記 その四

 蔑称風鼬族、帝国書簡に拠る正式名称で云うアパッチの彼らは、言わずと知れたケイブラビット族の天敵である。

 

 アルン人やラビット族など所詮亜人種と異なり、帝国人との差は身長だけである。彼らは体格を生かし、猿のように樹々の上を根城にしていた。

 

 分布こそ大森林全土に広がっているが、数は少ない。農耕文化は持たないが、黒曜石の加工技術を持っていたりと高度な知識を備えている。

 

 これらは、独特な文化が密接に絡んでいる。野に降ったはみ出し者が、時折、数学・天文の分野において名を馳せることでも知られていた。

 

 ここまでが俗世間の認識である。だが、非捕食者であるラビット族からの認識は大きくちがっていた。

 

 なによりもまず先にくるのは野蛮性。かつ、宗教観も大きく違っていた。彼らは南部農耕地帯リエガー領と同様、いやそれ以上に太陽崇拝を全面的に継承していた。

 

 つまりは、帝国領内では禁止されたはずの放血儀礼や人身供養を積極的に推奨しているのである。

 

 彼らの脳内では、主神ケツゥアコアトルの力の翳りが闇の訪れに直帰する。太陽が隠れるたび、占星術師たちはこぞって空を見上げ、太陽神に生贄を捧げよと命じた。

 

 中でも、“死の宴”と呼ばれる太陽暦七番目の月に行われる祭祀は、準備に半年を要する極めて盛況なものであった。神官によって選ばれた戦士たちは、祭りまでの間、従者たちとともに周辺部族を攻撃。最終的にもっとも成果を上げた者が分捕った若い女性たちを娶り、一週間神に等しい生活を送る。そして、神の如く崇められた勇者は自ら神殿に入り、その心臓を捧げるのである。

 

 このように敵対する部族は野蛮極まりない彼らを恐れている。勿論、ケイブラビット族も同様であった。

 

 恐怖は魂にまで染み付いているのだろう。警報の鐘が鳴らされた瞬間、カサは些細な蟠りなどなかったように駆けだすと、大人衆の集う祭場へと向かった。

 

 族長“片目”は、相手勢力が強大であると判断すると、棲家より南方約十キロにある古巣へ逃げる旨を通達した。

 

 村の中はてんやわんやの騒ぎだった。小学校高学年あたりの女児すら凄まじい形相で奔走している。ベップは裁縫をしていたアルバを回収すると、指示にしたがって逃走用の坑道を這った。

 

 日頃使いされていない通路は狭かったが、無腰で逃げ遅れたら絶命一直線だ。膝、肘を擦りむきながら、日の元にようやく出た。

 

 一足先に脱出口で陣頭指揮を取っていたのか、次期族長であるカサが側近に合図してから近寄ってきた。

 

「やっときたかっ、遅いぞ!」

 

「なんとかね。それで、村の皆は逃げきれたか」

 

「わからん。罠でどれほど時間稼ぎできるのか……」

 

 想像すら難しい重責を背負っているのか、カサは爪を噛みながら脱出口を眺め続けている。

 

 いまだ中年兎やその他ガキンチョどもの姿はない。数日の仲でしかないベップも、胸がキリキリと痛んでいた。

 

 上層組の男たちが続々と合流する。後続が途切れたことで、輿に載って瞑想していた族長は冷酷な決断を下した。

 

「矢印を残しておけ。あとはあやつらの運に期せよ」

 

 辛い宣告を受け、カサは大粒の涙を浮かべながらぎゅっと唇を噛み締めた。

 

 それでも、決して反論することはない。一分一秒が命運を握っていることは彼女とて分かっている。気丈に顔を上げると収穫班に声を掛けていた。

 

「カサちゃん……」

 

「慰めはいい。黙って走れ」

 

「強えなカサちゃんはよ。俺には真似できねえぜ」

 

「私は次期族長。強くなければならないんだ」

 

「けど――って危ねぇ!」

 

 ベップはカサを突き飛ばすと、遅れて、背中に鉄芯でも撃ち込まれた感触を覚えた。脇腹の皮膚に矢羽が食い込んでいる。

 起き上がったカサはすぐさま抱き起こしてくれた。その顔は、血の気を引き抜かれたように真っ青だった。

 

「だ、大丈夫か。ち、血が出てるぞ。それもいっぱい」

 

「心配すんな、こんなの慣れっこだからよ」

 

 痛みに喘ぎながら身体を起こすと、青々と茂る樹々の上に極彩色の羽を纏った男の姿があった。

 

 その瞬間、奇怪な雄叫びが連鎖した。

 

 小柄な身体から一体どうやって発声しているのだろうか。筋の浮いた剽悍な肉体が連続して降ってきた。

 

 腰蓑を巻いただけの晒された上半身。矢傷がいくつも走る歴戦の佇まい。数十にも及ぶ戦士団は、一匹も逃さぬとばかりに輪を作った。

 

 盆地に差し掛かった最中のことだ。やや高めの茂みがあるだけで、隠れるのは非現実的だった。なにより、樹上でも片手で扱える弩を手にしている。足自慢のケイブラビットでも女子供は逃げ切れまい。

 

 族長が眉を顰めたのはそのときだった。敵方の勇者が雄々しく吠えると、頭上に潜ませた射手へ合図を送ったのである。団子状態になっていたベップたちの頭上に、雨霰と矢が降ってきた。

 

「頼むアルバ!」

 

「……」

 

 神にも祈る思いで叫ぶと、アルバは樹々を足場にして跳躍すると、二本の短刀を手に中空で回転した。人力の竜巻は矢を弾き、一帯を死から救った。

 

 しかし、手の届かなかった範囲では黒き鋭牙があちこちで流れて、血潮が乾いた枯れ木を濡らしている。当たりどころが悪かったのか、あちこちで呻き声が漏れ響いた。

 

 あっという間に形勢が定まってしまった。黒曜石の鏃に混じって、骨矢がいくつも逃亡民を穿っている。殺傷よりも負傷に重きの置かれた武器である。脚を失って、一同絶望的な眼差しで侵略者を見やった。

 

「ふん、たわいない。これが逃げ兎どもか」

 

 ひれ伏す一同の前に颯爽と姿を現した風鼬族の勇者レヴドスキは、腰に佩く鎌を引き抜いた。

 

 その肉体、規格外といっていいほど長く、細い。骸骨が生きているとみがまうほどだ。彼はその軽量級を生かし、風に身を躍らせた。

 

 颶風となって頭上を駆けたかとおもうと、女子供を守ろうとした男衆の喉首を掻っさばいた。噴水のような血柱がそこかしこであがる。庇われた女等は、それを真っ青な顔で見上げた。

 

 牛蒡のようにほそいと思われた手足だが、樹々に捕まる際、くっきりと浮かんだ筋肉が彼の体重を支えている。これに加え、重力を加算させたスピードは鷹の滑空ともいえるべきものだ。一瞬の瞬発力ならば、武芸者たるベップの目にすら捉えるのは困難であった。

 

 荒れくるうレヴドスキの強さを垣間見て、従者たちは拍手喝采にわいた。我らが勇者に続けと、はいずる者たちを血の海に沈めている。

 

 勝負にすらなっていない。虐殺であった。

 

「おい、この中で俺に真正面から挑んでやろうっていう心意気のある野郎はいねえのか。いるわけねえよなぁ。狩られるだけのなっさけねえ兎野郎どもにはよ」

 

 勇者レブドスキは頭上から大袈裟に嘲った。

 

 凍りついている一族の苦境を読みとったのか、稀代の怪童が長剣を掲げ、前線に飛びだしていった。

 

「言いたい放題言いやがって。いいだろう、このオレ様が相手になってやる」

 

 一族最強にして、歴史上においても稀な戦士“大きい雄”である。隆々とした肉体は、ケイブラビットの血に連なるとはとんとおもえない。一陣の風が吹きすさぶと、血煙を巻きあげて戦場の雄二人をとり囲んだ。

 

「オレ様はさいっこうに強くて、一回も負けたことがねえ男だ。茎みてえに細え野郎が、このオレ様を舐め腐ってんじゃねえ」

 

 長剣を一直線掲げると、囲まれていることをおくびにも出さず、堂々と名乗りをあげた。ほう、と風鼬族の勇者も目の色を変えている。

 

「貴様はどうやら狩られるだけの畜生とは違うようだ。ま、決闘の流儀は知らぬようだがな。名乗れ、長耳の勇者よ。私はアパッチの勇者レブドスキである」

 

「“大きい雄”だ!」

 

 両者が名乗りをあげると、従者たちは一斉に矛を収め距離をとった。戦場における決闘は、古来からのいくさを信奉する原住民にとって神聖なる儀式である。

 

 ベップたち、そしてケイブラビット族の命運を握った一戦が幕を挙げた。

 

 

 

 

 

(見ててくれよカサ。オレ様の力はすべてを救うと証明してやる)

 

 一族の姫カサは、奴隷の右腕にしがみついては決闘を見つめている。真の英雄ならば、雌を不安になどさせぬものだ。“大きい雄”は鈍く光る長剣を風のなかに揺蕩わせた。

 

 先手を取ったのは、意外にも巨躯の彼であった。体重のない勇者レブドスキは待ちの不利を理解していたが、わざと見の体勢をとった。身長百九十を超える肉体は、異様な唸りをあげて白刃を閃かせた。

 

 勇者レブドスキの首鎌は柄に赤鬼の大腿骨、刃に黒曜石を拵え丹念に鍛え挙げた特注品だ。

 

 だが、都の名工ウィリアム・ハーシェルの手によって生み出された“七つ首切落鬼斬り”――アンヘルらに迷宮探索任務を強制させられたときの報酬――の切れ味は極めてするどい。

 

 太刀筋が立っていない力任せの一刀とはいえ、受けきることは不可能だ。レブドスキはたたらを踏むようにぐにゃんとのけ反った。

 

 定石で云えばから振らせた隙に懐へと飛びこむべきだったのであろう。が、受けられたことで反発を得た“大きい雄”は、続けざまに長剣を振りかぶった。

 

 のしかかるような態勢と反った態勢。勇者レブドスキは足を地面に落ちつけ、自慢の機動力を封じられている。頼りない鎌では薄皮を裂けようとも、致命傷には至るまい。

 

 勝負はあった。

 

 苦し紛れに繰りだされた鎌を空いた手で払いのけ、ガラ空きの脳天へと振りおろす。

 

 風が泣きそうなほどにうねっている。

 

 耳元を、びょう、と凄まじい音が切りさいていった。

 

 刹那の攻防。

 

 彼は真っ赤な花が咲き乱れるところを想像し、にんまりと笑みをうかべた。

 

「死ねぇぇぇえ!」

 

 仕留めた。全力を込めて振りおろした長剣が肩先へと吸いこまれたのだ。パッと散った血潮で確信へと変わる。“大きい雄”は勝利の余韻に浸った。

 

 だが、違和感は徐々にはいずりでた。切りはらおうとした長剣が微動だにしないのだ。勇者の気配は変わらずにある。いや、むしろ強大になっているように思われた。

 

「まだ勝負の潮合は極まっちゃいねえぜ」

 

 眼前の勇者は、地面へと倒れ込むことなく仁王立ちしていた。千切られた耳から舞った鮮血を長い舌でなめとっている。

 

 勇者レブドスキは信じられぬことに、振りおろされた長剣に対し真っ向から踏みこんだのだ。

 

 遠心力の加わらぬ鍔元付近は切れない。が、たとえ理性がそう訴えても、白刃へと突き進む胆力は並大抵のものではない。

 

「ひっ!」

 

 “大きい雄”は弱々しい悲鳴を挙げた。勇者レブドスキはそれを残忍に笑っている。

 

「いいか、長耳の。おまえのそれは匹夫の勇ってやつだぜ。真の勇者ってのはよ、相手の力量を一目で見定め、十全に引き出してからうち破るのさ」

 

 レブドスキは煙のように立ちきえると、器用な動きで鎌を走らせ、嬲るように腕部の関節をこじった。

 

 彼の拠り所は、所詮力だけが自慢の素人剣術だったのだ。“大きい雄”はみっともなく長剣を放りだすと、逃げ出そうとして脚をかけられ、無様に地面へと転がった。

 

「い、イヤだ、やめてくれ!」

 

「……おいおい、勘弁してくれよ。そんな風に神聖な戦いを穢してくれるな」

 

 恥も外聞もなく地面を這いずって泣きわめく“大きい雄”。そこには戦士の面影はない。あきれ果てたのか、勇者レブドスキは腰に体重をのせ、長耳二本を掴みあげた。

 

「う、うう、死にだくないっ」

 

「そりゃねえだろうがよ長耳の。お前はどこまで俺に泥を塗れば気が済む。根性なしってのはまさか、玉がねえからか」

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!」

 

「よーし、いいだろう。そんなに気合が籠もらねえとほざくなら、俺がその気にさせてやる」

 

 勇者レブドスキはそう吐きすてると、啜り泣く“大きい雄”の背中を鋭利な鎌で毟りはじめた。宙に白い毛並みが血に混じって巻き上がる。肉を抉られるたび、切ない叫びが轟いていた。

 

 凄まじい光景。カサなどは嘔吐感を抑えている。

 

 これはケイブラビット族の零落を表す儀式であった。見た目以上に、全身の体毛は薄着でも身を守るための鎧だ。医者のない世界、ちょっとした擦り傷が死や病をもたらす。それがすべて毟られたとあっては、村の中では白眼視される厄介者だ。

 

「よぉし、これでてめえも引っ込みつかなくなるだろ。おら、立てよ。真の勇者に相応しいか、試金石になってくれ」

 

「いやだぁああ。もうやめます。ごめん、ごめんさない。許してください!」

 

「てめえふざけてんのか。一回も負けたことのねえ男つっただろ」

 

 レブドスキは腹の虫が収まらぬのか、青筋を額に浮かべて侮蔑の眼差しを浮かべた。拳が小刻みにふるえている。

 

 派手に戦い派手に散る。戦部族の理念などそういうものだ。周囲の従者などは、不甲斐ない決戦に主人への尊崇を取りはらい始めていた。

 

「誰か助けてぇぇええ。カサ。頼むお願いだよぉぉ。しにたくない、イヤだよぉおお。うえぇん、ああんんんぁぁあ!」

 

 “大きい雄”は、もはや我を忘れて泣きわめいた。が、誰に手を伸ばしても目を伏せたままである。カサだけははっと顔色を変えたが、ベップに手を引かれて沈黙した。

 

 憐れと見たのか、従者たちは助けてやれと喚きだした。

 

「ちっ、とんでもねえクソ野郎だぜ。まさか守るべき女どもに縋りつくとはよ。こんなんを獲物にしたとなりゃ、勇者としての名が廃る。――いいかこの根性なしども。よく聞きやがれ!」

 

 レブドスキは無様な決闘の帰着に憤懣やる方なしと怒鳴り、“大きい雄”の耳を無造作に引きちぎった。

 

 名誉ある決闘のはずが、批判の矛先になったのである。その怒りは赤龍もかくやといった怒気であった。

 

「今日のところは見逃してやる。だがな、明日、貴様らの血の匂いを追って再び聖戦を果たそう。いいか、明日までにだ。家畜のように狩られるか、それとも戦士として闘うか、覚悟を決めておけ!」

 

 命からがら逃げ出した“大きい雄”、そしてケイブラビット族一同。

 

 その命にタイムリミットが付けられていることを、誰もが予感していた。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 ケイブラビット族ら逃亡民は、一同皆暗い顔をして元の穴蔵へと戻った。

 

 その日、塩気の一切ないスープをかき込むと、血の匂いと苦痛の叫びが籠った部屋で看病をつづけた。誰もが皆、顔中から生気を取りはらっている。

 

 充てがわれた部屋に戻る途中、なんとなしに広場へでた。能天気な子供たちの笑い声を聞きたくなったのだ。

 

 見慣れているはずなのに、まるで色が抜け落ちたようで、集落は生活感が失われている。ベップは、いつも煩わしいと思っていたタップダンスが無性に恋しくなっていた。

 

 床に入ると、睡魔は驚くほどたやすく意識を奪った。半日経って目を覚ましたベップは、地下水の湧出する水場に足を運んだ。

 

 そうやって身なりを整えていると、不安気な様子のカサが忍び寄っていた。

 

「もう寝る時間だろ?」

 

「……ああ」

 

 帯水層の問題から、水場は棲家の奥深くにある。水分補給以外には足を伸ばす理由がない。ラビット族は長期の渇きに耐える肉体を持つので、目的が有って訪れたことを明示していた。

 

 どうせまた、とち狂った奴隷の心得を聞かされるのだろう。良い女ってのは我儘なもんで、どれだけ応えられるかが甲斐性だ。古い男性観を信奉するベップは、両手を突っ込んで顔いっぱいに冷水を浴びた。

 

 苔の青白い光が岩肌にあわく影を落としている。素足に冷涼とした水が染みこむ。水面に映る無精髭を生やした顔を眺めていると、背後から首に腕がまわされた。

 

「どうしたよ。人間の男には興味がないんじゃなかったか?」

 

 熱っぽい感触が心臓にまでつたわってくる。女はどうしてこう暖かいのだろうか。いつも奇妙におもう。そして、だから惹かれるのだ。

 

「……奴隷のくせに生意気だ」

 

「俺は生粋の自由主義者でね。ただの隷従身分ってのはあんまり賛同できないのさ」

 

「また難しい話をする、どうしてオマエはそうなんだ……もしかして違うのか、私がついていけてないだけなのか?」

 

「どうだろうな」

 

 正直に生きろと何度も文字にさせた。聡い彼女はそれ以上たずねなかった。

 

「なあ、みんなの中でオマエは普通なのか」

 

 珍しく気弱なカサに、ベップはガリガリと頭の後ろを掻きむしった。

 

「いや、そうじゃないな」

 

「なら特別なのか」

 

「……いや」

 

「結局どっちなんだ」

 

「どっち、か。そうだな、それはアヒルと白鳥みたいなもんさ」

 

「なんだそれ。よくわからないぞ」

 

 ベップは子供のようにグルグル水面を掻き混ぜると、掬いあげた水をおとした。

 

「俺ん家は結構貧乏でよ、銭の足しに家鴨を飼っててさ。見たことあるか? 黄色いやつから青黒いやつ、変わったやつだと赤いやつもいるんだぜ。ちょいと煩えのが玉にキズだけどよ、良い毛並みの奴はそれこそ白鳥にも匹敵するぐらい綺麗なもんさ」

 

「……」

 

「中でも真っ白な奴がいてさ、ユキって名付けてすげえ可愛がってたのよ。トコトコトコトコってついてきてさ、これが愛らしいのなんの。ま、結局は出荷しちまったからその程度の愛情だったのかもしれねえけど、な」

 

「なにか、あったのか?」

 

「なんもねえよ、可愛いやつだったさ。たぶん、俺が飼うのはこれからもユキ一匹だけだろう。けどよ……」

 

 強く絡みつくカサの腕を、ベップはぎゅっと握った。いまはどこまでも、温もりが恋しかった。

 

「一度だけ、大空へ飛び立つ白鳥に目を奪われちまった。そんときよ、ユキはガァー、ガァーて寂しそうに鳴いたんだ。上を見上げながらよ。

 恥ずかしい話忘れてたのさ。アヒルってのは、どんだけ綺麗だろうが、美しかろうが、空は飛べねえってことをよ」

 

「オマエ……」

 

「悪いな、小難しい話でさ」

 

 ベップはすっと立ちあがると、気恥ずかしげに頬をかいた。

 

「行こうぜ、今日も勉強しにきたんだろ」

 

「……っああ!」

 

 ふたりは数時間の間、何事もなく文字をかき綴った。彼女の最終目標は絵本ではない書物を読破することらしい。辞書もないのに、教えた言葉一つ一つをつぶさに暗記している。枕元にも文字を彫っているのだから、熱意は学士などとは比べ物にならない。

 

 自分は与えられたものを享受してきた。名のある家に生まれ、十分な教育を受けた。学も剣も困らない程度には。

 

 それに比べ彼女はどうだ。なにもない。金も家柄も文化もない。なのに、貪欲になにかを欲しもがいている。

 

 ベップは削られた岩肌に背をあずけて、ずるずるとへたりこむように腰をおろした。時折、疲れた表情をした子供たちが駆けよってきては、それこそどうでもいい世間話に花を咲かせてくれる。追いはらう元気もなく、乾いた笑いを口元に張りつけていた。

 

 平和だったはずの村。遠ざけたはずの影が、どこまでも追いかけてくる。

 

 逃げても、逃げても。

 

 それは、戦の炎ではない。カサや村人の暗い闇でもない。自分が蓋をした何かに、潰されそうになっていた。

 

 ベップの脳裏には、薄れていたはずの日々が強く明滅していた。人の温もりを感じているときだけが、自分を癒してくれる。痛む矢傷をさすりながら目を閉じると、暖かい温度を肌で感じた。

 

 子兎たちが身体をあずけている。気付かないうちに寒がっていたのであろう。ふと、影が差した。行方不明になっていた中年の女性が、毛皮を掛けようとしてくれていたのだ。

 

「もうおねむじゃないの?」

 

「ああ」

 

「そう。ならお友達のところにいってあげなさい。呼んでたわよ」

 

 いつになく冷たい声だった中年兎は、薄目で頷くベップから子兎を引きはがした。

 

 所詮は、部外者ということなのだろう。

 

 ベップだけが、ただ一人、場違いに屯している。

 

 おもえば、時折突き刺さるような非難を感じていた。もしかしたら、風鼬族の侵入を許した遠因だと思われているのかもしれない。盲目に信じてくれる子供たちとカサを除いては。

 

 潮時か。

 

 ベップは仲間の元へと向かった。仕切りのないくり抜かれた岩肌のなかで、アルバは一人正座をして、目を細めながら完成された衣服を眺めていた。

 

「……行くか?」

 

 アルバは目線一つくれず言った。

 

「ああ。俺たち部外者がいつまでも迷惑だろ」

 

「……そうか」

 

「ま、俺たちにも配達の仕事があるしな。さっさとしねえと俺たちがお陀っちまう」

 

 アルバは何も言わず、ただ無言で顎を引いた。

 

「お前も早く帰りたいんだろ。こんな辺境からよ」

 

「……そうだ」

 

「ちっ、なあアルバ、本当は異論があるんだろ。言えよ」

 

 壁を打つような返事に、ベップは苛立ちまじりの荒い息を吐いた。アルバの眼差しには何の変化もない。洞窟内に言葉だけが反響した。

 

「言えばいいだろ。怖くて逃げるのかって。ああ、そうさ、そのとおりさ。恐れをなして尻尾をまくるのさ。それの何が悪い」

 

「……悪くない」

 

「本音で言えよ!」

 

 ベップは顔を真っ赤にして怒鳴った。洞窟の壁が震えるような大声だった。

 

「……任務を果たせ」

 

 アルバはボソボソと口を動かした。

 

「なに」

 

「最優先は任務だ。それ以上は関係ない」

 

 冷淡な声はベップを現実に引きもどした。自分は帝国軍士官にして、武官貴族フォルチ家の人間である。負け戦に力を貸す意味などまったくない。

 

 冷めきった合理主義を相手にして、ベップは反論の言葉を持たなかった。

 

「悪かったよ」

 

 衣服を纏うと、踵をトントンと叩いた。アルバの予備ブーツを改造したものだが、見た目は悪くない。

 

 洞窟の青白い光が不意に乱れた。ゆっくりと振りかえる。そこには、険しい顔つきで睨むカサの姿があった。

 

「なにをやっている。オマエは私の奴隷だろ!」

 

 カサはふーふーと牙を剥いて、駄々っ子のようにベップをなじった。目尻の端に大粒の涙が浮かんでいる。彼女はその涙を拭うことなく、全身の毛を逆立てた。

 

「俺は行くぜ、カサ」

 

「ふざけるな。そんな勝手をやっていいと思ってるのか!」

 

 ベップは深いため息を吐くと、いきり立つ彼女の左肩に手をかけた。

 

「まだ死ぬわけにはいかねえ。悪いが、他人の畑のはなしなんだよ。俺には、俺の住処がある」

 

「見捨てるのか、この私を」

 

「そうなるな。……なあ、お前一人なら連れていける。一緒に逃げようぜ」

 

「私は次期族長。ふざけたことを言うんじゃない!」

 

 カサは腕を振り回して、無防備なベップの頬を思いきり打った。躱そうとおもえば躱せた。所詮、足がはやいだけのおなごである。が、彼は堂々と身動ぎ一つせず、甘んじて痛みを受けとめた。

 

「オマエはもう奴隷じゃない。好きにしろ。二度と帰ってくるんじゃない!」

 

「ああ、楽しかったぜ」

 

 それを最後の挨拶と受けとったのか、カサはくしゃっと顔を歪めると、大粒の涙をこぼしながら走りさっていった。

 

 いつものこと。

 

 自分は見上げられる存在なんかじゃねえ。カサのような才気のつよい女にはとくに。地べたを這いずって、諾々としたがうのがお似合いさ。

 

「行くか」

 

 アルバは無言で首肯した。

 

 心残りはただ一つ。女と別れるっては、いつもうまくいかねえ。

 

 彼はその度、悲しそうに微笑むのだ。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 狂ったように茂る樹木が、夜明けの残光にあぶられて紅に染まっている。

 

 強風に煽られ、葉擦れの音をかき鳴らしている。曇天の空に輝くいくつもの鈍色。強烈な殺気を浴びて、降りようとしていた小鳥たちが慌てて飛びたっていった。

 

 もう少しで開戦だろうか。歩みを進める足が、沼に沈みこんだように動かない。これで本当に後悔しないのか。ベップは何度も自問した。

 

 間違っていないはずだ。勇者レブドスキの力量は、士官学校の剣客気取りたちとは一線を画していた。得物を失った身では太刀打ちできない。

 

 いや、そもそもたった一人戦ってどうする。大将首を片手に、従者どもになぶられるのか。生き死の見定めこそ、命つなぐ唯一の綱であるのに。

 

 後ろ髪を引かれる思いを断ちきるため、ベップは力のかぎり叫んだ。声のすべてを持って、喉を潰すようにして。

 

 呼応するよう、背後で藪を揺らす音が鳴った。殺気はない。首だけで振り返ると、そこには毛を毟られた蒼白の大男が立っていた。

 

「あんた、何の用だ」

 

 それは、ベップを捕まえた過去の支配者“大きい雄”の姿であった。痛めつけられたあとだからだろう。小刻みに震えている。その背後には中年兎の姿もあった。

 

 道すがらの護衛として厄介者に声をかけたのだろう。“大きい雄”は沈黙を保っていた。

 

「どういうこったい。なんか恨みでも買ったか。それとも、そんなに俺が嫌いか」

 

「そんなのじゃないわ。忘れ物を届けにきたのよ。これ、貴方のでしょう」

 

 と、中年兎は黒銀鞘に収まった長剣を差しだした。戦場から回収したのか、血がそこかしこにこびりついていた。

 

「そいつはあんたらのだよ。俺は奴隷。取りかえそうなんざ思っちゃいねえさ。それに、戦の前に武器が一本でも欲しいところだろ」

 

「もういいのよ。こんなものが一つあったところで変わらないわ」

 

「おいおい、腐ってもこいつは名剣だぜ。そこそこの使い手なら骨すらバターみたいに斬れる」

 

「そうなのかしら。でも、カサが返して欲しそうにしていたから」

 

「アイツが、か?」

 

「ええ。渡しそびれたって言っていたわ」

 

「……おい、待てよ!」

 

 踵を返そうとした中年の肩を掴んだ。彼女の目には、カサなどとは比べ物にならないほど非難が渦巻いていた。

 

「アンタらはこれからどうするんだ」

 

「どうする? 決まっているわ」

 

「……戦うん、だよな」

 

「逃げるのよ」

 

「何を言ってんだ! あいつらの動きを見たのか。あいつらは血の匂いを追ってどこまでも追いかけてくる。アンタらの足がどれほどのもんか知らねえけど、逃げ切れるわけがねえ。……まさか!」

 

 ベップはその瞬間、頭の中に湧いたイメージを消しさることができなかった。風鼬族の脅威は、長年付きあっている彼らのほうが知っている。逃げきれぬことなど百も承知。老獪な族長がそんな生温い妥協を許すはずがなかった。

 

「ええ、そうよ。動けぬものたちと、カサたちが待っているの」

 

 視界のすべてを暗い闇が襲った。考えてみれば、思い当たる節は多々あったのだ。切羽詰まった戦の前夜、次期族長であるカサは呑気に文字遊びに興じていた。

 

 彼女はなんらかの用を持って、井戸で佇むベップに声をかけてきた。それは、別れを惜しんで切りだせなかった姿ではなかったか。

 

 最初から、生贄に捧げられることが決まってのお遊びだったのである。となれば、彼女の最後の糾弾は、ベップを後腐れなく送りだすための儀式だったのだろう。

 

 聡い。

 

 そして、自分はどこまで愚かなのだろう。

 

 裏切られたことへの恨みだと勘違いしていた。

 

 あれは、彼女なりの別れだったのである。

 

 ベップは受け取った鞘と鍔の隙間に、一枚の手紙が挟まっていることに気づいた。ヘッタクソな文字。彼女が大切にしていたはずの絵本を破って書かれたものだった。

 

「……なあ、アンタはもしかしてカサの母親なのか」

 

「え、ええ? 私たちはカサの母親よ」

 

「そういう意味じゃねえ、アンタはカサを産んだのか」

 

「ああ、そういうこと。ええ、私が産んだわ。それがなに」

 

「だから、アンタは怒っていたんだな」

 

「何のこと?」

 

「いやいい、忘れてくれ」

 

 村には血縁という概念がない。あまりにも閉鎖されすぎている所為で、近親婚が平然と起こりすぎるからだ。

 

 だが、腹を痛めて産んだ子供を想う心が露と消えたわけではない。彼女の目には、ベップは恩を忘却し見捨て去ろうとしているように見えたのだ。裏切られた、と感じているのは眼前の女であったのである。

 

 ベップは歩いてきた道を見やった。遠くで樹々がざわめいている。辺りでは、獣が意思を持って一方向から遠ざかっていた。

 

 血の乾ききっていない長剣を手にとると、腰にぶちこんだ。長らく収まっていなかったそれは、不思議にも身体に同化し重量を感じさせなかった。

 

 抜かれた鍔元からは、重力でも吸いこむような妖しい光が放たれていた。アルバの猫目がわずかに瞬く。

 

「止めるなよ。いや、止められたって俺は行くけどな」

 

「……任務以外はお前の勝手だ」

 

「へ、そういうことかよ。お前も話が下手くそだな」

 

 己の中の訳のわからぬ炎が立ちあがりはじめた。おもえば、自分はくだらないことに拘ってはいなかっただろうか。特別だとか、普通であるとか。

 

 ベップは嵐のような騒めきの中で、縫いあわされた外套を派手にはためかせた。自分には力がある。何かを成すための力が。

 

 顰めっ面のカサを思い浮かべた。今、彼女は苦しい心情を覆い隠しながらも、来るべき定めを粛々と待っているのだろう。

 

 それを許せるのか。ただひたすら自問した。

 

 ――なあ、ベップ。俺は立派な槍を持った男だろう。ならよ、足一本に成ったとしても立て。浮名を流して、女に背中をぶっ刺されて死ぬのがお似合いの男さ。なら、こんなところで死ぬわけねえだろう。召し捕った女を妻にする狂信者どもなんかには尚更な。

 

「なにが“サヨナラ”だ。喧嘩別れは許容したが、俺は泣き別れだけは許さねえたちなんだぜ」

 

 ベップは小高い崖のうえから跳躍すると、左右に長剣を閃かせた。一本筋の入った残光が藪を切りはらう。彼は逃走する獣たちの群れに逆らって、殺しあいの真っ只中に飛びこんでいった。

 

 

 

 

 戦士か家畜か。決断を迫られたカサたちケイブラビット族は、粛々と最後の別れを済ませ、僧侶のような眼差しで外へと歩みでた。

 

 森は開け、朝焼けの光が全身を包んでいる。夜行性であるケイブラビット族のカサは、朝日を拝むのははじめてだった。

 

 風鼬族の軍団は捧げ物として闘争と生贄を求めている。領土侵犯や怨みつらみというわけではないのだから、勇者レブドスキも不満を僅かに浮かべただけで、歩けない負傷者だったものを打ちすてた。

 

 逃げられたかどうか、という心配は必要ない。同族たちの脚力は山岳でも十分に発揮される。足手纏いが居なければ、比肩できる存在は限られていた。

 

「申し訳ありません。カサさま……」

 

「謝らなくていい。最後は笑って過ごし、精霊となって皆を見守ろう、な?」

 

「ううぅ、はい」

 

 ぴっと頬に赤い液体がとび散った。これもすべては村のため。カサは、無力感に包まれながらも膝を折って、両手を重ねあわせていた。

 

「殊勝な態度だ。が、お前ら女どもは死ぬ訳じゃねえぜ。俺の妻となって終生、俺に仕えるのだ。……ってくっせ! これだからお前らは襲いたくなかったんだ。そのくせ根性なしばかりでやってられねえぜ」

 

 鼻を摘まみながら友人たちを踏みつけにするレブドスキ。その態度が、カサの中の激情を高ぶらせた。

 

「ならなんで私たちを襲った。私たちは静かに過ごしていただけだ。お前たちが来なければっ」

 

「ほう、お前は男と違って鼻っ柱の強いな。ってやべえ、ガチ臭ええ。ちょ誰だよ、おえおえ」

 

 勇者レブドスキは、強烈な刺激臭にむせ返っている。戦場には多少コミカルに映るも、その足は切り落とされた首に掛かっていた。カサは大粒の涙を浮かべ、きっと睨みかえした。

 

「名はなんという、女」

 

「誰がお前なんかに」

 

「口を割らせるのも一興、というほど気長ではないぞ。俺はな」

 

 レブドスキは鎌を片手に長耳を掴みあげた。従者たちはそれを血の迸った目で見つめている。敗軍の習い。奴婢に落とされた烙印が刻まれようとしている。

 

 あの“大きい雄”に為された仕打ちは、魂を穢し尽くすほどの衝撃があった。むろん、舌を噛んで心を守るという手もあっただろう。

 

 だが、自分と一緒に生贄として残された女衆の中には、自決を選べぬ弱者もいた。刺激するから臭いを抑えろと言ったのに、すぐ忘れてしまう。自分が居なくてはどのような最後を迎えるか心配でならない。

 

「お前も俺好みに変えてやろう。そうしたら、少しは気も変わるかもな」

 

 耳元で囁くよう言ったレブドスキは、長耳の付け根に鎌をすえた。涙は絶対に見せない。今から待ち受ける苦痛に耐えるため、唇を噛みしめた。

 

「いぃ度胸だ。そのまま叫ぶなよ。俺は女だからと言って、泣き叫ぶような弱虫を心の底から毛嫌いしている。そう、それでいい。それこそ、太陽神の力となる俺に相応しい女だ」

 

 ひたひたと鎌から滴る血肉がカサの頭皮を濡らしてゆく。怖いと言ったら嘘だ。誰だって傷つけられるのは怖い。痛みから逃れる方法なんてものは、生命あるものには絶対にない。

 

 だからこそ、カサは笑顔を浮かべた。心の中に浮かんだのは、たったひとつ、喧嘩別れになってしまった奴隷の姿である。けれど、あれでいいのではないかと思っていた。ああいう性格なら、自分を見捨ててはいけないだろうから。

 

(オマエはいい奴だ。だから頑張れ。応援、してるからな)

 

 じくりと、刃先が食いこんだ。気絶なんかしてたまるものか。全身を這いまわる寒気にカサは耐えた。

 

「うん……? なんだ」

 

 戸惑ったような声があがったかと思うと、カサはどんと突きとばされた。処刑場と化していた平野の空気は一変し、従者たちなどは歯茎を剥きだしにしている。

 

 ばっと従者たちの密集地帯から血煙が高々と舞った。切りとばされた手首や刀剣が、地面に転がっていた。

 

 一際強い風が葉擦れの音を掻きたてた。

 

 屍肉を喰らおうとしていた鴉は一斉に羽ばたき、虫たちは慌てて草根に身を隠した。

 

 人垣が真っ二つに割れ、黒い影があらわれた。

 

 それは、カサがよく知る人物であった。

 

 死の鎌が自分から離れてゆく。胸の奥が激しく音を立てて、視界などは抑えも効かずに潤んでいる。頬は乙女のように紅潮し、純真なまままっすぐに見つめていた。

 

「オマエ……!」

 

 どうして戻ってきてしまったんだ。とか、そういう無粋な言葉が脳裏を駆ける。奴隷はあっちに行けと心を鬼にするべきなのに。

 

 なのに、言葉にならず立ちあがることもできない。

 

 カサは何もかも忘れて両手を合わせた。勇者レブドスキは心底嬉しそうだった。

 

「いよう、下等生物ども。テメエらにカサは勿体ねえ。俺がもらっていってやるぜ」

 

 衣服を風のなかに放りなげると、生まれたままの姿で、帝国一の快男児は剣を天に突きあげた。

 

 

 

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